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僕は変わり始めていると思う

今回は学校でのやり取りと帰宅です

好意を寄せられた光晃はどんな返事をするのか

では、どうぞ

「僕は君に好意を寄せられても迷惑だ」

「岩崎……」


 悲しそうな目で僕を見つめる理沙。だけど、好意を寄せられて迷惑なのも事実。人の気持ちを考えろっていうバカがいたら僕のところへ来い。見えないものを考えろっていうのがいかに難しいか教えてあげるから。ま、そんなバカがいたら是非とも見てみたいところだけどね


「岩崎はどうしてそんなに冷たいの?」

「僕が冷たくて何が悪い?僕は誰からの好意も必要としていない。それに、僕は絡んでくる害虫を駆除しただけでこの学校の生徒や教師を助けた覚えはない」


 数学教師もそうだけど、今回の体育教師も無駄に絡んできたし、指導と称して生徒でストレス解消をしようとした。そのターゲットが僕だったから排除した。ただそれだけの話で真理姉さんや水沢先生、秀義や理沙を助けた覚えはない


「光晃、少しは周囲に優しくしてもいいんじゃないのか?」


 理沙の様子を見かねた秀義が助け舟を出す為に僕に意見してきたけど、秀義が1番よくわかっていると思うんだけど?


「周囲に優しくしても僕に何の得もないだろ?それに、優しくされただけで他人に好意を寄せる。それもいいかもしれないけど、多くの場合はその好意は勘違いや吊り橋効果によるものだ。そんな一時的なものに振り回されるよりも相手をよく判別して好意を寄せた方がいいと思うけど」


 優しくされて好きになる事や吊り橋効果から生まれる好意が悪いと言っているわけじゃない。だけど、それは一時的なものになる事が多くなりつつあるのも事実。あくまでも僕の持論だけど


「光晃……お前、人の好意を信じてないのか?」

「岩崎……」


 秀義と理沙が僕を憐れむような目で見てくるけど、人の好意を信じてないのか?と言われれば、答えは半分信じて半分信じてないと言ったところだろう。好意的に接する人間が全員がいい人とは限らない。仮に全員がいい人だとしたら結婚詐欺なんて存在しないし、振り込め詐欺を考える人間なんていない。


「2人ともさぁ、僕がこういう人間だって忘れてない?僕はこの教室にいる生徒を助けたわけでもないし、この学校の教師を助けた覚えもない。自分に群がってくる害虫を排除しただけだよ」

「「はぁ~」」


 理沙と秀義が2人揃って溜息を吐いた。僕がどういう人間かわかっていれば自ずとこんな事をした理由の答えが見えてくる。僕が害虫を駆除してそれで他の生徒が助かったと言うならそれはそれでいいと思うけど


「どうしたの?2人とも溜息なんて吐いちゃって。僕がしている事で他の生徒が助かったと言うのはあくまでも結果そうなったってだけで、僕はそもそも自分の為にしただけだよ」


 自分の為にした事によって助かってお礼を言われても僕は困る。感謝なら勝手にしてくれ。僕にお礼を言う必要はない


「光晃はそういう奴だったな。忘れてたわ」


 秀義、勝手に納得しないでほしいんだけど?嫌で嫌で仕方ないけど、秀義は幼馴染だから僕の事なら大体の事がわかってしまう。癪に障るけど仕方のない事だと思って諦める


「?どういう事?」


 一方の理沙は何が何だかわかってない様子だ。まぁわからなくても無理はない。理沙には秀義から説明してもらおう。僕は自分の事を語るのは得意じゃない


「理沙、光晃のする事は全部自分の為に害となる人間を排除する。光晃が排除した人間は決まって周囲の人間からの評判はよくない。そういう評判の悪い人間に限って光晃に絡む。それを光晃が排除する。だけど、光晃は誰かの為にとかじゃなく、自分の為にそういう人間を排除して周囲に感謝されて好意を寄せられても狙ってやってるわけじゃない。光晃はいい意味で自己中な奴って事だ」


 秀義のわかりづらい説明で理沙が納得できるかはわからないけど、これで納得してもらえると非常にありがたい。じゃないと今度は僕が説明する事になり面倒だ


「つまり、岩崎が周囲の人間を助ける為にやってるんじゃなくて、私達が嫌だな、何とかならないかな?って思う人間と岩崎に絡んでいてうっとおしいなって思う人が偶然同じで排除しただけって事?」


 秀義のわかりづらい説明でここまで理解してくれるとは……理沙って頭いいのかな?それとも、秀義と似たり寄ったりのタイプだから波長が合うのかな?


「そういう事」


 ドヤ顔の秀義だけど、何でだろう?すごくムカつく。僕の事を全部わかっているとでも言いたげだけど、誰かの事を全て理解できる人間などこの世にいない。理解できるはずもない。人は隠し事をする生き物だからね。


「秀義、ドヤ顔しているところ悪いけど、秀義だって僕の事を全部理解しているとは言い難い。僕だって人間だから隠し事ぐらいする」

「そ、そうだな……」


 何で涙目?まぁ、そんな事はどうでもいいとして、あの体育教師はどうなる事やら……まぁ、減給されても僕のせいじゃない。あの体育教師の日頃の行いが悪いのがいけないんだ


「前から思っていたけど、岩崎ってかなり辛辣だよね……」

「気のせいでしょ?僕が辛辣なんじゃなくて弱点を指摘されて言い訳できない奴等が悪いんだよ」


 弱点を指摘したら無様でもせめて言い訳くらいはしてほしい。数学教師も体育教師も口がダメなら権力か暴力に訴えるだけで口で言い返す事をしなかった。大学で教育学部を卒業した割には語彙力が少な過ぎる


「「そ、そうなの……?」」


 秀義と理沙の引きつった笑顔。それを見て僕は思うところが────全くもってない。いや、この2人のは1度僕を敵にまわしている。秀義は僕が家出した時に、理沙は援助交際を僕が見つけた時だけど覚えてないのかな?


「そうだよ。秀義は家出の時に、理沙は援助交際を僕に発見された時に暴力や権力に訴えようとして僕がやり返したけど、2人ともそうなる前に秀義は回し蹴りで理沙は録音データで再起不能になってた気がするのは気のせいかな?」

「「き、気のせいです」」


 気まずそうに僕から目を反らす秀義と理沙。自分の力を見せつけるってわけじゃないけど、目を反らすって事は図星かな


 教室での騒ぎが収まり、残りの授業が何の問題もなく終了して放課後。僕は部活動をしていないので家にまっすぐ帰る。


「今日の夕飯は何にしようかな?」


 真理姉さんのリクエストが特にないのでメニューに困る。真理姉さんに好き嫌いが少ないのが唯一の救いだけど、リクエストがない、何でもいいが特に困る


「暑いし怠いし、冷やし中華にでもしようかな」


 暑いし怠いから夕飯を作るならあまり火を使いたくない。だけど、火を使わなきゃ料理ができない。いや、できない事もないんだけど、僕の技術では火を全く使わないなんて冷凍食品を使う以外思いつかない。


「そういえば、どうして僕は真理姉さんと一緒に住んでるんだっけ?」


 真理姉さんの前からいなくならないって約束をした事は覚えているけど、どうして真理姉さんと一緒に住むようになったかは覚えていない。水沢先生の好意に対する答えを出してから真理姉さんと一緒に住む事になったきっかけを思い出せばいい


「真理姉さんと一緒に住む事になった経緯は水沢先生に答えを伝えてからにしよう」


 自宅への道中で夕飯のメニューを決め、僕が真理姉さんと一緒に住む事になった経緯を思い出す事を決めた。真理姉さんと一緒に住む事になった経緯は別に思い出さなくてもいいけどね


「さて、材料はあるかな」


 帰宅して最初に冷蔵庫を開けて材料の確認をする。着替えてからでもいいけど、着替えてから確認するより帰宅してすぐ確認した方が着替えてからすぐに買い物に行ける


「ハムときゅうりだけか……」


 ハムときゅうりだけでラーメンの麺がない。具材もハムときゅうりだけじゃ具材が少ないと思う。つまり、今日の夕飯の材料を含めて必要な物を買いに行かなきゃマズイという事だ


「あの数学教師はいないんだし、私服だし、スーパーに行っても大丈夫だろう」


 制服でうろついてたらまたバカ教師に絡まれるけど、私服で出歩いて絡んでくる教師はかなりのバカだと思う


「本当に教師ってのは学習しないなぁ……」


 僕は北南高校の教師2人、教育実習生に岩崎光晃という名前じゃなく、貴様という呼び方をされた。大学では生徒にも人権があるから名前か名字で君かさんを付けて呼べというように習っているはずだと思う。仮にそうじゃなくても貴様呼ばわりしていいと教える大学はないだろうけど、実際は教師と実習生に貴様呼ばわりされた


「教師や実習生が偉いと思い込んでいるバカが多いって事かな?」


 教師や実習生が偉いと思い込んでいる教師や実習生がいる事実がある以上は否定できない


「バカな教師や実習生の事なんて考えても仕方ないし、さっさと買い出しに行くかな」


 今更いなくなった連中の事を考えても仕方ない。思考を夕飯に切り替え、夕飯と必要なものの買い出しに向かう


「これである程度は揃ったかな」


 スーパーを出た僕は必要な食材を持って帰宅いている最中だ。今回はバカな教師に絡まれることなく無事に買い出しができた素晴らしさを噛み締めている。


「さて、作り始めるかな」


 真理姉さんがそろそろ帰宅するので夕飯の準備に取り掛かる。水沢先生が泊まりに来るという連絡は来てないので夕飯は2人分を用意しておけば問題ない。問題ないはずだと思う。さすがに月曜だから酔っぱらって帰ってくる事はないだろうし、泊まりに来る人なんかいないだろうし


「ただいま」


 まだ夕飯ができてないのに真理姉さんが帰ってきた。今日はいつもより帰宅が早いけど、学校で何かあったのかな?


「おかえり、今日は帰りが早いみたいだけど、どうしたの?」

「今日は教師も早く帰る日なんだよ」


 そんな日があるだなんて初めて知った。生徒が早く帰れる日があるのはよくある話だけど、教師が早く帰れるだなんて初耳だよ


「そう。今日の夕飯は冷やし中華だけどそれでいい?」


 別に教師の事情なんて知った事ではないけど、夕飯のメニューの確認は重要だ。夕飯を作るのは僕だ。出来上がって嫌だとか言われたらたまったもんじゃない


「うん、いいよ」


 心なしかいつもより元気がいいように見える。ここは少し探りを入れてみるとするかな


「真理姉さん今日学校でいい事あった?」

「あ、わかる?」


 この様子だと結婚でも決まったのかな?そうだったら僕としても助かるんだけどなぁ……真理姉さんを相手の男に押し付けて僕は海外にいる両親のところに行けるし


「何となくいつもと違うからそうじゃないか?って思っただけだよ」

「そう……光晃は私の事をよく見ているんだね」


 別に真理姉さんの事をよく見ているんじゃなくて真理姉さんが読みやすいだけだよ。なんて事は口に出さない


「まぁね。たった1人の従姉だし」


 真理姉さんはたった1人の従姉だったっていう事を忘れていた。間抜けだと思うかもしれないけど、代わりの人間なんていくらでもいると思っていた僕は忘れていても仕方ないと思う。


「光晃……」


 真理姉さんは僕の言葉が余程嬉しかったのか、瞳に涙を溜めて見つめてくる。僕にたった1人の従姉か……そう考えると真理姉さんと一緒に寝てあげるっていうのも悪くないと思う僕。ひょっとして僕は変わり始めているとでもいうのか?

今回は学校でのやり取りと帰宅でした

光晃は葵衣の実習までに答えを出せるのか

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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