【過去編78】僕は真理姉さんに彼氏の有無について聞く
今回は教育実習生の彼氏の有無と真理の彼氏についての話です
教育実習生に彼氏の有無について質問するとなんて返答が返ってくるのかです
では、どうぞ
永山……僕と持田さんにとっては忘れもしない因縁の相手。中3の頃に来た教育実習生永山雅が中2の頃の担任だった永山の妹だという事をこの時の僕はまだ知らなかった事や一悶着あったって話はしたと思う。今からする話は永山雅と一悶着ある前の平和な時間の話。
「永山先生に質問ある人ー?挙手ー?」
永山妹の軽い自己紹介が済み、この日のHRは教育実習生と打ち解け為に質問の時間となった。で、その質問タイムなんだけど……
「はい!」
「はい!」
「はい!」
「はい!」
ものの見事に挙手をしているのは男子だけだった。中学3年生……断言はしないけど、この年頃って年上の異性に魅力を感じるものだ。男子は年上の女性に惹かれるし、女子は年上の男性に惹かれる。みんながみんなそうだとは限らないから断言はしないけど。だから、男子の手が多く挙がるのは仕方ない。僕は……真理姉さんや二枝姉妹がいたし年上に惹かれる事はなかったけどね
「はぁ~、君達ね……」
「あ、あはは……」
ハイテンションで手を挙げる男子生徒の様子を見て担任は溜息を吐いて呆れているし、永山妹は苦笑いを浮かべていた。まぁ、仕方ないよね?中学生男子だもん。教育実習生に興味も関心もなかった僕はというと……
「アホくさ。他はともかく、秀義は畑中がいるじゃん。寝よ」
小学校低学年の子供達よろしく自分をアピールしようとする男子達を横目でチラッと見てから寝る事にした。え?どうして横目でチラ見したかって?アレだよ。野次馬根性だよ
僕の意識は男子生徒達が永山妹へ食いつき、アホくさいと思って突っ伏したところで途切れてしまったから具体的にどんな質問があったのか話せって残念ながら話せない。だから、僕の意識が覚醒したところまで話を飛ばすね?
「─────きくん!」
教育実習生に質問するだけくだらないと思い寝ていた僕を起こす誰かの声がした。この声の主が誰なのかこの時はわからなかった。寝てたし
「────さきくん!」
最初は声を掛けられただけだったけど、2回目からは声と共に身体を揺すられた。自慢じゃないけど僕は今も昔もこの程度じゃ起きない。意識が覚醒してなかったわけじゃない。だた教育実習生へ質問……いや、質疑応答に興味がないだけ。だから寝てなくても僕が顔を上げる事なんてない
「───わさきくん!」
僕を呼ぶ声は徐々に大きくなっていった。当然、身体も荒々しく揺すられた。それでも僕は顔を上げなかった。
「岩崎君!!」
僕を呼ぶ声が大声に変わり、僕は誰かに頭を叩かれた。こうなってくると顔を上げざる得なかった
「誰だよ……?」
寝てはいなかったし頭を叩かれたのは僕の自業自得とはいえ相手の顔を見なきゃ気が済まなかった僕は顔を上げた。するとそこには───────
「私だよ!岩崎君!」
永山妹が立っていた
「永山先生……」
僕の前には永山妹が立っていて周囲を見るとクラスメイト全員が僕の方を見ていた。当然、秀義や鶴田君、持田さんも
「うん!君、岩崎光晃君だよね?」
僕に笑顔を向けてきた永山妹。中2の時の担任も永山、教育実習生の苗字も永山。この時の僕はそれを単なる偶然だとしか思わなかったし、永山なんて苗字の人間はかつての担任以外にもいる。そう思ってた
「そうですけど?それがどうかしましたか?」
教育実習生が自分の入るクラスにいる生徒の名前と顔を覚えるというのは真理姉さんも教育実習生時代にしていたような気がした。だからなのか僕は永山妹が自分の名前を知っていてもそれを疑問に思う事はなかった
「ううん!ただ、岩崎君ってどんな子なのかなって思って声掛けただけ!それより、今はHR中だよ!寝てちゃダメでしょ!」
永山妹の言ってる事は正しかったけど、それ以前に教育実習生が実習校に在学している生徒の頭を叩いていいのか?そう思いながら担任のに視線を向けた。すると何という事だろう?担任はお前が悪いと言わんばかりの顔で頷いていた。つまり、永山妹がした事というのは担任公認だったわけだ
「すみません、昨日あまり寝てなかったんでつい……」
本当は教育実習生の質疑応答に全く興味がないから寝ていたんだけど、本人を目の前にしてそんな事を口にするわけにもいかず咄嗟に嘘を吐いた
「そうなの?」
適当に吐いた僕の嘘を簡単に信じてしまった永山妹
「はい、昨日は思うところがあって寝付けなかったんですよ」
全く疑う気配のなかった永山妹をチョロいと思いつつ本当の事を言う必要がないと判断した僕はそのまま嘘を吐き通す事にした
「そっか。ところで岩崎君は私に何か質問ないかな?」
「質問ですか……」
「うん!何でもいいよ!」
ただでさえ教育実習生に興味のなかった僕が何か質問がないかとフラれ、その上質問内容は何でもいいと言われた。この時の僕の心境は面倒な事になった。これに尽きた
「そうですね……今は思い付きません。ですので僕の代わりに名倉君にフッてあげてください。彼なら面白い質問をしてくれると思いますよ?」
キッパリとアンタに興味なんてないと言ってもよかったんだけど、そんな言い方をしたら角が立つのでやんわりと断りつつ僕は何時ぞやの仕返しと言わんばかりに秀義を指名した。ハードルを上げて
「そっか。今はないか……でも、聞きたい事があったらいつでも声を掛けてね!」
「はい」
永山妹は笑顔で教壇の方へ戻り、秀義を指名した
「うん!じゃあ!さっき岩崎君からご指名があった名倉君!何か質問ないかな?」
「先生って彼氏いますか!?」
秀義の質問は思春期の男子中学生らしいものだった。僕にとってはアホみたいな質問でもクラスメイト達にとってはそうじゃなかったらしく、男女共に輝いた目で永山妹を見つめていた
「彼氏がいるかどうかは秘密だよ!」
永山妹は秀義の際どい質問を難なくはぐらかした。
「え~!秘密かよ~!」
永山妹のハッキリしない答えに若干不満気だった秀義だけど彼氏の有無についてこれ以上質問する事はなかった。もちろん、クラスメイト達も。永山妹が彼氏の有無をはぐらかしたところでチャイムが鳴りHRは終了。その後は普段通り授業を受けて帰った
「今日はドッと疲れた……」
帰宅してすぐに自室に入った僕は疲労が溜まっていたせいか制服を着たままベッドへと倒れこんだ。
「永山か……」
僕はこの日に来た教育実習生である永山雅の事を思い出していた。僕が中2の頃に対決した教師の苗字も永山。中3の時に来た教育実習生も永山。偶然にしては出来過ぎていると感じていた
「まぁ、面倒な事にならなきゃいいけど……」
永山雅を中2の時の担任である永山とは全くの無関係だと心のどこかで僕は期待していた。そんな期待もすぐに打ち砕かれる事になるんだけど
「そんな事よりも真理姉さんに聞く事が出来てしまった」
秀義が余計な事を聞いてくれたおかげで僕は真理姉さんに聞きたい事が出来てしまった。そう思った僕は夕飯の準備を始める為に着替えて部屋を出てキッチンへ。準備と言ってもこの日の献立はハンバーグだったからタネを仕込むだけ。
「さて、仕込みは完了。後は真理姉さんが帰ってくるのを待つだけか」
ハンバーグの仕込み作業が思った以上に早く終わり、僕は再びやる事がなくなった。
「課題でも……って、それは学校で持田さんと一緒に終わらせてきたんだっけ……」
普通の中学生なら宿題でもやるんだけど、僕は持田さんと2人で昼休みに課題を終わらせてしまった。よって家に帰ってきてやる課題などなかった。
「結局ゲームするか寝て過ごすしかないか……」
やる事のなかった僕はゲームをするか寝て過ごすしかなかった。あんまり寝すぎると夜眠れなくなると思い僕は真理姉さんが帰ってくるまでゲームをして過ごす事に。ゲームを始めてから2時間後、真理姉さんが帰宅し、僕はゲームの電源を切り、夕飯の用意を始めた。
「真理姉さんはさ」
「うん」
「教育実習に行った時に彼氏の有無って聞かれた事ってある?」
キッチンで夕飯を作っている時、僕は真理姉さんに聞いてみたかった事を聞いた。本当は夕飯の時に聞いてもよかったんだけどね
「は?え?いきなり何?」
ハンバーグを焼いていたから視線を真理姉さんの方へ向けはしなかった。でも、真理姉さんの行動パターンなんて嫌でも読める。今もそうだけど、仕事から帰るとすぐに自室へ行って着替える。そして、リビングへ降りてきてくつろぐ。というのが真理姉さんの行動パターン。だからこそ唐突な質問が出来るんだけど、さすがに彼氏の有無について聞かれた事があるかって聞いた時は空気が凍ったよ。それでも構わず続けたけど
「いや、今日僕のクラスに教育実習生が来たんだけどさ、その実習生に秀義が彼氏の有無について質問したから真理姉さんも聞かれた事あるかなと思って聞いただけ」
教育実習生に彼氏(彼女)がいようと僕には関係なかったけど、万が一この手の質問をされた時にどうしたかは興味があった
「彼氏の有無……私も教育実習生だった頃に聞かれたよ」
「そう。それで?どう答えたの?」
真理姉さんが実習生だった頃……というよりも真理姉さんと一緒に住み始めてから彼氏がいたという話は1度たりとも聞いた事がなかった。単純に僕が知らなかっただけかもしれないけど
「いるって答えるとどんな人か聞かれるし、いないって答えると男子生徒に変な期待をされそうだったから適当にはぐらかした」
真理姉さんも永山妹と同じで生徒から彼氏の有無を聞かれた時ははぐらかしたみたい。それって教育実習生の間で流行ってたのかな?
「そう。ところで真理姉さんって今彼氏いるの?」
生徒じゃはぐらかされても従弟だったらはぐらかされないと確信していた僕は思い切って真理姉さんに彼氏の有無について聞いてみた。この時は面白半分だったけど、今は従姉と言えど面白半分で彼氏の有無について聞くんじゃなかったと後悔している。
今回は教育実習生のは教育実習生の彼氏の有無と真理の彼氏についての話でした
教育実習生に彼氏の有無について聞くと適当にはぐらかされました。で、真理に彼氏の有無を聞くと光晃が後悔する事になるようです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました




