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【過去編29】僕は教室が騒がしくなった事を楽しむ

今回は説明から実行までです

秀義のキャラ崩壊してます

では、どうぞ

 秀義、宮村さんと二枝を学校から追い出す事を決めた日の放課後、僕達はクラスメイトを残し、二枝追い出し作戦に参加する同士を集めた。結果は全員参加という結果になってよかったね!とはならず、僕には具体的に何をするかを説明する任務が残っていた


「じゃあ、今から具体的に何をするかを説明するよ」

「「「「「「「うん!!」」」」」」


 教壇に立ち具体的な内容の説明を開始する僕の周囲には大勢の人が。その中には秀義と宮村さんもいる


「って言ってもやる事はそんなにない。ただ、君達には勉強と意味がわからないって二枝の授業中に連発してもらうだけ。後は二枝からの扱われ方にすこしでも理不尽さを感じたら親や教頭、校長に言いつけるぞって脅してもらう。やる事はこれだけだよ。以上!説明終わり!何か質問は?」


 ザックリとした説明になってしまったけど、秀義と宮村さんを含むクラス全員にしてもらう事はこれだけだった。


「はい!」

「はい!宮村さん!」


 質問がないか聞いてみて真っ先に手を挙げたのは宮村さんだった


「授業中の連発と脅すのはわかるけど、どうして勉強?これじゃ岩崎君だって二枝先生と言ってる事同じだって思われちゃうよ?」


 宮村さんの言った通り勉強しろとしか言わないなら二枝と同じだ。でも、僕はただ勉強させるわけじゃない。僕の本当の狙いは別にあった


「確かにただ勉強しろと言うだけなら二枝と何も変わらない。僕の言い方が悪かったね。江口さんの親が怒鳴り込んできたのは国語の出来ない江口さんを二枝が怒るだけ怒って何もしなかったからってのもあると思う。本来ならどこがわからないかを聞いた上で江口さんの国語に対する苦手意識を少しでも解消するのが二枝の仕事だと僕は思っている。で、クラス全員が苦手教科を少しでも克服し二枝の立場を無くせばいい。だから勉強しろって言ったの」


 正確にはちょっと違った。本当はある程度予習しておけば二枝の授業で意味わからないと連発し、やってみろと言われた時に出来たら確実に二枝の立場がなくせる。これが僕の本当の目的だった


「なるほど……」


 僕のわかりづらい説明にうんうんと納得する宮村さんとクラスメイト達。こんな説明で理解してくれる辺りが小学生だ。この時の僕もだけど


「他に何かある?」


 僕的には解りやすく簡潔に説明したつもりでも聞く方からしてみたらわかりづらいと思う事もある。何を教えるにしても相手にわかりやすくというのは当たり前だけど、その後でわからなかったところがあるかどうかを聞くのは僕の中では当たり前だ


「はい!」

「はい!秀義君!」


 今度は秀義か……と思いつつ手が挙がったので指名した


「勉強って別に1人でしなくてもいいんですよね?例えば仲のいい友達と一緒にやっても構いませんよね?」


 僕は勉強してもらうとは言ったけど1人でやれとも友達とやるなとも言ってない。やり方は自由だ


「1人でやれとも友達とやるなとも言ってないからね。好きにしなよ」

「了解であります!」


 軍人の真似をして敬礼して見せる秀義。そう言えばこの頃って軍人ごっこが流行ったっけ?


「もう質問ないよね?ないなら解散にしたいんだけど?いい?」


 この後は特に質問らしい質問はなくそのまま解散となった。




 その日の深夜。


「クラスじゃああ言ったけど、本当は他にも計画があるんだよね」


 僕は自室で1人呟いた。実は秀義達には言ってなかったけど二枝を追い出す計画にはもう1つ別のやり方があった。二枝をイジメるのは本当だけど、その後の事を僕は誰にも言ってなかった


「まぁ、二枝を追い詰めるのは秀義達がやってくれるだろう。一体何日で壊れてくれるかな?」


 小5の頃の僕は狂っていたと思う。1人の教師──────いや、1人の人間を追い詰めてたのだから……教師というオモチャを手に入れてはしゃいでいたのかもしれなかった


「明日から楽しくなりそう……」


 僕は翌日二枝が学校に来る事を心待ちにしながら眠りに就いた




 次の日。僕は寝不足になるなんて事はなく、普通に起きて登校し、教室に入った。


「よぉ!光晃!」

「おはよう、岩崎君」

「おはよう。秀義、宮村さん」


 二枝が来てないからなのか普段と同じように会話をしたり本を読んだりしているクラスメイト達。二枝が担任として戻ってきた時が計画実行の時だ


「いよいよ今日だな……」

「そうだね……」


 まだ二枝が教室に来てないというのに妙に緊張した様子の秀義と宮村さん。緊張してもいい事なんて何もないのに


「緊張してもいい事なんて何もないと思うよ?リラックスリラックス」


 教師をイジメるのに緊張するというのもどこか変なように感じるけど秀義と宮村さんにとって初めて教師に盾突くんだから緊張するのも仕方なかったのかもしれない。僕は別に緊張なんてしなかったよ?小1の時に実習生に、小2教師と実習生に、小3、小4の時は教師に盾突いてきたからね。二枝に盾突くくらい何てことなかった


「り、リラックスって言われてもよぉ……俺、先生に逆らった事ないんだよぉ……」


 秀義にしては超弱気だった


「それは僕を除いたこのクラスにいる子みんなそうだから。秀義だけじゃないから」


 僕は1年生の頃から教師または教育実習生に盾突いてきた。だからというわけじゃないけど、教師や教育実習生のコケ脅しなんて怖くもなんともない。まぁ、教師の脅しなんてたかが知れてる。自分の負けが決定するとすぐに言う。家に電話するって


「そ、それはそれでどうかと思うぞ?」

「うるさいよ。さっきまでビクビクしてたクセに」


 ついさっきまで怯えてたクセに今度は掌を返したかのように僕に意見する秀義。こんな事で二枝を追い出せるのかと先行きが不安になった。




「せんせー、意味がわかりません」


 1時間目の授業にて僕は前言を撤回したくなった。やる前はビビっていた秀義が1時間目の授業が始まり、二枝が教科書の内容を説明し始めて途端にこの有様。とても同一人物だとは思えなかった


「どこがわからなかったの?名倉君」


 二枝が戻って来て最初の授業。さすがに二枝もこの1週間で反省したのかイタズラに怒る事はしなかった。でもね、もう遅いんだよ。1度壊れた信頼関係は簡単には戻らない。二枝、君は僕や江口さんに対してただ怒鳴り散らした事で児童達の信頼を失ってしまったんだよ


「全部でーす!って言うか、先生の授業つまんなーい」


 秀義の言葉を引き金にクラス内はざわつき始めた。この時の僕はどこからツッコめばいいかただ戸惑うばかりだった。秀義の変わりようからツッコめばいいのか、それとも、意味がわからないと連発しろとは言ったけど、授業中に騒げとは一言も言ってなかったからそこからツッコめばいいのか……


「ど、どこがつまらないのかな?」


 反抗してくるはずのない児童からの反抗に戸惑っている様子の二枝。でも、二枝だって教師だから反抗される可能性と言うのは考慮してたはずなんだけど……その辺はどうだったんだろう?


「たーかーら!全部だって!先生の授業って俺達に知識を押し込もうとしてる感じがするんだよ」


 秀義の言っている事は間違ってはいなかった。ただ説明を聞くような授業なら学校で受ける必要はない。僕個人としては途中教えているところに関連付けた小話の1つでもほしいところだった


「でも、これは算数の授業だから先生が説明するだけになっても仕方ないと思うけど……?」


 確かに算数の授業と言うのはみんなで考える場面が少ないと思う。でも、そこを工夫するのが教師だと思う。例えば、黒板に問題を書いて児童に前に出てきてもらって解かせるとか、発表が苦手な子だったら先生が答えだけ聞きに行ってそれを黒板に書くとか。二枝にはそう言った工夫が足らないと思った


「んー?でもやりようは他にあっただろぉ?なぁ、みんな?」


 秀義の意見に『そうだそうだ!』とか『ただ聞いてるだけじゃ暇だよねー?』という声が上がり、教室内はヤジが飛び交うようになった。もしかしなくてもこの連中はこの状況を楽しんでないか?と思ったのは正しい反応と言えるだろう


「二枝先生はこの状況をどう乗り切るのかな?」


 ヤジが飛び交い、教室が騒がしくなる中、僕は二枝がどうこの状況を乗り切るのか楽しみで仕方なかった。教室全体が騒がしくなる。その騒いでいる児童達を如何にして宥めるか。小学校教師に求められる裁量の1つだと僕は思っている


「岩崎君、もしかしてこの状況を楽しんでない?」


 僕以外に騒いでない児童。言わずもがな隣の席に座る宮村さんだった


「楽しんでるよ?去年のイジメ問題の時はアイツは教師としての役割を果たさなかったし」


 4年の時の事を根に持ってたわけじゃない。でも、イジメ問題を解決とまではいかないけど解消すらできなかった二枝が騒いでる児童達をどうやって宥めるかは見ものだった。少なくとも退屈な授業を受けているよりはね


「あ、あはは……そ、そのきょ、去年はごめんね?」

「別に宮村さんに謝ってほしくて去年の事を持ち出したわけじゃないよ。ただ、去年の一件が一番例として挙げやすかっただけで」


 宮村さんに罪悪感を抱かせる為に4年の頃の事を言ったわけじゃない。二枝が無能だという事を証明できる例が4年の頃のイジメ問題だってだけで


「うん……でも、あの時言った事は嘘じゃないよ?」


 あの時とは4年の時に校長室で言った事だ。でも、僕の側にいてもいい事なんて何もないんだけどね


「そう。好きにすれば」

「うん!」


 ヤジが飛び交う教室で傍から見れば甘いと思われても仕方ない雰囲気だったであろう僕と宮村さん。でも、そんなものはコイツの一言で吹き飛んだね。


「いい加減にしなさいッ!!5年生にもなってどうして反抗的なの!?君達はッ!!」


 二枝の怒鳴り声により秀義を始めとするクラスメイトビックリ、僕は予想してたからそこまで驚かなかった。で、宮村さんは僕と話していたから目を丸くするだけだった。特に驚いた様子とかなかった


「ごめーんちゃい☆」


 最初に教室を騒がせる原因となった秀義は反省の色が全く見えない謝罪をしただけだった。君はある意味で僕よりも度胸があるんじゃないかな?







今回は説明から実行まででした

秀義がウザキャラになっていましたが、これも作戦の内?だったりしなかったりでした

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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