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【過去編33】僕は朝から疲れる

今回は光晃が朝から疲れる話です

はい、前回同様に二枝先生はキャラがぶっ壊れております。

では、どうぞ

 二枝の無能っぷりを露呈させてやる!なんて一時期息巻いていた。結果として二枝の無能っぷりは露呈したよ?保護者が授業中に怒鳴り込んでくるという形でね。で、その後は二枝を学校から追い出す為にクラス一丸となって二枝をイジメる事にした。でも、その計画は思ったよりも早く終わった。どうしてか。だって……


「光晃♪光晃♪」


 二枝を僕に依存させる事で終結したから。年上の女性に依存され、あまつさえ甘えられるというのは悪い気はしないけど、場所を考えてほしいものだ。小5ながら僕はそう思った


「ち、知佳、ここ学校だからもう少し遠慮してほしいんだけど……」


 本当は教師────まして自分の担任にタメ口、呼び捨てはダメだと思う。でも、そうしないと二枝はへそを曲げるので仕方なかった


「えぇ~!いいじゃん!まだ他の子は来てないしここ会議室だし」


 他の子が来てないのは朝だから。会議室にいるのは僕が2人きりで話したい事があるからって言ったから。僕としては本題に進みたいという気持ちの方が強かったんだけど、それよりも先に二枝が甘えてきた。


「いやよくないよ」


 この当時でさえ教師の不祥事にはうるさかった。それもあるけど、世間体や学校の評判の事も考慮すると二枝が僕に甘えてくるというのは都合が悪かった。特に世間体。僕と二枝が親戚だったら……よくはないんだけど、それでも従弟に甘える姉という事で誤魔化せたんだけど、残念ながら僕と二枝は親戚じゃない


「光晃は知佳の事嫌い?」


 困ったら涙を溜めながら上目遣いで僕を見るのを止めてほしい。女子を泣かせたら騒ぎ立てるのが小学生の特徴だ。じゃあ、自分の担任を泣かせたらどうなるだろうか?考えただけでも頭が痛くなった


「き、嫌いじゃないよ。でも、周りの目とかあるでしょ?」


 小学生に世間体を気にされる教師はどうなんだろう?でも、それくらい二枝はキャラ崩壊が激しかった。かつてイジメ問題に直面した時にこれ以上問題を起こすなと言った人間と同一人物だとは思えない程に


「今は2人きりだよ?」

「それはそうだけど……」

「私だって女の子なんだよ?たまには甘えたいよ……」


 小学生に対して女の子アピールする女教師……アリかナシかで言われれば……秀義的にはアリだと思うけど、僕的には学校ではそういう事は止めて頂きたかったね。うん


「少しだけだよ」


 この時の僕はよく我慢した方だと思う。本当は言いたい事が山ほどあった。例えば、教師の女の子アピール要らないからとか、小学生に甘えて恥ずかしくないのとか。でも、僕はそれら全てを飲み込んだ。拗れたら面倒だったし


「うん!」


 そんな僕の思いなど露知らず二枝は満面の笑みで頷いた


「知佳、聞いてほしい事があるんだけどいいかな?」


 本来なら二枝を甘えさせる予定はなく、むしろこの日に辞表を出させるように持って行くつもりだった。でも、このような状態にしてしまった以上は仕方ない。改善させるべきところ改善させる方向で話を進める事にした。


「うん!何?知佳、光晃の頼みなら何でも聞いちゃう!」


 これが本当に大人の女性なのだろうか?周りにいる年上の女性が母と真理姉さんだけだった僕でも違和感を感じてしまったのは二枝のこれまでの行いと現状を比較したからだ。


「じゃあ遠慮なく言うけど、秀義や宮村さん、クラスメイト達の前ではこれまで通り担任として平等に接する事。これがまず1つ。もう1つは出来ない事がある子に対してイタズラに怒鳴ったりしない事。いいね?」


 教師に対してじゃなく、大人の女性に対してこの言い方はどうかと思ったけど、身体や実年齢は大人でも精神は子供だ。この場合は身体や実年齢に合わせた方がよかったのか、精神に合わせた方がよかったのか……これは今でも判断しかねるところではある。けど、この時は幼い子に言い聞かせるように言うのが正解だったような気がした


「うん!わかった!その代わり頑張ったらご褒美ちょうだい!ね?いいでしょ?」

「いいよ。ちゃんと出来たらね」


 普通は逆なんじゃないかと思いつつもそれを了承してしまうあたり小学生の頃から僕はどこか甘かったのかな?たとえ教師と児童の立場がが逆転してもご褒美を要求するのは……ね?


「やった!」


 ご褒美が貰えると知った二枝は満面の笑みを浮かべた。何かが間違っている気がしてならなかった僕は多分正しい




 怪しまれないうちに会議室を出た僕は同じく会議室を出た二枝と一旦別れ、僕は教室へ行き、二枝は職員室へと戻って行った。


「朝からどっと疲れた……」


 僕が教室へ入るとすでにクラスメイトが何人か登校して来ていたけど、僕はそれどころじゃなかった。まだ授業も受けてないのに疲れ果てていた


「秀義もいるようだし、クラス全員が揃ったところで説明するでしょ。って事でおやすみ……」


 慣れない早起きと今までとは全くキャラが違う二枝に甘えられた事で僕の疲労はマックスを超えていた。そんな僕は机に突っ伏して寝た。そりゃもう梃子でも動かないつもりで


「──────ん!」


 誰かに呼ばれた。教室に入り席に就いた途端に眠りこけた僕はそんな感覚に陥った


「──────くん!」


 また誰かに呼ばれた。でも、僕は起きるつもりはなかった


「─────きくん!」


 きくんって誰だよ……。慣れない早起きと甘えん坊キャラになった二枝のせいでいつもの倍は疲れていた僕は起きる事もせずに心の中で悪態をついた


「────さきくん!」


 ほら、さきくん?呼ばれているよ?早く返事してあげなよ。頭が全く働いてなかった僕は自分が呼ばれているとは全く思わなかった


「岩崎君!起きなさい!」


 ここまで言われたらさすがに僕を呼んでいる事くらい理解できた。でも、起きようって気は全くしない


「…………………………起きてくれないと知佳、寂しいな」

「!?」


 梃子でも起きないと決心していた僕だったけど、これを言われたら起きざる得なかった。僕を起こしていた人間が誰だなんて考えるまでもない。僕をずっと起こしていたのは二枝だった。そして、僕の耳元で囁かれた言葉を聞いた瞬間、僕は勢いよく身体を起こした。


「おはよう、岩崎君」

「お、おはようございます……二枝先生」


 秀義や宮村さん、クラスメイトがいなかったら問いただしていたところだった。


「よく寝てたけど、昨日は眠れなかったのかな?」


 そう言う二枝の笑顔は僕の担任になった時のものだった。その笑顔に見惚れる事もその笑顔を見て恋に落ちるなんて事もなかった。どちらかと言えば僕を起こす時にいったあの台詞


『…………………………起きてくれないと知佳、寂しいな』


 こっちの方がドキッとしたね。主に教師と児童の関係を疑われないかどうかって意味で


「ちょ、ちょっと夜更かしをしてしまいまして……次から気を付けます」


 本当は慣れない早起きとアンタのキャラが違い過ぎて疲れたんだよ。って言いたかったけど、そんな事言えるはずもなく、夜更かしをした事にしておいた。


「うん、そうして。あ、でも、もし辛くなったら言ってね?」

「はい……」

「他のみんなも体調が悪いとかだったら遠慮なく言ってね?」

「「「はーい!」」」


 これまでの二枝からは絶対に出なかったであろう児童を気遣う言葉。これが出るようになった事を考えれば少しは成長したのかな?なんて思ったりもしたけど、どうだったんだろう?


「岩崎君、今日の二枝先生なんか違うね?」


 隣の席で苦笑いを浮かべている宮村さんを見て秀義は何も説明してなかったのか、あるいは二枝を僕に依存させた事は伏せて説明したのかと一瞬思った。でも、宮村さんは二枝が狂った時に僕と一緒にいたから何も知らないなんて事はなかっただろう。でも、この時の宮村さんは何も知らないって感じだった


「宮村さんは昨日一緒にいたから解ると思うんだけど……」

「うん。でも、あんなに優しくなるとは思わなかったよ……」


 宮村さんのこの言葉で納得した。僕と一緒にいて二枝が狂った場面に遭遇し、心のどこかで二枝が変わるとは思っていたけど、劇的に変化するとは思ってなかった。つまり、宮村さんは二枝が変化するんだろうなとは思っていたけど、別人のような感じになるとは思ってなかったみたいだ


「僕もあそこまで変化するとは思ってなかったよ」


 二枝の裏の顔を見たら多分、宮村さんは気絶してしまうんだろうなぁ……。宮村さんのメンタルがどれほど強いのかは知らなかったけど、僕はそう思わずにはいられなかった


「だ、だよね……」

「うん」


 僕は平穏な学校生活を求めていた。それは今でも変わらない。小学校1年の時は教育実習生を排除し、小学校2年生の時は授業をサボった。小学校3年生の時はデリカシーのない担任を当時の校長とかにチクって担任をどうにかした。で、小学校4年生の時は秀義達をいないものとし、二枝の失態を今の校長や教頭に報告した。そんなこんなで小学校5年。この時の学校生活は平穏だったと言えるのかな?


「でも、さすがに昨日のアレを目の当たりにしてると同一人物だとは思えないよね」

「そうだね」


 宮村さんがそう思うのも無理はなかった。狂う前と後じゃキャラが違い過ぎた。そんな二枝に戸惑っていたのは宮村さんだけじゃなく、クラス全員がそうだった。みんな二枝の変化に戸惑い、授業中に騒ぐ奴はいなかったけど、それ以上に放課後になった途端にゲッソリしていたのをよく覚えている。


「や、やっと終わった……」


 朝のHRから始まり、1時間目、2時間目とこなした僕達は帰りのHR、掃除を済ませ後は帰るだけ。そう、他のクラスメイト達はね。僕は違った。放課後、僕は二枝に呼び出されていた。場所はもちろん、朝と同じ会議室。苦手な算数を克服するという名目で僕は二枝と2人きりになってしまった。


「光晃♪光晃♪」


 朝と同じように2人きりになった途端に抱き着いてきた二枝。その姿は間違っても他の教師には見せられたものじゃなかった。保護者になんて持っての他だ。こんなところを見られたら……二枝はクビになってしまう。そうなったらウザい教師と教育実習生を排除できる奴がいなくなる。それだけは避けたかった


「まったく、知佳は甘えん坊だね」


 朝の一件で二枝はへそを曲げると機嫌を直すのに時間が掛かるタイプの人間だと知った僕は2人の時だけ二枝を下の名前で呼び、タメ口で話すようになった。たった1日でよく順応できたと当時の僕を褒めてあげたいよ……


「うん!知佳は甘えん坊だよ?それにすっごく寂しがり屋なの!」


 僕に甘える二枝を見て思ったのはこの人は今までどうやって生きてきたんだろう?それだけだった。というか、自分の目の前にいるのは誰なんだろうか?僕は目の前が真っ暗になった





今回は光晃が朝から疲れる話でした

前回同様に二枝先生はキャラがぶっ壊れておりました。何でしょうね……今までの問題が起きても対処しない、勉強で分からないところがあっても勉強しろとしか言わない。こんな教師よりは多分、可愛げがあるのではないか?とは思いますけど・・・・・

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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