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【北南高校退学編5】僕は退学届を提出し優奈と仲直りする

今回は退学届を提出し、優奈と仲直りする話です

今回で光晃の北南高校での学校生活が終了となります

では、どうぞ

 昨日は優奈とも真理姉さんとも一切口を利かずに終わった。優奈には怒鳴り散らしたし、真理姉さんは僕が理沙を泣かせた場面を直接見てるから話し掛けづらいとは思う。僕としても優奈には話し掛けづらい。唐突に問い詰められそうになったとはいえ怒鳴ったのはやり過ぎたと思うし。さて、人間関係の事は後で何とかするとして、今は昨日のうちに書いた退学届を提出しに行こう


「じゃあ、行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」


 僕は葵衣に見送られながら家を出る。優奈も家にはいるけど、今日はまだ1回も顔を合わせていない


「葵衣とは昨日のうちに仲直りしたけど、優奈とはどうしたものか……」


 葵衣と仲直りしたって言うか、葵衣が一方的に土下座して懇願してきただけだし、僕にも思うところはあるけど、葵衣から歩み寄ってきてくれるとは思わなかった。


「学校を退学するのはいいけど、葵衣関係はこのままじゃマズイよね……」


 北南高校の連中がどうなろうと知った事ではないけど、葵衣との関係に関して言えば喧嘩した時に歩み寄ってもらうだけの関係じゃマズイ。僕が年下で葵衣が年上。それも、成人している女性で大人だって事は理解できるけど、まだ子供なんだからってのは高校生のうちに卒業しておきたい。でも、周囲の人間にあんまり興味がないっていうのは余程の事がない限りは変えられないと思う


「周囲の人間に興味がないのは僕自身の性格にも問題があるけど、今までの育ってきた環境によるものもあるんだよなぁ……」


 人格形成において環境的な要因って結構大きいと思う。本人の性格的なものもあるけどね。それはいいとして、人に指摘されたわけじゃないけど、自分でマズイなと思うくらい僕の周囲の人間に対しての無関心さはこれからの生活においてマズイものだ


「まぁ、北南高校を退学して環境が変われば僕にも少し変化があるか」


 北南高校に向かう途中の道で自分を変える方法を模索している僕。今までは必要な時に必要な人数の人がいればそれでいいと思っていた。しかし、葵衣と優奈に怒鳴り散らし、葵衣が土下座までして僕に懇願してきたところを見て自分はこのままじゃマズイ。素直にそう思う


「僕を変える事は転入先の学校を決めてからにしよう」


 自分がどう変わるかは本人次第だけど、僕は変わりたいと強く思う


「さて、行きますか」


 学校に着いた僕は昨日と同様に職員室を目指す。ただ、昨日と違うのは秀義達に見つからないようにとビクビクしなくていいと言う事だ。


「2年と少しの間だったけど、いざ退学するとなっても寂しさとか感慨深さを感じない辺りこの学校で碌な目に遭ってなかったって証拠か……」


 在学中にどんだけ嫌だったとしても何かしら感じるものがあると思う。しかし、僕にはそれがない。つまり、僕は北南高校に対して何も感じてない。そういう事になる。僕は何の為に北南高校に入学したんだろう?


「考えても仕方ないか。どうせ今日でこの学校に来るのも最後だし」


 そう、僕が北南高校を訪れるのは今日で最後。退学届を提出したら関わる事も校門を潜る事もなくなる。僕と北南高校を繋ぐものと言えば真理姉さんと紅葉さんくらいしか残らない


「僕と北南高校の繋がりって真理姉さんと紅葉さんだけって意外と淡白だけど、1人は身内で1人は彼女の姉だから仕方ない。もっとも、葵衣と別れたら紅葉さんとも関わる気はないけど」


 葵衣と別れたら紅葉さんとの繋がりはなくなる。真理姉さんは従姉だからどんなに切ろうとしても切れない縁だけど。そんな事を考えているうちに職員室前に着いた


「今日で終わりとはいえ最低限のマナーは大切にしなきゃね」


 職員室に入る時は失礼しますと言ってから入る。これはどんなに教師がクソだとしても守らなきゃいけない最低限のマナーだ。じゃないと教師はここぞとばかりに攻め込んでくるし


「失礼します」


 平日の昼間の時間帯なので職員室にはほとんど教師がいなかった。いたとしても事務のおばさんくらいで教師陣はほとんどが授業で出払っているみたいだ。指導力がないとはいえ、教師だから授業をするのは当たり前なんだけど


「岩崎か。お前、授業に出ないで何してるんだ?」


 僕に声を掛けてきた男性教師は僕が授業をサボっていると最初から決めて掛かってきている。いい機会だから何でも決めつけてものを考える事を改めさせよう


「僕は退学届を提出しに来ただけで授業をサボったんじゃありません。いくら僕の日頃の行いが悪いとはいえ、何でもかんでも決めて掛かってたらいつか痛い目に遭いますよ?まぁ、貴方に言ったところで僕の言葉は響かないと思いますけどね」

「貴様ッ!!」


 目の前の男性教師は顔を真っ赤にして怒っている。言われたくなかったら余計な一言を言わなきゃいいのに。僕も僕で煽るような真似してるから人の事は言えないんだけどね


「最初から決めて掛かる貴方に問題があると思って僕はそれを指摘しただけなんですが?それと、生徒にも人権があるので貴様とか呼び捨てにするのもどうかと思いますよ?」


 ここ最近、教師がイジメに加担し、生徒を自殺に追い込んだとかいうニュースが報道されているのを目にする。目の前にいる男性教師も含めてだけど、最近の教師って身体だけ大人で中身は中学生くらいな奴が多くない?逆に言えばそんな奴でも教師になれるって言うんだから世も末だよね


「教師に向かって生意気だぞ!!」


 出たよ。言い返せなくなると教師に向かって生意気だって言葉


「僕は退学届を提出しに来ただけで授業をサボったり貴方とバカみたいな言い争いをしに来たわけじゃありません。教師に向かって生意気だって言う前にまず職員室に来た生徒に対してどうしたかを聞くのが先じゃないんですか?」


 決めて掛かるから反論される。普段の態度がデカかったりするから生徒から反論される。中学生や高校生は大人を嘗める年頃だって理解できてないから暴力に訴える。それくらいの事をどうして理解できないのかなぁ?


「くっ!た、退学届は俺から校長に渡しておこう……」

「よろしくお願いします」


 僕は苦虫を噛み潰したような顔をしている男性教師に退学届を渡し、玄関に向かった。


「この学校の教師は学習しないなぁ……最後だけど、こんな教師の授業を受けてきたと思うと泣けてくる」


 玄関に向かう途中、北南高校の教師が学習しない事を1人嘆いていた。この先、北南高校にどんな教師が来て、どんな風に変化していくのかは知らないけど、朱に交われば赤くなるという諺があるように赴任した教師も腐って行くのは目に見えている


「北南高校が廃校になるのもそんなに遠くない未来の話になるのか……」


 今のままだと北南高校は近い将来、廃校になるだろう。主に教師の暴力や指導力のなさが原因で


「僕には関係ないか」


 僕は玄関で靴を履き替え、校内で履いていた靴を持って学校を出た。こうして僕の2年と少しの北南高校での学校生活は終わった。思い返してみれば葵衣と出会えた事には少なからず感謝しているけど、感謝するべきところがそれ以外ない。


「さよなら、北南高校の愚かな教師達、バカな幼馴染にバカな女」


 愚かな教師達とバカな幼馴染、バカな女に別れを告げ、僕は家への帰路に就いた。これで面倒な連中と化かわなくて済むかと思うと僕の心は晴れやかだ。


「さて、帰るか」


 制服を着た高校生がいつまでもフラフラしていたら補導されかねないので早々に家へ向かう。


「ただいま」

「おかえり、光晃」


 家へ帰ると葵衣が出迎えてくれた。昨日は理沙を泣かせたので葵衣と優奈が仁王立ちしていたけど、今日は理沙に会わなかったから葵衣に問い詰められる事なんてなかった


「お、おかえり、光晃」


 リビングから控えめに優奈が出てきた。優奈も昨日とは違い、怒ってはいない。どちらかというと捨てられた子犬みたいな表情だ


「た、ただいま、優奈」

「「…………」」


 ち、沈黙が痛い。昨日、怒鳴り散らしてしまった手前、ここから話をどうやって持って行けばいいかがわからない


「あ、あの!光晃!」

「な、何?」


 僕がどうしようかと考えていたところに優奈の方から話を振ってきてくれたのは意外で声が上ずってしまった


「き、昨日はごめんなさい!!碌に話も聞かずに問い詰めるような事しちゃって」

「あ、いや、僕の方こそごめんね。虫の居所が悪かったとはいえ怒鳴り散らしちゃって」

「ううん、いいの。元はと言えば私が光晃の話をちゃんと聞こうとしていれば怒鳴られずに済んだ話だし」


 確かに、葵衣にしてもそうだけど、ちゃんと話を聞いてさえくれれば僕は怒鳴らずに済んだ。それは間違ってない。


「そうだね。ちゃんと話を聞こうとさえしてくれてたら僕だって怒鳴らずに済んだよ」

「うん……ごめんね」

「わかってくれればいいよ」


 これ以上、暗い話、まして、北南高校に関係する話なんてしたくない。僕は今日付けで北南高校を退学した身だし


「じゃあ暗い話はこれくらいにして、お昼ご飯にしよっか?」

「「うん!」」


 葵衣の一言により、僕が昨日怒鳴った話は終了し、みんなで昼食を摂る事になった。優奈と仲直りしたはいいけど、真理姉さんとは気まずいままだっていう事はもちろん忘れていない


「お昼ご飯にしようって言ってたけど、用意できてるの?」


 暗い話を切り上げる為、場の空気を読んで同意したはいいけど、料理した気配が感じられない。カレーならカレーの匂いがするし、シチューならシチューの匂いがすると言った感じでその料理独特の匂いが全くしない


「これから私と優奈で作るんだよ?」

「あ、そうなんだ。何か手伝う事ある?」


 葵衣の一言で全てに納得がいった。これから作るなら料理独特の匂いがするわけがない


「光晃は待っててくれればいいよ」

「わかった」


 葵衣は1人暮らしをしていた事があり、優奈は実家が旅館だから料理の腕に関しては心配はしていない。だけど、どこに何があるとかを理解しているか的な意味では心配だ。まぁ、聞かれたら答えればいいか。それにしても少し疲れた……


「できるまで少し寝るか」


 僕はソファーに寝転びそのまま目を閉じた。今までなら北南高校に行った程度じゃ疲れなかったけど、今日はドッと疲れた。久しぶりにバカな教師を相手にしたからなのかな?

今回は退学届を提出し、優奈と仲直りする話でした

学校で一悶着ありましたが、無事に北南高校を退学できた光晃。優奈とも仲直りできて何より。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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