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【過去編53】僕は仲直りの条件を突きつける

今回は光晃が仲直りの条件を突きつける話です

光晃が突きつけた仲直りの条件とは?

では、どうぞ

 真理姉さんを家族とは思ってないと伝え、自室に戻った僕。これでこの日1日の疲れを取る事が出来ると思った矢先の事だった


『光晃君!!出てきなさい!!』


 ドアをドンドンと叩きながら怒鳴り声を上げる智花さんによって僕の平和な時間が終わった


「うるさいな……ったく、人の家で騒ぐなって教わらなかったのか?あの人は」


 人の家で騒ぐ以前に人の家の問題に首を突っ込むなって事を教わらなかったのか?と言いたくなったけど、これ以上刺激してもいい事なんて何もないと思った僕は返事をせず智花さんがいなくなるのを待った。


『出てくるまで私はここを動かないからね!!出てきなさい!光晃君!!』


 智花さんはしつこい性格のようで僕が部屋から出るまで居座ると宣言した


「何て迷惑な人なんだ……でもまぁ、トイレとか行く時に部屋の前で待ち構えられたままでも困るか……」


 部屋から出ない分にはよかったけど、問題はトイレ等の事情で部屋から出なきゃいけない時だった。僕だって生理現象には勝てない。智花さんが部屋の前に居座るというのは非常に都合が悪かった


「智花さんはあの替えが利く存在の人と僕を仲直りさせるつもりなんだろうなぁ……」


 智花さんの目的は僕と真理姉さんを仲直りさせる事だと予想した僕はこの日の中で最も憂鬱な気持ちになった


「先に八つ当たりしてきたのはあの人だというのにどうして僕が謝らなきゃいけないのやら……でも、利用できるのなら仲直りしてもいいかもしれない」


 今の真理姉さんは多分忘れているだろうけど、僕は本心から真理姉さんと仲直りしたいと思って仲直りしたわけじゃない。この時の僕が言ったようにただ利用価値がありそうだったから形だけ仲直りして見せただけ。ただそれだけの事


「何にせよこのままだと非常に迷惑だ。とりあえず部屋から出るか」


 智花さんなんて取るに足らない存在だったけど、それ以上にこれからの事を考えると利用価値のある真理姉さんを手元に置いとく方が得策だと思ったね。で、部屋を出たんだけど……


「やっと出てきた。さぁ!真理と仲直りしてもらうよ!」

「………………………本当にいたよ」


 部屋の前に居座るって言ってたからいるんだろうなとは思っていたけど、本当にいるとは思わなかった


「そりゃ光晃君が部屋から出てくるまで動かないって言ったからね!さぁ!真理と仲直りしてもらうわよ!!」


 真理姉さんと仲直りしろと言う智花さんに手を引かれ僕はリビングへ強制連行された


「光晃……戻ってきてくれたんだ……」

「……………」


 リビングに着くとそこにいたのはホッとした表情を浮かべる二枝と目を腫らし黙って僕を見つめる真理姉さんだった


「智花さんが部屋の前に居座って仲直りしろってウザかったからね。で?僕には話す事なんて何1つないんだけどさ、何の用?」


 相手に話があって自分にも話があるのならいい。でも、相手に話があって自分には話がない状態で呼び出されるというのは非常に不愉快だと思う


「何って……光晃と真理ちゃんに仲直りしてほしくて呼んだんだけど……」


 別に味方がいてほしかったわけじゃなかった。でも、小学生の時僕に依存させてからずっと僕の味方だった二枝が真理姉さんの側に付いたのは意外な事だった


「そう。別に仲直りしてもいいよ?ただし、八つ当たりしてきたのはその人だから条件は付けさせてもらうけど」


 仲直りするのに条件なんて必要ない。相手が教師や教育実習生となると話は変わってくる。仲直りしてもいいけど条件は付けさせてもらう事にした


「じょ、条件って……!光晃君は家族と仲直りする時に条件なんて付けるの!?」

「智花さん、僕だって普通なら条件なしで互いの悪かったところを話し合った上で仲直りしますよ。ですが、相手は身内とはいえ教育実習生です。やがては教師になる人間ですよ?教師になった時に上から目線で鑑賞されたんじゃ面倒ですし条件を付けるのは僕にとっては当たり前の事です」


 普通に従姉と仲直りするのなら条件なんて付けない。真理姉さんが教育実習生じゃなかったら僕だって条件なんて付けなかった


「光晃君は相手の職業とか肩書では何かをする時に条件を付けるって言うの!?そんなの間違ってる!!」


 間違ってる……か。確かに智花さんの言う通りだったのかもしれない。それでも、僕は教師とは無条件で仲直りするだなんて選択はしない


「間違ってるのかもしれませんが、相手は教師の卵です。条件を付けるのは当たり前でしょ?条件を付けられるのが嫌なら教育実習を中断し教師を諦めればいい」


 真理姉さん……いや、教師を志し努力してる人にとっては非常とも取れる提案。身内との仲直りを取るか、教師の道を諦めるのを取るか究極の二択


「光晃と仲直りできるなら……光晃に真理姉さんって呼んでもらえるなら……条件付きでもいい……」

「真理!!」

「真理ちゃん!!」


 これまで黙っていた真理姉さんが口を開いた。二枝姉妹……特に智花さんは認めないようだったけど、真理姉さんは条件付きの仲直りを認めた。教師の道を諦めると言う選択はなかったみたいだけど、仲直りはしたかったらしい


「そう。大人しく教師への道を諦めてたら普通に仲直りできたのに……教師は卵の頃から傲慢で、自己中みたいだね。ま、どうでもいいけど」


 教師は傲慢だ。自分の意に反する生徒を服従させるためなら成績だって盾にする。自分が気に入らない奴の成績は低くつけるんだから


「それで?条件は何?」


 僕と仲直りする事しか頭にない様子の真理姉さん。僕はこの時にどんな条件を突きつけたっけ?確か───


「条件は簡単だよ。君はこのまま実習に行って合格点を貰えば無事に教師になるでしょ?そうなる前に危険な目は潰しておくという意味も込めて、僕に干渉するな。教師の言葉なんていらないからさ」


 そうそう!確か干渉しないように言ったんだ!思い出した!今じゃそんなのすっかり頭から抜け落ちてるようだけど、喧嘩した時にこんな条件を突きつけられたんだった。真理姉さんはこの事覚えてるかな?


「そ、それだけでいいなら……」

「今はそれだけだよ。後、僕は明日学校に行かないから」


 用件だけ伝えて僕は再び自室に戻ろうとした。でも──────


「待ちなさい光晃君」


 智花さんに止められてしまった


「何ですか?仲直りしたいって望みを叶えたんです。僕にもう用はないでしょ?」

「真理も悪かったけど光晃君にも悪いところあったでしょ?謝りなさい!」


 そういう智花さんの姿は出会った頃の二枝そっくりだった。姉妹だから似るのは当たり前なんだけど、物の言い方すら似るのはちょっと……主に僕の神経を逆なでしてる部分が


「はい?先に八つ当たりしてきた方に謝れって言うならまだしも僕にだけ一方的に謝れときますか……さっきは干渉しないだけでいいって言ったけど、その条件に新たなものを追加します」


 智花さんが余計な事を言わなければ干渉しない事だけで済んだものを……この頃の僕は自分で言うのもなんだけど、結構容赦なかったからなぁ……確かこの後で非人道的な行動に出たんだっけ?


「はあ!?条件は干渉しないだけでいいんじゃないの!?」


 智花さんは僕達のやり取りを聞いてなかったのかな?確かに僕は干渉しない事を条件にしたけど、“今はそれだけ”っていうワードを聞き逃したのかな?


「確かに干渉しない事を条件にしましたけど、それはあくまでも今はそれだけっていう話ですよ?本当はそれだけでよかったんですけど、気が変わりました。智花さん達はソファーに座って待っててください。僕はキッチンで準備するものがあるので」


 智花さん達を待たせ、僕はキッチンに行ってあるものを取り出した。そのあるものは後のお楽しみだけど、この頃の僕は我ながら本当に容赦ないなって思う


「お待たせしました。さて、追加条件の発表といきましょうか」

「「「………………」」」


 智花さんは怒りに満ちた目で、真理姉さんと二枝は不安に満ちた目で僕を見つめてきた。でも、この後、あるものを智花さん達の前に出して条件の発表をした時は一同顔を真っ青にしてたのは今でも鮮明に覚えている


「あらら、黙っちゃいましたか……まぁ、いいや。じゃあ追加条件の発表ですが、これを使って何かしてください」

「「「そ、それは……」」」


 僕が智花さん達の前に出したのは包丁。僕の出した条件。それは包丁を使って何かしろというある意味では難しいものだった。人によっては自殺しろって言ってるようにも捉えられなくないだろうし


「見ての通り包丁ですよ?これを使って3人には何かしてもらいます!」


 智花さん達からしてみれば何を言っているのか理解できないと思う。僕もいきなり包丁を出されて何かしろと言われても何をしていいのかわからないし


「こ、光晃君!私達に死ねと!自殺しろと言ってるの!?」


 いきなり包丁を出されて何かしろって言われたら真っ先に自殺を思い浮かべるのは仕方ないと思う。でも僕はそんな事望んでない


「僕は何かしろって言ったんですよ。包丁を使ってね。それを自殺しろって捉えるのは智花さんは発想力が貧困なんですね」

「なっ!?包丁を使ってする事で思い浮かぶのなんて自殺くらいしかないでしょ!!」


 発想力が貧困な事を棚に上げて逆ギレ。こんなのが教師になったら大変だ


「包丁を使ってする事って自殺以外にあるんじゃないんですか?例えば料理とか。そういえば僕はお腹が空きました。ここまで言えば何をすればいいか解るでしょ?」


 別に料理を作ってほしかったとかじゃないけど、あまりにも発想力が貧困なのはどうかと思う


「料理を作ってほしいならそう言えばいいでしょ!!」

「はぁ……僕は例えで料理を出しただけです。包丁=自殺って短絡的発想をする智花さんが悪いんじゃないんですか?とにかく、僕は疲れたんでソファーで休みます」


 僕は用件だけ伝えソファーで横になった。その間に真理姉さん達が少し遅めの夕飯を作った事と夕飯を食べてる時に真理姉さんが泣きながら謝って僕も悪いところがあったと謝った事、2度と真理姉さんの事を替えが利く存在だと言わない事を約束させられた事を言っておこう

今回は光晃が仲直りの条件を突きつける話でした

真理が教育実習生じゃなかったら条件なんて付きつけなかっただろう光晃ですが、真理が教育実習生だったからっていう理由で条件を突きつけるっていうのは・・・・

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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