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僕は登校中に水沢先生に遭遇する

今回からは葵衣の実習9日目です

登校中に光晃が葵衣と遭遇!どうなる事やら

本作のPVが7000PVを超えました!毎日アクセスして頂いてありがとうございます!

では、どうぞ

 水沢葵衣の教育実習もいよいよ9日目だ。あと5日もすれば教育実習も終わり、僕の日常も元の通りになる。だけど、その前に僕は水沢葵衣の想いに答えを出さなきゃいけないわけで……めんどい!恐ろしくめんどい!だけど、約束した以上はちゃんと答えを出さなきゃいけない


「まさか、どうでもいい教育実習生からの告白でここまで悩む事になるとは……」


 好意を伝えられた時から考え始めていればよかった。これじゃ夏休みの宿題を始業式前日の日にやる小学生みたいだ。僕の場合は実習終了の5日前から考えてるから宿題を貯め過ぎた小学生と違うけど


「前日に考えるよりはマシだけど、5日前から悩む事になろうとは……」


 考えなかったわけじゃないけど、真剣に考えるとなると別の話になってくる。失礼かもしれないけど、とりあえず付き合う。それで馬が合えばそのまま付き合う。合わなかったら別れる。こういう考えもありだけど……ありなんだけど、それはさすがに失礼だ。これじゃウチのバカ教師達と何も変わらない


「考えてみれば水沢先生とキスまでしたんだよな……僕」


 1人自室で水沢先生とキスした事を思い出す。朝からこんな事を考えてるだなんて僕は女性に飢えた男か……だけど、今の僕はそいつ等と何も変わらない気がする


「考えても仕方ない。学校に行こう」


 1人で考えても何も答えが出ない。学校に行って水沢先生と会えば答えが出るかもしれないし、僕が水沢先生をどう思っているかがハッキリするかもしれない


「本当に面倒だよ……水沢先生も教育実習生もね」


 学校に行く道中で教育実習生と──────いや、水沢葵衣と関わってしまった事を後悔している。こんな事なら真理姉さんに反対されても両親の元へ行くべきだった。


「何が面倒なの?」


 僕の顔を覗き込むようにして水沢先生が声を掛けてきた。最初の面倒だという部分しか聞かれてなくてよかった……全部聞かれてたらここで一悶着あったかもしれない


「別に何でもありませんよ」


 水沢先生に聞かれて拗ねられても困る。真理姉さん含めて拗ねた女性というのはめんどくさい。水沢先生も例外じゃない。


「そう?でも、すごい悩んでたみたいだけど?何か悩み事でもあるの?」


 ドジのクセに他人の悩みには敏感なんだなと思うし、相談できたら楽だろうけど……あなたの事で悩んでましただなんて口が裂けても言えない。この人には研究授業に向けての授業練習と打ち合わせに向けて真理姉さんと話し合う事に集中してほしい


「別に、悩みなんてありませんよ。ただ、今日は寝不足だっていうだけで」


 僕は水沢先生にこれ以上詮索されない為に嘘を吐いた。自分の事は自分で解決しようとは思ってないけど、研究授業が近い水沢先生にこれ以上負担を強いるわけにもいかない


「そう……あ、光晃君にお願いがあるんだけど」


 僕にお願い?なんだろう?ここに来てサポートしろっていう当初の罰を盾に何かをさせる気かな?


「何ですか?抱き寄せて慰めろ以外なら聞きますよ?」


 前もって言っとかないと水沢先生は学校でもスキンシップを要求してくる可能性がある。特定の生徒と過剰なスキンシップを実習生が取ってるバレたら大変な事になる


「ち、違うよ!ただ、私の研究授業の予行練習に付き合ってほしいの!」


 何だ、そんな事か。研究授業の予行練習くらいいくらでも付き合うのに────というか、真理姉さんに言いつけられてる以上は僕に拒否権はないので従うしかない


「それくらいなら付き合いますけど、僕に頼む前に最初に真理姉さ───小谷先生の許可は取ってますか?」

「うん、小谷先生には許可をもらってるよ。むしろ小谷先生から言い出した事でもあるから」


 真理姉さん……なに考えてるんだ?まあ、僕が教育実習初日に言われたのは水沢先生のサポートだし、今までサポートはしてきたつもりだけど、僕がした事と言えば指導案を一緒に作ったくらいでそれ以外は何かをした覚えはない


「僕が実習初日に水沢先生のサポートを罰として言い渡されたので構いませんけど……」

「そう!じゃあ、放課後よろしくね!」


 水沢先生は一言言って走って行ってしまった。あの人は自分がドジだって自覚あるのかな?そんなに走ると─────


「ふぎゃっ!」


 転ぶ。しかも、踵が高い靴を履いて走るとそうなる。そうなって当たり前だと男子である僕でもわかる。


「はぁ……」


 溜息すら出ない。幸いなのが、この場面を僕しか見ていない。地面が乾いている。ここはコンクリートでしっかり舗装されていて泥だらけになる事もない


「い、いたた……」


 バッグの中の荷物が散乱する事もないので物を拾う手間も省けてよかった。それはさておき、水沢先生を起こしますか


「大丈夫ですか?」


 実習初日にもこんな事があったような……教育実習生と教師は大嫌いだけど、水沢先生からは何て言うんだろう?なんかこう保護欲みたいなのが掻き立てられる


「こう……せい……くん……?」


 若干涙目になっている水沢先生。あれ?可愛く感じる?初日には何とも思ってなかったのに


「怪我はありませんか?」

「うん、何ともないよ。スーツも破けてないし」


 スーツに付いた砂を軽く掃って立ち上がる水沢先生。僕が手を貸す前に自分で立ち上がったところを見ると本当に怪我をした様子はないみたいだ


「ならよかったです」

「心配してくれてありがとう!」

「いえいえ、それでは僕は先に行きますね」


 別に疚しい事をしているわけじゃないからこのまま水沢先生と一緒に登校してもいいけど、何となく他の生徒に水沢先生と一緒にいるところを見られたらマズイんじゃないか?と思った。


「え~!一緒に行こうよ~」


 さっき僕の前を走り去ろうとしたのはどこの誰だよ……そもそもが、走り去ろうとした意味は?


「水沢先生、さっき走り去ろうとしましたよね?」

「だって、恋愛小説だとこういうところを見て主人公がヒロインを意識するでしょ?恋愛小説みたいに光晃君も私を意識してくれないかな?って思ってやってみたんだけど……」


 いくらなんでも恋愛小説の読み過ぎだと思う。だけど、少なからず水沢先生を意識してしまった。主に怪我してないか?とかそっちの意味で


「そんな事しなくても僕は水沢先生を意識してますよ」

「え?」


 ん?僕は今、なんて言った?水沢先生を意識してる?僕は水沢先生を意識している?まぁ、付き合ったら幸せだろうなとは思ってるし、本人にもそう言ったし。まぁ、僕が水沢先生を異性として好きだとしてもそれを伝えるのは実習最終日だけど


「あ、い、今のは忘れてください!」


 今のは失言だった。水沢先生の事を意識していると今日のタイミングで言うつもりはなかったのに……でも、これである程度の答えはでたからいいか


「忘れないよ……絶対にね」

「そ、そうですか……」


 僕の失言を忘れないって事はそれをネタにして僕を強請るつもりだな!?この悪魔!とまぁ、ラノベの鈍感系主人公の真似をしてみたけど、水沢先生はそんな事をしないだろうし、そもそも水沢先生にそんな度胸ないか


「うん……好きな人に言われた事だもん、忘れないよ」

「そうですか」

「うん」


 恋人が永遠の愛を誓い合うみたいな雰囲気だけど、ここは路上であり、誰が見てるかわからない。あまり過激な事をするわけにはいかない


「先生、ここは路上なのであまり過激な事はできません」

「うん」

「僕がどんな答えを出すかは今、決めました。ですが、それを伝えるのは実習最終日です」

「うん」


 誰にも相談せずに水沢先生をどう思っているかをハッキリさせてしまったけど、それを伝えるのは実習最終日で今じゃない。本当は実習が終わってからの方が学校側にバレても文句言われない。実習生とはいえ学校では教師だ。それは実習期間の間のみ。実習が終わったら水沢先生はただの女子大生、僕はただの男子高校生で教師と生徒ではない


「最終日にちゃんと伝えますので、あと5日間頑張りましょうね」

「うん!」


 恋愛関係の話になると急に元気になるなこの人。女性ってみんな恋バナが好きなのかな?僕の周りの女性だと理沙に真理姉さんに水沢先生くらいしかいない。


「いつまでもここで立ち止まっていても仕方ないので行きましょうか?」


 2人揃って立ち止まったままだと2人揃って遅刻してしまう。僕が遅刻するのは構わないけど、水沢先生が遅刻すると指導力皆無の連中に何を言われるかわからないし、水沢先生は実習期間中は教師の奴隷とまでは言わないけど、奴隷みたいなものだ


「そうだね」


 僕達は会話もなく学校までの道を歩いた。特にトラブルがあったとかじゃないし、話題がないわけじゃない。だけど、互いにと言うよりは水沢先生がだけど、意識しすぎて何を話していいかわからない。そんな感じかな


「じゃあ、僕はこっちなので」

「うん」


 僕と水沢先生は玄関で別れる。僕は生徒用の玄関へ、水沢先生は職員用の玄関へ行く。校門の近くとか、校門を潜った時に他の生徒もチラホラいたけど、どうして僕と水沢先生が2人で歩いていたところを誰も突っ込まなかったんだろう?


「この学校は教師も普通じゃないけど、生徒も普通じゃないのかな?」


 教師と実習生が普通じゃないのは僕の経験則でわかりきっている。だけど、生徒が普通じゃないのはごく一部のそう、秀義や理沙みたいな奴だけだと思っていたけど、その認識は改める事にしよう


「失礼な!私は普通だよ!」


 下駄箱で靴を履き替えていると後ろから理沙に突っ込まれた。僕の独り言に突っ込まないでほしいけど、こんな生徒が大勢集まる場所で独り言なんて言ってたら誰が聞いてるかわからないし、誰かに突っ込まれても文句は言えないんだよなぁ……


「いや、教育実習生との恋愛を推奨する時点で普通じゃないから。僕の独断と偏見だけど」

「岩崎は水沢先生を先生としてじゃなくて1人の女性水沢葵衣として見てもいいんじゃないの?」

「気が向いたらね」


 既に答えが出ている状態で今更女性として見ろだなんて言われたくない。実習中と学校ではあくまでも教師としてしか見れない。生徒と教師の恋愛を否定するわけじゃないけど、リスクが高い。学校側にバレたら現職の教師だったら転勤とかある事もあるし、教育実習生だと何回も言うけど実習打ち切りという可能性もある。水沢先生の恋って結構リスク高いという事だ

今回から葵衣の実習9日目です

登校している時に葵衣と遭遇した光晃ですが、結局は誰に相談する事なく自分で結論を出しました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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