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【過去編52】中学生の僕は人としての感情がなかったのかもしれない

今回はドラマ厨と智花との対決の話です

ドラマ厨や智花とどんな対決をするのか?

では、どうぞ

 説教から始まった臨時の学年集会は出目金の戦意喪失で幕引きとなった。問題はその日の昼休みだった


「岩崎!ちょっと来い!」


 給食が終わり、僕は担任であるドラマ厨から呼び出され、別室へ連れて行かれる事に


「何でしょうか?僕何か悪い事しましたかね?」


 僕には全く身に覚えがないなんて言わない。呼び出される原因は学年集会の事だろうと簡単に予想できたし


「学年集会の時にお前が取った無礼な行動についてだ!」


 教師側からしてみれば僕の行動は無礼なものだったらしい。僕からしてみれば人にガタガタ言う前に自分の行動を見直してみろって話なんだけど


「はあ、無礼な行動ですか……僕には身に覚えがありませんね」


 僕は正義の名の元に行動したなんて言わない。ただ、自分達の行動を棚に上げ文句を言ってるのが気に食わなかっただけで


「お前!高田先生に対して無礼な態度だっただろ!!おかげで俺は大恥掻いただろ!!」


 高田というのは出目金の苗字だ。僕は名前はおろか苗字で呼ぶのすら面倒だから出目金と呼んでいたけどね


「先生が恥掻いたのなんて今に始まった事じゃないでしょ。それに、日常的に怒鳴っている事を考えれば学校単位で恥かいてると思いますよ?」


 僕にとって教師が恥かこうが何しようが関係ない。日常的に怒鳴ってる事を考えれば学校単位で恥かいてるのと同じだし


「お前は反省する気あるのか!!」


 反省する気なんて欠片もない。だって、教師達は些細な事で怒鳴り、生徒に暴行を加え大ケガをさせる。そんな教師に恥を掻かせてたところで僕の心は全く痛まない


「ないですよ。だったら何だって言うんですか?そもそも、指導と称して生徒を怒鳴りつけ、その上暴行を加えて大ケガをさせる。で?極めつけは学年集会で貴方達が言った『先生達だって心を鬼にして怒鳴っている』って言葉ですけど、本当はただの憂さ晴らしなんじゃないですか?自分より下の立場にいる人間を怒鳴って楽しんでるだけなんじゃないんですか?」


 本当なら家庭で虐げられてるからじゃないんですか?とか、教頭とか校長に小言言われ続けて溜まったストレスを生徒にぶつけてるだけなんじゃないんですか?って言いたかった。でも、それはセコイと思い言わなかった


「岩崎!!お前は教師をバカにしているのか!!」


 図星を突かれたからなのか呼び出された時以上に怒鳴りつけてきたドラマ厨


「別にバカになんてしてませんよ。ただ僕はそうなんじゃないんですか?って聞いてるだけで」


 バカにはしてなかったけど、尊敬もしてなかった


「バカにしてないなら何なんだ!!お前は俺達教師に対して敬意が足りてないんだよ!!」


 そりゃそうだろう。敬意って尊敬する気持ちって事でしょ?少なくとも僕は中学で出会った教師を誰1人として尊敬してない


「敬意って要するに尊敬する気持ちでしょ?些細な事で怒鳴り好意を押し付けてくる人間達のどこを尊敬すればいいんですか?」

「年上はどんな人間であっても敬意を持って接するものなんだよ!!お前はそんな事も知らないのか!!」


 ドラマ厨の言ってる事は無茶苦茶だ。年上でも尊敬できない奴だっている。尊敬できない人間に対してまでどうして敬意を持って接しなければならないのだろうか?


「知りませんよ。大体僕は尊敬できない人間には敬意を持って接しないようにしているんで」

「お前は俺が尊敬できないってのか!!」


 ドラマ厨はどうして自分が尊敬されて当たり前の人間だとどうして言えたんだろう?


「出来ませんよ。当たり前でしょ?先生だけじゃないですけど、何かにつけてすぐに怒鳴る、好意の押し付けはする。生徒の居眠りは自分の授業がつまらないからなんじゃないかって考えをせずに逆ギレ。そんな教師をどうやったら尊敬できると言うんです?」

「生徒は教師を無条件で尊敬するもんなんだよ!!」


 生徒は教師を無条件で尊敬するものだと聞いた僕は笑いを必死に我慢した。こういう言い方は好きじゃないけど、教師の給料なんて国民の税金で賄われている。言い方を変えれば国民に寄生している寄生虫の一種のような存在である教師をどうして無条件で尊敬しろだなんて滑稽な話だ。寄生虫を尊敬しろって言ってるのと同じだから


「僕に寄生虫を尊敬する趣味はありません。これ以上話す事がないのなら僕は失礼してもよろしいでしょうか?」


 これ以上ドラマ厨と話していても時間の無駄だし同じ話を繰り返すだけなのは明白だった。人間誰だって無駄な事はしたくないというのが本音だ。そう思った僕は部屋から出ようとする。しかし──────


「待て!!話はまだ終わってないだろ!!」


 ドラマ厨に呼び止められた。これ以上話す事は何もないのに呼び止める意味はどこにあったんだろう?


「終わりましたよ。貴方は尊敬してほしい。僕は尊敬する気なんて全くない。それの問答を繰り返すのなら何時間話しても無駄ですよ」


 教師や教育実習生と話していていつも思うけど、話している時間が恐ろしく無駄!同じ事しか言えないの?っていっつも思う。本当にアレは何なんだろう?


「無駄じゃない!!俺がわざわざ岩崎の為に時間を作ってやってるんだ!無駄だなんて事あるか!!」

「無駄ですよ。僕と貴方じゃ根本的な考え方が僕と貴方じゃ違うんで。それでは」


 部屋を出る時にドラマ厨が何か怒鳴っていたけど、僕はそれを無視した。耳を貸す意味も特になかった


 ドラマ厨に呼び出された後、また呼び出されたら面倒だと感じた僕は適当な理由を付けて早退した。でも、この日は真理姉さんと喧嘩した日でもあったので面倒な事は家に帰ってもあった


「1人が一番落ち着く」


 家に帰ってきた僕は静かなリビングで1人コーラを飲みながら優雅なひと時を満喫していた。当たり前だけど二枝は仕事、真理姉さんは教育実習。智花さんからは何も聞いてなかったけど多分真理姉さんと同じだったと思う。とにかく、僕は家に1人でいた


「このまま時間が止まればいいのに……」


 この時の僕は二枝も真理姉さんも両親でさえ必要ない。本気でそう思っていた


「この……まま……誰もいない時間……穏やかな時間が続けばいいのに……」


 1人きりの穏やかな時間……面倒な教師や教育実習生や真理姉さん、二枝、智花さんがいない時間がこの日の僕が何よりも欲したものだった。


「僕は……穏やかな時間が欲しい……」


 願わくば穏やかな時間が続けばいいのに。なんて思いながら僕の意識は夢の中へと誘われた


「「光晃!!」」

「光晃君!!」


 僕は真理姉さん達の声で目が覚めた。時間はわからなかったけど、真理姉さん達がいるって事は8時は過ぎていたと思う


「何……?人がせっかく気持ちよく寝てたのに……」


 寝てる人間を叩き起こすだなんて無粋な真似を……って思ったけど、真理姉さん達の顔を見てそんな思いは一瞬で消え去った。


「何泣いてるの?」


 真理姉さん達が泣いていた。だから何だって話だったけど、泣いてる理由は気になった


「だ、だって……光晃が死んじゃったかと思ったんだもん!!知佳……不安で不安で……」


 そう言った二枝の目には涙が溜まっていた


「僕が死ぬ?何言ってるの?まぁ、平穏な学校生活が送れないのなら死ぬのもありか」


 学校生活が全てとは言わない。でも、学生の間は学校生活が全てと言っても過言じゃない。僕が望むのは平穏な学校生活だ。それが出来ないのなら生きている意味なんてなかった


「バカな事言わないで!!光晃が死んだらみんな悲しむんだよ!!」


 これまで怒鳴り声を上げた事なんてなかった真理姉さんがこの日、初めて僕を怒鳴った


「あ、そう。で?悲しむから何?アンタ達は悲しむだろうけど僕にはそんな事関係ないよ。大体、いくらでも替えが利く人間が何熱く語っちゃってるの?バカじゃないの?」


 八つ当たりされた事を根に持っているわけじゃなかった……。でも、だからと言って実習校であった嫌な事があったストレスを僕にぶつけないでほしい


「光晃……もしかして八つ当たりした事まだ怒ってるの……?」


 不安気な表情で八つ当たりした事を認めた真理姉さん。だけど、この時それを認めても遅かった


「は?八つ当たり?ああ、昨日のアレね。別に怒ってないよ?ただ呆れてるだけでね。まぁ、何を言っても無駄だから言わないけど、僕にとってアンタ達は替えの利く存在でしかない。そんな奴らの言う事にいちいち目くじら立てても仕方ないし」


 僕にとって両親も従姉も彼女でさえ替えが利く存在でしかない。そんな奴らがする事にいちいち目くじらを立てる方がバカらしい


「八つ当たりした事なら謝る!だから……だから!代用品なんて言わないで!アンタじゃなくて今まで見たいに真理姉さんって呼んでよ!!お願い……お願いだから……」


 僕に名前を呼ばれない事が余程堪えたのか真理姉さんはその場で顔を覆い泣き崩れてしまった


「黙れ。いくらでも替えが利く代用品がガタガタうるさいんだよ。大体さぁ、実習校で嫌な事があっても八つ当たりはマズいって解るでしょ?」

「……………はぃ」

「でも、アンタはそれを知っていながら僕に八つ当たりをした」

「……………はぃ」

「これじゃ僕の通っている中学の教師連中と何も変わらないよ?いやぁ~さすが教師の卵!バカだからしていい事とわるい事が理解できないんだね!まぁ僕は身内に教師なんて要らないんだけどね!」


 真理姉さんと喧嘩した日に二枝には言ったけど身内に教師は要らない


「ごめんなさい……」


 蚊の鳴くような声で謝罪する真理姉さんだったけど、僕にはそれが何に対しての謝罪なのかわからなかった


「それは何に対しての謝罪?八つ当たり?それとも、教育実習に行った事?あ!もしかして生まれてきた事に対してかな?どれでもいいんだけどさ、早いとこ出てってくれない?僕の周囲に八つ当たりする奴も教育実習生も教師も要らないからさ」


 この時の僕は怒っているというよりは真理姉さんのした事をネチネチと攻め立てる楽しさの方が強かっただろう


「お願い……ここにいさせて……2度と八つ当たりなんてしないから……光晃の側にいさせて……」


 消え入るような声で懇願する真理姉さんに僕は許してあげようだなんて気持ちは1ミリたりとも芽生えなかった


「え~、嫌だよ!今はそんな事言ってるけどまた八つ当たりされたら堪ったもんじゃない!だったら今すぐにでも出てってもらった方が僕にとってはいいんだけど……あぁ、行く当てないんだっけ?だったらいいよ!好きなだけここにいても。だけど、金輪際僕に話し掛けないでね!」


 僕はそれだけ言って自室に戻ろうとした────────────


「待ちなさい!!光晃君!!」


 でも、智花さんに阻止されてしまった


「何でしょうか?」

「あなたねぇ!真理が泣きながら謝ってる姿見て何も思わないの!?」

「別に何も。僕には必要のない人間が泣こうと喚こうとどうでもいいですから」


 僕にとって必要のない人間が泣こうと喚こうと知ったこっちゃない。その考えは今でも変わらない


「あなたそれでも人間なの!?人としての感情はないの!?」


 人としての感情はないのか?そう僕に尋ねる智花さんの目には涙が浮かんでいたけど、当時の僕は智花さんが泣く意味が理解できなかった


「人としての感情はありますよ。ただ、替えの利く人間が泣こうと僕には関係ないって言ってるだけで」


 人としての感情はある。子猫とか見ると可愛いと思うし、感動的なものを見れば泣くくらいは


「いいえ!光晃君には人としての感情なんてないよ!!家族が泣いてるのに顔色1つ変えないんだからね!」


 智花さんは真理姉さんを指して家族と言ったんだろうけど、僕と智花さんじゃ家族に対しての認識が違う。智花さんは真理姉さんと僕を家族だと思っているみたいだっただろうけど僕にとって真理姉さんは家族じゃなかった。ただ一緒に住んでいる他人。それ以外の何物でもなかった


「僕はそこの人を家族とは思ってません。強いて言うなら一緒に住んでいる他人でしょうか」


 僕はそれだけ伝えて自室に戻った


今回はドラマ厨と智花との対決の話でした

ドラマ厨との対決は同じ話の繰り返しになると思った光晃が一方的に話を切り、智花との対決では認識の違いがありました。光晃は中1の間に真理と仲直りする事ができるのか?

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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