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【過去編46】教師が授業を放棄するだなんて前代未聞だと思う

今回は教師が授業を放棄する話です

教師が授業を放棄するだなんて前代未聞なんでしょうか?

では、どうぞ

 社会科の逆切れ教科担任に引き続き理科の出目金がやらかした次の日。朝のHR。


「えー、最近隣りの保育園と保育園に子供を預けている親から先生達の怒鳴り声がうるさいと学校に苦情が多く来ます。みんなも先生達をあまり怒鳴らせないように」


 担任が普通じゃ理解に苦しむ事を言い出した。先生達をあまり怒鳴らすな?違うだろ?なんて思ったのは僕だけじゃないはず。そもそもが些細な事で怒鳴りすぎなんだよ


「「「はーい」」」


 クラスの大半が黙ってる中、3人の男子が気のない返事を返した。そんな事したらどうなるか……


「お前ら!!先生をバカにしてるのか!?」


 怒鳴るに決まっている。保育園側と保育園に子供を預けている親から苦情が来てると言ったばかりなのにこれだ。教師というのは学習能力がない


「「「してませーん」」」


 僕は気のない返し方をした男子を見て察してしまった。この3人は教師をナメきっていると。でも、教師をナメきっていたのはこの3人だけではなく、黙っていたけど、僕を除くクラス全員がそうだった


「してるだろ!!俺さっき言ったよな?先生達の怒鳴り声がうるさいと学校に苦情が来てるって!」


 苦情が来てると言うなら怒鳴るのを止めればいい。こんな事アホでも思いつくのに……あ、そんな事すら思いつないから教師なのか。いつの時代も教師って学習しないとつくづく思う


「それはセンセーが些細な事で怒鳴るからじゃないですかぁ~?」


 1人の男子がクラス全員──────いや、学校中の生徒全員が思っているであろう事を言った


「それは先生達が怒鳴る事をしてるお前らが悪いんだろ!!」


 責任転嫁とは正にこの事だった。教師が生徒に責任を押し付けていいのか?


「でも、先生達って本当にどうでもいい事で怒鳴りますよね?」


 もう1人の男子も最初の男子に便乗したのか担任に事実を突きつける


「怒鳴らなきゃお前らは言う事を聞かないだろ!!先生はなぁ!心を鬼にしてお前らを怒鳴っているんだよ!!」


 物は言いようだ。本当は家庭内で地位が低く家族から邪険に扱われている鬱憤を生徒にぶつけているんじゃないか?そう思われても仕方ない


「本当ですか~?本当はただのストレス解消だったりして~?」


 便乗した男子に続きもう1人の男子が指摘されたら痛いであろうところを突く。もう、面倒だから最初の男子を男子A、その次の男子を男子B、最後の男子を男子Cとしよう。このABCトリオは完全に教師をナメきっていた


「黙れ!!先生はお前らの為を思って怒鳴っているんだ!!これ以上先生を怒鳴らせるな!!」


 男子Cの言った事は図星だったらしく、担任は強引に話を終わらせた。補足としてABCトリオは廊下にも別室にも呼び出されなかった事を言っておこう。



 担任が言い負かされた日の4時間目の社会の授業。それは起こった


「センセーの自慢話なんていいんでちゃんと授業してくださ~い」


 相も変わらず自慢話ばかりでそろそろ飽きてきたなと思った時、男子Aがクラス全員が思っていたであろう事を堂々と言ったのだ


「なっ!?ちゃんと授業してるだろ!!」


 明らかに自分は中学生の頃ラブレターを1日50通貰った的な自慢話しかしてなかった社会科の教科担任。それを棚に上げ、自分はちゃんと授業していると主張したのは今でも笑える。


「センセーはさっきから自慢話しかしてませ~ん。僕達はセンセーの過去になんて興味ないんですけど~?」


 男子Aの言葉であっという間に笑い声に包まれた教室。とてもじゃないけど収拾がつくような状況とは言えなかった


「俺の授業がつまらないって言いたいのか!!」


 笑い声が教室中に響く中、生徒達を落ち着かせるのではなく、自分の授業がつまらないかどうかを聞く教科担任。コイツは状況判断能力が欠如していたんじゃないか?つまらないから生徒にそこを指摘され、教室内が騒がしくなった。それを理解できてないようだ


「つまらないから指摘されてるのが解りませんか?あ、ごめんなさい!」


 教師を煽ったのは男子Bだった。僕も男子Bと似た事をするから強くは言えないけど、最後の謝罪はいらない


「……………もういい!!」


 教室内が笑い声に包まれ、生徒から煽られた教科担任は授業中だというのに教室から出て行ってしまった。生徒に手を挙げなかっただけ誉めてやろう。でも授業中に教室から出て行く教師がどこにいるんだ?教科担任が出て行った後、笑い声が一層大きくなった


「こんなんで大丈夫なのかな?」


 笑い声が響く教室で僕の呟きは虚しく消えた。些細な事で怒鳴り授業がつまらないと言われたら授業を放棄する教師。学級崩壊─────いや、学年崩壊するのは時間の問題だった。実際崩壊したけどさ


「光晃」


 教師が出て行ってすぐに笑い声が収まり、立ち歩く生徒がチラホラ出てきた。秀義もその1人


「何?」


 教師が授業を放棄して出て行った事なんて気にも留めてなかった僕はいつもと変わらず教科書を読むか寝て過ごすかのどっちかだったから秀義に話し掛けられても何も問題はなかったけど、授業中に立ち歩いてよいものか……


「放課後勉強を教えてくれないか?」

「そう言われても僕だって勉強は得意な方じゃないんだけど?」


 教師や教育実習生に文句を言ってる僕だけど勉強は得意じゃなかった。そんな僕が人に勉強を教えられるわけがない


「いや、そう言わずに頼む!!」


 頭を下げて頼まれても困るものは困る。僕は本当に勉強が出来る方じゃなかったし


「いや、頭を下げられても……あ、じゃあ、家に来る?僕じゃ無理だけど勉強教えるのに最適な人いるから」

「いいのか!?」

「うん、いいよ。その代わりおばさんにちゃんと言ってから来てね?」

「おう!」


 社会科の授業が終わり、僕達はそのまま5時間目、帰りのHRを終わらせた。秀義は部活に入っていたけど、この日は休みだったらしい。と、いう事で僕は秀義と一緒に下校していた


「教師が授業中に教室から出て行くなんてね」

「あれにはビビった」


 下校中の話題は社会科の授業の事。小学校では授業中に教室を飛び出していく教師なんていなかった。怒鳴る教師はいたけど。


「小学校では理解不能な教師はたくさんいたけど、授業中に教室から出て行く教師は1人もいなかったよね」

「ああ、そうだな。確かに授業中に教室から出てく先生なんて初めてだ」

「僕もだよ」


 僕達にとって授業中に教室を出て行く教師はとても衝撃的に映った。もちろん、悪い意味で。そんなこんなで僕達は教師の話をしながら一旦秀義の家に行った。家から出てきた秀義が大荷物を持っていたのは気にしないでおこう。で、その足で僕の家へ向かった


「ただいま」

「お、お邪魔します」


 普段通りの僕と若干緊張気味の秀義。言い忘れていたけど、秀義は人の家に来ると緊張してしまう性格だ。今じゃ少し落ち着いたとは思う。


「そんなに緊張しなくてもいいのに」

「だ、だって、最後に来たのって幼稚園の頃だっただろ?変わってなくても緊張はするんだよ!」


 秀義が最後に僕の家に来たのは幼稚園の頃。年少か年中かはたまた年長かは覚えてないけど幼稚園の頃だったのは覚えている


「変わってない事もないけど、幼馴染の家に来るだけで緊張するって相当だよ?」


 秀義は変わってないって言ったけど、小学校に入学してから僕の家は変わった。見た目とか内装とかじゃなく、住人が。で、中学校に入学してからも変わった。具体的には小学生の頃に住人が増え、中学生の頃に住人が減っただけなんだけど


「人ん家って何となく緊張するだろ?」

「まぁ、気持ちは解らなくもないよ。とにかく、僕の部屋に行こうか?」

「おう!」


 玄関で立ち話をしていても仕方ないので秀義を僕の部屋へ通す。着替え?男同士で何を恥ずかしがる事があるのやら


「さて、早速勉強をって言いたいけど、教えてくれる人がまだ帰ってきてないんだ。秀義は時間大丈夫?」


 大荷物を持って出てきた時点で時間を気にする意味はないんだろうけど、一応、聞いておかなきゃいけなかった。中身が全て勉強道具だったら困るし


「ああ!出る時母ちゃんには光晃の家に泊まるって言ってきた!時間は問題ない!」

「だからそんな大荷物なんだ……」


 秀義が大荷物を持って出てきた時点で泊まる気満々だったのは何となく予想していた


「おう!そんなわけで今晩泊めてくれ!」

「いいよ。教えてくれる人が何時に帰ってくるかわからないし」


 教えてくれる人というのはもちろん真理姉さんの事だ。真理姉さんはこの日も教育実習で何時に帰ってくるかわからなかったから泊めるのは全くもって問題なかった


「よっしゃ!で、これから何する?勉強か?」

「僕は勉強が出来る方じゃないって言ったでしょ?教えてくれる人が帰ってくるまでゲームだよ」


 僕達は真理姉さんが帰ってくるまでゲームをしながら時間を潰す事にした。もちろん、自分達で勉強するだなんて選択肢はなかった


『ただいま~』

『『お邪魔します』』


 秀義とゲームを初めてから数時間後、真理姉さんが帰ってきた。それはいいとして、真理姉さん以外の女性が2人いるみたいだった。声を聴いた瞬間すぐに誰だかわかったからいいけど


「真理姉さんが帰ってきたみたい」

「真理姉さん?誰だ?」


 秀義が真理姉さんを知らないのは無理もない。コイツが家へ最後に遊びに来た時には真理姉さんはいなかったからね。


「僕の従姉だよ。今回僕達の勉強を見てもらおうと思っている人でもある」

「光晃って従姉と同居してたのか!?」

「うん。言ってなかったっけ?」

「聞いてない!」

「そう。じゃあ、出迎えに行こうか?あいさつする意味も含めてね」

「おう!」


 僕は秀義を連れ、リビングに向かった


「おかえり、真理姉さん」

「うん、ただいま。珍しいね。光晃が友達を連れてくるだなんて」


 小学校に入学してから僕は家に他人を連れてきた事なんてないから真理姉さんが珍しく思うのは当たり前の事だったけど、秀義を友達と言っていいのかは正直微妙なところだ。幼馴染を友達と言っていいのかな?


「あー、コイツは友達じゃなくて幼馴染の名倉秀義」

「ど、どうも、幼馴染の名倉秀義です」

「ふふっ、光晃の従姉の小谷真理です。よろしくね?秀義君?」

「は、はい!よろしくお願いしまっす!」


 年上女性は畑中で慣れてるはずの秀義が真理姉さんを見て顔を赤くしてるというのは中々に笑える状況だった。それより僕が気になったのは……


「光晃~!会いたかったぁ~!」

「お姉ちゃん……」


 二枝と智花さんがどうして家にいるのかだった。二枝に至っては僕に飛びついて来たし


「ち、知佳……」

「光晃……」


 傍から見れば恋人との感動的な再会に見えなくはないんだろうけど、この日の僕はいろんな意味で疲れていた


「お姉ちゃん、いきなり抱き着いたら危ないでしょ」


 僕の言いたい事を代弁してくれたのは二枝の妹の智花さん。助かったは助かったけど家にいる理由を説明してくれたらもっと助かったよ


「ご、ごめん、光晃、大丈夫?」

「大丈夫だよ。それより、知佳と智花さんはどうして家に?」


 1度抱き着いてきた二枝を引きはがすと不機嫌になる。僕は二枝を抱きしめたまま智花さんに説明を求めた


「お姉ちゃんが光晃君に会いたいって騒ぐから昨日真理に連絡して今日泊めてもらう事にしたの」

「そうでしたか。それは助かります」


 この後、真理姉さんと秀義、智花さんの自己紹介が済み、僕達は夕飯を摂った後、勉強会をした。で、ちょうどいい時間で切り上げそのまま就寝……とはならず、今度は僕と秀義が真理姉さんと智花さんの教材研究を手伝い、この日は全員リビングで雑魚寝となった


今回は教師が授業を放棄する話でした

教師が授業を放棄するだなんて前代未聞とは言い切れないと個人的には思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました


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