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【過去編68】僕の計画は学年を巻き込むらしい

今回は光晃と秀義が何やら計画をする話です

光晃の個人的な私怨だけの行動ですが、どんどん話が大きくなっていく気がする

では、どうぞ

 秀義と共同で教師陣と持田さんをイジメてた連中を潰すと決めたその日の事だった。秀義との話し合いを終え、僕達は教室へ戻った。で、その日の朝のHR。


「皆さんに悲しいお知らせがあります。昨日、持田彩菜さんが自殺を図ったようです。幸い命に別状はありませんが、大事をとって入院する事になったそうです」


 担任である永山から持田さんの事がクラス全員に報告された。その知らせを受け、騒然となるクラス。でも、僕は知っている。持田さんと同じ小学校出身の人間によるイジメと教師達の対応が雑だった事で持田さんが自殺を図った事を


「よく言うよ。自分達にも原因があるのに」


 クラスが騒然とする中、僕は小さな声で呟いた。今でも永山の神経は疑う。どの口が言うんだと


「持田さんの事で今日の3時間目に学年集会があります。先生からのお知らせは以上です」


 持田さんの命を軽んじるわけじゃなかったけど、僕は学年集会をする事に意味を見出せなかった



 クラス内を騒然とさせたHRが終わった後、緊張の糸が切れたのかクラス内は一気に騒がしくなった


「ちっ、持田の奴、余計な事してくれたよな」

「ホントそれ!大人しくイジメられてればよかったのに……」


 持田さんをイジメてたであろう2人の男子生徒が悪態を付いていた。お前らがイジメなんてバカな事しなければ持田さんだって自ら命を絶とうだなんて思わなかったはずなのによくそんな事が言えたものだ。この時は中学生だったけど、高校生となった今、この2人はどうしているんだろうか?同じ事を繰り返しているんだろうか?どっちみち僕には関係ないけど。さて、他は……


「はぁ~、持田の奴、耐えられないなら学校くんなって話だよねー」

「ホントホント!この程度の事に耐えられないんじゃ社会に出た時大変だよねー」


 持田さんをイジメてた女子も女子で男子と大差なかった。コイツらが将来親になった時に自分の子供が同じ事になったらこの時みたいな事が言えるのかは見ものだ


「光晃、何か自殺しようとした持田が悪い事になってると感じるのは俺の気のせいか?」

「秀義……気のせいじゃないよ。僕もそう感じていたから」


 イジメられてる方が悪い。それが変だと感じていた僕と秀義


「こりゃ、教師をどうにかする前に生徒の方をどうにかしなきゃいけないみたいだが……どうやら持田が悪いっていうのが変だと感じていたのは俺らだけじゃないみたいだぞ」

「え?」

「周りをよく見てみろ」


 秀義に言われた通り周りをよく見てみた。そしたら──────


「自分達の行いが原因でこうなったってのによくもまぁ、あんな事が言えたもんだ」

「マジでそれ!どんだけ神経図太いんだよ?」


 僕達と同じ小学校出身であろう男子生徒2人が悪態を付いてる連中をゴミを見る目で見ていた。多分、正義感とかじゃなくて人としてどうなの?って思ったんだろう。男子はいいとして、女子は……


「自分達が悪いって気が付かないのかな?」

「仕方ないよ。バカなんだから」


 男子と同じ目で悪態を付いてる連中をゴミを見る目で見ていた。つまり、僕と同じ小学校出身の人は比較的常識があったようだ。


「僕達と同じ小学校出身の人達は比較的常識があるみたいだけど、どうして持田さんのイジメに加担しなかったんだろう?」

「今更かよ……」


 秀義の言う通り今更だった。それを疑問に思うには遅すぎた


「今まで他人になんか興味なかったんだから仕方ないでしょ。それより、理由を知ってるの?」


 他人に興味がなかったせいか僕と同じ小学校出身の人がイジメに加担しなかった理由がわからなかった


「理由はお前だよ。光晃」

「はい?意味が理解できないんだけど?」


 イジメに加担しなかった理由が僕だと言われても意味が全く解らない


「これ宿泊学習前にも説明したよな?覚えてるか?」

「当たり前でしょ。でも、僕が前に聞いたのは僕が怖いからって事だけだよ?僕はこんなにも人畜無害なのに酷くない?」


 宿泊学習前に聞いたのは僕が怖いからって事だけ。僕は人畜無害なのに酷い話だよね?


「光晃が人畜無害かどうかはこの際どうでもいい。でも、お前は小学校の頃何した?」


 僕は人畜無害だ!ってツッコミたい気持ちをグッと堪え、小学校の頃自分がした事を思い出していた


「う~ん、特にこれと言って何かした覚えはないけど?何かしたっけ?」

「したよ。小5の頃に担任の人格を変えただろ?」

「あー、そんな事したねー。で?それが何?僕は二枝を依存させただけだよ?まぁ、予想外の出来事だったけど」


 二枝が狂った事もそうだけど、二枝が僕に依存するとは思わなかった。小5の時のは完全に僕の意図してない事だった。それが何だと言うんだろう?


「それが俺達と同じ小学校出身の連中がイジメに加担しない理由だよ」

「いや、意味が解らないから」


 二枝の事含めて小学校で起きた事は全て僕の意図してない事だ。イジメに加担しないのはいい事だけど、それを理由にされても困る


「だから、光晃が意図してない事だったとしてもお前は小学校の頃みんなが疎ましく思っていた教師を変えてしまった。教師さえ退けるような奴に目を付けられたら逃れられないし、それに、俺達と同じ小学校出身の奴……特に同じクラスだった連中はイジメに加担するよりも教師をどうにかする方が面白いと思ったから持田のイジメに加担しなかったんだよ」

「は?そんな理由?」

「そんな理由だ」


 僕はてっきり『イジメをする奴は許せない!』とか『イジメ絶対反対!』って理由かと思ったけど、どうやら違ったようで、単に弱い生徒をイジメるよりも無能な教師を退治してた方が面白いっていう歪んだ理由でビックリした


「僕は別に正義感強いからそう言う事をしてるんじゃなくて、ただ、しつこく絡んでくる教師を排除してるだけなんだけどなぁ……」


 何かに熱心になるのはいい事だけど、それが1人の児童(生徒)に執着していい理由にはならない。僕はただ絡んできた挙句、意見を押し付けてくる教師を排除しているに過ぎないんだけど……


「光晃がそう思っても周囲はそうは思わないって事だな。んで?これからどうする?同じ小学校出身の連中を俺ら側に抱き込むか?ってか、抱き込んでくれた方が俺としては助かる」

「人手は多いに越した事はないけどさ、みんな協力してくれるかな?」


 僕がやろうとしている事は場合によっては名誉棄損になりかねない事だ。そんな事に手を貸す奴なんて秀義くらいのものだ


「協力してくれるだろ?っていうか、すでに爆発寸前の奴がいるぞ」

「え?誰?」

「誰って聞くまでもないだろ。周り見てみろ」


 秀義に言われた通り周りを見る。いたのは相も変わらず悪態を付き続ける連中とそんな連中に冷たい視線を浴びせ続けている人達。その中にいたよ。爆発寸前の人が


「鶴田君が爆発寸前だね」

「ああ」


 悪態を付き続ける連中に今にも殴りかかりそうな鶴田君とそれを必死に止めようとしている人達。他人に興味のない僕でも理解できた。鶴田君は早めに抱き込んだ方がいいと


「爆発する前に鶴田君を抱き込んだ方がいいね」

「だろ?ちょっと言ってくるわ」

「うん」


 秀義は押さえつけられている鶴田君方へ行き、ヒソヒソと何かを話始めた。そして、秀義と話し終えた鶴田君は大人しくなったけど、秀義は鶴田君と話し終えた後、鶴田君を抑えていた人達と冷たい視線を浴びせてた人達とも何かを話し始めた。終わった後は皆一様に邪悪な笑みを浮かべていた


「終わったぞ光晃。みんないいって言ってくれた」

「同じ小学校出身の人全員に話したんだ……」


 秀義は鶴田君だけじゃなく、このクラスで僕と同じ小学校出身の人全員に僕の計画を話したらしい


「ああ、もちろん。それで、他のクラスにいる俺らと同じ小学校だった奴にも広めといてくれって言っといた」

「あ、ありがとう」


 人手は多いに越した事はなかったけど、学年を巻き込む事になるだなんて思ってなかったよ……同じ小学校出身の人達限定だけど


「どういたしまして。人手は大いに越した事はないだろ?」

「そ、それはそうだけど……普通学年を巻き込む?」


 持田さんは僕達のクラスの人だ。他のクラスの人は関係ない。だというのに学年を巻き込んだ秀義。当時からアホだったんだね


「細かい計画は光晃に任せるが、俺ら2人だけでも鶴田を入れた3人だけでも出来ないだろ」


 細かい計画は任せるって……小学生の頃からやってきた事だから別にそれを苦痛だとは感じないからいいけど、今思い返しても納得がいかない


「そりゃ……そうだ。この計画は僕達だけじゃ成し遂げられないね」

「だろ?だったら学年全体を巻き込んでやろうぜ!」


 今もそうだけど、秀義は短絡的なのか、目的のためなら手段を選ばないのかがよくわからない。でもまぁ、持田さんの事を思うと学年全体を巻き込んでしてもいいような気がした。


「それもいいかもしれないけど、永山にトドメ刺すのは僕がやる。いい?」


 永山にトドメを刺すのは僕がやる。これは僕が持田さんを護り切れなかった事への贖罪だった


「ああ。それはお前に任せる」


 僕と秀義による学年全体を巻き込んでの壮大な計画のスタートだった。



 その日の3時間目。永山が言っていた通り学年集会が行われた。その内容は言うまでもなく持田さんの事についてだったけど、持田さんをイジメていた連中は気怠そうに、持田さんを護っていた人達は信じられないといった表情を浮かべていた。そして、教師陣は悲痛な表情を浮かべていたけど、僕には教師が浮かべていた悲痛な表情は嘘くさかったし、この時に教師陣が何を言っていたかなんて覚えていない


「嘘くさくね?お前もそう思うよな?光晃」


 学年集会の真っ最中。隣にいた秀義が周囲には聞こえないよう、小声で話しかけてきた


「そうだね。正直教師達が浮かべている表情は嘘くさいね」


 さっきも言ったけど、僕はこの時教師が何を話していたかなんて覚えてない。今でさえこうなのに当時の僕が覚えているはずがない


「お前、先生方の話聞いてなかったのかよ……」


 秀義はどうやら教師陣が言ってる事が嘘くさいなって話をしていたつもりだったらしかったけど、それに僕が浮かべている表情が嘘くさいと返してしまったため話が噛み合わなかったらしい。で、僕が教師陣の話を聞いてなかった事を悟った。こんなところでしょ


「聞く価値のない話を聞いてても仕方ないでしょ。それより、これからどう動くか決まったよ」


 退屈な学年集会の最中で僕は永山達教師陣をどうやって潰すかを考えていた。持田さんをイジメていた連中の事は後回しで先に教師の方を優先させる。


「そうか。で?これからどうするんだ?俺や鶴田に出来る事はあるか?」


 学年集会の最中だったから声を大にして喜びはしなかった秀義


「出来る事っていうか、子供のお使いみたいな事を頼んで申し訳ないけど、この計画に協力してくれる人は明日から携帯を持って来てほしい。そして、職員室に入るか前を通りかかる度に音声を録音してほしい」

「わかった。それは鶴田や他の連中にも伝えておくわ。それで?その録音データは光晃に送るか渡せばいいんだな?」

「うん」


 僕達が話している間に学年集会は終わり、その後僕達は他の生徒達と一緒に教室に戻った。学年集会が終わった後は通常の授業を受け、給食と昼休みを挟みまた授業。そして、帰りのHRで僕達は下校する事となった。ちなみに、この日は持田さんの自殺未遂について職員会議があるからという事で部活動に入ってる生徒も帰されたけど、正直なところまともな職員会議なのかは怪しいところだった


「光晃、お前はこの後どうするんだ?」


 下校中、珍しく一緒に帰っていた秀義が帰宅後の予定を聞いてきた。この日は持田さんが自殺未遂をした次の日。僕の予定は決まっていた


「どうするって今日は家の用事で出かけるけど?それがどうかしたの?」

「いや、別に。聞いただけだ」

「そう」


 この日の僕には予定があった。でも、家の用事じゃない。僕は秀義と別れた後で持田さんの家に行くつもりだった


「ああ。まっ、俺もこの後は光晃が立てた計画を同じ小学校出身の連中に話さなきゃいけないから遊ぼうって言われても無理なんだけどな」

「そっか。そっちの方は任せたよ」

「おう!」


 この会話を最後に僕と秀義は別れた。それで1人になった僕は……


「さて、行きますか」


 持田さんの家へと歩き出した


「証拠は多い方がいいからね」


 僕が持田さんの家へ向かった理由……それは教師陣が仕事をしてないという証拠と持田さんがイジメられていたという証拠を探しに行くためだった


「華菜さんが日記を書くタイプの人だったらいいけど……」


 日記というのは本当かどうかは別として、とりあえず証拠になる。まぁ、隠し撮りされた音声だったり動画だったりの方がより信憑性が増すけど、これは場合によっては犯罪だ。秀義を始めとする多くの同級生に隠し撮りさせた僕が言えた立場じゃないけど


「なかったらなかったで次の手を考えるんだけど」


 僕は持田さんと華菜さんが日記を書いていればいいなぁと思いながらも持田さんの家に向かった



「持田家の前まで来たはいいけど、この時間って華菜さんいるのかな?」


 この日は平日の午後。専業主婦だったら家にいる可能性が高いけど、働いていたら家にいない。それに、何回も言うようだけど、この日は持田さんが自殺未遂をした次の日。もしかしたら病院に行ってる可能性もあった。


「こんな事なら持田さんからご両親が何をしている人か聞いておくんだった……」


 この日、僕は初めてもう少し他人に興味を持とう。そう思った




今回は光晃と秀義が何やら計画をする話でした。

光晃がイジメられていた時は光晃が個人で動きましたが、今回はいっその事学年単位でやってみようと思ってこの話にしました。うん、よくあるドラマの展開だ

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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