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【過去編80】僕は永山妹から呼び出される

今回は永山妹に呼び出される話です

永山妹は呼び出した光晃に何を語る?

では、どうぞ

 真理姉さんの危ない(?)一面を見た次の日。何となくだけど僕は首元に付いた────いや、付けられたキスマークを隠し、学校へと登校した。持田さん?もちろん一緒だよ?それは置いといて、僕にとっての不幸は持田さんと一緒に登校した事じゃない。僕の不幸は教室に入ってからだった


「おはよう!岩崎君!いい朝だね!」


 教室に入るなり教育実習生である永山雅に絡まれた。この時点では僕に対して自分の意見を押し付ける事をしなかったから邪険には扱わなかったけど


「おはようございます。永山先生」

「うん!おはよう!」


 ()()()()と言うとどうしても思い出してしまうのは中2の時の担任だった永山の事だった。永山からしてみれば僕のせいで悲惨な運命を辿る事になってしまったんだから恨まれても文句は言えない。


「むぅ~」


 教育実習生永山にあいさつしただけなのになぜか剥れてしまった持田さん。真理姉さん然り、二枝然り、智花さん然り、当時僕の周りにいた女性陣は謎の剥れ方をしたから困りものだった


「持田さん?」

「岩崎君、永山先生に鼻の下伸ばしてた」


 僕はそんなつもり全くなかったのに持田さんは何をもって鼻の下を伸ばしていたと言ったんだろう?


「そんな事ないよ。大体、永山先生は教育実習生なんだよ?教育実習生と生徒の恋愛なんてナンセンスでしょ」


 当時の僕は教育実習生と生徒の恋愛なんてナンセンスだと言ったけど、今の状況を考えると全く笑えない。僕の彼女である水沢葵衣は教育実習生だった。実習生である葵衣と生徒である僕が付き合っているとか中学の時の僕には口が裂けても言えない


「ふぅ~ん……」

「も、持田さん?何か怒ってる?」

「別に!!」


 そう言って持田さんはドスドスと擬音が聞こえてきてもおかしくない足取りで自分の席へ歩いて行った。そして、持田さんが離れ、取り残された僕はというと……


「岩崎君も大変だね?」

「そうですか?」

「うん。今の事に関しては私が悪い部分もあったけど、さっきの持田さん、アレって絶対に嫉妬してたよ?」


 女性の教育実習生とあいさつをしただけで嫉妬されてたら僕の身が持たない。その事を大声で言いたかったけど、それを言ってしまうと後々面倒な事になりそうな予感がしたから口には出さなかった


「そうですか。僕の恋愛対象に教育実習生と教師は入らないんで嫉妬されても困るだけなんですけどね」


 当たり前だけど、僕の恋愛対象に教育実習生と教師は入らなかった。今は……彼女が元とはいえ教育実習生だから何も言わない。


「そうなの?私、岩崎君の事狙ってたんだけどなぁ~」


 妖艶な笑みを浮かべ、とんでもない事を言う永山雅。そんなのクラスの連中に聞かれたら……


「「「「岩崎ぃ……」」」」

「光晃ぃぃ……」

「岩崎くぅん……」


 男子生徒達と秀義と持田さんから殺意が籠った目で見られてしまう。


「止めてくださいよ、永山先生は僕を殺す気ですか?」

「あははっ☆ごめんね☆」


 僕が男子生徒達と秀義、持田さんから殺意の視線に晒されているというのに全く持って悪びれる様子のなかった永山雅


「悪いと思ってないなら謝らなくていいです。それより、永山先生は教室(こんなところ)にいていいんですか?職員会議とかあるでしょ?」


 僕が教室に入った時間に職員会議があるとは思えなかったけど、それでも何も言わないよりはマシだった


「職員会議なんて岩崎君が来る前に終わったよ?それよりもさ、放課後に少しだけ時間取れないかな?」

「放課後ですか?」

「うん。2人きりで話したい事があるんだ。ダメ……かな……?」


 この時の僕は永山雅からの話が何なのか見当も付かなかった。だからなのかな……?


「いいですよ。放課後ですよね?」

「うん!」

「わかりました。放課後は空けときます」

「うん!放課後になったら迎えに来るね!」


 警戒する事なくOKを出してしまったのは


「わかりました」


 この日、僕は永山雅の本当の目的を知る事になるとは思わなかった。永山雅が中2の時の担任だった永山の妹だと知る事になった日でもある。それはさておき、永山妹と放課後に会う約束をした後の話を少しだけ。あの後、男子生徒達と秀義、持田さんから殺意に満ちた視線に晒されながら朝のHR、授業を受けた。



 話は少し飛ばして帰りのHRが終わった後。


「岩崎君!迎えに来たよ!」


 担任が職員室に戻り、クラスメイト達がダラダラと帰り支度なり部活に行く支度なりしていたところに永山雅その人がやって来た


「迎えに来るのはいいんですけど、もう少し静かにお願いできませんかね?」


 永山雅が大声で僕を呼んだおかげで来る前まではダラダラと支度をしていたクラスメイト達が一斉に僕の方を向いた。幸いな事にヒソヒソ話は聞こえなかったものの、注目の的になってしまったのは事実だった


「ごめんね☆」


 朝の時同様に全く反省の色が見られない謝罪。コイツは本当に反省しているのかと疑いたくなった


「もういいですよ。それより、僕に話があるんですよね?」


 永山雅の形のない謝罪をガン無視し、僕は話を進めようとした。人をおちょくった態度を取る人間に何を言っても無駄だ。


「あ、うん、ここじゃ話しづらいから会議室に行こっか」

「はい」


 僕は永山に連れられ、会議室へと移動した。今思えばよく教師は実習生と生徒が2人きりになるのを認めたなと感心するけど、永山雅が適当に教師を言いくるめればいいだけの話で済んでしまう。それより、話の続きをしよう。会議室に入った僕達は立ってるのも何だからという事で対面で座る事にした


「岩崎君、私の話ってなんだと思う?」


 座って5分と経たないうちに永山雅の方から切り出してきた。教室にいた時とは違い、声もオーラも冷たいものに


「さぁ?永山先生が僕に何を話したいかなんて僕が知るわけないでしょ」


 話ってなんだと思う?だなんんて聞かれても僕達はそんなに深い中じゃなかったから当たり前だけど読めるはずなんてない


「そうだよね。岩崎君にわかるはずないよね?私が何を話したいかだなんて」

「当たり前です。僕達はそんなに深い中じゃないんですから。って言うか、くだらないクイズを出しに僕を引き留めたのなら帰りますけど?」


 この日は特に予定なんてなかったけど、教育実習生のくだらないクイズに付き合ってやるほど暇じゃなかった


「ふぅ~ん、岩崎君ってそんな人なんだ」

「そんな人?」

「うん、人の気持ちを考えられない人」


 中学に上がる前にも教師や教育実習生から否定的な事を言われた事はあった。でも、人の気持ちを考えられない人と言われたのはこの日が初めてだった


「人の気持ちを考えられない人と言われましても、見えないものを憶測で考える事に何の意味があると言うんでしょうか?それに、僕は永山先生のクイズに付き合うつもりはありませんよ」


 教師もだけど、教育実習生というのは僕にとっては面倒または厄介な大人でしかない。そんな大人に時間を割いてるだけ有難いと思ってほしい


「そうだよね。岩崎君はそういう人だもんね……姉さんの言う通りだったよ」


 永山の言う姉さんが誰なのか、この時点ではまだ不明だった。いや、心のどこかでは気付いていたのかもしれない


「姉さん?」

「そうよ!!去年アンタに追い詰められた姉さんよ!!アンタは覚えてないだろうけね!!」


 静かな会議室に永山雅の怒気を孕んだ声が響いた。永山雅の言う姉さんが誰なのかすぐにわかった


「去年……僕が追い詰めた……もしかしてアンタ、永山先生の妹?」


 永山雅が言った去年、僕が追い詰めたというワード。この2つを合わせれば出てくる答えは自ずと決まっていた。そう、永山雅は中2の時に担任だった永山の妹だ


「そうよ!!苗字でわからなかった?わからないよね!!アンタにとって姉さんにした事なんて大した事じゃないでしょうしね!!」


 僕が中2の時に永山にした事。秀義や鶴田君に協力してもらい、永山の職務怠慢をネット、教育委員会、その他メディアにバラ撒いた事だ


「それって僕が永山の職務怠慢をネット、教育委員会、その他メディアにバラ撒いた事を言ってる?」


 僕が永山にした事はこれしかなかった。他に何かをした覚えはない


「そうよ!!アンタのせいで……アンタのせいで姉さんは部屋に引きこもってしまったんだから!!」


 僕にとっては意外な事実……いや、教育委員会はともかく、ネットにバラ撒いた時点でどうなるかって予想は出来たか……。十分にあり得る事実だった


「それで?」


 僕のした事は名誉棄損で訴えられても仕方のない事。実際問題、訴えられても文句は言えない


「それで?アンタねぇ!!謝罪の1つもないの!?アンタのせいで部屋から出てこないんだよ!?」

「謝罪も何も僕が3年に上がる時にアンタの姉は転勤になったって聞いたからね。自分のした事は覚えていてもそれをしてしまった相手が僕の目が届かないところでどうなったかなんて知らない。いきなり謝罪を求められても困るよ」


 僕が中3に上がる頃。正確には中2の終業式の時なんだけど、その時に永山は転勤して別の中学校に行くとしか聞いてなかった。転勤先でどうなったかなんて僕が知るわけがない


「それなら聞かせてあげるよ!!転勤した中学校で姉さんがどうなったのかをね!!それを聞いたら少しは反省するでしょうしね!!」


 転勤した永山に何があったのか、どうなったのかは家族である永山雅とその両親しか知らない事だ


「反省するかどうかは話を聞いてから僕が決めます」


 僕は反省しないとは言ってない。ただ、永山が転勤先でどうなったかを聞いてから反省するかどうかを決める。そう言っただけで


「絶対に反省させてやるんだから!!」

「御託はいいから早く話してください」


 永山雅は絶対に反省させると息巻いていた。息巻いてる暇があるならさっさと話せって感じだけどね


「ふんっ!話してやるわ!姉さんは転勤して早々、酷いイジメに遭った!それも!生徒だけじゃなく、教師からもね!!原因は岩崎!アンタがいろんなところに姉さんの悪評を流した事よ!!それでも……それでも姉さんは学校に行った!!でもッ!そうしているうちに姉さんは壊れてしまった!!そして、ついに私が……アタイが教育実習に行く3か月前に学校を辞めた!!それからというもの、姉さんは部屋に引きこもってしまった!岩崎!!アンタのせいでね!!」


 永山が引きこもってしまった原因が僕にあると言った永山雅。確かに、永山が引きこもってしまった原因は僕にもあったのかもしれない。正直、やりすぎたかなって思わなかった事もなかった。だけど、それじゃあ持田さんはどうなる?持田さんだけじゃない、永山のせいで自殺した生徒はどうなる?僕の頭の中でこの2つがグルグルと回り始めた


今回は永山妹に呼び出される話でした

永山妹は光晃を呼び出して恨み言しか言ってないような気がしますが、次回は光晃が反撃するかも


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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