【過去編13】僕の担任は若い女の先生のようだ
今回は光晃小4のエピソードです
さて、今回の担任はどんな先生なのでしょうか
では、どうぞ
春、それは別れの季節であり、出会いの季節。小3の頃は担任がクビになり、手の空いている先生がローテーションを組んで僕達のクラスを担当するという出来事があった。それ以外だと特に大きな出来事なんて起こらなかった。今回は僕が小4の頃の話。この頃はどうだったかな……?僕は気が付けば教師や実習生が嫌いだったから覚えている事はあんまりないけど……思い出せる範囲で話していきたいと思う。
「始業式怠い……」
学校の式と名の付くものは出席するのが凄まじく怠いと感じるのはきっと校長の話が無駄に長いと感じているからだろう。あ、校長で思い出したけど、小3の終業式の日、同時に離任式もしたんだけど、校長も教頭も定年退職という事で2人とも学校を去った。学校のツートップが定年退職とかありかと思うけど、定年退職なっら仕方ない。辞めて行った校長と教頭には随分と助けてもらった。その終業式と離任式だけは今でも大切な思い出の1ページとして記憶に残っている
「解るぞ、光晃、俺だって怠い……」
珍しく小声で僕の意見に同意してくれたのは幼馴染の名倉秀義。どうしてこの時の秀義が小声だったかって?それはね……始業式の真っ最中だからだよ。それはともかく、児童(生徒)にとって式と名の付く行事は怠い事この上ない。入学式だとPTA会長の話と校長の話が長いし、卒業式だとPTA会長の話と校長の話が長いし、始業式、終業式、修了式だと校長の話が長いし……本当に勘弁してほしいよ
「こんな事ならサボればよかった……」
小学校は始業式を休んで家族旅行に行く家があるくらいだ。それを考えると小学校の始業式くらい休んでも問題はない。高校の場合は授業の欠席にはカウントされないまでも欠席日数にはカウントされるから始業式と言えど欠席はできない。それをこの時の僕に教えれば喜んで始業式は欠席する事を選択するに違いない
「始業式休んでも家に誰もいないんじゃ暇だろ?」
さすが幼馴染と言ったところか。僕の家の状況をよく解っている。でも、家に誰もいないからって暇を潰す方法なんていくらでもあるから別に家に誰かいる必要はない
「別に家に誰もいなくたって本読んだりゲームしたりして時間を潰せばいいだけだから何の問題もないよ。それよりも問題なのは始業式に出て無駄に長い話を聞かされる方が問題だよ」
「それは解る」
秀義もきっと同じ事を思っているだろうから言うけど、話を短く済ませると言う校長に限って話が長かったりする。まぁ、僕達の立場からすると校長の話は長いって相場が決まっている。だから別に寝ていても構わない。そう、僕と秀義はこの会話を最後に夢の中へと旅立ったのだ。
「お、おい、光晃!起きろ!」
「んあ?何?秀義?」
先に起きていたであろう秀義に身体を揺さぶられ、夢の世界から現実に引き戻される。寝ていたと言っても少しウトウトしてただけだから声掛けられればすぐ起きる状態ではあった。だから完全に寝ていたと言うわけじゃない
「いや、何じゃなくて、後ろを見てみろ」
「は?後ろ?」
秀義に言われた通り、僕は後ろを振り返る。後ろを見ろと言われても後ろにはクラスメイトが座っているだけだから別に慌てるような事じゃない。僕はそう思って振り返った。しかし、そこにはクラスメイトの他にもう1人別の人物がいた
「式の最中に寝るとは名倉君といい、いい度胸ね。岩崎君?」
クラスメイトじゃない人物。僕の知らない人。僕にとっては見ず知らずの女性が立っていた。恐らくは赴任してきた先生だと思うけど……誰?
「寝てほしくないなら校長先生の話を短くして新しく来た先生達の紹介はプリントか何かで配ってくださいよ。ただでさえしょうもない話を聞かされて退屈なんですから」
これを世間じゃ開き直りとか、逆切れって言うんだろうな……この時の僕は完全に開き直ってるか逆切れしているかのどっちかだ
「眠くて退屈なのはみんな同じです!注意されたからって逆切れしないの!」
新しく来た先生だとは思うけど、見ず知らずの女性に怒られるのは別にいい。子供が悪さをしたら叱るのが大人の役目だし。それでも、理不尽な事で叱られるのは納得いかないから言い返すけど。で、この時のお叱りが理不尽かと聞かれると僕にも悪かった部分があったから別に理不尽とは感じなかった
「はいはい。ところで、貴女は誰ですか?」
僕は校長の話の途中で秀義と少し喋って、それから寝てしまった。秀義に起こされるまでの間に何があったかなんて知る由もない
「あなたねぇ……着任式の最中ずっと寝てたでしょ?」
当たり前だ。小学校然り、中学校然り、高校然り。学校を去っていく教師にも新しく学校に赴任した教師にも全く興味なんてない。もちろん、転校生にもね。だから、僕に注意してきた女性は新しく赴任してきた先生であろうが、復帰してきた先生であろうが興味なんてなかった
「僕は必要最低限の事がわかればいいんです。学校なら担任の先生と自分が何組かって事さえ知れればいいんですよ。新しく来た先生とかにはあんまり興味ないんで」
教師や教育実習生に興味を持つだけ時間の無駄だという考えは多分、小学校4年生にはもうあったと思う。そもそも、小学校1年生の頃に来た実習生、小学校2年生の頃の担任、その頃に来た教育実習生、小学校3年生の頃の担任が害悪でしかなかった事を考えると心のどこかではそう思っていたのかもしれない
「そう。じゃあ、私がその考えを変えてあげるわよ」
「はあ……」
結局僕に注意してきた新しく赴任してきたのか、産休から復帰してきたのかわからない先生は去って行った。でも、この時点で言えるのは人1人の考えを変えるというのは並大抵の事じゃないって事と、言い方を変えると僕を洗脳し自分にとって都合のいい児童に仕立て上げるって言ってるのと同義だという事だ。
そして、始業式、着任式が終わり教室に行った僕は知ってはいた事とはいえ、腐れ縁の恐ろしさを改めて実感していた
「始業式の時点で知ってはいたけど……秀義と同じクラス……」
そう、この時はこの腐れ縁が高校まで続くとは思ってなかった僕は小学校4年間、秀義と同じクラスである事に対し、幼馴染の恐ろしさを実感していた。
「おう!今年もよろしくな!」
ゲンナリしている僕とは対照的にバカにテンションが高い秀義。これが女の幼馴染だったらまだマシだったのかもしれないけど、男の幼馴染と毎年クラスが被っても何にも嬉しくはない
「はぁ……もう何も言わない」
聞いた話によると学校のクラス分けというのは児童(生徒)の成績や人間関係、問題行動等を考慮して学年の教師による話し合いで決定するらしい。偶数学年は奇数学年からの持ち上がり多いらしいけど、僕が通う学校は学年が上がる度にクラス替えを行っていた。特に興味もなかったから気にも留めてなかったけど、思い出してみると小学校の時は毎回クラスが違っていたような気もしなくはない。まぁ、問題は毎回クラス替えが行われているにも関わらず秀義と同じクラスになる確率が高いって事なんだけど
「諦めろ!俺達は運命の赤い糸で繋がっているんだからよ!」
「サラッと嫌な事言わないでくれない?」
何が悲しくて男と運命の赤い糸で繋がれなきゃいけないのやら。そう思ったけど、僕が北南高校を退学するまで同じクラスだったんだから秀義の言っている事も間違ってはいない。本当に心の底から嫌だけど
「でもよぉ~、小学校4年間同じクラスならもう運命としか言いようがないだろ?」
異性の幼馴染だったらそれなりに嬉しかった。でも、相手は男だ。僕に男色の趣味なんてないから嬉しいはずがない。じゃあ、どうして秀義と同じクラスになる確率が高いかって考えた時、秀義にはカリスマ性がある。クラスのリーダーになりみんなを引っ張って行ってくれるかもしれない。教師たちは秀義にそれを期待していたのかもしれない。じゃあ、僕は?って考えた時、小3の頃の行動に原因があるんじゃないかと思った。
「嫌な運命を押し付けないで」
クラス内は担任が来るまで少し騒がしかったけど、担任が来たことにより一瞬で静かになった。さすがに担任と初対面で怒られるわけにはいかないから最初は大人しい。慣れてくれば担任が入ってきても騒がしい子は騒がしいけどね。で、担任なんだけど、始業式で僕に注意してきた見ず知らずの女性だった
「え~、今日から皆さんの担任になりました二枝知佳です!よろしくね!」
見た目からして若い先生だった。でも、若い先生という事は保護者の間じゃ力不足等の事が心配される。特に元気が有り余っているような子をどうやって対処するのかとかね。
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
担任の自己紹介が終わった途端、教室内に男子の雄叫びが響き渡った。この時だけは自分がいる場所は教室じゃなく、アイドルのライブコンサート会場だと思ったね。それはともかく、男子達の雄叫びと女子達の軽蔑の眼差し。あれかな?男子達は若くて綺麗な先生が担任だから嬉しさのあまり叫び狂い、女子達は先生が男子の視線を独り占めした事に嫉妬でもした。そんな感じだったのかな?
「あ、あはは……お、男の子は元気だね……」
二枝先生もあまりの熱気に顔が引きつっていた。ま、運が悪かったと思って諦めるんだね
「はぁ……若い女の先生にテンションを上げる意味」
僕には担任が若い女の先生だからって理由でテンションを上げる男子の気持ちが全く理解できなかった
「光晃は若くて綺麗な女の先生を見てテンションが上がらないのか!?」
僕を叫弾するかのような言い方をする秀義だけど、担任が若い女の先生であろうとなんだろうと別にどうでもよかった
「別に。担任の先生が若くて綺麗な女の先生であろうと僕は興味ないし。それに、家に帰れば二枝先生よりも若くて綺麗な女の人がいるから何とも思わないよ」
家にいる二枝先生よりも若くて綺麗な女の人というのは真理姉さんの事だ。自分の従姉を若くて綺麗な女の人なんて言いたくなかったけど、秀義にダル絡みされるよりはマシだし、男色の気があるんじゃないかと疑われても困るので真理姉さんの事はあえて伏せた
「光晃、今何て言った?」
「若くて綺麗な女の先生であろうと僕には興味ない」
「その後!」
「何とも思わない」
「その間!」
「家に帰ると二枝先生よりも若くて綺麗な女の人がいる」
「光晃、貴様……幼馴染の俺を裏切るのか……」
秀義は親の仇と言わんばかりの表情で僕を睨みつけてきた。しかし、僕は睨まれる事なんてしてないからどうして睨まれるのか理解できなかった
「裏切るも何も一緒に住んでいるんだから仕方ないだろ?」
この時点ではまだ秀義は真理姉さんの事なんて知らなかったから家に住んでいて二枝先生よりも若くて綺麗な女の人ってのが真理姉さんだって知らなかったのはいいとして、小4なんて女に飢えるような年齢でもないのに秀義の食いつきが異常だったのは何で?今度聞いてみよう
今回は光晃小4のエピソードでした。
若い先生でも年配の先生でも光晃は全く興味なしなので特にどうって事はありません。クラスの男子もはしゃいでいましたし。さて、この若手の教員は何をやらかしてくれるのでしょう
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました




