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僕は実習生を助ける

今回は授業に行くところからのスタートです

授業に遅れた光晃と葵衣。よりにもよって真理の授業か・・・・

光晃はどんな方法で切り抜けるのでしょうか?

では、どうぞ

「水沢先生はここにいていいんですか?」


 話し込んでしまったけど、水沢先生はここへいていいわけがない。仮にも教育実習生だし、授業見学しなきゃいけないんじゃないの?


「あッ!いけない!次の授業行かなきゃ!」


 生徒である僕は授業に出なくてもいい─────わけじゃないけど、水沢先生の場合はもっとマズイ。実習生が生徒と授業をサボってましたとかシャレにならない。現場の教師じゃないだけ幾分かはマシだけど


「早くしないと遅れますよ?」


 僕はサボるつもりでいるからここにいても何の問題もないけど、水沢先生は違う。評価に関わる。


「こ、光晃君!どどどどどうしよ~!?あと5分で授業開始だよぉ~」


 僕は今までいろんな実習生を見てきた。みんなウザかったけど、水沢先生は違う。ウザいんじゃない。世話が焼ける。


「次の授業はどこのクラスで担当は誰ですか?」


 仕方ない、今回は話し込んだ僕にも責任はある。だから今回だけは助けてあげようかな


「光晃君のクラスの社会科・公民……」


 涙目で答える水沢先生。これじゃどちらが年上かわかったもんじゃない。それにしても、ウチのクラスは2時間続けて社会科・公民か……担当は真理姉さんだし……


「今回は僕も一緒に教室に戻りますよ」

「え?」


 水沢先生は目を丸くしているけど、僕が1番驚いている。教育実習生を助けようとしている事もそうだけど、教育実習生のいる教室に行こうとしているんだから


「水沢先生は僕を教室に戻そうと説得していた事にしてください。そうすれば遅れたお咎めはありませんし、僕がさせませんから」

「で、でも……」

「小谷先生ならわかってくれますから」


 真理姉さんならわかってくれる。これは間違いないけど、今の真理姉さんは一見普通に見えても中身は情緒不安定だ。小声で家出か失踪を臭わす発言をすれば咎める事はしないはず


「う、うん……」


 僕と水沢先生は急いで教室に戻った。授業が開始してからじゃ遅い。ま、走っても間に合うかどうかは五分五分だけどね


「水沢先生、仮にも教師を目指す人間が時間に遅れるとは……」


 慌てて教室に戻ったけど、結果はご覧の通り間に合わなかった。だけど、僕にも非があるし、来る前に僕のせいにしていいって水沢先生には言っておいた


「す、すみません!岩崎君の説得に手間取っていて遅れました……」


 水沢先生は僕の言った通りに僕を説得していて遅れたと弁明したけど─────


「生徒のせいにするんじゃありません!」


 生徒のせいにするなと逆に怒られてしまった。だけど、今回遅れた責任の一端は僕にある。いつもなら教育実習生なんて助けないけど、今回は特別に助けるかな


「小谷先生、水沢先生の言っている事は本当です。僕を授業に出席させる為に時間ギリギリまで説得されました」

「岩崎、今はそういう事を言っているんじゃない。教師として時間に遅れるのはどうかっていう事を言っているんだ」


 “教師として時間に遅れるのはどうか”ね……よく言うよ。なら真理姉さんは教師として約束事くらい守ったらどうなんだ?あ?今回は僕達に非があるとはいえ、僕の前で時間に遅れる事を咎めるとはいい度胸だな?


「あんまり調子に乗らないでよね?今回は僕達に非があるよ。それは認めるけどさ、約束1つ守れないで他人に時間におくれるのどうのって言わないでくれる?僕は別に真理姉さんなんか必要ないんだよ?代わりなんていくらでもいるんだからさ」


 僕は真理姉さんに近づき耳元で囁く。他の生徒は“何してんだ?アイツ”とか“岩崎君、大胆……”とか言ってるけど、僕のやっている事は結婚詐欺師やDVを行っている人間と何ら変わらない。恐怖で人を支配しているに過ぎない


「ご、ごめんなさい……」


 涙目で謝ってくる真理姉さん。だけど、今の僕は許す許さないを決める気はない。ただ、水沢先生が遅れた件と実習日誌に厄介な事を書かないって約束させられればそれでいい


「別に謝れって言ってないよ。ただ、実習日誌にマイナスの事を書かなければそれでいい。約束できる?」

「う、うん、約束する」

「そう。でも、もし約束を破ったら……アンタは切り捨てる。それだけは覚えておいて」

「うん……」


 一先ずはマイナスになる事を書かないと約束させたし、万事解決かな?切り捨てるは言い過ぎだったかな……だけど、これも水沢先生が無事に教員免許を取得する為だから仕方ないか


「小谷先生、そろそろよろしいですか?」


 真理姉さんから離れ、いつもの調子でもういいかどうかを尋ねる。


「あ、ああ、2人とももういいよ」


 真理姉さんもいつもの調子で答える。生徒の前ではちゃんと教師してるんだ。考えてみれば真理姉さんをちゃんと見たのは久しぶりだなぁ


「水沢先生、行きましょうか?」

「あ、うん」


 だけど、それとこれとは話が別だ。頭ごなしに怒るしか能がない教師に容赦する必要はないし、教師の事を考えるだけ時間の無駄だし


「おっ、終わったか……」


 終業のチャイムが鳴り、授業が終わった。今回は教育実習生がいるというのに珍しく授業に参加するだなんて事をしたけど、できれば2度としたくない。水沢先生の為に今回は仕方なく参加しただけなんだからね


「岩崎、生徒指導室に来るように。水沢先生もですよ?」

「はい、わかりました」

「は、はい!」


 めんどくさいな……わかりましたとは言ったけど、バックれるかな。教師の話なんて無駄なものばかりだし。


「岩崎君、どこ行くの?」


 真理姉さんからの呼び出しをバックれようと教室を出ようとした時、水沢先生に呼び止められた。


「別にどこだっていいでしょ?」

「小谷先生から生徒指導室に来るように言われているでしょ?」

「ええ、言われてますよ?それがどうかしましたか?」


 教師から呼び出されたからって何だって言うんだ?僕にとってはどうでもいい。真理姉さんだって教師は教師だ。従姉と言えど依怙贔屓なんてしない


「い、一応、先生の呼び出しなんだから行こうよ……」


 授業に遅れそうになった時は助けたけど、今はこの人の言う事を聞く理由はない。


「授業前は僕にも責任があったから助けましたけど、今は貴女の言う事を聞く理由はありません。それでは」


 僕は水沢先生の前から立ち去ろうとした。しかし────


「岩崎、君はこれから生徒指導室だよ」


 真理姉さんに捕まってしまった。今日はよく真理姉さんに捕まるなぁ……僕は


「お断りします」

「いいから来い!」


 僕は強引に連行されてしまった。僕は教師のこういうところが嫌いだ。コイツ等は生徒を家来か何かと勘違いしてないか?


「はぁ、で?何の用ですか?」


 強引に連行された生徒指導室では真理姉さんと水沢先生が仁王立ちしていた。てっきり僕は水沢先生と2人で真理姉さんから説教されると思っていたけど、実は僕が真理姉さんと水沢先生から説教されるらしい


「話をする前に水沢先生、入口の鍵を掛けてください」

「はい、わかりました」


 水沢先生は真理姉さんに言われた通りに入口に鍵を掛けた。この2人は僕に何の用だ?


「さて、光晃。私は光晃に言われた通りに教師や実習生が必要以上に絡んで来ないようにした。これで少しは私を信用してくれる?」


 何だ、そんな事か。確かに、真理姉さんが校長に言ったから緊急の職員会議を開いた結果、アンケートが生徒に実施されたわけだけど……


「そうだね、少しは真理姉さんを信用してもいいかな」


 改善されてないとはいえ、校長が動いて僕の元までやって来た事は評価しようかな


「本当!?じゃ、じゃあ……」


 期待した目で僕を見る真理姉さん。だけど、水沢先生のサポートはどうなるのかを聞いていなかった


「いいよ。真理姉さんを切り捨てる事はしない。けど、水沢先生のサポートはどうするの?」

「あ、それは継続するよ?他の実習生はともかく、水沢先生は今までの実習生とは違うし」

「そう。じゃあ、2人の用事はもう済んだし、いいよね?」


 この2人の用事は今後の水沢先生のサポートがどうなるかを話し合う事だろうし、それが済んだらここにいる意味はない


「まだだよ?」


 水沢先生に退出を妨害されてしまった。話しは済んだんだからもういいと思うけど?


「まだ何かあるんですか?」


 本当に勘弁してほしい。教師はみんなすぐ終わると言う割には話が長くて困る。前半は指導しているつもりだろうけど、後半はほとんど愚痴になっているなんて事もある。だけど、僕は教師の愚痴に付き合ってやるほど優しくはない


「光晃、私達を切り捨てるなんてしないよね?」


 何だ、そんな事か……同じ事を何度も言うのは嫌だけど、この人達は何度言おうと学習しない。僕が約束を守ってないと判断した時にすぐ切り捨てようとするのが原因かもしれないけど


「安心してください。僕は約束を守る人は切り捨てませんよ。僕が切り捨てるのは約束を守らない人間か必要以上に絡んでくる教師または教育実習生だけですから」

「「そっか……」」


 2人揃って安心したような顔をしている。この人達は1人の人間に依存しすぎなんじゃないかな?


 こうして僕の1日は過ぎた。同時に水沢先生の実習5日目が過ぎた。さすがに今日は家に帰ろうかな?真理姉さんが頑張ってくれたしね。



今回は授業に遅れるところからのスタートです

光晃と葵衣は授業に遅れて真理に咎められましたが、まさか脅すような形で切り抜けるとは・・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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