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【過去編41】僕の小学校卒業とその後の話

今回は光晃の小学校卒業とその後の話です

小学校卒業してから中学入学前までどう過ごすのでしょうか

では、どうぞ

 伊藤と畑中の迷惑実習生コンビ騒動が終わり、それから時は流れ卒業式。


「光晃~卒業しちゃやだ~」


 卒業式当日、僕は何となく早めに家を出た。これが間違いだったと今では後悔している。教師が早く来るのは当たり前の事なんだけど、学校に着いて早々、二枝に捕まる事になるとは思わなかった


「やだって言われても仕方ないでしょ。小学校は6年間なんだから」


 在学中は会議室に呼ばれ隠れて甘えてきた二枝だったけど、卒業式という事で誰もいないとはいえ教室でお構いなしに二枝は甘えてきた


「でも……でもぉ~」


 教師なんだからベソ掻くなとは言わなかったものの言いたい事はあった


「でもって言われても……智花さんが真理姉さんと友達なら家に来る時に付いてきたらどう?」


 姉同伴で友達の家に遊びに来るのはどうかと思ったりもしたけど、こうでも言わないと二枝は泣き止みそうになかったから仕方ない


「うん……そうする……」


 薄っすら涙を浮かべてはいたものの一応立ち直ってくれたようでよかった


「じゃあもう泣かないでね?」


 普段の僕なら教師が泣いたところで気持ち悪いだけだくらいは言うけど卒業式の日まで毒を吐くのもどうかと思ったのでそれはあえて言わなかった


「うん……」


 それから少ししてクラスメイト達が登校し、クラス全員が揃い無事卒業式が行われた


「俺達も卒業かぁ~……」


 卒業式が終わり、教室に戻った僕達は1人1人が6年間を終えての感想みたいなものを言って保護者と共に下校……


「ごうぜいぃ~!卒業しちゃやだぁ~!」


 とはならなかった。下校しようかというところで無言の二枝に手を引かれ僕は会議室に拉致された


「知佳……」


 会議室に連れてこられたかと思ったらいきなり号泣しながら抱き着かれた。こんな経験をしたのは後にも先にもこの日だけだ


「わだじ……わだじ、ごうぜいがいないどざみじいぃ~」


 涙と鼻水で顔をグチャグチャにした二枝の言ってる事は辛うじて理解できたよ?でもなぁ~……この時の僕はどうすればよかったんだろうなぁ~


「いや、朝も言ったと思うけど、智花さんが来る時に一緒について来ればいいじゃん」


 僕の中には自分から小学校に足を運ぶなんて選択肢はなかったから僕に会う為には二枝が僕の家に来るしかない。まぁ、学校が何も言わないのであれば二枝が1人で遊びに来てもよかったんだけど


「ぞうだげどぉ~……」

「はぁ……」


 こうして僕の小学校卒業は号泣した担任に抱き着かれるという形で幕を下ろした。



 それから3日後。


「暇過ぎる……」


 卒業して学校に行かなくなった僕は暇を持て余していた。言い忘れていたけど、僕が親しくしていた人間の中で中学が同じなのは秀義だけで宮村さんは学区が違うという事で別れてしまった事を言っておこう。で、話を戻すけど小学校を卒業したから小学校に行かなくていいんだけど、真理姉さんは大学、両親は仕事。家にいるのは僕1人。暇を持て余していた


「通わなきゃいけないと怠いけど、通わなくていいとなるとこうも暇になるとは……」


 秀義や宮村さんと遊ぶ事は一切考えず僕は家で暇な時間をどうやって過ごすかを考えた。結局浮かばなかったけど


「ゲームも読書も飽きた……予習って言っても中学の事なんて習ってないしなぁ……」


 ゲームも読書も飽きてしまい予習でもしようかと思ったけど、中学の内容なんて解るはずもなく。って言うか、教科書がないから予習もクソもない


「散歩すると言っても補導されたら面倒だし……」


 平日の昼間から出歩いて補導されたら確実に面倒な事になるのは目に見えていた。


「はぁ……こんな時に暇を潰せる何かがあればなぁ……」


 具体的に何とは言わないけど、暇を潰せる何かがほしかった。例えば、遊び道具とか


「暇だからこのままリビングで寝てしまおう」


 する事がなかった僕はワンパターンになってしまうとは思いつつも寝た。やる事がなかったからこればかりは仕方ない。うん、僕は悪くない



 僕が寝てしまってから何時間経過したのかは知らないから結論だけ言おう。暇を持て余し、やる事が特になくて寝てしまった僕が目を覚ますとなぜか二枝に膝枕されていた


「おはよう、光晃」

「……………なんでここに二枝先生がいるの?」


 二枝がいるという事は夕方か夜の時間帯だってのは解った。でも、どうして僕の家に二枝がいるのかは理解できなかった


「むぅ~!もう卒業したんだから普通に知佳って呼んでよ!」


 二枝は僕の質問をガン無視して呼び方を改めさせようとしたけど僕としてはどうして家にいるのかって事の方が気になった


「ごめん、知佳。で、どうして家にいるの?というか、真理姉さんは?」


 昼間だった事や僕が家にいる事もあってか玄関にカギは掛けてなかったから入ろうと思えば入れる状態ではあった。問題なのはどうして二枝が家にいるかってところだってんだけど


「真理ちゃんと智花は食材の買い出し。知佳がここにいる理由は光晃に会いに来たから」

「なるほど」


 真理姉さんと智花さんがいない理由はいいとして、二枝がいる理由に関してはノーコメント。


「解ってもらえたところで光晃は私にしなきゃいけない事があるでしょ?」

「しなきゃいけない事?キスでもすればいいの?」

「ふえっ!?き、きききききキス!?」


 キスという言葉に反応したのか、それともキスから何かを想像したのか二枝は耳まで顔が赤かった


「キスに反応したのかキスで何を想像したのかは知らないけど、さっきのは冗談だよ?」


 二枝にキスしてしまったらファーストキスの相手が二枝になってしまう。それだと葵衣に何て言われるかはもちろん、バレたら絶対に面倒な事になる


「じょじょじょ冗談!?」

「うん。冗談。それがどうかしたの?」

「何でもないよ!光晃のバカッ!」


 二枝はエサを頬張るリスのように頬を膨らませそっぽを向いてしまった。原因は僕の冗談


「そう。じゃあ、僕は部屋に戻るね」


 僕はそっぽを向いてしまった二枝を放置し部屋へ戻ろうとした。僕は壊れたパソコンと拗ねたりそっぽ向いた人間は放置する主義だ。自分の冗談が原因とはいえ他人の────まして教師のご機嫌取りなんてしたくない


「むぅぅぅぅぅ~!少しは構ってくれてもいいじゃん!」


 二枝は僕の部屋に戻る発言でさらに機嫌が悪くなったけど、僕はそんなのお構いなしだ


「拗ねてなきゃそうしたけど、今の知佳拗ねてるじゃん。僕は壊れたパソコンと拗ねたりそっぽ向いたりする人間は放置するって決めてるだよ」


 元を正せば僕の冗談が原因だから僕が悪いのは明白だったんだけど機嫌を損ねた教師に構いたくなかった


「ふんッ!じゃあ、知佳が満足するまで光晃に抱き着いてるもん!」

「いいよ。それで知佳の機嫌が治るならね」

「うんッ!」

「でも、真理姉さん達に見つかったら面倒だから部屋に戻ってからね?」

「わかった!」


 僕は二枝を連れ部屋に戻った。部屋に戻った途端に抱き着かれた事、夕飯で呼びに来た真理姉さんに見つかり、智花さんにまで知られてその後僕が大変な思いをした事を補足として言っておこう。



 僕が父の海外転勤を知ったのはあれから1週間したある日の夜だった


「か、海外転勤ですか……」


 父から話があると言われリビングに集められた僕、真理姉さん、母。そんな父からは海外に転勤すると言い出した。それもいきなり


「ああ。俺も今日知らされたがな」

「そ、そうですか……」


 父が海外に転勤すると知って戸惑いの色を隠せない様子の真理姉さん。そして、そんな真理姉さんを無言で見守る僕。個人的な意見としては別に父が海外に転勤になったところで寂しいとは思わなかった


「海外に転勤するにあたってなんだが……真理ちゃんは日本に残りたいんだろ?教師になるために」

「ええ……」

「やっぱりな。で、母さんは……」

「付いて行くわ」

「そうか。で、光晃はどうする?」

「僕?」

「ああ」


 中学校入学前に重要な選択を迫られるとは思ったなかったよ……まぁ、僕がどんな選択をしたかなんて言わなくてもわかるとは思うけど


「僕は日本に残るよ。今更新しい国の言葉を1から勉強するの面倒だし」

「そうか。光晃がそう言うなら俺はそれで構わないが……母さんはどうだ?」

「私は光晃の好きにすればいいと思う」


 父は昔から放任主義なところがあったからいいとして、母の言葉は今思い出しても信じられない。これが後に自分の身勝手な理由で許嫁と強引に結婚させようって奴の言葉なんだから


「じゃあ、決まりだな」

「そうね。私は明日仕事先に言っておくわ」


 母が何の仕事をしているかは知らない。でも、簡単に辞められたって事は多分、パートだろう。父による重大発表の次の日、母は職場に辞める事を伝えたらしい。それからというもの、父と母は海外で暮らす準備に明け暮れ、僕と真理姉さんもそれを手伝わされた。そして、1週間後、父と母は日本を発った




 両親が海外に発った1週間後。


「静かだった家がより一層静かに……」


 中学入学前の僕は静かな朝のひと時を満喫していた。元々静かだった家がさらに静かになった事に一抹の寂しさを覚える。なんて事はなく、ただ朝のひと時を満喫していた


「そうだね……」


 僕が海外に発った両親の事を忘れそうになったところで真理姉さんがキッチンからコーヒーとコーラを持って戻って来たけどその表情は寂しそうだった


「真理姉さんは寂しいの?」

「うん……」


 二枝もそうだったし、葵衣や優奈もその傾向があるけど、どうして僕の周りに集まる年上女性は寂しがりが多いんだろう?


「そっか……ねえ、真理姉さん」

「何?」

「叔父さん達が亡くなった時にした約束覚えてる?」


 叔父さん達が亡くなった時に『ずっと側にいる』と約束した。言葉1から覚えるのが面倒だって言ったけど、本当はあの約束があったから僕は日本に残るって言ったのかもしれない


「うん……」

「バカみたいだって思われるけど、僕はずっと真理姉さんの側にいるよ?」

「うん……ずっと側にいてね、光晃」

「わかった」


 僕と真理姉さんが幼い頃にした約束の再確認をした朝だった。そして、僕は中学生になった




今回は光晃の小学校卒業とその後の話でした

二枝が家に突撃してきた事と父の海外転勤以外は特に何かあるわけでもなく普通の日常っぽくしてみました

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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