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【北南高校退学編2】僕は真実を伝え、イライラをぶつける

今回は真実を伝え、イライラをぶつける話です

今更になって真実を伝えるのもどうかと思いますが、退学するんだから後悔はしないと思います

では、どうぞ

「おちょくってるか……まぁ、君にはそう捉えられても仕方ないか」

「アタシはおちょくられてるんだけど?」


 今にも飛び掛かってきそうな勢いの理沙。そんな状態の理沙を秀義と真理姉さんが必死に押さえつけている。それは僕にとってはどうでもいい。


「おちょくるついでに聞こうか?どうして僕が君の援助交際について学校に言わなかったと思う?」

「「「えっ……?」」」


 秀義は理沙が僕に絡んできたその場にいなかったから驚くのは仕方ない。真理姉さんはその場にいたけど、最初からいたわけじゃない。それに、その時、理沙の援交相手は親戚と言って誤魔化していた。その後も母と妻が来ても関係を特に聞かれた様子はなかったから真理姉さんも学校に言わなかったんだろうと思う。しかし、僕は1度自分に危害を加えてきた人間に容赦はしない


「秀義はその場にいなかったし、真理姉さんは途中から来たからってのもあるけど、相手のオジサンが理沙の親戚だって言ってその場を誤魔化せただろうけど、理沙、僕は携帯のデータを定期的にパソコンに移しているんだよ。携帯の容量や万が一の破損に備えてね。これがどういう意味か理解できるかな?」


 文化祭準備中に元・実習生が立て籠もり、僕の携帯を壊し、携帯を買い替えた。前使っていた携帯に特別な思い入れがあるって事じゃない。だけど、画像や動画、音声データの中には教師に脅迫された時のものもある。脅迫の為に使うのではなく、あくまでも前からこんな事をされて来ましたという証明に使う為に残しているけど、携帯の容量には限界がある。


「そ、それって……」


 僕の言った事がどういう事か理解したのか、理沙の顔色が真っ青になってきている


「そう。理沙、君がかつて僕に絡んできた時の会話を全て録音していたって事。それを今からでも学校に提出したら君はもちろん、あのオジサンだってタダでは済まないだろうね。そこでもう1度言うけど、君は本当に愚かだね。どうして僕がその時の音声データを学校に提出しなかったと思う?」


 理沙は僕の事を言う程理解してない。というか、そもそも、僕の事を誰にも理解できるわけがない。葵衣も、優奈も、幼馴染の秀義や従姉の真理姉さんも。そして、当然、理沙にもね


「そ、それは、私の家族の事を思って……」


 ほら、僕の事を全く解ってなかった。別に僕は理沙の家族の事を思ったわけじゃない。当然、あのオジサンの家族の事もね


「違うよ。僕はあの時、面白そうな展開になればそれでよかった。君の家族が崩壊しようとあのオジサンの家族が崩壊しようとどうでもよかった。それに、校長の話もそうだけど、教師の無駄で長い話を聞いている事ほど苦痛なものはない。僕が学校に君の援交の事を黙ってたのはただの気まぐれ。OK?」


 理沙の援交が学校に知られたら学年集会か全校集会になってただろうと思う。今は葵衣と優奈、紅葉さんが一緒に住んでるけど、真理姉さんと僕しかいなかった頃、僕達のどちらが家に帰るのが早いかと聞かれれば間違いなく僕だ。そんな僕が夕食の買い出しに行くのは当たり前の事だ。真理姉さんに任せると夕飯が遅くなる事は目に見えてわかってるし


「光晃が学校に言わなくても小谷先生が報告すると思うんだが?」


 今まで黙っていた秀義が口を挟んできた。確かに、僕が学校側に何も言わなくても真理姉さんか当時、実習生として来ていた葵衣が学校に報告していただろう。それは間違いではない。


「僕が小谷先生に当時の理沙達は僕が間違えた姿だって伝えたから教師としては学校に報告しないといけないと思ったけど、母親じゃないけど、似たり寄ったりの境遇にある理沙達を見て学校に報告できないでいたんだと思うよ?それは僕が帰った後で小谷先生に聞いてみるといい」


 秀義の疑問など今はどうでもいい。ただ、僕は退学届を持って早く家に帰りたい


「お、おう……」


 よし、秀義が黙ったところで理沙を黙らせるか


「さて、余計な奴が余計な疑問で話が脱線したけど、理沙、君や相手のオジサンは僕の気まぐれで社会的地位や学校での立場を保ててるって言っても過言じゃないんだよ」


 音声だけでも本人の声だから証拠としては十分だろうと思う


「い、岩崎は私やパパの家での扱いに同情して黙っててくれたんじゃないの……?」


 何を言い出すかと思えばそんな事か。同情か……僕には無縁の言葉だね


「違うよ。ただ、君とオジサンの家族に認められたいっていうバカな欲求を満たすためにした行為で教師からバカな話を聞かされたくなかったから黙っていただけだよ。それに、小谷先生には言ったけど、君は僕の間違えた結果の姿なんだ。身内である小谷先生にはその事を心に刻んでおいてほしかったし」


 要約すると大人の言ってる事がいかに矛盾しているかを真理姉さんに思い知らすために黙っていた。ただそれだけの話


「それじゃあ、岩崎はアタシに好意を持っていてアタシを守ってくれる為に黙っていたわけじゃないの?」

「君に好意なんて1ミリたりとも持ってなかったよ。それより、そろそろ帰っていいかな?家で待たせている人いるし」


 家で待たせている人とは葵衣の事だ。優奈の事でもいいけど、恋人と元・許嫁なら僕は恋人を取る男だ


「岩崎……アンタ、最低ね」


 最低と言った理沙の声は今までより冷たかった。だけど、僕は北南高校を退学する身だから今更冷たくされたところで何とも思わない


「理沙、僕は北南高校を退学する身だから君に最低と言われたところで心に響くものは何もないよ」


 口に出して言わなかったけど、どうして秀義と真理姉さんが僕を見つけられたか、どうして授業中にも関わらず僕に絡んできたのかなんて興味はない


「アタシ、アンタの事、好きだったんだけどな……」

「そんな事、僕は知らないよ」


 僕は泣いているであろう理沙を放置し、学校を後にする。本当に好きだったらその人の嫌がるような事はしない。少なくとも補習授業をしないで授業の単位を盾に嫌がる女装を強要された時点で止めるだろうしね


「さて、帰るかな」


 退学届を貰ったはいいけど、記入するところを記入してからまた持ってこなければならない。ただ、来るだけだとしても手間が掛かる事は変わらない。まったく面倒な事だよ


「あー、怠いなぁ……」


 理沙を泣かせた事について仕事を終え、帰ってきた真理姉さんに問い詰められるだろう。それを考えると凄まじく怠い


「教師というのは感情をコントロールできない人間が多いのかな?」


 北南高校だけなのかもしれないけど、教師というのは感情のコントロールができない人間が多いと思う。大人を嘗めている子供なんてたくさんいる。当然、わざと教師に自分を殴るように誘導する奴もいる。しかし、北南高校にはすぐ怒鳴る教師が多すぎる。煽り耐性がないと言えばそれまでなんだけど、それにしては感情的になりやすい人間が多いと思う


「退学する学校の事を今更どうこう言っても仕方ないか」


 退学する学校の事を今更になってどうこう言っても仕方ない。


「あ、冷蔵庫に何かあったっけ?」


 家の前に来てから冷蔵庫の中に何かあったかが不安になった。優奈の日用品を買いに行く時、真理姉さんか葵衣、紅葉さんが一緒に行けばいいと思っていたけど、冷蔵庫の中に何もないのなら僕もついて行くしかないんだけど……


「はぁ、僕が必要な物を買っている間に女性陣には優奈の日用品を買いに行ってもらおう」


 普通なら女性が使う日用品を買いに行く時に男が付いて行くのは気まずいものがある。それはあくまでも日用品を買いに行くのに最初から最後まで女性と一緒に行動した場合だ。店に入ってから別行動をすれば何の問題もない


「僕が同行するのは冷蔵庫を見てから決めよう」


 僕は冷蔵庫の中が気になったのは家に住む人間の数が増えたからだ。真理姉さんに問い詰められるんじゃないかという不安からじゃない。断じて


「ただいま」

「「おかえり、光晃」」


 玄関の扉を開けると葵衣と優奈が仁王立ちしていた。その表情は心なしか怒っているようにも見えなくはない。まぁ、心当たりはあるけど


「ただいま。どうして葵衣と優奈は怒っているのかな?」

「「どうしてだと思う?」」

「僕が学校で理沙を泣かせたからかな?」

「「正解!!」」


 僕の心当たり。それは学校で理沙を泣かせた事。それ以外に心当たりはない


「はぁ……ここにも感情に流されやすい奴が約2名いたよ」


 テレビは1日1時間まで。これは母親が子供に出す条件の定番だ。僕にとっての定番は感情に流される人間の相手は1日1人まで。理沙の相手をしたから感情に流される人間の相手はもうしたくない。葵衣と優奈が嫌いじゃないけど、感情に流されているのなら僕は相手にしたくない


「「そんな事より話を聞かせてくれるかな?」」


 いつもなら軽く流して終わりなんだけど、どうしてだろう?今日は不思議な事に葵衣と優奈の相手でも苛立つ


「うるさいよ。別にどうでもいいでしょ。退学する学校の奴を泣かせても関係ないし、話す事なんて何もないよ」


 僕は仁王立ちしている葵衣と優奈に一言言ってから自室に戻ろうとした。しかし──────────


「「待ちなさい!!」」


 2人揃って僕の肩を掴む。本当に今日は厄日だ。どうして僕はこんなにイライラしている?


「うるさいな!!どうでもいいでしょ!!退学する学校にいる奴を泣かせようが何しようがさ!!これ以上イライラさせないでくれるかな!!」

「「こ、光晃……?」」

「あ……」


 やってしまった……いくらイライラしているからと言って葵衣と優奈に当たっても仕方ないのに……


「ごめん、部屋に戻る」


 僕は放心状態の葵衣と優奈をその場に残し、逃げるようにして自室に戻った。


「やっちゃったなぁ……」


 自室に戻ってきてから押し寄せる罪悪感。どうやら文化祭の事、許嫁問題の事で相当ストレスが貯まっていたみたいだ。


「僕はただ、平穏な学校生活を送りたいだけなんだけどなぁ……」


 僕は集団で何かをするのには向いていないと思う。誰かと遊ぶより1人で読書してた方が気楽だと思う。しかし、それを良しとしないのが無駄に熱い教師や教育実習生。それに、理沙みたいな好意の押しつけみたいな事をする人間だ。そんな連中に関わる事に疲れていたんだと思う


「少し休むか……」


 僕はベッドに寝転んで目を閉じる。不思議な事にすぐに眠る事ができた。



今回は真実を伝え、イライラをぶつける話でした

どうせ退学するんだし、最後くらいはいいかと思い真実を伝えました。そして、女の子を泣かせた事を葵衣と優奈に知られイライラをぶつけた光晃のした事は完全に八つ当たりでした

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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