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【過去編50】授業が潰れ急遽学年集会が開かれる

今回の話は真理と喧嘩、急遽学年集会が開かれる話です

今回の光晃は従姉である真理に言ってはいけない事を言ったりしてます

では、どうぞ

 二枝の家に厄介になった次の日の朝。僕は二枝の説得に応じて家に帰る事となった


「………………」

「………………」


 家に帰り、リビングへとやってきた僕を待ち構えていたのは無言の真理姉さんとそれに寄り添う智花さんだった


「真理、さっさと謝っちゃいなよ」


 無言で僕を見つめる真理姉さんに謝るように促す智花さんはどこか気まずそうにしていた。だけど、それは僕の隣りにいた二枝も同じだった


「で、でも、許してくれるかな……?イラついてたとはいえ酷い事言っちゃったし……」


 真理姉さんは僕が二枝の家に行った日の事を気にしていたようだけど僕には関係ない。僕は1度必要ないと決めたら余程の事がない限りは許したりしない


「だからってこのまま光晃君と喧嘩したままじゃダメでしょ」

「そ、それはそうだけど……」


 このままじゃいけないという危機感はあるらしいけど、何を話していいかわからないというのが真理姉さんの本音。まぁ、僕から教師や教育実習生に歩み寄るだなんてしないけど


「あのさぁ、話がないなら僕は部屋に戻って学校の準備するから」


 何も話したがらない奴と一緒にいる事ほど無駄な時間はないと判断した僕は一言言って部屋に戻ろうとした。ハッキリ言って今もそうだけど、母も真理姉さんも優奈も葵衣でさえ別にいてもいなくても同じだ。代わりなんていくらでもいる


「待って!光晃君!真理が君に謝りたいっていうのは本当なの!お願いだから話だけでも聞いてあげて!」


 話だけでも聞いてあげてと頼んできたのは智花さんだ。こういうのって真理姉さん本人が頼むものじゃないの?


「嫌ですよ。そこの人が僕を必要としてないように僕もそこの人を必要としてないですし話を聞く理由がありません」


 真理姉さんに言われた事が悲しかったわけじゃないし必要とされたかったわけでもなかった。でも、僕が真理姉さんを必要としてないように真理姉さんも僕を必要としてなかった以上話を聞く理由なんて何もなかった


「で、でもッ!光晃君にとって真理は従姉でしょ!?たった1人の家族なんじゃないの!?」


 たった1人の家族か……。僕と智花さんでは家族に対しての認識が違ったようだ。智花さんにとって家族というのは替えが利かないものでも僕にとっては家族なんていくらでも替えが利くものだ


「別に家族の替えなんていくらでも利きます。僕にとってたった1人の家族ではありませんよ」


 家族の替えなんていくらでも利く。例えば再婚がそうだ。今まで他人だった人がある日突然家族になる。義理の父(母)ができ、その人に息子、あるいは娘がいたら義理の兄、弟。もしくは姉、妹できる事だってある事を考えれば家族の替えなんていくらでも利く事が証明されるわけだ


「光晃君……君は冷たい人間なんだね……家族の替えなんて利かないんだよ?真理にとって光晃君はたった1人の家族なんだよ?それでも替えが利くって言うの?」


 怒鳴りはしなかったけど、智花さんは怒っていた


「ええ、両親が離婚して新しい女の人もしくは男の人と結婚し、その人に連れ子がいれば自分に義理の兄か弟あるいは姉か妹ができるでしょ?そうしたら義理の父か母ができ、義理の兄弟ができて家族になるわけですよね?智花さんはそんな人達を前にしても同じ事を言うんですか?替えが利かない家族だと?」


 家族なんてものは簡単に崩れるし、作るのも簡単だ。たった1人?ギャグにしても笑えなかった


「そ、それとこれとは話が違うでしょ!!」

「そうでしょうか?僕にとっては同じですよ。かけがえのない家族?夢なら寝て見てくださいよ」

「どうしてそんな事が言えるの!!光晃君は真理の事を何とも思ってないの!?」


 智花さんの悲痛とも取れる叫び声がリビングに響いた。でも、この時の僕にとって智花さんの叫びなんて取るに足らないものだった。この状況を作り出した原因が真理姉さんにあり、その真理姉さんが一言も喋らない。まぁ、教師になろうかって人間だから自分にとって都合の悪い事は喋らないし、謝罪なんてするわけがない


「別に何とも思ってませんよ。大体、この状況を作ったのはそこの人ですよね?それなのに智花さんが喋っている事自体あり得ないんですよ。まぁ、教師になろうかって人間は自分にとって都合の悪い事は喋らないし、謝罪なんてしないって今ハッキリしたんで別にいいんですけど」


 真理姉さんが何を思って黙っていたのかは知らないけど、教師というのは都合の悪い事になると黙るし、明らかに教師側が悪いと解り切った事になると謝罪の1つもない。教師になった人間がそんな様だ。教育実習生が謝れるわけがないという事は帰って来てから僕と1度たりとも会話をしてない真理姉さんを見て十分すぎる程に理解した


「光晃君ッ!」


 言い返せなくなったのか智花さんは僕の名前を大声で呼ぶしか出来なくなってしまった。教師もそうだけど、教育実習生というのも張り合いがないのはいつの時代も変わらないらしい


「何でしょうか?言い返せないんですか?言い返せないのならそろそろトドメに入りますが、別にアンタらの代わりなんていくらでもいるんだよ。教師も教育実習生も家族も僕にとってはいくらでも替えが利くんだよ!実習先で何があったかなんて知らないけど、それを僕にぶつけるな!!」


 僕はそれだけ言い残し、部屋に戻った。葵衣の実習期間に家出しようとした時を除くと怒鳴ったのはこの時だけだったと思う。


「やっちゃったかな……」


 部屋に戻りベッドに寝転んだ僕は後悔の念に駆られていた。替えが利くと言った事は後悔してなかったけど、怒鳴ってしまった事には後悔した


「従姉とはいえ教育実習生ごときに怒鳴り声を上げるとは……」


 教師も教育実習生も僕にとっては取るに足らない存在。それが従姉である真理姉さんでも同じ事だった


「僕もまだまだ子供だって事か……」


 教育実習生相手に怒鳴るなんて今思い起こしても子供っぽかったと思うけど、当時の僕はしてしまった事を振り返る余裕なんてなかった


『光晃?いる?』


 コンコンとドアをノックする音の後に聞こえたのは二枝の声。でも、この時の僕は返事を返すのすら面倒だった


「………………」


 返事を返すのが面倒だった僕は無言で二枝がいなくなるのを待った


『光晃?寝てるの?』


 朝帰りしてそこから二度寝するだなんてまずありえないだろう。


「………………」


 誰とも喋りたくなかった僕は無言を貫く


『光晃が誰とも喋りたくないならそれでもいいと思う。だから、これだけ伝えるね。真理ちゃん、泣いてたよ?光晃に見捨てられたって大泣きしていた……真理ちゃんのした事全部を許してとは言わないけど、話し合いくらいちゃんとしてあげて。知佳が伝えたい事はそれだけ。下で待ってるね』


 二枝は用件だけ言うと部屋の前から去って行った。


「下で待ってるか……バカじゃないの?僕が教師や教育実習生の言う事を素直に聞くと思ってるの?」


 僕は教師や教育実習生の言う事を素直に聞くようなタイプじゃない。それが例え身内であっても


「教師や教育実習生と真面目に向き合うだけ時間の無駄だ。そんな事するくらいなら学校に行った方がマシ」


 学校にも教師や教育実習生がいる。時期が時期だからそれは仕方ないけど、家の中で教育実習生といる事を考えると学校に行った方がマシだと考えた僕は学校に行く準備を手早く済ませた。そして──────


「さて、教育実習生達と鉢合わせる前に行くか」


 制服に着替えた僕は真理姉さん達に見つからないようにコッソリと部屋を出て玄関に向かった


「案外見つからずに家を出れたものだ」


 玄関で靴を履き、家から出るまでの間誰にも見つからなかった事に正直驚いていた。二枝の話では真理姉さんは泣いていたらしいけど、リビングを一歩も出ずに付きっ切りで慰めなくてもいいんじゃないかという気がした。でも、見つからなかったところを見ると多分、二枝と智花さんは付きっ切りで慰めていたんじゃないかと思う


「僕にとって替えの利く人間と仲直りする意味なんてないって事をいい機会だから学習するんだね」


 誰に言い聞かせるでもなく、僕は1人呟いた。家族も教師も替えが利く。今じゃ彼女もか。



 学校に着き、教室に入った僕は誰とも喋らず、自分の席でただ黙ってチャイムが鳴るのを待った。


「おし、やるぞ~」


 チャイムが鳴り、少ししてからやる気のなさそうな声と共に担任が入ってきた。それから普段通りにHRが行われ、授業が始まったけど、この日の授業は普段の倍はつまらなかった。そんな事を考えながら1時間目、2時間目と過ぎ、4時間目の授業の時だった


「今日本来なら国語の授業だったが、急遽学年集会をする事になったので視聴覚室に行くぞ」


 国語の教科担任じゃなく、やってきたのは担任。しかも、国語の授業を中止し、急遽学年集会を開く事になったみたいだけど、学年集会で何を話すか?それが問題だった


 急遽学年集会をやる理由が理解できないまま、僕達の学年は視聴覚室へとやってきた。急遽学年集会を開くんだから余程の事だったのだろうと思っていた僕は教師の話を聞いて呆れて何も言えなくなる


「え~、本来なら各クラスそれぞれ授業があったのですが、急遽学年集会の時間とさせて頂きました。」


 前に出て喋る教師は理科の教科担任……通称出目金。僕の中では授業を潰してまで説教するバカ教師という認識だった


「では、先生方、お願いします」


 悪代官のような事を言って出目金は一旦下がった。そして、出てきたのは出目金を除く各クラスの担任達


「最初は私からお話します」


 最初に出てきたのは僕のクラスの担任で通称ドラマ厨。事ある事に学園ドラマに出てくる生徒のように振る舞えと言ってるらしかったので僕が勝手にそう呼んでるだけなんだけど


「最近の皆さんは我々教師をナメ過ぎだと思います。皆さんの中には心当たりがある人いるんじゃないですか?」


 皆さんの中にって言ってたけど、実際にドラマ厨が見ていたのは僕のクラスのごく一部と他のクラスのごく一部の生徒だった。ある程度特定してるならわざわざ皆さんなんて言わなくてもいいだろうに……。それに、ナメなられるのは自分達が些細な事で怒鳴ってるからだとは思わなかったんだろうか?


「ごく一部の人は心当たりがあるようですが、私達も好きで皆さんを怒鳴っているわけじゃありません!心を鬼にして怒鳴っているんです!本当はここにいる先生達は皆さんを怒鳴りたくなんてありません。それを理解してくれたらと思っていたのですが、皆さんは解ってくれなくて先生はとても残念です」


 普段とは違い珍しく僕達生徒に向かって敬語で話すドラマ厨だったけど、言ってる事は普段通り情けないの一言に尽きる事だった。それはさておき、ドラマ厨の話が終わり、次に出てきたのは社会科の教科担任。通称ナルシストだった


「えー、俺からはさっきの話じゃないけど、お前ら教師をナメすぎ!授業中に居眠りするし、忘れ物だって多いだろ?お前ら本当にやる気あるのか?いいか?お前らは授業を受けさせてもらってる立場なんだぞ?もうちょっとやる気出そうや。以上です」


 ナルシストの言ってる事が正しいとは全く思わなかった。まず1つ、授業中に居眠りするのはアンタの自慢話を聞かされ続けて退屈だから。もう1つ、僕達は授業を受けさせてもらってって言ってるけど、アンタ達は生徒がいる事で授業をさせて頂いてるんだって自覚なさすぎ


「はい、ありがとうございました」


 ナルシストが下がり、次に出てきたのは体育の教科担任。通称九官鳥。その由来は簡単で怒鳴る時に声が高くなるから。ドラマ厨とナルシストの話はハッキリ言って僕にとってはどうでもいい話だった。教師達の自業自得だし


 九官鳥は一歩前に出て一礼。それに倣って僕達も一応、礼はした。


「先生は悲しいです。先生達は良かれと思って毎日指導しています。でも、皆さんがそれを解ってくれない、授業は真面目に受けない……これじゃ先生達は何のために授業しているかわかりません。いい機会だからはっきり言いますが、先生は皆さんを信用してません。先生が今後ろを向いたら刺されるかもしれないと疑っています。皆さんはそれだけ先生方の信頼を裏切っている事を自覚してください。以上です」


 九官鳥は話す前と同じように一礼し、後ろへと下がった。僕にとっては単なる戯言でしかなかった。指導?お前達のしているのは犬の躾以下の何かだ。ただ怒鳴るだけだったら誰だって出来る。先生方の信頼を裏切っている?だったら生徒が信頼するに値する人間になれ。僕が九官鳥の話を聞いて思ったのはそれだけだった


「ありがとうございました。次、お願いします」


 授業が潰れ学年集会になった事で喜んでいた生徒はさぞ後悔しただろう。ドラマ厨、ナルシスト、九官鳥のつまらない話を聞かされ、挙句、次の奴を入れて後2人もいるんだから


「はい!えー、皆さん、そろそろ疲れてきていると思うので私からは簡単にお話したいと思います!」


 出目金に促され出てきたのは担任教師陣の中で唯一の女性教師。教科は英語。通称香水タンク。本当かどうかは知らないけど、香水の匂いがキツ過ぎて1度に10本の香水を付けているのではないかと噂されるくらい香水の匂いがキツい教師だ。で、そんな香水タンクは簡単に話をすると言ってたけど、どんな話かはお察し


今回の話は真理と喧嘩、急遽学年集会が開かれる話でした

光晃・・・・家族と彼女に替えがあるって言うのはどうかと思う。教師に関しては・・・・これは意見が別れそうです

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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