僕が家出したら真理姉さんと水沢先生が狂った
今回は光晃が家出して真理と葵衣が狂う話です
ヤンデレは避けて通れないのか・・・・
では、どうぞ
昨日家出し、僕はいつもサボりに使っている小屋の地下で一夜を明かした。家出した事を僕は間違ってないと思っている。むしろ嫌いな教師と同じ家で過ごしたり、実習生のサポートをしていた事の方が間違いだと僕は思っている
「昨日は携帯を切ったまま過ごしたからきっと今頃すごい事になっているんだろうな……」
今回の家出は一昨日とは違い、書置きは一切せず、荷物だけを持ってきた。当然、秀義も真理姉さんも水沢先生も僕の居場所を探し当てる事は出来ないし、家出したのか、誘拐されたのかがわからない状態だ
「電源を落としているから電話やメールで連絡を取るのも不可能だけど、念のために確認しておくかな」
さすがに着信履歴がカンストするまで電話は掛けてこないでしょ。誘拐の可能性もあるだろうし
「うげっ……」
電話、メール、留守電がカンスト────999から先を表示されない状態だった。つまり、真理姉さんとおそらくは水沢先生だろうけど、昨日だけで僕に軽く1000回を超える量の電話とメールをし、留守電にメッセージを残したらしい
「アイツ等マジか……」
いくらなんでも引く……一晩姿を消しただけで僕の携帯に1000回を超える電話とメールをしてくるなんて……これじゃ僕は修学旅行に安心して行けないし、同級生の家に泊まりに行く事も1人暮らしをする事もできない。だって、毎日毎日こんな調子じゃおかしくなりそうだ。
「どっちのメールも読むのが怖いけど、どっちから読むかな……」
対面じゃ真理姉さんも水沢先生も取るに足らない存在だけど、メール、電話は別問題だ。ここまできたらもうヤンデレだ
「真理姉さんのメールから読んでみるとしよう」
水沢先生のアドレスや番号はわからない。だけど、真理姉さんの携帯を使ってメールと電話をしてきそうな予感がする。何となくだけどね。
「…………」
僕は真理姉さんからのメール……正確には真理姉さんが作成し、送信されてきたメールを見て言葉を失った
『光晃、今どこにいるの?』
『すぐ帰ってくるよね?』
『私の事嫌いになってないよね?』
最初の方の内容は主にどこにいるか?すぐに帰ってくるのか?嫌いになってないよね?と確認メールだった。しかし、問題は中盤と終盤のメールにあった
『ねぇ?どうして返してくれないの?』
『光晃にとって私は必要ないの?』
『私の何がいけないの?悪いところがあったら直すから帰って来て』
という感じで自分の存在を必要かどうかを確認する内容のものが主だったけど、途中から僕の名前だけが画面一面に打ち込まれたメールしかなかった。これじゃ完全にヤンデレだ
「真理姉さんのメールは途中からヤンデレみたいになってるし……次は留守電か」
メールでさえあんな感じだ。留守電を聞くのが若干怖い。僕は教師や実習生が暴力に訴えようが怖くない。だってそうなったら教師は校長または教頭に言いつければいいし、それか教育委員会。で、実習生は学校に言いつければいい。だけど、今の真理姉さんは違う。なんて言うか、得体の知れない何かを感じる
「…………留守電もか」
留守電もメールと似たような感じだった。どこにいる?とか、いつ帰ってくる?とかで埋め尽くされていた。真理姉さんからの連絡は狂気にも似たものを感じる
「真理姉さんからの連絡は狂気染みたものだったけど、水沢先生のは違うでしょ」
真理姉さんのとは違い、水沢先生の連絡は事務的なものだって信じているけど、根本的なところでは真理姉さんと似た部分があるからなぁ……
「やっぱり……」
水沢先生からのメール……と言っても発信は真理姉さんの携帯からだけど、件名に水沢ですと書いてあったから着信が真理姉さんでも、中身は水沢先生という事はわかる。そして、メールの内容は真理姉さんと大差ない
「問題は留守電かな……」
真理姉さんとは違い水沢先生は狂気染みたメッセージを残しはしないと思う。あくまでも僕の希望的観測でしかないけど
『水沢です。ねぇ、光晃君、今どこにいるの?小谷先生も心配してるし帰って来てよ。私の事嫌いになっちゃったの?ねぇ?どうしてメール返してくれないの?ねぇ?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして』
僕は留守電を聞くのを止めた。後半はずっと“どうして”しか言ってなかった。真理姉さんといい、水沢先生といい……あれじゃヤンデレみたいじゃなくて完全にヤンデレだよ
「学校に行くのが怖いし、見つかったら何をされるか……」
今の真理姉さんと水沢先生は僕にとって危険だ。少なくとも見つかったら僕の自由は確実に奪われる。じゃあ、見つかったらどうする?大人しく従うか?それはしたくない。考えろ!考えるんだ岩崎光晃!!
「真理姉さんと水沢先生は使えない!だからと言って学校で僕が親しくしている人間なんて秀義ぐらいだし……」
真理姉さんと水沢先生に見つかるのを覚悟で秀義に連絡してみよう。どうせ秀義との電話がバレても彼等に僕の今いる場所を見つけるのは不可能だろう
「どうせ真理姉さんと水沢先生が聞いてるだろうけど、ここは見つけられないでしょ」
真理姉さんが把握しているのはこの小屋が僕のサボりスポットである事だけでそこに地下室がある事はおそらく把握していないと思う
『もしもし!?光晃か!?』
僕が電話を掛けると秀義は1コールもしないうちに出た。えらく慌てているみたいだけど
「もしもし?秀義?」
『光晃!お前今どこだ!?』
声のボリュームを落とせと言いたいところだけど、今はそれどころじゃない
「別に僕がどこにいるか言ってもいいけど、そこに真理姉さんと水沢先生っている?」
僕だってバカじゃない。秀義の近くに人がいるかどうかの確認くらいする。聞かれたら困るし
『あ、ああ、いるけど……』
思った通りだ。だけど、真理姉さんと水沢先生が慌ててない。どうして?水沢先生はともかく、真理姉さんが慌てないなんておかしい
「珍しいね。真理姉さんが取り乱してないなんて」
『取り乱してたさ。だけど、お前が帰って来ないってわかったら真理さんも水沢先生もわかりやすく取り乱すのは止めた。だが、その代わり……』
「その代わり?何?」
『説明するよりも自分で確かめな。今代わるから』
秀義は真理姉さんか水沢先生に代わったみたいだけど、どっちと代わった?真理姉さん?水沢先生?
『もしもし?光晃?』
この声は真理姉さんか……いつもと同じ感じだけど、どこがどう違うんだ?
「そうだけど?」
『あぁ……光晃……よかった。無事で……』
「別に。僕は何ともないよ?」
『じゃあ、どうして?どうして電話に出てくれなかったの?ねぇ?どうして?ねぇ?どうして?』
秀義の言う通りだ。真理姉さんは取り乱してはいなかった。だけど、ゲームに出てくるヤンデレヒロインみたいになってる
「関係ないでしょ?それに、前回家出した時は強引に連れ戻されたけど、今回はそうはいかないよ」
『関係ない?どうして?どうしてそういう事言うの?どうして私から離れていくの?ねぇ!?』
どうして?か……そんなの決まっている。僕が教師や実習生と関わりたくないからだ。昨日の僕はどうかしていた。妥協して教師は真理姉さんだけ、教育実習生は水沢先生だけと関わると言ったけど、それは間違いだったんだ。教師や実習生と関わる事自体間違っていたんだから
「真理姉さんが教師だからだよ。そして、水沢先生が実習生だから」
『昨日は一緒にいてくれるって言ったのに……』
「昨日の僕がどうかしていたんだよ。それに、真理姉さんが幼い頃にした約束を僕に守らせようとするなら先に真理姉さんが僕とした約束を守らないとね」
『あ、ちょっと、光────』
真理姉さんが何かを言い終える前に電話を切る。これで僕が苦しむ事もなくなった。他人を意識するから苦しい。じゃあ、どうするか?答えは簡単だ。意識しないように他人から離れればいい
「教育実習生ごときに苦しめられるとは……」
昨日、水沢先生を不覚にも可愛いと愛おしいと感じてしまった僕はどうかしていた。僕と水沢先生は本来なら絶対に解りあえる関係にはならない。教師・教育実習生が大嫌いな僕と教師になろうとして実習に来ている水沢先生。解りあえるはずがない
「水沢先生の実習が終わったら帰るかな」
何も永遠に家出するわけじゃない。水沢先生の実習期間が終われば家に帰る。それだけの話だ
『光晃くぅ~ん?どこにいるのかなぁ~?』
『光晃ぇ~?早く出てきてよぉ~?おねえちゃんさみしいよぉ~?』
上から水沢先生と真理姉さんの僕を探す声が聞こえる。声を聞いてわかるけど、いつもの2人じゃない。というか、2人とも学校はどうしたの?教師と実習生が揃ってサボっていいの?
「完璧にイカれた人でしょ……あの2人」
僕が精神的な疲労を感じていると上からまた声が聞こえる。今度は誰だ?
『光晃!!早く出てこい!!真理さんも水沢先生も暴走してるぞ!!』
秀義の声だ。暴走してるってどういう事だよ?だけど、絶対に見つかるわけにはいかない。理由はわからないけど、僕はそう思った。
「大丈夫、扉には鍵を掛けた。見つかったとしても扉さえ開けなければいいんだから」
扉さえ開けなければ大丈夫。僕はそう思っていた。しかし─────
「光晃♪みぃつけた♪」
扉が破壊された音と共に真理姉さんが現れた。だけど、様子がおかしいなんてものじゃない。その目に宿っているのは狂気そのものだ
「真理姉さん……」
僕はただ名前を呼ぶ事しかできない。いや違うか、身体が思うように動かない。
「小谷先生♪光晃君いましたか?」
同じく様子がおかしい水沢先生。この人もこの人で真理姉さんと同じ狂気を目に宿している。1つだけ言えるのは僕はここにいたらマズイという事だ。
「水沢先生まで……」
教師と実習生が1人の生徒が原因で暴走するなんておかしい。どうなっているんだ?
「あ♪光晃君♪」
声は普段通り────いや、普段よりもテンションが高めだけど、表情はヤンデレのそれだ。ここで取り乱したらマズイ
「どうも、水沢先生……」
平常心平常心、取り乱すな。取り乱したら終わりだ。何とかこの場を切り抜けて……
「光晃!!大人しく帰れ!!今の真理さんと水沢先生はヤベェぞ!!」
汗だくだが、そんなに疲れた様子のない秀義が入ってきた。ヤベェぞってそんなの見れば解る。この2人がいつもと違うことくらい
「秀義、真理姉さんと水沢先生がいつもと違う事くらい見れば解るよ」
「そうじゃない!!本当にヤバいんだ!!」
何がヤバいんだ?僕がその言葉を口にする事はなかった。なぜなら、それを言う前に僕は気絶してしまった。いや、気絶させられた。そう、真理姉さんと水沢先生の手によって。
今回は光晃が家出して真理と葵衣が狂う話でした
いろいろとやり過ぎたかなとは思いますが・・・・
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました




