表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/214

【過去編30】僕は宮村さんと別行動をとる

今回は光晃の計画です

光晃の計画がバレてしまった

では、どうぞ

 秀義が誠意もクソもない謝罪をした日。その日の5時間目終わりの事だった


「今日は君達の先生への態度について話し合うから放課後は残っているように!!」


 二枝が放課後居残って教師たる自分への態度が悪い事について話し合うと言い出した。そんな事言ったらどうなるか?答えは────────────


「はぁ?ふざっけんなよ!俺今日はサッカーの練習があるんだけど?」

「僕は塾があります!」

「私はピアノ教室があるんで無理です!!」

「俺は──────」

「私は──────」


 ヤジが飛ぶでした。二枝の提案にクラスメイト達はヤジを飛ばす。当たり前だよね。放課後はそれぞれ習い事だったり学習塾だったり友達と遊んだりと予定がある。それを二枝ごときの話し合いで潰されたら堪ったもんじゃない


「静かに!!これは決定事項です!!みんな放課後は残るように!!」


 二枝の暴論にはつくづく呆れるしかなかった。元はと言えば児童への態度が悪かったのは二枝だ。保護者が怒鳴り込んできた上に1週間謹慎になったという苦い過去からどうして学ばない?放課後に児童を残して苦情が来たというのは4年の頃にあった。そこから何も学ばなかったの?って二枝に会う事があったら聞いてみたいものだ。


「はーい!俺は残りまーす!」


 クラスメイト達が文句を言う中、秀義だけは残ると言った。でも、その時にどうして僕の顔をチラッと見たんだろう?


「よろしい!みんなも名倉君を見習って残るように!」

「「「「はーい……」」」」


 クラスのリーダー的存在だった秀義が残ると言ったから渋々だったとは思う。それでも納得した様子のクラスメイト達


「うん!じゃあ私は一旦職員室へ戻るけど、大人しくしてなさいよ?」

「「「「はーい……」」」」


 放課後に居残って先生への態度について話し合う。みんなこれが憂鬱なのか返事に覇気がない


「さて、光晃」

「何?」

「お前、4年の時にどうやって二枝先生の話し合いから抜け出したんだ?」


 二枝が出て言った瞬間、僕に話を振る秀義を見て何となくコイツの言いたい事が理解できてしまった


「あの時は保健室に行くって言ってそのまま家に帰ったけど?」

「そうか!よしっ──────」

「でも、あの時は僕1人だったからそれで通じたけど、今回はクラス全員でしょ?そんな手が通用するわけないでしょ。二枝だってバカじゃないんだから」


 何かを思いついたであろう秀義の言葉を遮って僕は事実を突きつける。4年の時は抜け出すのが僕1人だったから成功した。でも、この時はクラス全員が二枝の話し合いから逃げたいと考えていたからこんな手が通用するはずがない。こんなのはちょっと考えればすぐにわかる


「がーん……」

「いや、がーんって……少し考えればわかるでしょ。全く……」


 保健室に行くのは1人か2人……多くて3人が限界だけど、方法がないわけじゃない。


「だ、だってよぉ……」

「保健室に行くのが1人か2人……多くて3人。それだけなら二枝だって疑いはしないだろうけど、さすがにクラス全員が保健室に行ったら怪しむって」


 僕は落胆する秀義現実的な考えを突きつけた。保健室の広さと養護教諭の数を考えよう……


「じゃ、じゃあ、どうするんだよ……?このままじゃ話し合いまっしぐらじゃねーかよ……」


 秀義の言葉に顔を青くする者、涙目になる者等様々な反応を示すクラスメイト達。コイツ等は学校には最高の隠れ家がある事を知らないな


「別に保健室に行かなくても学校には最高の隠れ家があるじゃん。体育館っていう最高の隠れ家がね」


 僕の通っていた体育館はステージには当たり前だけど上座と下座がある。でも、重要なのはそこじゃない。ステージ上座、下座の奥。学習発表会で言うならステージの控え。そこは地下通路で繋がっていた。隠れられる場所ならいっぱいある


「体育館?あそこはただ広いだけじゃねーか」


 僕はこの時の秀義に言いたかった事はただ1つ。学校の構造くらい覚えろ。それだけだった


「あのねぇ……体育館には体育用具室とか、ステージとかあるでしょ。そこに隠れろって言ってんの!隠れる場所は各自の判断に任せるから」

「あっ!そうか!なるほど!」


 僕の言葉で何かを思いついた様子の秀義


「何か思いついた?思いついたならそれを他のみんなと話してきなよ。あ、僕は保健室に行くから」


 別に僕だけ楽をしようとしているわけでも二枝に秀義を始めとしたクラスメイト達を売り飛ばすなんて事をするつもりはなく、ただ、僕は別口で動く必要があり、そのために保健室に行く必要があった


「光晃、お前まさか楽して帰ろうだなんて考えてないよな?」

「それはない。とにかく、放課後はクラス全員で体育館に立てこもるか早々に帰ってよ?僕には僕でやる事があるんだからさ」


 別にこの時に僕が何を考えているかを話してもよかった。でも、そうするとどこかでボロが出る可能性があったから言わなかった


「お、おう……」


 口では納得して見せたけど本心じゃ納得してない。秀義の態度はそう言っていた。秀義には正直に話してもよかった。でも、ボロを出されたら僕の計画がパーになりそうだから敢えて言わなかった


「じゃあ、みんなとどうするか相談してきなよ」

「おう!」


 秀義は意気消沈しているクラスメイトの元へと向かった。これで計画の邪魔になりそうな奴を1人排除する事が出来たと僕は内心ほくそ笑んだ。でも──────


「岩崎君は放課後保健室に行くつもりでしょ?」


 もう1人いた事を忘れていた。そう、宮村さんだ。彼女ならボロを出さないとは思うけど二枝に対して余計な情を抱かれると面倒だとは思った


「そうだけど?それがどうかしたの?そんな事より宮村さんも秀義達と放課後はどうするか話し合ったら?」


 別に1人で突っ走るつもりはなかった。ボロを出さないのなら1人くらい増えても何も問題はなかったからね。問題はその面子ってだけで


「私はいいかなぁ~……それより、岩崎君が放課後何をするか気になるし」


 僕はまだ何も言ってないのに宮村さんは放課後僕が何かする事を前提で話を進めてきた。


「別に何もしないよって言っても無駄なんだよね?」

「うん」


 一時期宮村さんとはぶつかる事があったとはいえ恋人でもないのに僕の事をよく理解している女子は葵衣を除くと後にも先にも宮村さんだけだったのかもしれない。それは置いといて、秘密裡に動こうとしていた僕にとって宮村さんを引き入れるか引き入れないかは重要な事になってくる。


「秀義や他の子には内緒にできるかな?」

「うん!」


 僕の決断は宮村さんを僕の計画に引き入れるだった。彼女が僕の考えてる事ややりそうな事を他の子に喋るとは思えなかったけど、黙っていると黙っているで面倒な事になる。ならば早々に引き入れてしまおうと考えた


「じゃあ、放課後は僕と一緒に保健室に行くって事でいいね?」

「うん」


 秀義の方も放課後の行動が決まったらしく帰りの会が終わり次第全員で逃走するらしかった。そんな秀義に僕と宮村さんは別行動をするとだけ伝えたところで二枝が教室にやって来て話は終了。




「さて、行こうか宮村さん」

「うん」


 帰りの会が終わり、二枝が職員室へ戻ったタイミングで秀義とクラスメイト達は逃走した。で、残った僕と宮村さんは保健室へ向かう。都合のいい事にこの日は養護教諭が不在だった。僕達は二枝が職員室から出たのを見届けた後、職員室に入りそこにいた先生に声を掛け保健室へ。


「宮村さん、一応カギ掛けといて」

「わかった」


 職員室でカギを受け取った僕達はカギを開け保健室の中へ入った。これからする話は他言無用だったので保健室の中へ入るとすぐに僕はカギを掛けるように宮村さんに指示する。そして、カギを掛けた事を確認しいよいよ本題へ


「カギをかけたところで本題に入るけど、これから言う事は他言無用でお願いね?」

「うん……」

「秀義やクラスメイト達には二枝をイジメるように言った。それは宮村さんもよく知っていると思う」

「うん。その時私もいたから知ってるよ。それがどうかしたの?」

「いや、念のために確認しただけ」


 二枝をイジメて担任を下ろすという計画を話した時に宮村さんもその場にいた事なんて僕が一番よく知っている。でも念のための確認は大事でしょ


「そう。それで?名倉君達と別行動しようとした理由は何かな?」


 顔は笑っているのに目が笑ってない宮村さん。怒らせた女子というのはある意味教師より怖い。小学生で学ぶことじゃないとは思うけど、僕はそれを小学生で学んだ


「秀義達が二枝をイジメ、僕は陰ながら二枝の味方をする。これが別行動しようとした理由だよ」

「えっ……?」


 僕が別行動をする理由にポカーンとする宮村さん。信じられないとポカーンとするのも信じられないというのもよく理解できる。1番最初に二枝と対立したのは僕だったから。そんな僕が陰ながら二枝の味方をするだなんてあり得ないと思われても仕方のない事だった


「ビックリしてるとこ悪いけど、僕は心の底から二枝に味方するわけじゃないよ?」

「え?え?どういう事?」


 僕の言葉に目を白黒させる宮村さんは見ていて面白かった。そりゃそうだろう。僕が教師の味方なんてするような奴じゃない事はそこそこ長い付き合いの宮村さんなら知ってただろうし


「僕は影ながら二枝の味方をする。でも、それは二枝を助けるわけじゃなく二枝を追い詰める為。よく言うでしょ?すぐわかる嘘を吐かれているうちが花だって」


 説明が面倒になってきたとはいえ『すぐわかる嘘を吐かれているうちが花』だなんて事はよく言わない。


「いや、そんな事はよく言わないと思うけど……とりあえず岩崎君は二枝先生を追い詰める為に陰ながら味方をするって解釈でいいの?」

「うん。っていうか、よくわかったね?」

「そこそこ付き合い長いからね。それに、3年の頃から何となく岩崎君は学校の先生嫌いなのかなって思ってたし」


 柔らかい微笑みを浮かべる宮村さんは少しだけ大人に見えた。そして、同時に宮村さんの観察眼の鋭さにただ感心するだけだった。

今回は光晃の計画でした

何だかんだで光晃の計画は宮村さんにバレてしまいましたが、後にも先にも恋人じゃない女子で光晃の考えている事を見破ったのは彼女だけ(真理と葵衣除く)

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ