表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/214

【過去編87】僕は再び永山家を訪れる

今回は永山家に再び行く話です

永山家に再び行く事になりましたが、永山姉のある症状がさらに悪化しています

では、どうぞ

 永山妹との話し合いは『姉さんに謝れ!』と『自分のした事を棚上げするな』の繰り返しだった。そんなどうでもいい話をするの飽きたから話を少し飛ばすね。その前に、僕と永山妹の話し合いがどうなったかだけ簡単に説明すると、僕と持田さんが永山家に行く事で一応、決着が着いた。どうしてそうなったかって?永山妹が頑なに『姉さんは悪くない!』って言い続けていたんだけど、永山姉に裏切られた持田さんと持田さんの親である華菜さんの2人掛かりで永山妹をねじ伏せたからだ。この話は担任を同席させる事を条件にする事となった。ちなみに僕はこの後、永山妹がどうなったかは知らない。怒られたとは思うけど。長々と永山妹の話をしていてもしょうがないから話を進めよう


 永山妹との決着が着いた日から3日後。僕と持田さんは永山家のリビングにいた


「まさかまたここに来る事になろうとは……」


 僕も持田さんも永山姉妹とは因縁があった。僕限定で説明すると姉の方にはイタズラに『近い!』と絡まれ、妹の方には『姉さんに謝れ!』と絡まれた。姉妹で絡んできた内容が違っても理由なく絡んできた当たり姉妹って似るものだなと感じさせられてしまう


「岩崎君は2回目でも私は初めてだよ」


 隣に座る持田さんは普段の持田さん。意味不明だって?僕が最初永山に絡まれた時、持田さんはなぜかムスッとしていた。でも、この時はムスッとはしていなかった。詰まるところ普段の持田さんだった


「2回目とかそういう問題じゃなくて本来なら生徒が教育実習生の家に来る事自体あり得ないからね?」


 この時はまだ自分の彼女が教育実習生になるとは微塵も思っていなかった僕。当時の僕にそれを伝えたらどんな反応を示すかな?ってのは前に言ったと思うけど、付き合う前に家まで行きましたって言ったらどんな反応を当時の僕はするんだろう?あ、でも、中1の時に二枝の家に泊まった。泊まるだけじゃなく、温泉街に2人で遊びにも行ったっけ……あれ?今の僕としてた事似てない?


「ふぅ~ん、小学校の時の担任を抱きしめたりするのは普通なんだぁ~、へぇ~」


 持田さんの口からまさかの発言が飛び出してきた。小学校の時の担任というワードですぐに二枝の顔が浮かんだ僕。持田さんとは中2からの付き合いだったから当然、知るはずがない。となると僕と同じ小学校出身の奴が喋ったというのは確定だった。問題は誰がってところだ


「どこでそれを?とは聞かないけど、その抱きしめる云々は誰から聞いたのかな?」


 どこでそれを?と聞いたところで無意味な事は解り切っていたので僕はあえて情報の発信源について聞く事にした


「名倉君に岩崎君の弱点はないのか?って聞いたら教えてくれたけど?」


 持田さんがどうして僕の弱点を知りたかったのかは今度会った時に聞くとして、抱きしめる云々を喋ったのはやはり秀義だった。


「アイツは今度お仕置きだね」


 僕は持田さんに余計な事を言ってくれた幼馴染(爆笑)にお仕置きする事を固く決心した


「ほ、程々にね?」


 持田さんじゃなかったら秀義もろともお仕置きしていたところだったけど、持田さんは女子だ。お仕置きは止めておく事にした。別に差別じゃないよ?弱点を聞いた持田さんも持田さんだけど、二枝を抱きしめる事が日常茶飯事のように言った秀義に問題があるってだけで


「それは僕の気が向いたら」


 前にも言ったかとは思うけど、僕は結構気まぐれだ。この時に言った秀義のお仕置きもそうだし葵衣と付き合ってるのもそう。大嫌いな教育実習生だった葵衣と付き合ってるのも時々何でだろう?って思う事があるし、助けられた事が無きにしも非ずだとはいえ声がデカいだけの秀義と一緒にいるのも単純に利用価値があるから。秀義へのお仕置きも僕の気分次第で本当にお仕置きしたかと聞かれれば実際はしてない


「気分次第か……」

「うん。覚えてたらお仕置きだし覚えてなかったらお仕置きはしない。ただ、それだけ」


 秀義へのお仕置きをどうするかって話は永山妹が呼びに来るまで続いた。そして、永山妹と共に中2の時の担任、永山姉の部屋へ向かう事となった僕と持田さん。確かこの日は……


「前回は岩崎1人で入ったから失敗したけど、今回はアタイや持田も一緒に入るから」


 そうだった。永山姉の部屋の前で最初から最後まで一緒にいるって言われたんだった。というのも初めて永山家に行った日は僕1人で行ったから永山姉は狂ってしまった。その反省を活かし、この日は永山妹と持田さんも一緒に入る事にしたんだ。永山姉の部屋に


「どうぞご勝手に。僕は元・担任がどうなろうと別にどうでもいいですから」


 永山妹は不機嫌そうな顔を見せた後、永山姉の部屋のドアを3回程ノックした


『誰……?』


 ノックの後に部屋の中から聞こえた永山姉の声。初めて来た時もそうだったけど、この日も声に覇気はなかった


「アタイ、雅だよ」

『雅……?』

「うん。入っていい?」

『いいよ』


 永山姉から入室の許可が出たところで永山妹がドアを開け、僕と持田さんはそれについていく形で部屋の中へ


「姉さん、着替えてなかったんだね」


 永山姉の服装は完全なる部屋着。上はTシャツ、下はスエットと完全に1人暮らしのOLのそれだった。


「いいでしょ別に。どこかに出かけるでも私に用があるお客さんが来るわけでもないんだから」


 永山姉の予定なんて僕の知ったこっちゃなかった。まぁ、自分に用がある客が来るわけでもないというのは同感だったけど


「出かける予定はともかく、姉さんにお客さんは来てるよ。ね?持田、岩崎」


 永山妹は姉が前回みたいに狂っても平気なように僕や持田さんと一緒に部屋に入った。それは持田さんも一緒だ。で、僕が永山姉と再会したあの日、部屋の主である永山姉は狂った。ここまで言えばわかると思う。永山姉がどうなったのかが


「持田さんと……いわ……さき……くん……?うっ!」


 持田さんの名前を聞いても平気だった永山姉が僕の名前を聞いた途端に口を押え蹲った。


「ね、姉さん!?大丈夫!?」


 口を押え蹲る永山姉に慌てて駆け寄った永山妹。僕の名前を聞いた途端に蹲る。これが何を意味しているのかはアホでも理解出来る。中2の時に僕がした事が原因で転勤先の学校でイジメられ、引きこもってしまった。つまり、僕の名前がトラウマになっているという事に他ならない。おそらくは僕とは全く関係ない岩崎さんの苗字を聞いただけでも同じ状態になるだろうと思う


「うっ……!お、おえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 幸いものを吐き出す事はなかったにしろ僕の名前は永山姉にとって相当なトラウマになっていたようだ


「ね、姉さん!」


 蹲り、吐きそうになっている永山姉の背中を擦る永山妹を見て思った事はただ1つ。初めて僕が永山家に来た時は発狂し、この日は名前を聞いた途端に吐きそうになった。発狂した時点で僕と姉の接触は危険だと気が付かないのか?僕はそう思った


「い、岩崎君……こ、これって……」


 元とはいえ自分の担任が、まして人が蹲り、吐きそうになっている場面を目の当たりにし、どうしていいかわからないといった感じの持田さん。言葉を発せられただけ彼女はまだいい方だったのかもしれない


「僕がした事が相当のトラウマになってるみたい。前回来た時は名前を聞いても平気だったけど、今回はダメみたいだね」


 人が苦しんでいる様を見て笑うだなんて最低の行為だと思う。永山姉は僕達の担任だった時にそれをした。結果、持田さんが自分の命を絶とうとし、僕が永山姉のした事をバラした。実行したのは秀義達だったけど、指示を出したのは僕だから永山姉が僕の名前を聞いただけで発狂したりするのはある意味当然と言っちゃ当然だった


「ダメみたいって……岩崎君は永山先生がこうなるって最初から知ってたの!?」


 初めて永山家を訪れた時に持田さんはいなかったから知らないのも無理はない。


「こうなるとは思わなかったけど、初めてここに来た時に発狂したからね。だから発狂しないにしても過呼吸になるんじゃないかとは思っていた」

「そ、そんな……」

「まぁ、仕方ないよ。永山先生は覚えているかどうか知らないけど、僕が永山先生の陰口をバラ撒けって指示なんて出さなかったら今頃永山先生はトラウマを抱える事なく教師として生徒達と接していたのかもしれなかったんだし」

「…………………………………そうだね、仕方ないよね」


 僕がバラ撒けって指示を出したのは持田さんのイジメ問題を職員室で笑いながら話す永山の音声とその他。たから持田さんは僕に対して強く何かを言ってくる事はなかった。


「永山先生がこんな状態じゃ話も出来なさそうだから帰ろっか?」


 僕と持田さんが話している間に吐き気は収まった様子の永山姉。吐き気は収まったもののまともに話が出来る状態かと聞かれれば答えは否だ。


「そうだね……帰ろうか……」


 僕と持田さんはその場を永山妹に任せ部屋を出ようとした。


「ま、待って……」


 意外にも部屋を出ようとした僕達を引き留めたのは永山妹ではなく、肩で息をする永山姉だった


「何ですか?前回は僕を見て、今回は僕の名前を聞いただけでパニックになった永山先生」


 永山家を初めて訪れた日は僕の姿を……正確には僕が用件を伝えた瞬間だけど。それはいいとして、初めて永山家を訪れた日は僕の話を聞いただけで発狂し、この日は僕の名前を聞いただけで蹲り、胃液を吐き出しそうになった永山姉がまさか僕達を呼び止めるとは思わなかった


「ぜ、前回も、こ、今回も、す、少し気が動転しただけ……ぱ、パニックにはなってないよ」


 気が動転しただけでパニックになってないというのはちょっと……ね?永山先生?もう少しマシな言い訳をしましょうよ……中学生の僕も語彙力が多い方じゃなかったけどさ


「前回は僕の話を聞いて発狂し、今回は僕の名前を聞いただけで吐きそうになった人が何を言ってるんですか?まぁ、僕はやる事があるんで帰りますが、話がしたいなら持田さんとごゆっくりどうぞ」


 永山家に初めて来た日もそうだったけど、この日も僕は永山姉と話す事なんて何1つなかった。そんな僕が永山家に長居する理由なんてなかった。だけど─────


「待って、岩崎君。君もいて。私は君とも話をしたいと思っていたの」


 永山姉に呼び止められ、帰る事はおろか部屋から出る事が出来なかった。主に、持田さんと永山妹の『帰らないよね?』っていう視線が突き刺さったせいで


「僕と?僕と貴女が何を話すんですか?中2の時、本当はこうしてあげたかった、ああしてあげたかったという話ならしなくて結構。教師は所詮口先だけで実際に行動に起こせる人なんていないんですから」


 永山姉は中2の時、僕と持田さんの担任だったのは何回も話した。その永山姉は僕達が中3の時には転勤し、別の学校へ行った。その後は転勤した先の学校でイジメに遭い、辞めたらしい。そんな永山姉が中3の僕達に何の話があると言うんだろうか?

今回は永山家に再び行く話でした

永山家は2回目の光晃ですが、それよりも酷かったのは永山姉の方でした。前回は光晃が用件を伝えただけで発狂し、今回は光晃の名前を聞いただけで吐き気を催す。永山姉のメンタルが脆いのか、それとも、光晃がそれだけ酷い事をしたのか・・・・


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ