表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/214

【過去編60】宿泊学習当日、僕は疲れる

今回は宿泊学習当日の話です

すみません、さっき間違えて投稿してしまいました

では、どうぞ

 持田さんの家に行った次の日。宿泊学習当日。今思えばこの宿泊学習を機に僕の教師・教育実習生嫌いに拍車がかかったと思う


「光晃、宿泊学習中はくれぐれもトラブルに巻き込まれないでね。特に先生には気を付けるんだよ?」

「わかってるよ」


 宿泊学習当日の朝。僕は真理姉さんからちょっと不思議では済まない注意を受けていた。特に教師には気を付けろという部分が。そんなしょうもない話を朝食を摂りながらしていた


「本当にわかってる?なんて聞いても無駄か。光晃が気を付けていても先生達が自重するとは限らないだろうし」


 当時の真理姉さんは高校の新米教師だったけどさ、中学校教師とはいえ新米教師に心配されている時点でダメだと思うのは僕だけだろうか?


「僕の学年の教師達はみんな自重しないからね。宿泊学習で何しでかすやら……」


 生徒の中には多少ヤンチャな奴もいたけど、それでも自重できた方だとは思う。でも、そんなヤンチャ連中よりも自重できない教師って……


「私から話振っといてなんだけど、時間大丈夫?」


 真理姉さんに言われ時計を見たら6時50分。いつもなら余裕で間に合う時間だったけど、この日は宿泊学習だったから6時50分は十分にマズイ時間だった


「やばっ!」


 僕は残っていた朝食を一気に掻き込み手早く準備を済ませ真理姉さんに『行ってきます』を言って学校へ向かった。関わる人間が秀義だけなら別に宿泊学習なんて行かなくてもいいと思ってたけど持田さんがいるのでそうもいかなかった。




「ま、間に合った……」


 僕が学校に着いた時にはまだ生徒の数は多くはなかったけど、教師は全員集合していた。でも、ドラマ厨にナルシスト、九官鳥、香水タンク。それに加えてこの年に赴任してきた僕のクラス担任という面子を見て僕は不安でしかなかった


「よぉ、光晃。何かえらく息が上がってるけど、もしかして走ってきたのか?」


 走って掻いた汗を拭い息を整えているとニヤケ顔の秀義に話掛けられた


「す、秀義……見たら解るでしょ?もしかしなくても走ってきたんだよ」


 小学生の頃イジメられてた時も思ったけど秀義のニヤつき顔というのはどうしてこうも殺意しか沸かないのかな?今は弄られる事もイジメられる事もないからニヤケ顔を見る事なんてほとんどないけど、次にこんな顔をしたらぶん殴ってやろう


「朝からいい運動したな!光晃!」

「黙れ秀義」

「酷いっ!私とは遊びだったのね!」


 唐突にアホな事を言い出した秀義。しかも言ってる事がかなりキモかった


「普段ならキモイで片付けるんだけど今の僕にはそんな余裕ないから」


 この時の僕には秀義にツッコミを入れる余裕なんてなかった。走って疲れたというのもあったけど、持田さんの事もあったから


「…………ごめん」

「解ればいいんだ」


 清々しい朝に何が悲しくて秀義とアホな会話をしなきゃならないのやら……。これじゃ宿泊学習が始まる前に疲れてしまうのではないかと思ったけどよくよく考えたらバスの中で寝ればいいという考えに行きついた


「俺とのくだらない会話はいつでも出来るからいいとしてだ、光晃」


 くだらない会話してた自覚あったんだと言おうと思ったけど秀義の真剣な表情を見て僕はその言葉を飲み込んだ


「何?」

「持田関係でこの宿泊学習は何が起こると思う?」


 普段はアホな話題しか振ってこない秀義が真剣な表情で話を振ってきたと思ったら持田さん関係の話だった事に僕はただ感心するしかなかった


「秀義が真剣な表情をするのもそうだけど、この宿泊学習で何かが起こるって予想してただ何て意外だね」

「まぁな。須山から話を聞いただけだが、1年の頃の持田イジメは酷いの一言に尽きる。過去に似たような事をお前にした俺でさえ引いたくらいだ。それに、先週の筆箱の一件以来持田をイジメていた奴らは何もしてこない。何かしてくるとしたら宿泊学習だろ?」


 この時の秀義は本物だったのだろうか?それは未だに謎だ。でも、秀義の言ってる事にも一理あった。対策はしてたけど


「1年の頃に持田さんが受けたイジメの内容は今はいいとして、そうだね。この宿泊学習で起こりうる事と言えば多分、持田さんの所持品を盗む事くらいじゃいかな?」

「持田の所持品か……可能性が最も高いのは財布だろうなぁ……」


 持田さんの所持品と聞いた秀義は財布が1番可能性がある。そう睨んだようだったけど、それには僕も同意だった。宿泊学習等の学校における旅行的行事で盗難に遭う可能性が高いのは財布だしね


「だろうね。まあ、それはすでに対策済みだけど」

「そうなのか!?その対策ってのを教えてくれ!」


 秀義は目をキラキラさせながら近づいてきた。でも、いくら幼馴染だとはいえそれを教えるわけにはいかなかった。持田さんと共通の秘密を作りたいからという邪な思いからではなく、不特定多数の人間がいるところで話すとどこから漏れるかわからないというリスクがあったからだ


「秀義と2人きりの状態なら教えてもいいんだけど、この場には教師と今は多くないけど他の生徒もいる。悪いけど教えられない。でも、ヒントくらいならあげられるよ」


 不特定多数の人間がいる場で素直に話せはしないもののヒントくらいはあげられるというのは事実。しかも、解る人には解るけど解らない人には絶対に解らないね


「ヒント!ヒントをくれ!」


 ずいッと僕に近づく秀義。そんなに僕がした対策が気になったのかな?


「ヒントはコレクション」

「こ、コレクション?」


 僕の与えたヒントに驚きを隠せない様子の秀義だったけど、多分、理解はしてない。僕も同じ事を言われたら間違いなく理解できない。僕に何かをコレクションする趣味がないから


「うん。もっと言うのなら布教用、観賞用、保存用のCDかな?」

「は?」

「今の僕からはこれしか言えないけど、この宿泊合宿で持田さんの所持品が無くなる事はあったとしても金銭が無くなる事はないから。自分で使わない限りはね」

「そ、そうか……ま、まぁ、光晃が対策してるって言うなら大丈夫だとは思うが……」


 秀義との会話が終わり、周囲を見てみると生徒の人数はそれなりに増えてきていた。秀義は他の生徒とも喋りたいという事で僕の元を離れて行ってしまい、僕は暇な時間を1人で過ごすのかと思っていたけど持田さんに声を掛けられ1人の時間を満喫する事は叶わなくなった。しばらくして点呼を取ってから僕達はバスに乗り込んだ。


「どうしてこうなるの?」


 バスに乗り込んだ僕はすぐに異変に気が付いた。いや、他の人からすれば異変でも何でもないのかもしれないけど


「よ、よろしく、岩崎君」

「おう!よろしくな!光晃!」


 僕の右隣には持田さんが、左隣には秀義がいた。他の人からすると異変でも何でもないと思うじゃん?僕にとっては十分な異変なんだけどね!


「よろしくも何も移動中僕は窓際の席に座ってゆっくり寝るつもりだったんだけど」


 僕の当初の予定としては窓際の席に座り、移動中はゆっくり寝る予定でいた。でも、実際は一番後ろの席の真ん中で右に持田さん、左に秀義と捕獲された宇宙人のような構図が出来上がっていた


「い、岩崎君は私と座るのいや……?」


 上目遣いで僕を見る持田さん。女ってズルい。泣きそうになりながら見つめられたら僕は逆らえない。泣かれたらめんどくさい的な意味で


「別に嫌じゃないよ?ただ僕は移動中ずっと寝てるつもりだったから驚いただけで」


 この時の僕は本当に移動中寝て過ごすつもりだった。宿泊学習そのものに興味なんてなかった。それに、生徒側から見れば制約付きの旅行。例えば、入浴時間がそうだ。普段は入浴時間が学校で決めた時間よりも早い子もいる。逆に言えば遅い子もいる。そんなの関係お構いなしで決められている。それはいいとして、問題は就寝時間だ。家にいる時は寝ているであろう時間にミーティングで集まらなきゃいけないのは早寝の子にとってはただの迷惑でしかない


「本当?」

「本当だよ。だから泣きそうな顔して僕を見ないで」


 自分にとって有害な女の涙なんて別に苦手でもなんでもいないけど、無害な女の涙は苦手な僕にとって持田さんの涙というのはこれ以上にない弱点だった


「ふえっ!?わ、私泣きそうになってた?」

「なってたよ。もしかして気付いてなかった?」

「う、うん……」


 鏡でもない限り自分の顔なんて見れないから持田さんが泣きそうな顔をしていても自分じゃ気が付かない。それはいいんだけど……


「………………」


 ニヤついた顔で秀義が僕と持田さんを見つめていた


「何が言いたいのかな?秀義?」


 ふと厭らしい視線を左側から感じた僕は視線を左に移すとさっきも言った通りニヤついた顔で秀義が僕と持田さんを見ていた。自意識過剰かもしれないけど、視線が『お前ら結婚しろよ』と言ってるように感じたのは僕の気のせいだったんだろうか?


「べっつにぃ~?ただ光晃と持田がいい雰囲気だなぁ~と思って見てただけだ」


 いい雰囲気も何も僕は持田さんと普通に話をしていただけでそれ以上でもそれ以下でもなかったんだけど


「僕は持田さんと世間話をしていただけだよ。それ以上でもそれ以下でもない」


 会話してるだけで結婚できるのなら世の独身を貫いている男女は困っていない


「そうか?お前がそう思ってるだけなんじゃないのか?」

「そうかな。まぁ、どっちでもいいけど」


 どっちでもいい。それに嘘はなかった。中学生の頃は恋愛になんて興味なかったし、僕自身じゃなくても周囲でカップルが誕生しようとどうでもよかった


「光晃がそう思ってても持田はそうじゃなさそうだぞ」

「え?」

「え?じゃなくてと持田を見てみろ」


 秀義に言われた通り右側にいた持田さんを見た。すると……


「ワ、ワタシトイワサキクンガフウフ……」


 小声で何かを妄想している持田さんがいた。


「なんだこれ」


 僕は持田さんに何て声を掛けていいかわからず、また、持田さんも妄想の世界に浸っていたので僕の言葉どころか周囲の言葉も届いていなかった。そんな状態が続く中、バスは最初の目的地に着き、宿泊学習で何が起こるかわからない状態だったから持田さんに付き添っていたんだけどそれを見た秀義を始めとする同じ小学校出身の人達から弄られる羽目になった。なお、それがホテルに着くまで続いた

今回は宿泊学習当日の話でした

すみません、先程のは間違いでした。これが前回の続きになります

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ