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【北南高校退学編3】葵衣は僕に冷たくされただけで捨てられると思ったらしい

今回はイライラと失望と思いこみの話です

今回の話は全体的にネガティブです

では、どうぞ

「寝たはずなのに疲れが取れない」


 目が覚めた僕は学校で理沙を泣かせた事、帰って来てから葵衣と優奈に怒鳴り散らしてしまった事を思い出していた。眠ったら理沙を泣かせた事や葵衣と優奈に怒鳴り散らした事に対する罪悪感が芽生えると思ったけど、実際はそんな事はなく、むしろイライラするばかり。


「どうして僕はこんなにもイラついてるんだろう……?」


 自分でもイラついてる理由がわからない。どうしてイラついてるんだろう?理沙に文化祭をサボった事を咎められたから?葵衣と優奈に女子を泣かせた事を理由も聞かれずに咎められそうになったから?


「1度、葵衣と優奈とは距離を置いてみよう」


 自分でもイラついてる理由はわからないけど、今は葵衣や優奈と距離を置いて頭を冷やした方がいいと思う


「そうと決まれば起きてリビングに行こう。昼食もまだだし、何より喉が渇いた」


 何も考えてなければ葵衣と優奈と顔を合わせるのが気まずかったと思うけど、距離を置くと決めたら気まずさは感じなかった。


「「…………」」


 リビングに下りると葵衣と優奈が僕を穴が開くほど見つめてくる。普通の人ならこの視線に耐えられないと思うけど、僕は気にしない


「何かあったかな?」


 葵衣と優奈の視線など気にせず僕はリビングからキッチンへと移動し、冷蔵庫を開けた。


「あ~、買い置きなかったんだ……仕方ない、買い出しに行くか」


 キッチンを出たら再び葵衣と優奈の視線を感じた。だけど、ここで会話をすると理沙を泣かせた事を咎められるに違いないし、僕の話を聞こうとするかどうかすら危ういので入る時同様に今回も葵衣と優奈は無視する


「食材もなかったし、飲み物ついでに買い足しておくかな」


 家を出てスーパーに向かう僕は飲み物の他に食材もついでに買い足す事にした。飲み物を買って食材を後からまた買いに来るだなんて手間のかかることはしないし、今日に限って言えばそんな気力ない


「その前にそこの公園で少しだけ休んでいこう……」


 眠ったはずなのに疲れが取れていない僕は車を運転するわけじゃないけど、精神的に危ない


「はぁ~、たかが女子1人泣かせたくらいで大げさなんだよ」


 公園のベンチに腰掛け、説教をしようとした葵衣と優奈に対し毒づく。昔は男尊女卑だったけど、現在では女尊男卑みたいな風習がある。僕は泣けば何でも許されると思っている女が大嫌いだ。理沙にそんな気はなかったとしても結果としてそうなってしまった。


「あーあ、どうして僕はいつも面倒な奴に絡まれるんだろう?」


 いつもそうだけど。どうして僕は面倒な奴に絡まれるんだろう?何も悪い事してないのに……僕はただ、平穏な学校生活を送りたいだけなのに……


「誰も僕を知らない場所に行きたい……いっその事死んだら楽になれるのかな?」


 さっきからネガティブな考えばかりが浮かぶ。


「そうか……僕の居場所はこの世にはなかったんだ」


 僕は平穏な学校生活を送りたい。教師に無駄に絡まれない学校生活、うっとおしい奴に絡まれない学校生活を送りたい。しかし、僕の性格も相まってなのか、現実はそうじゃない。この世にそんな場所がないとなると死ぬしかない


「結論が出たら僕は買い出しする必要も家に帰る必要もなかった」


 僕は公園を出て歩き出した。向かう先はスーパーでも家でも当然、学校でもない。僕にすらわからないどこか知らない場所。葵衣も優奈もいない場所。そんな場所に行こうとした


「ハァハァ、さ、探したよ、光晃」


 公園を出たところで声を掛けてきた葵衣。息を切らし、額にうっすら汗を浮かべているところを見ると走り回ったんだろうけど、探した?僕を?どうして?


「僕を見つけてどうするつもり?」

「話も聞かずに問い詰めようとした事を謝りたくて……」

「そう。別にそんな事しなくてもいいのに……」


 僕にそんな事をする必要はない。僕が何かをしてちゃんと話を聞いてくれる人間なんて今までいた試しがないし


「ど、どうして?」

「だって、どうせ女子を泣かせた僕が悪いって結論が出てると思うし、それに、家に帰った時の葵衣と優奈を見て確信したよ」

「な、何を?」

「僕は家でも学校でも平穏な生活は送れない。平穏な生活を送る為には僕を知っている人がいない土地に行くか、僕が死ぬしかない事をだよ」


 死ぬは大げさかもしれないけど、僕を知っている人がいない土地に行くってのは強ち間違ってないと思う


「し、死ぬなんて大げさだよ……そ、それに、光晃が死んだら私、悲しいよ……」


 葵衣がどれだけ悲しもうと僕は平穏な生活を送る為なら死ぬことだって怖くない


「葵衣が何を思おうと平穏な生活を送る為なら死ぬことだって怖くない」

「ど、どうして、そんな事を言うの?ひょっとして、私と優奈が話も聞かずに光晃を問い詰めようとしたから?」

「そうだよ。別に全てを信じろとは言わないけど、どうして話も聞かずに問い詰めようとしたのかな?」


 僕は何でもかんでも信じろとは言わない。信じられない事だってあるし、他人と生活しているのあれば疑う事だって必要だと思う。だけど、今回はタイミングが悪かった


「だ、だって、光晃が女の子泣かせたって聞いたから……」


 確かに僕は女子を泣かせたけどさ……少しくらい話を聞いてくれてもよくない?


「葵衣は恋人である僕の話より第三者の話を聞いて信じるんだね。まぁ、葵衣だけじゃなくて優奈もか……全て信じろとは言わないし、僕の日頃の行いもあるから強くは言えないけど、正直、ガッカリだよ」


 僕は葵衣に見つかるまでイライラしてたのは恋人である僕よりも第三者の話を聞き、それを信じた葵衣と好きな人の話よりも第三者の話を聞き、それを信じた優奈に対して失望してたからか……


「そ、それは、謝るから……」

「別に謝らなくていいよ。葵衣と優奈には失望したし、2人の思いってのはその程度だったって事でしょ?」


 僕が理沙を泣かせた事を誰が葵衣と優奈に言ったかは知らないけど、葵衣にとっての恋人、優奈にとっての好きな人よりも第三者の話を聞き、それを信じる。僕の存在というのはその程度だった。まぁ、日頃の行いに問題のある僕が信じろと言ったところで説得力はないけどね


「それは違うよ……そんなんじゃないよ」

「無理して否定しなくていいから」


 無理に否定しなくてもいい。自分の日頃の行いがよくないってのは僕が1番よく知っている


「無理なんてしてない!」

「あ、そう。ところで、僕は買い出しがあるから行くね?」


 買い出しをする気は全くないけど、公園の前で言い合いしてて警察に通報されても困るし、変な噂が立っても困る。ここは買い出しをダシにこの場を立ち去ろう


「私も行く」

「好きにしたら」


 何を思ったか付いて来ると言い出した葵衣。はぁ、本当に買い出しをするハメになるとは……


「今日の晩御飯何?」

「魚」


 スーパーに着いて早々、僕達は夕飯の食材を選ぶ。葵衣達が何と言おうと食事を作るのは僕だ。いつもは葵衣達の意見も参考にするけど、今回は完全に僕の独断と偏見で決める。もちろん、文句なんて言わせない


「さ、魚か……」

「何?文句あるの?ないよね?まぁ、あるなら自分で作れば?僕は必要な分の食材しか買わないけどね」

「も、文句なんてないよ!」

「そう。ならよかった」


 いつもなら葵衣達の意見を聞いてから夕飯の献立を決めるけど、今日の僕は葵衣達の意見を聞く余裕もなければ聞くつもりもない


「こ、光晃がする事に文句なんて言わないよ」

「あ、そう。まぁ、文句を言ってもいいんだよ?」

「言わない」


 葵衣の声は最初に比べて小さい気もするけど、どうしてだろう?気のせいかな?それはどうでもいいとして、僕達はその後も買い物を続け、栄養バランスを考えつつ、僕の好きな物をひたすら買うだけの買い出しを終え、帰宅した。帰宅したはいいけど、優奈はまだ帰って来ていなかった


「さて、一通り食材や飲み物は冷蔵庫に放り込んだから僕は部屋に戻るけど、僕の部屋には用事がない時以外は来ないでね?迷惑だから。優奈が帰って来たらそう伝えて」

「…………」


 無言の葵衣をリビングに残し、僕は自室に戻る


「日頃の行いが行いだから仕方ないけど、僕って信用なかったのかぁ……」


 僕は日頃、教師に酷い事を言って周囲に対しては冷たく接している。場合によっては女子を泣かす事だってある。こうして思い返してみると僕は日頃の行いがいいとは言えない。だけど、そんな僕でも葵衣には信じてほしかったと心のどこかで思っていた。だけど、それは僕の押しつけだったみたい


『光晃、入っていいかな?』


 ノックの後に聞こえる葵衣の声。スーパー同様に葵衣の声にはいつもの元気はない


「いいよ」


 葵衣が僕にどんな用事があるのかは知らないけど、つまらない用事だったら即刻追い出せばいいし


『入るね?』

「どうぞ」


 ドアを開けた葵衣はスーパーにいた時よりも元気はない


「光晃……」

「何?」

「捨てないで」

「はい?いきなり何言ってるの?」


 部屋に入ってくるなり捨てないでと言われても困るんだけど?


「だって、起きて来てから冷たいし……」

「うん、そうだね。冷たいね。でも、どうしてそうされるか、理解してるよね?」

「うん……」


 葵衣は冷たくされる原因を理解している。


「じゃあ、そうされても仕方ないと思わない?言っとくけど、僕の対応はまだ優しい方だよ?これが教師だったら無能ってひたすら言い続けるし」


 彼女だから冷たくする程度で済ませているけど、これが教師だったらひたすら無能と言い続けるし、保護者の立場ならクレームものだと思う


「ごめんなさい……」

「はぁ~、主語が抜けた状態で謝られても困るんだけど?葵衣の謝罪は何に対しての謝罪なの?ずっと暗い事に対しての謝罪?それとも、学校から帰った僕に話も聞かずに決めつけだけで説教しようとした事?」


 主語のない謝罪は人によってはイラつくだけだから主語くらい言ってほしい


「学校から光晃の話も聞かずに問い詰めるような真似してごめんなさい……何でもします!お願いですから捨てないでくださいッ!お願いしますッ!」


 そう言って葵衣は泣きながら土下座した。僕は土下座まで要求してないんだけどなぁ


「土下座しなくていいから、とりあえず頭上げてもらっていいかな?」

「で、でも……光晃は私を捨てるんでしょ?」

「いや、捨てないんだけど?」


 そもそも、僕がいつ葵衣を捨てるって言った?そんな事は一言も言ってないんだけど……え?ちょっと冷たくしただけで捨てられると思ったの?



今回はイライラと失望と思いこみの話でした

今回の話は全体的にネガティブでした。次回は脱!ネガティブです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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