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【過去編45】僕は教師に対して危機感を抱く

今回は光晃が教師に対して危機感を抱く話です

この作品も160話を超えました。今更ながらこの作品がどの年代向けなのか分からなくなっている今日この頃。

では、どうぞ

 真理姉さんの指導案が一発合格だったという知らせを受けた次の日。真理姉さんは実習へ、僕は学校へと行く。それはいい。真理姉さんの教育実習は何の問題もなく進んでいるっぽいし。問題は僕の学校の方だった


「先生が学生時代の時はみんなで夜遅くまで下ネタの話で盛り上がったもんだ」


 この時は社会科の授業。でも、教科担任がしている話は地理の話でも歴史の話でもなく、教科担任が学生時代だった頃の話。その手の話をするなとは言わないけど、コイツは授業の話よりそっちのその手の無駄話が長かった


「で、よく合コンにも誘われてなぁ~、モテたのなんのって参っちまうよなぁ~」


 よく過去の栄光にしがみついてる奴は情けないって言うけど、この教師はそれを体現していた。周りを見回してみると寝てる奴がチラホラ、苦笑いを浮かべている奴が数名、他の教科の自習をしてるのが数名で後は下を向いてるのが多かった。僕はもちろん、寝てはいなかったけど机に伏せていた


「そんなモテた俺は数多の女の中から今の奥さんを選んだわけだ!」


 教師の馴れ初めなんて聞きたくなかったし興味もなかった。新婚ならみんな興味を示すだろう。しかし、この教師は新婚じゃないので誰も興味は示さない。むしろ早く終わってくれというのが本音だった。そんな時──────


「おい!岩崎!!お前何寝てるんだよ!!」


 僕は過去の栄光にしがみつく情けない教師に目を付けられてしまった。寝てないにしろ紛らわしい事をしていた僕にも問題はあったと思うけど、授業中に過去の自慢話をしている教師にも問題はあると思う


「え?寝てるように見えました?僕は机に伏せていただけなんですけど?」


 机に突っ伏してたのは認めるけど寝ていた事は絶対に認めない覚悟でいた


「はぁ!?机に伏せて何の動きもなかったら寝てるに決まってるだろ!!何か?そんなに俺の授業はつまらないかったか?」


 決めつけにもほどがあるとか、お前の授業はほとんどが自分の過去の自慢話だろ?授業じゃないよとか言いたい事はいろいろあった。この場面で僕の選択肢としては2つ。事実を言うか、大人しく謝るか。事実を言った場合、僕は畑中の親戚みたいにケガを負わされる可能性があった。謝った場合、畑中の親戚みたいにケガを負わされる可能性があった。うん、これじゃ事実言っても謝っても同じだ


「そりゃつまらないでしょ。授業に関係する話ならともかく、先生のしてるのはほとんどが過去の自慢話ですし。先生は楽しいかもしれませんが授業を受けている僕達からしてみれば退屈なんですよ。眠くもなりますし」


 無駄話をするなとは言わない。常に授業に関係する話だけじゃそれもそれで飽きてしまう。でも、コイツの場合は授業に関係する話よりも無駄話が多い


「みんな楽しそうに聞いてるだろ!!そう思っているのは岩崎だけだ!!」


 何を思って楽しそうだと感じたの?頭大丈夫?こんなのが今でも教師やってると思うと世も末だと思う


「そうですか。まぁ、先生がそう思うのならばそうなんでしょう」


 自分の無駄話を棚に上げ、寝ていた生徒を怒鳴りつける。だけど、考えてほしい。授業時間の大半が無駄話に使う教師の授業を誰が面白いと思うのかを


「ああ!俺は自分の授業が面白いと思っている!だから悪いのは俺じゃなく寝ていた岩崎!お前だ!」


 自分が過去にモテた話を聞かされてそれを面白いと思う人間がどれだけいるだろうか?そんなの面白いって言ってくれるのは飲み屋のネーちゃんくらいだと思ったのは僕だけ?ま、本心じゃ面白いとも思ってないだろうけど、客のつまらない話に付き合って給料を貰っている。それを考えるとご苦労様ですとしか言えないけど


「それはすみませんでした」


 本心じゃ全く悪いと思ってないけど一応謝っておいた。些細な事で怒鳴るような連中だったから反論すると怒鳴られるのなんて目に見えていた。それに、家に電話されても困るだけだったし


「ふんッ!わかればいいんだ!」


 この時は初犯だったのもあったからなのか別室や廊下に呼び出されるだなんて事はなかった。でも、前に寝ていた男子生徒は呼び出して僕は呼び出されない。この差は何だろうと考えずにはいられなかった




 僕の居眠り?騒動の日。教育実習から帰ってきた真理姉さんとの2人だけの夕飯での事


「光晃、学校は楽しい?」

「え?何?いきなり」


 夕飯時の家族との会話。これ自体は珍しくも何ともないんだけど、問題は質問の内容だった


「いや、光晃って小学校の頃からそうだったけど家じゃ学校の話なんてほとんどしないから学校楽しいのかなと思って」

「あっ、なるほど。そう言えばそうだね」


 真理姉さんの言う通り僕は家じゃ学校の話なんてほとんどしなかった。別に話す事じゃなかったから話さなかっただけなんだけど


「で?どうなの?学校は楽しい?」

「う~ん、どうなんだろう?」


 正直な話、学校が楽しいかと聞かれると今でも答えに悩む。小学校の頃だったら普通で済ませるところなんだけど、中学校は本当に学校なのか疑わしくなるレベルで教師が酷かったから尚更だった


「どうなんだろうって……光晃、ちゃんと学校に行ってるんだよね?」

「行ってるよ。ただ、アレを学校と呼んでいいのかはわからないけど」


 学校が楽しいか楽しくないか以前に教師が本当に酷かった。僕の考え方が間違っているのかもしれなかったけど、その上で言うなら自分の自慢話に授業時間の大半を費やす教師がいる。しかも、その教師の自慢話の最中に寝ると逆切れするから始末に負えないなんて口が裂けても言えなかった


「ふ~ん。光晃の学年って荒れてるの?」


 荒れているというのは否定しない。でも、荒れているのは学年じゃなく教師達


「学年は荒れていないと思うよ。でも、先生方が酷くて……」


 学年に興味なんてなかったから実際に荒れているかどうかなんて知らなかった。でも、教師が酷いのは確かだ。いや、最早教師と呼ぶべきじゃないのかもしれない。あれはヤクザの下っ端かチンピラだ


「先生方が酷い?どんな感じ?」


 教職を志す立場の人間からすると気になるのか真理姉さんの目は輝いていた


「何かにつけて怒鳴る。今日なんて社会科の教科担任が自分の自慢話しかしてなかったから寝てたけど、それを見つかって怒られた」

「うわぁ……」


 授業を受けたり会った事のない真理姉さんがドン引きしていたのを見て僕は自分の通う中学は相当酷いところなんだと思った。それと同時につまらない授業なら別に寝ててもいいんじゃなかという思いが芽生えた。


「ドン引きありがとう。でも、何が問題って何かにつけて怒鳴るのは別にいいとして、隣に保育園があるってのが問題なんだよね」


 中学校の場所を移せとも保育園の場所を移せとも言えるわけがないからどうする事も出来なかったんだけど、保育園側からしてみれば隣の中学から日常的に怒鳴り声が聞こえるのは問題だと思う。今じゃ僕の知ってる先生はほとんどいないだろうけど


「確かに、それは問題だよね……って言うか、そんなに怒鳴り声が聞こえるなら保育園に子供預けてる保護者から苦情の1つや2つ来てもおかしくないんじゃないの?」


 真理姉さんの言う通り日常的に怒鳴り声が聞こえるなら苦情の1つや2つ来てもおかしくないとは思う。実際、僕が中学生だった頃は常にどこかで怒鳴り声が聞こえてた


「さぁね。保育園か保育園に子供を預けている親から怒鳴り声がうるさいって苦情が入ろうとそれが原因で教師陣の評価が下がろうと僕には関係ないから」


 苦情が入ろうとそれが原因で教師陣の評価が下がろうと関係ないのは僕だけじゃなく他の生徒にも同じ事が言える。バカみたいに怒鳴っているのは教師であり、生徒の方から怒鳴ってくれと頼んでたわけじゃない


「そ、そりゃそうだけど……でも、些細な事で怒鳴る先生って……」

「いいんじゃないの?それを繰り返していれば生徒にナメられるのも時間の問題だし。僕はもうナメてるけどね!」

「はぁ~……ケガだけしないでよ?」

「それは教師に言ってよ。あっちの方が問題なんだからさ」

「それもそうだね」


 僕が常日頃からケガをしないように気を付けていても力の加減が出来ない教師陣じゃ気を付けていたところで意味はない。


「あっ、真理姉さんに1つだけ聞きたいんだけどいい?」

「ん?何?」


 僕の中ですでに答えは出ていた事ではあったけど、教職について学んだ人の意見もほしかった。この時の真理姉さんは教育実習生だったから聞かれても困る質問だとは思ったけど


「授業中の居眠りって生徒と先生のどっちが悪いの?」

「え~っと……どっちだろう?」


 案の定真理姉さんは困ったような顔をした。教育実習生の頃でこれだから今同じ事を聞いて答えてくれるかどうか……


「わからないの?」

「う~ん……」


 我ながら意地の悪い質問をしている自覚はある。それに、僕の中では答えが出ていたってさっき言ったけど答えはつまらない授業をする教師。寝る方にも授業がつまらない以外の事情があるんだろうとは思う。例えば病気とかね。でも、僕はそういった類の病気は持ってない。そんな僕が寝る授業をする教師が悪いのか、寝てしまう僕が悪いのかなんて簡単だった


「わからないならいいよ。どうしても答えてほしいってわけじゃないから」


 この質問に意味なんてなかった。だって教師に同じ事を聞いたら寝てる生徒が悪いって言うに決まってるし


「そ、そう。ごめんね?答えてあげられなくて」

「別にいいよ。今の反応で決心がついたから」

「決心?何の?」

「つまらない授業で遠慮なく寝る決心」


 中学生故のアホみたいな決心だったとは思う。それでも僕は言いたい。授業中の居眠りはつまらない授業をする教師が悪いとね


「ダメだよ。授業中に居眠りするだなんて」


 教師を志しているだけあって家族の会話であっても居眠りは咎められた


「居眠りしてほしくないならつまらない授業をしない事だね」


 真理姉さんにこれだけ言って僕は食器を下げ、ソファーに寝転ぶ。授業中に居眠りするな?だったら居眠りする隙を与えないくらいの面白い授業をしろっての




 居眠り?騒動の日の翌日。真理姉さんと喧嘩したわけじゃないから気まずいという事もなく、普段通り僕は学校へ、真理姉さんは実習へ行った。それはいいとして、またしても問題発生。今度は理科の授業


「はぁ……自慢話の次は授業を潰して1人の生徒の説教ですか……」


 この日は理科室に移動しての授業だった。理科の授業だし薬品を使ったり実験したりと教室では出来ない事を理科室でする。理科の授業なら当たり前の事だ。問題はその理科の授業を潰してまで1人の生徒を指導(笑)する教師にあるだけで


「これでテスト範囲終わるのかよ……」


 向かい合って座っている男子生徒は教師に呼び出された生徒よりもテスト範囲の心配をしていたけど、僕も同感だった。こんな調子でテスト範囲が終わるとは思えなかった


「畑中も災難だよな。あんなのに目を付けられるだなんて」

「ホントホント、しかも、前回のケガもあの出目金にやられたらしいぜ」


 隣りの理科準備室から怒鳴り声と壁を叩く音が聞こえた。でも、僕には2人の男子がしていた会話の方がよりハッキリと聞こえてきた。そりゃそうか。後ろの席でしてる会話だったし


「ウチの親から聞いたんだけどよ、畑中の親と剣道部に入ってる奴の親全員が学校に苦情を入れたらしいんだよ」

「マジで!?って事はあの出目金クビになっててもおかしくねーじゃん!」

「本当ならそうだったらしいんだけどよ、今回は減給で済んだらしいぞ」

「マジかよ……早くクビになってくれよ……」


 後ろの席では出目金教師のクビを望む会話が繰り広げられていた。生徒から辞めてほしいと思われる教師とか……哀れ過ぎる。授業潰して説教する教師ならそう思われても仕方ないけどさ


 それから、終業のチャイムが鳴り、他のクラスは授業を終えた。僕のクラスは授業が説教のために潰れたから授業じゃない。授業としてはカウントしない。で、当の怒られていた畑中は授業終了後、保健室に行った


「マジであの出目金また畑中にケガさせたんじゃねーの?」


 教室に戻る途中、出目金教師のクビを望む会話をしていた男子2人の片方がこんな事を言い出した


「またかよ……あの出目金、また減給されたら給料ねえじゃん」


 教室に戻る途中、僕は本格的に早く何とかしないとマズイのではないかと思い始めた。



今回は光晃が教師に対して危機感を抱く話でした

授業を潰してまで説教ネタは小学校編でやりましたが、中学校編はもっと悪質にしていこうと思います。っていうか、説教された後でケガして帰ってくる時点で悪質か。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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