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【過去編15】僕はイジメに関して何も感じていなかった

今回は学校を抜け出した後からのスタートです

学校を抜け出し、家に帰ってきた光晃ですが、その後はどうしたのでしょうか?

では、どうぞ

 花瓶騒動が起きたその日の帰りの会で二枝先生は宣言通り犯人捜しをした。方法は朝の会と同様にクラスメイト全員が机に伏せ、手を挙げるというものだった。だけど、犯人が素直に名乗り出るなんて事がないって事は小4の僕でもわかった。じゃあ、その二枝先生のおバカ行動について少しだけ話をしよう


「花瓶を置いた子が名乗り出るまで返しませんから!」


 犯人が名乗り出るまで帰りの会が終わるどころか帰宅すら許されない。だけど、さっきも言った通り犯人が正直に名乗り出るなら世の中に指名手配犯なんて存在しない。


「「「…………」」」


 二枝先生の宣言に朝は嬉しいと思った僕だったけど、帰りはウンザリする。帰りの会を終え、教室等の掃除が終われば帰れる。しかし、帰りの会すら終わらないのであれば掃除すらできない。この二枝先生(バカ)の無駄な行為がここまで酷いとは思ってなかった


「さぁ、岩崎君の机に花瓶を置いた人が名乗り出れば帰りの会は終わりですよ?早く名乗り出てください!」


 何回も言いたくはないけど、犯人が素直に名乗り出たら世の警察は指名手配犯を逮捕するのに苦労はしてない。


「はぁ……」


 小学生ながら二枝先生の無駄な行動に溜息しか出ない。そもそも、この時は確たる証拠はなかったけど、指示したのは須山だってのは大体予想できた。そして、その須山に言われて実行した犯人がいる。でも、教室に入ってきた時にクラスメイトがニヤニヤしていた事を考えればクラス単位での共犯。つまり、犯人はクラスメイト全員だって可能性もあり得る


「さぁ、どうしましたか?早く名乗り出てください」


 若手の教師が全員バカだとは思いたくはないけど、二枝先生を見ていると若手の教師はみんなバカなんじゃないかと思われても仕方ない。実際問題そう思われても仕方ない行動をしているわけだし


「仕方ないか……」


 僕は自分が犯人だと言うつもりは毛頭なかったけど、こんな時間の無駄になる事を終わらせる案は思いついた。しかも、自分だけがこの無駄な行為から逃れられるとっておきの方法を。僕はそれを即座に行動に移した


「どうしました?岩崎君?手なんて挙げて。まさか、あなたが犯人なんじゃないでしょうね?」


 コイツは本物のバカだ。どうして僕が自分の机に花瓶なんて置かなきゃいけないのやら。今となっては二枝がどうしているかなんて知る由もないけど、もし、教師を続けているのならとんでもない無能教師になっているんだろうなぁ


「ほ、保健室に行かせてくれませんか……?さっきから寒気が止まらないんです……」


 僕の自分だけが助かる案。それは体調不良を訴え、保健室に行くフリをしてそのまま家へ帰る。僕だけが助かる案。別に僕がその場で一言『もういいですよ』って言えばクラスメイト全員が解放されるだろう。だけど、この時から僕は少しずつ狂っていってたせいなのか、自分だけが助かる方法を思いついてしまった。


「まぁ、岩崎君は花瓶を置かれた被害者ですから……いいでしょう」


 朝の会を長引かせ、1時間目の授業を潰してまで犯人捜しをするような無能教師だ。寒気がすると言えば教室を抜け出せるだろうなとは思っていたけど、本当に上手くいくとは思ってなかった。


「あ、ありがとうございます……」


 二枝に礼を言い、荷物をまとめて教室を出ようとした。しかし────────────


「岩崎君、保健室に行くのにそれは必要かしら?」


 二枝が言うそれとは僕が持っている荷物の事だった。授業中に保健室に行くのであれば荷物は早退の許可でもない限りは必要ない。そう、授業中ならね


「場合によっては保健室の先生にこれを持ってこいって言われるかもしれないので……」


 二枝が荷物をそれと言ってくれて助かった。クラスメイトに知られたら暴動が起きるところだった。それに、僕も直接荷物とは言わずにこれで済ませる事ができたし


「それもそうですね。まぁ、いいでしょう。ですが、どこも悪くなければ戻ってきなさい。いいですね?」

「はい、わかってます」


 僕は教室に戻る気はサラサラなかったけど、それを言ってしまうと計画がパーにされる恐れがあった。だから、一応、はいと言っておいた。そして、僕は荷物を持って教室を出た


「作戦成功!」


 学校から抜け出した僕は教師を出し抜いた喜びに浸っていた。今じゃ教師を出し抜く事に対して何も感じなくなっているけど、初めて教師を出し抜いた時の喜びというか、嬉しさは計り知れなかった。そりゃ、年下の。それも、自分の倍は生きているであろう人間を出し抜いたんだ。喜びも大きいと言うものだ



 僕が学校を抜け出したその日の夜の事だった


「光晃、名倉さんって人から電話だよ?」


 リビングでくつろいでいた僕を真理姉さんが呼びに来た。秀義から電話されるような事も秀義の家から電話されるような事もした覚えがなかった僕は何の用だとは思ったけど、真理姉さんが電話を受け、僕が家にいる事を言ってしまったため、出るしかなかった


「はぁ……僕はいないって言ってくれたらよかったのに……」


 秀義の────いや、学校の事は思い出したくなかった。真理姉さんに八つ当たりしても仕方のない事だったけど、人の気持ちって言うのは簡単に割り切れるものじゃない。


「そんな事言わないで、早く出てあげなよ。なんか急いでるみたいだったよ?」


 急ぎの用事だったらなおの事僕じゃなくて他の人に言うべきなんじゃないか?と思ったね。


「何かは知らないけど、とりあえず出てくるよ」


 急ぎの用事っていうのが何かは知らないけど、僕が出ない事には始まらない。真理姉さんの言い方だとそんな感じだった


「もしもし、お電話変わりました。光晃です」

『あ、光晃君!?うちの秀義がまだ帰ってないんだけど、知らない?』

「知りませんけど、何かあったんですか?」

『それがあの子まだ帰ってきてないのよ……光晃君何か知らないかしら?』


 僕は二枝に嘘を吐いて学校を抜け出した。で、ここから導き出される答えは僕の憶測でしかなかったけど、あれしかない。そう、二枝の犯人捜しがまだ続いている。それしかない


「何かって言われましても……そういえば、今日、僕の机の上に花瓶が置いてあったんですけど、その犯人捜しのために担任が張り切っちゃって……もしかすると秀義君はまだ残されているんじゃないんですかね?」


 普通ならある程度粘って見つからなかったらその日は解散させるようなものだけど、二枝はどうやら違ったようだった。夕暮れになるまで児童を拘束し、是が非でも犯人を見つけ出そうとする奴だったようで、僕が被害者とはいえ、ここまでするとは思ってなかった


『学校ね?わかったわ!』


 秀義の母は僕の返事も聞かずに電話を切った。この日、僕が嘘を吐いて学校を抜け出した事が後にクラス全体を敵に回す事になり、その結果、秀義や宮村さんの存在価値が僕の中で著しく下がる事になる。ちなみに、本当はこの日、僕は嘘を吐いて学校を抜け出したけど、保健室の先生は自分が帰宅していいって言った事にしてくれた事によってお咎めはなしだった。そして、二枝は児童を遅くまで拘束するような事があれば何等かの処分をすると校長に言われたらしい



 僕の花瓶騒動から数日後────────────────


「またか……」


 数日前と同じように机の上には花瓶が置いてあった。何て言うか、イジメるにしても同じ手口を使うとは……センスがない。イジメられる立場の人間が思うような事じゃないけど、そう思ってしまった


「「「…………」」」


 これも数日前とやり方が同じだけど、クラスメイトはニヤニヤして僕を見ていた。ただ違ったのはニヤついている連中の中に秀義と宮村さんがいた事だった。裏切られたなんて思わなかったけど、さすがにウザいな……とは思ったね


「はぁ……」


 数日前とやり方だと『どうして』という感情よりも先に溜息が出てしまう。自分がイジメられている。そんな自覚は黒板の落書きの時であった。そして、イジメというものは幼い頃もあったという事も知っていた。ただ、陰湿さの度合いが違うだけで


「おい、光晃。その花瓶戻して来いよ」


 ニヤニヤした秀義が僕の方へとやってきた。この時から僕は秀義を幼馴染として扱うのを止めた。今もそうだけど、秀義を幼馴染としては扱っていない。いや、そもそも人間として扱っていないの間違いか


「そうだね。僕はこれを元の場所に戻してくるよ」


 僕は荷物を持ったまま花瓶を元の場所……男子トイレに戻しに行った。


「はぁ……食べ物に集るハエがウザいと思う前に潰しておくかな」


 花瓶を男子トイレに戻しに行く途中、僕はイジメが悪化する前に止める策を考える。だけど、いい案が浮かんでこない。何しろ敵はクラス全員だったから。僕がいくらイジメられてますと叫んだところでクラスメイト達────いや、ゴミ共が声を揃えてやってないと言う事は目に見えていた


「秀義と宮村さん……いや、ゴミ2人程度だったら親にチクればいいけど、全員だもんなぁ……しかも、証拠がないし……」


 秀義と宮村さんだけなら証拠がなかろうと親にチクればすぐに吐く。けど、クラス全員となるとそうもいかなかった。


「しばらくは泳がせておくか……」


 クラス全員を潰すのには骨が折れる。だけど、同時にどうやって潰そうか?と考えているとワクワクする自分がいた。




 その日の夜、僕は真理姉さんや両親と特に面白くもないバラエティー番組を見た後、これまた特に面白くもないドラマを見ていた。どちらも本当に面白いとは思ってなかった。しかし、ゴミ共を潰すには持ってこいの小道具は見つけられた。


「録音機と小型カメラか……」


 見ていたバラエティー番組の特集は犯罪……特に盗撮に関する特集だった。そこで僕は小型カメラの存在を知った。そして、刑事ドラマでは録音機を使用して金を強請ろうっていうシーンだった。どちらも悪い事に使うから犯罪になるわけで、イジメの証拠としてなら犯罪にならない。と僕は考えた。


「父さん、録音機と小型カメラ持ってるかな……」


 録音機はともかく、小型カメラなんて普通は持っているはずがない。でも、そんなに高いものでもなかったら買ってもらおうかな?僕は小型カメラの値段は知らなかったので軽い気持ちでいたけど、実際、下は3桁から上は4桁でいろいろあるみたいだった




今回は学校を抜け出した後からのスタートでした

学校を抜け出した後は普通に過ごしていたみたいですが、まさか、秀義がイジメに加担することになるとは・・・・でも、証拠がないからまだそうだとは言い切れない状況です

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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