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授業をサボった僕への罰

今回は授業をサボった光晃への罰が言い渡されます。教育実習生と関わりたくない光晃にとっては反省文やトイレ掃除よりもキツイ罰になりそう・・・・

では、どうぞ

 僕と水沢先生のファーストコンタクトが済んだところで僕が生徒指導室にいる事実は変わらない。これで抜け出せるか試してみようとも思わない。だって、目の前のゴリラが怖いし……


「岩崎、私の事をゴリラとか、悪魔だと思わなかった?」

「いえ、そんな事は思ってません」


 ゴリラとは思っているけど、悪魔とは思っていない。ドアをブチ破るなんて言葉を使う女性をゴリラと呼ばずに何と呼ぶ?脳筋?別の呼び方があるなら教えてほしい


「何にしろ岩崎には1時間目の授業をサボった罰が必要だね」

「はあ……僕に何をさせるつもりですか?トイレ掃除ですか?それとも、反省文ですか?」


 授業をサボったのは僕だし、罰を与えられても文句を言えた立場じゃないのは理解している。僕は授業をサボったりするけど、こういう時に抵抗はしない。だって、無駄だし


「いや、そんな甘い罰にするわけないでしょ。君には今日から2週間の間、水沢先生のサポートをしてもらう」


 は?何言ってんの?このゴリラ。僕が?教育実習生たるこの人のサポート?そんなの決まっている────


「お断りします。それなら反省文かトイレ掃除の方がまだマシです」


 当然、断る。目の前にいる水沢先生には悪いが、僕は必要以上に教育実習生と関わるつもりはない


「ほう?どうして?見ての通り水沢先生は見た目もいいし、性格だっていい。それにみんなが憧れる教育実習生だぞ?そんな人のサポートなんて嬉しいでしょ?」

「そりゃ、他の男子生徒なら嬉しいでしょうけど、僕は嬉しいとは思わないんで。用がないなら僕はこれで失礼します」


 教育実習生のサポート?冗談じゃない。そんな事僕は絶対にしない。僕は用件だけ伝えて生徒指導室を出ようとした。だが……


「待て岩崎」


 ゴリラに止められてしまった。このゴリラめ……せっかく授業をサボった事を有耶無耶にできるチャンスだったのに


「何でしょうか?授業をサボった罰ならちゃんと受けますよ?教育実習生のサポート以外でなら。ですけど」

「はぁ、水沢先生のどこがそんなに嫌なの?」

「水沢先生じゃなくて、教育実習生が嫌なんです。勘違いしないでください」


 あくまでも教育実習生が嫌なのであって、水沢先生が嫌なわけじゃない。そこは勘違いしないでほしい


「あのぉ~、ちょっといいですか?」


 おずおずと水沢先生が手を上げた。そういえば、いたんだっけな。この人


「どうされました?水沢先生?」


 目の前のゴリラが水沢先生に反応した。僕は教育実習生には関わりたくないので反応しなかった。


「岩崎君はどうして私のサポートがそんなに嫌なのかなぁ~と思いまして」

「それもそうだ。岩崎、何でそんなに水沢先生のサポートが嫌なんだ?」


 このゴリラ絶対わかってて聞いてきているだろ……別に隠す事でも何でもないからいいけど


「先生、絶対わかってて聞いてるでしょ?まぁ、隠す事でも何でもないんですけど、話す義理もなければ義務もないから話しませんけど」


 2週間しかいない人間に僕の事を話すつもりはない。話して干渉されたくないし


「岩崎、話してやれ」

「僕が嫌がる理由を話す意味がありません」

「そ、そんな事言わずに訳だけでも聞かせてほしいな……」


 はぁ、本当にめんどくさい。これだから嫌なんだよ。教育実習生は……訳だけ話してこの人にも現実を突きつけるか


「はぁ……わかりましたよ。言えばいいんでしょ。言えば」

「そういうなら最初から素直に話したらどうなの?岩崎」


 このゴリラは本当にうるさいな。人の嫌がる事はするなって教わらなかったのか?


「水沢先生にはキツイ話になるかもしれませんが」


 一応、前置きとしてキツイ話になるかもしれないという事は言っておこう。じゃないと後がめんどくさそうだし


「う、うん、きつくてもいいよ。聞かせてくれるなら」


 ほう、きつくてもいいんだな?なら遠慮なくいかせてもらおう。できれば2週間は教育実習生の誰とも関わりたくないし


「僕はなんて言うか、冷めてる性格なんで、昔から教師にしつこく絡まれるんです」

「うん」

「ほう」


 僕の言葉に水沢先生とゴリラが相槌を打つ。僕が教育実習生と関わらない為だ。これくらいは安い犠牲だ


「昔から教師は俺、私がその性格を何とかしてやるって言う人が多かったんですけど、まぁ、みんな1学期が終わる前に諦めて何もしなくなるんです。教師はそれでいいんですけど、教育実習生は違う」

「岩崎、教師と教育実習生の何が違うの?その辺を具体的に話してくれる?」


 どうやらこのゴリラは洗いざらい全てを吐かすつもりか……


「教育実習生は高校限定で言うなら、2週間という少ない時間で現場の教師みたいに僕の性格を何とかしてやる!なんて意気込んで必要以上に絡まれたんですよ。理由はわかりませんけど。絡まれただけなら現場の教師に言えばいいんですけど、自分の教育観や自分の価値観を僕に押し付けられたらたまったものじゃないし、めんどくさいし、はっきり言ってうっとおしい。それに大きなお節介だ。これが僕が水沢先生のサポートを嫌がる理由です」


 教師であるゴリラと教育実習生の水沢先生は黙り込んでしまった。だが、僕の知った事ではない。教師が傷つこうが、教育実習生が傷つこうがどうでもいいし


「そういう訳で僕はこれで失礼します。それから、水沢先生は無事に教育実習を終わらせたかったら必要以上に僕に絡まないでくださいね。うっとおしいだけなんで」


 今度こそ僕は生徒指導室を出た。言う事は言ったし、ゴリラも2度と僕に水沢先生のサポートをしろなんて言わないだろ。それに教育実習生に必要以上に絡まれなくて済むし


「はぁ、教育実習生に関わらないって決めてたはずなんだけどな」


 廊下を歩きながら1人愚痴る。教育実習生に関わらないために1時間目をサボったのにサボった結果、逆に教育実習生に関わってしまった。


「でもまぁ、これで水沢先生のサポートをしろなんて言われなくて済むならそれでいいや」


 教育実習生が来る度に思う。アンタは教師であって教師じゃない。教師見習いもしくは教師の卵だ。そんな奴が僕に絡むなと。自分はそれでいいかもしれないけど、僕は迷惑だ


「はぁ、いくら言っても無駄に熱血な奴は聞く耳持たないから厄介だ」


 誰もいない廊下。おそらくもう2時間目が始まっているんだろう……このまま教室に入るのもいいけど、休みの度にゴリラに絡まれるのは嫌だし、かと言って早退したらなんて言われるかわかったもんじゃない。


「結局はあの小屋に戻る事になるのか」


 教育実習生が来て1日目で教育実習生に関わる事になるとは思わなかった。願わくばもう関わりたくない。


「僕は元々教師も嫌いだし、教育実習生も嫌いだから関わらないに越した事はない」


 僕は1時間目の授業でサボりに使った例の小屋へと戻るために歩き出した。もう、どうにでもなれ。反省文?トイレ掃除?知るかそんなの


「元々は2週間の間だけだし、その間、僕はあの小屋で過ごせばいいだけだ」


 と、思っていたが……ここで予想外の事態が発生した


「岩崎、どこへ行くつもりだ?」


 目の前にゴリラがいた。そういえば、僕がこの人をゴリラと呼ぶ理由をまだ説明してなかった。この人は見た目は美人だし、言葉使いも女性のものなんだけど、僕がサボる度に強引な手段で連れ戻し、力もかなり強い。故にゴリラと心の中で呼んでいる。


「別にどこだっていいでしょ?僕の事よりも水沢先生の事を気にしたらどう?真理(まり)姉さん」


 この人は小谷真理(こたにまり)さん。北南高校の社会科公民の教科担任であり、僕の従姉だ。僕が教育実習生と関わるのを嫌がる理由も知っている秀義以外の身内の1人だ。


「光晃、学校では小谷先生と呼ぶように言ったはずだけど?」

「そっちこそ、学校では岩崎と呼んでください。それより、僕は反省文やトイレ掃除と言った罰は甘んじて受けますが、教育実習生のサポートなんて絶対に嫌ですから。それでは」


 僕は小谷先生の横を通り過ぎようとしたが────それはできなかった


「光晃、そんなに嫌?教育実習生と関わるのは」

「嫌だよ。教師見習いの分際で僕の事を知ったような口を利くし、自分の価値観を押し付けてくるし。まぁ、価値観を押し付けてくるのは教師も同じだけど。わかったらこれ以上僕に干渉しないでください」

「光晃、やっぱり君には水沢先生のサポートをしてもらう」

「小谷先生、人の話を聞いてました?僕は嫌だって言いましたよね?」


 このゴリラ人の話聞いてないな。いや、聞かないと言った方がいいのか?


「うん、嫌だって言ってたね。でも、授業をサボった罰はしっかりと受けないといけない。よって罰は水沢先生のサポートを教育実習の間する事とする。やらなかったら進級に関わるからね」


 進級まで盾にしてくるのか……はぁ、進級を盾にされたらやるしかない。


「はぁ、わかりましたよ。やればいいんでしょ?やれば」

「よろしい!じゃあ、よろしく頼んだよ」


 こうして僕は教育実習生の水沢先生のサポートをする事になってしまった。あ、具体的に何をサポートすればいいか聞いてない


「ま、言われたらサポートしたらいいか」


 自分から進んでサポートしろなんて言われてないし、僕は僕で進んでサポートするなんて言ってないし。水沢先生だってサポートを必要とする場面なんて早々ないだろう。余程のドジじゃない限りは……


「あうっ!」


 僕はさっきドジじゃない限りサポートは必要ない。そう感じたし、そう思っていた。さっきまでは……


「…………はぁ」


 何もないところで盛大に転んでいる水沢先生がいた。この人はドジっ子なのかなぁ……ここで僕にある選択肢は2つ。1つ、このまま無視して教室に戻る。2つ、彼女を起こす。教育実習生と関わりたくない僕はできれば1つ目を選んでこの場から立ち去りたい


「ううっ……いたい……」


 教育実習生に関わりたくない僕は1つ目の選択肢を選ぶ。このまま無視だ。関わらない事に超した事はない


「あー、ストッキング破れたぁ~」


 無視だ無視。ここで情けをかけるとなし崩しに関わる事になる。無視しておけば関わる事はない


「このままじゃ授業の見学も満足にできないよぉ~」


 い、1回だけだ!1回だけ助けてあげよう。本当は教育実習生に関わるのは嫌だけど


「替えのストッキングありますか?」


 僕は水沢先生に歩み寄り、声を掛ける。自分には関係ないと思いつつ僕はこの人が教師になって大丈夫なのか?と心配になる。


「ふぇ?」


 ふぇ?ってリアルで言う人いるんだ……てっきり小説の中だけだと思った。


「いや、ふぇ?じゃなくて、替えのストッキングありますか?って聞いたんですけど」

「岩崎……君?」

「どうも、先ほど振りです。それより、ストッキングの変えありますか?」

「う、うん、職員室の自分のバッグに入ってるけど……」

「じゃあ、早速行きましょうか」


 僕は水沢先生のサポートを絶対にしないと心に決めていたのに何だかんだ言ってしてしまった事を後悔しつつ職員室に向かった





今回は授業をサボった光晃への罰でした。通常だと反省文等が妥当な罰だと思われますが、光晃への罰は関わりたくない教育実習生のサポート。生徒からサポートされる教育実習生もそうはいませんが・・・・

あって学校の中を案内する程度でしょう

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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