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【過去編58】僕は持田家に招待される

今回は光晃が持田家に招待される話です

今までは真理や知佳といった年上の部屋に入ったりスキンシップだったりとしましたが、今回は今作初!同世代女子と2人きりです!

では、どうぞ

 今回は宿泊学習の前日の話をしようと思う。僕が同世代の女の子の家に初めて行った日の事を


「いらっしゃい、岩崎君」

「こんにちわ、持田さん」


 この日は休日。それも宿泊学習の前日だった。どうして僕が持田さんの家にお邪魔しているのかって?それはこの日から数えて2日前に遡る。



 2日前──────


「岩崎君、今週の日曜日暇かな?」


 ふと持田さんにこんな事を聞かれた。ちなみに日曜日とは宿泊学習前日の事だ。


「特にやる事もないから暇っちゃ暇だよ」


 持田さんに暇かどうか聞かれた日はあの日……持田さんの筆箱紛失事件が起きた日の週末。筆箱紛失事件の次の日から持田さんの所持品が隠される事はなくなった。でも、僕はこの時点で完全に持田さんに対するイジメがなくなったとは思ってなかった


「なら私の家に来ない?お母さんとお姉ちゃんも会いたがってるからさ」


 女子からの誘いが嬉しくない男子はいないけど、母と姉が会いたがっているのには若干の不安を覚えた


「別にいいけど、僕何か持田さんに何かしちゃったかな?」


 自分が無意識に他者を不快にさせている事がある。どこに行ってもそういう事は付いて回る


「ううん。私は岩崎君に何もされてないよ?護ってもらってはいるけど」


 初恋を経験した事のない中2の僕。でも、この時不覚にも持田さんが可愛いと思ってしまった


「そう。じゃあ、お邪魔しちゃおっかな」

「うん!じゃあ日曜日にね!あ、そうだ!連絡先交換しようよ!」

「そうだね。連絡が取れないとお互いに不便だもんね」

「うん!」


 僕と持田さんはそれぞれメモ帳の一番後ろを千切り、メールアドレスと電話番号を書いた。で、その紙を互いに交換した。



 話を宿泊学習前日に戻すけど、僕は持田さんからメールで家の住所を貰い、それを頼りに持田家までたどり着いた。まぁ、周りを見たら表札に『持田』ってあったから見間違うわけないんだけど。それでインターホンを鳴らし、出てきたのが持田さんだった。


「来て早々だけど私のお部屋に行こうか?」

「それは構わないけどお母さんとお姉さんはいいの?」


 僕が持田家に招かれたのは母と姉が僕に会いたいって言ってるからっていう理由だったので一言くらいあいさつしておきたかった。そんな気持ちを抑えつつ2階にある持田さんの部屋に通される事となった


「い、いいの!お母さんもお姉ちゃんも今出かけてるから!」


 人様の家庭事情に首を突っ込むごど僕は無粋じゃないから深くは聞かなかったけどさ、靴を脱ぐときにチラッと女物の靴が2足あったから母も姉も多分だけどご在宅だよね?


「そ、それならいいけど」

「うん!」


 こうして僕は持田さんに押し切られる形で部屋に通された。家に招待してくれた時もそうだったけど、この日の持田さんって何て言うか強引だった。そんな持田さんはお茶とお菓子を取りにリビングに行っていて僕1人の状態だったんだけど


「知佳の部屋とは大分違うな……って、知佳は20歳超えた大人で持田さんはまだ未成年だから違うのは当たり前か」


 知佳の部屋にはぬいぐるみの類なんて一切なかったけど、持田さんの部屋には所狭しとぬいぐるみが並んでいた。真理姉さんの部屋も似たり寄ったりだから驚きはしなかったけど、知佳の部屋に物がなさすぎるのか、真理姉さんや持田さんの部屋に物が多すぎるのか。人の趣味って謎だ


「岩崎君お茶持って来たよ~って!恥ずかしいからあんまりジロジロ見ないで!」

「ご、ごめん」


 オレンジジュースとお菓子を乗せたトレーをやってきた持田さんに怒られた。恥ずかしいからって言われたのはこの日初めてだった


「べ、別にいいけど……岩崎君って女の子の部屋入るの初めて?」

「え?何で?」

「初めての割に落ち着いてるなって思って……」

「まぁ、同世代の異性の部屋に入るのは初めてだけど」


 普段から掃除の為に真理姉さんの部屋に入ってたし、中1の頃は家出の際に二枝の家に転がり込んだ。そんな僕が異性の部屋に入っても動揺したりするはずがなかった。いや、物が多いとか少ないとかなら多少は驚くよ?主に真理姉さんや二枝の部屋と比較してだけど


「ふ~ん、同世代の異性の部屋に入るのは初めてって事は年下か年上の異性の部屋には入った事あるんだ?」


 持田さんから向けらた視線には恐らくだけど嫉妬の感情が込められていた。


「従姉と2人で暮らしているからね。年上の異性の部屋には入った事があるよ。同世代は持田さんが初めてだけど」

「岩崎君って従姉がいたんだ」

「うん。ちょっとした事情で一緒に住んでるよ」

「そうだったんだ~、あ~、よかったぁ~」


 真理姉さんの事を話すとすぐに安心したような顔をする持田さん。でも、何がよかったのか僕にはサッパリだった


「何がよかったの?」

「ううん!何でもないよ!」


 何がよかったのかは結局教えてもらえなかった。さて、問題はここから。この後の展開を話すかどうかだけど……どうしよう?この後の展開を話さなきゃ前に進まないから話すとしよう。


「そう?僕としては気になるんだけど?」

「何でもないってば!それとも岩崎君は私の事気になる?」


 気になるかどうかと問われれば気になる。僕は持田さんから護ってほしいって言われてたから


「そうだね。気になると言えば気になるね」

「ふえっ!?そ、それって……い、異性として?」


 どこをどうしたらそんな話になるんだろう?とこの時の僕は思った。中学生───いや、小学校高学年からか。そのくらいの年代の子って言うのは男女関係なく何となくだけど異性を意識してしまうものだ。でも、この時僕が持田さんに抱いたのは異性としての感情ではなく、僕が護るべき人としての感情だった


「異性として……かどうかは判別に困る。でも、僕は持田さんの事を気にしているのは確かだよ」


 持田さんだって女の子だ。異性として全く気にならないって言うのは持田さんに対して失礼だと思った僕は異性としてどうかの部分ははぐらかしつつ気にしている事を伝えた


「そっか……異性としてどうかはともかくとして気にしてはくれているんだ……」

「まぁね」


 この時、僕達の間には何とも言えない微妙な空気が流れたのは言うまでもなかった


『彩菜ー?いるのー?』


 部屋の外から聞こえた女性の声


「あ、お母さんだ!ちょっと待ってて!」

「あ、うん」


 そう言って持田さんは一旦部屋から出た。そして、部屋に1人残された僕はというと……


「普段学校じゃ大人しい持田さんのイメージ変わったな」


 普段大人しい持田さんのイメージを少し変えてみよう。そう思っていた


「岩崎君、お母さんが会いたいって言ってるからリビングに行こう!」


 持田さんの事を考えている途中で当人である持田さんが戻ってきた


「わかった」


 僕は持田さんに案内され、リビングへと向かった。すると──────


「あらぁ~?この子がいつも彩菜が話している岩崎君かしらぁ~?」


 こう言っちゃ失礼かもしれないけど、目の前には持田さんとは似ても似つかないポワ~っとした女性がソファーでくつろいでいた


「あ、はい。岩崎光晃と言います。えーっと、持田さ───彩菜さんのお姉さんですか?」


 リビングへ通される前に持田さんから母が会いたいと言っていると伝えられたのを忘れ、目の前の女性に姉ですか?と尋ねてしまった。それくらい若々しく見えた


「いいえ~、私は彩菜の母で~す。持田華菜(かな)っていうの~」

「あ、彩菜さんのお母さんですか……何て言うか若々しいですね」

「あらぁ~、お世辞でも嬉しいわぁ~」

「いや、お世辞じゃないですから」


 持田さんの母はお世辞抜きで若々しく見えた。女性に年齢を聞くのはタブーだから年齢は聞かなかったけど見た目からして女子高生でも通じる


「岩崎君!鼻の下伸ばさない!」


 隣にいた持田さんは頬をリスのように膨らませていた。でも、訂正させてほしい。僕は鼻の下なんて伸ばしてない


「あらら~?彩菜もしかして嫉妬してるのぉ~?お母さんが岩崎君と仲良くなっちゃってヤキモチ妬いてるのぉ~?」

「そ、そんなわけないじゃん!ただ岩崎君がお母さんにデレデレしてるのが気に入らなかっただけ!」

「世間じゃそれを嫉妬って言うのよぉ~?」

「─────ッ!もういいッ!部屋戻る!岩崎君!いこ!」


 リビングに来たばかりだというのに僕の手を強引に引っ張り部屋に戻ろうとする持田さん。学校じゃ信じられない光景だった


「はぁ~い、岩崎君は残ってねぇ~?お母さん岩崎君と大事なお話があるから~」


 持田さんが掴んでる手とは逆の手を掴んだ華菜さん。この時の僕は華菜さんの重要な話って何だろう?これしか頭になかった


「話?何それ?私が聞いちゃいけない話?」


 怪訝そうな目で華菜さんを見る持田さんは普段とは違って見えた


「う~ん……彩菜が学校でどんな過ごし方をしているのかだからねぇ~……彩菜はいない方がいいかなぁ~?」


 学校でどんな過ごし方をしているか。華菜さんは持田さんから何も聞いてなかったのかな?まぁ、イジメられてるだなんて親にはとてもじゃないけど言えないか


「私が学校でどんな過ごし方をしているか気になるなら私に聞けばいいじゃん!どうして岩崎君に聞くの!?」


 持田さんの言っている事は正しかった。持田さんの学校生活が気になるのなら本人に聞けばいい


「だってぇ~、彩菜に聞いたらはぐらかすじゃない?だったら第三者から聞いた方がいいと思ってぇ~」


 華菜さんの言っている事も正しかった。持田さんの学校生活について持田さん本人がはぐらかすのであれば第三者から聞けばいい。


「べ、別に言う必要ないじゃん!」

「でもぉ~、母親としては気になるのよねぇ~」


 言う必要がないという持田さんの意見には僕も同意だった。学校の事なんて家族に言う必要がない


「ふ、普通だよ!普通!これでいいでしょ!?もう部屋に戻るから!岩崎君の手を離してよ!お母さん!」

「ふぅ~ん、彩菜は岩崎君の好みの女の子を知りたくないんだぁ~?」


 強引に僕の手を引こうとする持田さんの動きがピタリと止まり、そのまま無言になってしまった


「…………」

「お母さんならうまい事聞き出せるんだけどなぁ~?」

「…………………」


 手を引こうとした状態のまま無言で固まる持田さんを誘惑する華菜さんの姿はまるで純粋な子を悪の道へと引き込もうとしてる悪い大人に見えた


「別に知りたくないならいいんだけどぉ~?彩菜は知りたくなぁ~い?」

「…………………岩崎君、私は先に部屋に戻るからお母さんの相手をしてあげて」


 この一言で強引に手を引こうとしていた持田さんはパッと手を離しそそくさと部屋に戻って行った。そして、僕はリビングに華菜さんと2人きりにさせられてしまった

今回は光晃が持田家に招待される話でした

小学生編で光晃の周囲にいた女子は宮村でしたが、中学生では持田となりました。それはいいとして、宮村ですらやらなかった事を持田がやるとは・・・・しかも、何かキャラ違うし

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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