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【過去編79】僕は地雷を踏む

今回は真理との恋バナの続きです

光晃が家出した時に真理が暴走しましたが、この話の真理は暴走するのか?

では、どうぞ

 この日、僕は真理姉さんと恋バナをした事を後悔する事になるとは思わなかった


「私に彼氏?いないよ?」


 教育実習生が実習先の学校に在学している生徒から彼氏の有無を聞かれたらはぐらかすのが当たり前なのかと疑問を持った僕は教師として働いてる真理姉さんにどうしたかを聞いてみた。ここまではいいとして、もう1つ気になったのが当時の真理姉さんに彼氏がいるのかどうかだった。教育実習生と生徒なら答えてくれないだろうけど、従弟だったら答えてくれるだろう。という短絡的な発想から僕は彼氏の有無を聞いてみた。でも、それが間違いだったのかもしれない


「そっか、真理姉さん彼氏いないんだ」

「うん、いないよ」


 と、この会話だけ聞くと普通の従姉弟の会話だ。ちょうどこの時は料理中だったという事も相まってかより一層そう見える。そう、このこれだけ見るとね。問題はこの後


「作ろうとは思わないの?」


 この発言が後悔への第一歩だったのかもしれない


「え?何で?光晃がいるのに?光晃がずっと私の側にいてくれるのにどうして彼氏なんて無駄なもの作らなきゃいけないの?」


 真理姉さんのこの発言を僕はどう取ったらよかったのかな?これは今でも謎だ


「いや、確かに叔父さんと叔母さんが死んだ時にずっと側にいるって約束したけどさ……それと彼氏を作らないのは別なんじゃ……」


 約束を覚えていてくれたのは素直に嬉しかったけど、約束と彼氏を作らないのは別問題。約束は約束。彼氏は彼氏だ


「別じゃないよ。私には光晃さえいればそれでいい。彼氏なんて必要ない」


 従姉であっても年上女性からこう言われると素直に嬉しい。でも、彼氏なんて必要ないとまでいきますか……


「真理姉さんにそう言われるのは素直に嬉しいけど、彼氏の1人くらい作ったら?真理姉さん見た目いいんだし」


 この時はまだ知らなかったけど、高校入学してからは従姉のお姉さんじゃなく、ただのゴリラに成り下がるんだよなぁ……それはそれとして、真理姉さんの見た目は従弟の僕からして見ても贔屓目なしでいい。黙っていれば男の1人や2人すぐにゲット出来そうなくらいには


「え?本当?光晃の目から見て私って可愛い!?」


 振り向かなくても真理姉さんの目が輝いていたであろう事は容易に想像出来た。可愛いだなんて僕は一言も言ってないのに可愛いってワードがすぐに出てくる真理姉さんの思考回路はどうなっているんだろう?まぁ、それはいいや。人の考えなんて全て理解できるわけないし


「あー、うん、可愛いよ」


 可愛いだなんて一言も言ってないでしょって言いたかったのをグッと堪え、僕は適当に返事をした。二枝もそうだけど、僕の周囲にいる年上女性は適当に返事をしても喜ぶ人達だった。例外?そんなのないよ


「そっかぁ~、私って光晃の目から見ると可愛いのかぁ~、え、えへへぇ~」


 可愛いなんて一言も言ってないのにオートで喜んでいる真理姉さんを見て僕は中学生ながらに女性の想像力って凄いと思った。恋は盲目という言葉を時々聞くけど、真理姉さんのは恋じゃないよね……絶対に。妄想に浸る真理姉さんの話はこれくらいにして、少し話を飛ばして夕飯が終わり、食後のひと時を過ごしていた時の話をしよう



 夕飯後、僕と真理姉さんはリビングで2人くつろいでいた。さっき言った問題はこの時に起きた。


「ねぇ、真理姉さん」

「ん~?」


 食後という事で僕はコーラを、真理姉さんは食後のコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。


「もし僕に彼女が出来たらどうする?」


 唐突かもしれない。この時の僕は高校2年になって彼女が出来るとは思ってなかったし、まして告白してきた相手が大嫌いな教育実習生だとも思ってなかった。感覚としてあったのはいつか僕にも好きな人が出来て告白するんだろうなぁ程度だった


「は?光晃、今何て言った?」


 声を掛けた時はだらけ声だったけど、この時の真理姉さんの声は冷たいものだった


「だから、もし僕に彼女が出来たらどうするって言ったんだけど?真理姉さん、耳遠くなった?」


 声が冷たくなった時は何か声が冷たくなったなぁ~としか思ってなかった。でも、今思えば声が冷たくなった時点で地雷を踏んだと気付くべきだったと思う


「耳は遠くなってないよ。それより、さっきのってどういう意味?」


 真理姉さんの言うさっきのとは僕に彼女が出来たらって話だろう。


「どういう意味ってそのままの意味だよ。僕に彼女が出来たらどうする?」


 葵衣と付き合っている今、真理姉さんがどう思っているのかは知らない。僕の知る限りじゃ葵衣と喧嘩をしたって話は聞いた事がないから多分、仲良くはしてると思う


「……………」


 葵衣の事は置いといて、3度目の僕に“彼女が出来たらどうする”という言葉を聞いた真理姉さんは無言で立ち上がり、ツカツカと僕の方へ歩いてきた


「な、何?」


 普段は教師や教育実習生に恐れを抱く事なく文句を言う僕でもこの時の真理姉さんは怖かった。


「……………」


 声を掛けても無言のまま僕を見下ろす真理姉さん


「何?言いたい事があるなら─────」


 言いたい事があるならさっさと言いなよ。と言う前に真理姉さんは僕の胸倉をガっと掴み僕を無理矢理立たせた


「光晃に彼女?私がいるからそんなの必要ないよね?それとも何?光晃、約束したもんね?私の側にずっといるって。あれって嘘だったの?」


 ヤンデレ小説で言うところのハイライトオフとかの描写が可愛く思えるほど真理姉さんの目はドス黒く濁っていた


「いや、嘘じゃないけど、彼女くらいよくない?それに、約束した時に結婚してもって言ったじゃん」


 叔父さんと叔母さんが亡くなった時にした約束は『結婚してもおじいちゃんになっても側にいる』というもの。結婚するにはまず彼女を作らなきゃいけない。だから、幼い頃にした約束に反してはいないと思う


「は?何言ってるの?彼女なんて作ったら私との時間が減るでしょ」


 彼女が出来たら真理姉さんと過ごす時間は減るのは事実だ。当時の僕はそう考えた。実際に彼女が出来ても真理姉さんとの時間は全く持って減っていない。だって彼女である葵衣とは同棲してるもん。ついでに言うと彼女である葵衣の姉の紅葉さんとも


「彼女が出来たら2人きりでデートに行ったり旅行に行ったりして真理姉さんと過ごす時間は確かに減るかもしれないね」


 中学生の僕はよくもまぁ恐れる事なく真理姉さんにこんな事が言えたものだ。今の僕ならとてもじゃないけど言えないのに


「だよね?それなのに光晃は彼女作るの?私の事はどうでもいいの?」

「どうでもいいってわけじゃないけど……」

「けど何?だって光晃は彼女が出来たら私の事なんてどうでもよくなるんでしょ?」


 彼女がいなかった当時の僕からしてみれば真理姉さんの言ってる事は単なる言いがかりだ。彼女が出来たら友達と遊ぶ機会が減ってしまう人も世の中にはいるみたいだけど、彼女がいなかった当時、僕は友達と彼女をなるべくだったら両立させようと考えていた


「そんなの彼女が出来てみないとわからないじゃん」

「そうだね。光晃の言う通り」

「でしょ?だから、もう────────」

「だから、今から光晃が私のものだって事を解らせてあげるよ」


 僕の言葉は上から被せられる形で真理姉さんに遮られた。しかも、言ってる事は僕には全く持って理解不能だった


「は?何言ってるの?」

「何って光晃が誰のものかを解らせてあげるってそう言ってるんだよ」


 真理姉さんは1度僕の胸倉から手を離し、リモコンでテレビを消した。そして、僕は真理姉さんに手を引かれ真理姉さんの部屋へ連れて行かれた


「うわっ!?」


 真理姉さんの部屋へ連れて行かれた僕は部屋へ着くなりベッドに突き飛ばされ、真理姉さんはそれに覆いかぶさってきた。押し倒すとかじゃなくてガチで覆いかぶさってきた。


「さて、光晃。彼女なんて作らないよね?いや、違うか……光晃は将来私と結婚するんだよね?」


 従姉との結婚は法律上は可能だ。でも、祝福されるか否かはその家庭によって異なる。そんな事言ってもこの時の真理姉さんは冷静な判断が出来る状態じゃなかったから言わなかったけど


「結婚するんだよね?と言われても僕はまだ中学生だから結婚なんて考えた事ないよ」


 真理姉さんは大人だから結婚を意識してたのかもしれないけど僕は中学生。高校生に結婚の話をしてもちゃんと考えてない人がいるってのに中学生に結婚の話をしても無駄だと思う


「じゃあ今考えて。私と結婚するの?しないの?」


 中学生の僕に結婚するのかしないのかを考えさせないでほしかった。初恋すら経験がなかった僕は結婚を考えるほど視野が広いわけじゃなかったんだから


「初恋もまだなのに結婚だなんて気が早すぎるでしょ」

「そうかな?何だったら初恋の前にファーストキス体験してみる?」


 誤解のないように言っておくけど、僕のファーストキスは葵衣だよ?真理姉さんじゃないよ?


「しない」


 僕はロマンチストじゃないけど、ファーストキスは好きな人とって決めていた。だから、従姉としてしか見れない真理姉さんとキスする事自体あり得なかった


「ふぅ~ん、でもさ、この体勢で抵抗出来る?」


 さっきも言ったと思うけど、この時の体勢は真理姉さんが僕に覆いかぶさっていた。押し倒したとかじゃない。僕が少しでも身体を起こそうとすると真理姉さんともれなくキスが出来る。それくらい近かった。真理姉さんの夢と希望が僕の胸板に押し付けられてたしね。


「出来ないよ。抵抗する事も真理姉さんとキスする事もね」


 僕は真理姉さんにキスを迫られ抵抗する事も真理姉さんとキスする事も出来なかった。


「私とキス出来ないんだ……でも、抵抗しないとキスするよ?」


 脅しとも取れる発言をする真理姉さん。しかし、僕はそんな脅しに屈したりはしない。というか、キスする以外でも方法なんてたくさんあるし


「別に僕が真理姉さんのものだって証明する方法なんていくらでもあるでしょ」

「どんな?私にはキスする以外の方法が思い浮かばないんだけど?」


 発想が短絡的だったのか、それとも、ただ単に僕とキスがしたかっただけなのか……


「首輪を付けるとかの選択肢はないの?」


 この時は真理姉さんが狂ったと思っていたけど、客観的に見て僕も狂っていたっぽい。じゃなかったら自分に首輪を付けろ。それに近い発言なんてしないもん


「光晃は首輪付けてほしいの?」


 僕は物の例えで言った。だけど、真理姉さんはそれを本気と捉えたようだ。例え話が通じないのは昔から変わらないようだ


「首輪は物の例えだよ。そもそも、家は首輪をするようなペットを飼ってないから首輪なんてないでしょ」


 今もだけど僕の家は首輪をするようなペットを飼ってない。当たり前だけど首輪なんてない


「そうだね。じゃあ、どうする?首輪がダメなら指輪にする?」


 この時の真理姉さんは思考がぶっ飛びすぎだった。しつこいようだけど僕は当時中学生。学校に不要物を持って行っちゃいけないのは当たり前だった。首輪がアウトなのに指輪なんてもっとダメだ。主に秀義や鶴田君、持田さんに見つかった時に何て言われるかわかったものじゃない


「首輪がダメなんだから指輪もダメに決まっているでしょ。それに、首輪は例えで出しただけだよ。真理姉さんは僕に自分のものだという証を付けたいだけでしょ?」

「そうだよ。何?文句あるの?光晃は私のものでしょ?」


 言いたい事はいろいろあった。僕は真理姉さんのものじゃないとか、彼女が出来ても最終的に家に帰ってくるんだからいいでしょとか。それらの言いたい事を全て飲み込み僕は提案した


「証を付けるだけなら首輪とか指輪とかそんな重たいものじゃなくてキスマークでも付ければ?」

「え?」

「どうせ首元なんて服着ちゃえば見えないからキスマークくらいなら付けてもらって構わないよ」

「え?え?い、いいの?」


 僕の提案に目を白黒させている真理姉さんを見ていて面白いと思ったのは内緒だ。そうじゃなくって、僕がどうしてキスマークを付ける許可を出したのか?その理由は単純明快。4日程度で消えるから


「いいよ。見えなきゃ騒がれないし」


 こうして真理姉さん暴走事件は僕にキスマークを付けるという方向で決着が付いた。僕はこの日を境に真理姉さんを暴走させない事を固く決意したのだった。結果的に破ってるからあってないようなものだけど


今回は真理との恋バナの続きでした

本編の真理は多分、大した暴走はしてなかったと思いますが、この話の真理はヤンデレに片足を突っ込んだ感じにしてみました。幸いなのが、監禁しなかったところかな?

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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