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【北南高校退学編1】僕は退学届を貰いに行く

今回から退学編です

光晃は無事に退学届を貰って家に帰れるのか?

では、どうぞ

 葵衣の友達が提供してくれたマンションでの生活を終え、僕達は自分の住む家に戻ってきた。その間に文化祭、僕と優奈の許嫁問題があったけど、文化祭は僕がサボった事で乗り切ったし、許嫁の問題は僕と優奈が母との縁を切り、優奈との許嫁関係を一旦解消する事で一先ず解決……いや、解消された。そして、優奈は今日から僕の家に住む。それはいいんだけど……せっかく自分の家に戻って来たんだから自室でゆっくりしたい


「光晃、私、鞄1つで家を飛び出してきたから何も持ってないに等しいんだけど……」


 優奈は鞄1つで家を飛び出してきた。必要最低限の下着や洋服はあるだろうけど、それ以外は何もないに等しい。しかし、そんな事を僕に言われても困るんだけどなぁ……


「それは後で真理姉さん、葵衣、紅葉さんと買いに行けばいいよ。僕は女性に必要な物なんてわからないし」


 自慢じゃないけど、僕は女性に必要な物なんてわからない。まぁ、興味もなかったし、真理姉さんは必要な物は自分で買ってきてたから僕が知る由もない


「こ、光晃は男の子だから女の子に何が必要なのかを知らなくても無理はないよ」


 葵衣、フォローしてくれるのは嬉しいけど、葵衣の年齢で女の子っていうのはちょっとなぁ……


「そう言う事。じゃあ、僕は部屋に戻るから」


 僕はリビングを出て自室に戻る。葵衣達がいつ買い物に行っても構わないけど、女性の買い物に男の僕がついて行ったら絶対に気まずくなる。そうならない為にも僕は自室に避難する。


「はぁ、優奈の日用品もそうだけど、僕の転入先の学校も決めないとなぁ……」


 優奈の日用品は買えば済むけど、僕の転入先の学校は簡単には決められない。それこそ学校の評判等を吟味する必要がある。例えば、『生徒の素行が最悪』とか、『教師の質が悪い』とかネットで書かれている学校は絶対に避けたい。僕の場合はそれ以前の問題だった


「転入先を決める前に退学届を出してなかった……」


 そう、僕は北南高校に退学届を提出してなかった。つまり、僕は文化祭が終わった後から学校に行ってない。もちろん、学校側には何の連絡もしてない。真理姉さんから退学届を提出したという話は聞いてないから今の僕の扱いは欠席扱いになる。それも、無断欠席


「はぁ、退学届を貰いに行きますか……」


 学校に行きづらいというのは全く感じない。だけど、面倒だとは思う。ここでどうでもいい無駄な話をしよう。ゴールデンウィーク、夏休み、冬休み等の長期にわたる休み明けから学校に来なくなる子がいる。その子はどうして学校に来なくなるか?答えは簡単だ。長い休みの間に生活のリズムが狂って学校に来るのが億劫になったからだ。まぁ、そんなどうでもいい話は置いといて、本当に面倒だなぁ……


「面倒でも転入する為には必要な事なんだよね」


 真理姉さんに退学届を貰って来てもらえれば楽なんだけど、頼んだら頼んだで渋りそうだから自分で行くしかない


「今日は金曜日で今は午前10時か……」


 僕にとって今日が何曜日で今が何時かは関係ない。退学届を貰いに行くだけなんだから


「面倒だけど行きますか」


 僕は部屋着から制服に着替え、学校に行く準備をする。僕はまだ北南高校の生徒だからいちいち電話する必要もないし、退学届なんて言ってるけど、所詮はただの紙だ。やろうと思えば自分で作れるけど、作るのが面倒だし、紙に自分のクラスと名前を書いて提出するだけで学校を辞められるのならいくらでも書くし


「さて、行きますか」


 北南高校の制服に袖を通すのも後数回程度だと思うと感慨深いものがある。真理姉さんとの約束には反していないから僕が学校を辞めても何の問題もない


「葵衣、優奈。僕ちょっと学校に行ってくる」


 リビングに下り、葵衣と優奈に一声かける。幼い子供じゃないんだから何をしに行くかを詳しく言う必要なんてない


「「行ってらっしゃい」」


 葵衣と優奈も僕が北南高校を退学し、別の学校へと転入する事は知っているので僕が北南高校に行く=退学届を貰いに行くと言う事は何となく想像できてるんだと思う


「北南高校か……」


 家を出て通学路を歩いている途中に北南高校であった事を思い出してみるけど、特にこれと言った思い出がない。葵衣と出会った事が唯一の思い出だけど、その葵衣と付き合うきっかけは教師が自分の手に負えない教育実習生の指導を怠った結果だ。怠け者集団のクセに権利だけは主張するから腹が立つ


「今までも退学者がいただろうけど、教師に嫌気が差して辞めたのは僕が初めてなのかな?」


 教師に嫌気が差して辞める。そんな生徒は今までにもいたと思うけど、教師の仕事っぷりを見て嫌気が差したのは僕が初めてかもしれない。まぁ、辞めると決めた今となってはどうでもいいけど。


「もう学校の前か……」


 北南高校の教師について考えているうちに僕は高校の前まで来ていたらしい。どうでもいい存在である北南高校の連中の事を考えていても歩きながらだと学校に来るのが早く感じるから不思議だ。


「さて、用事を済ませて早いとこ帰ろう」


 退学届を貰って帰るだけだからそんなに時間は取られないと思うけど、相手は北南高校の教師だから油断できない。それに、秀義もいるから見つかった時の事を考えると尚の事めんどくさい


「今回の目標、面倒な教師を無視しつつ、秀義に見つからない事!」


 校門前で今回の目標を決める。幼稚園児や保育園児じゃあるまいし学校に入るだけで目標を決める必要なんてないんだけどね。


「さて、行きますか」


 僕は生徒用玄関を通過し、2階の職員室を目指す。今は授業中だから出歩いている生徒はいない。これなら秀義に見つかる事なく職員室にたどり着けるぞ!


「授業中だから当たり前だけど、案外すんなり着いたな」


 授業中だから当たり前の事だけど、職員室前までたどり着くのに対して苦労はしなかった。


「失礼します」


 もうすぐ辞めるとはいえ職員室に入るんだ。失礼しますくらいは言う。


「岩崎、今は授業中だぞ?さっさと教室に戻れ」


 職員室に入っただけで僕が授業をサボっていると思っているバカに遭遇するとは……まぁ、僕は日頃サボってるから言われても仕方ないけど


「先生、僕は授業をサボってここに来たんじゃなくて退学届を頂きに来たんですよ」


 いつも授業をサボっている僕に問題があるとはいえ、職員室に来た理由くらい聞いてほしい


「何だ?学校辞めるのか?」

「ええ、そうですけど。それがどうかしましたか?」

「いや、何でもない。それより、退学届だな?少し待ってろ」

「わかりました」


 退学届を貰うだけだし、教師と無駄な言い争いをしても仕方ない。


「ほら、退学届だ」

「ありがとうございます」


 退学届を受け取り、あいさつだけ済ませて職員室を出る。今回は無駄に絡まれる事なく終わってよかった。いつもこうだったら僕の学校生活はどれだけ平和だった事か……


「「光晃!!」」

「岩崎!!」


 他の生徒や教師に絡まれる事なく帰れると思った矢先、後ろから秀義達に呼ばれてしまった。職員室から玄関にたどり着くまでは何事もなく帰れると思ったのに最後に玄関で絡まれるとは思わなかった


「さて、葵衣達が待ってるし、帰るか……」


 絡まれたのはしょうがないとして、反応すると面倒だ。こういう時は無視に限る


「ちょっと!何無視してんのよ!岩崎!」


 僕は上靴から外靴に履き替え、玄関を出ようとしたけど理沙に肩を掴まれてしまった。はぁ……


「何かに掴まれてるけど、幽霊でもいるのかな?」


 理沙は教師じゃない。だけど、僕がこれからしようとしている事を知られたら面倒だし、無視を決め込もう


「岩崎!!アタシの声、聞こえてるよね!!無視しないでくれない?」


 はぁ、無視を決め込むのも楽じゃない。


「聞こえてるよ。それで?何の用かな?」


 仕方ないから理沙の相手だけして帰ろう


「アンタ、文化祭には来ない、その後もずっと無断欠席!どういう事か説明してくれない?」

「どういう事も何も文化祭に興味がなかったから行かなかっただけ、その後は授業が面倒だから欠席した。それだけだけど?」

「アンタが来なかったせいで出店も劇も大失敗したんだけど!!」


 そう言えば出店も劇も僕が女装して出る事になってた。その僕が欠席したとなれば出店は何とかなるとして、劇は代役を立てるしかない。劇が失敗するのは当たり前っちゃ当たり前か


「それが?僕はクラスの出店も劇もどうでもいい。それに、君は僕にどうしてほしいの?」


 出店と劇が失敗したのは聞いたけど、その後で僕にどうしてほしいかを聞いてない


「謝ってよ!!クラスのみんなに!!」

「どうして?」

「アンタのせいで出店も劇も失敗したんだから当たり前でしょ!!」


 さすが北南高校の生徒だ。欠席しただけで謝罪しろっていう言い分がおかしい事に気が付いてない


「君の言い分だと僕の欠席が病気だったとしても謝らなきゃいけない事になるんだけど?」

「そうよ!!」


 あ、コイツ、バカだ。いや、援助交際の場面に遭遇した時にも思ったけど、コイツはバカだ


「はぁ……インフルエンザでの欠席は公欠扱いになるんだけど、君は僕がインフルエンザで公欠だったとしても謝れと?そういう解釈でいいのかな?」

「そ、それは……そういうわけじゃないけど……」


 いくら否定しても理沙、君の言っている事はそう言う事なんだよ


「まぁ、僕はクラスの出店にも劇にも興味はなかったから成功しようが失敗しようがどうでもいいけどね」


 僕にとって学校とは集団生活とは何かを勉強する場でしかない。その中で出会った人間になんて興味はない。


「岩崎!!アンタ!クラスの仲間を何だと思ってるの!?」


 そんな事を僕に聞いていいの?今まで僕が黙っていた事を全部ぶちまけちゃうよ?


「クラスの仲間……か。仲間って都合のいい言葉だと思わない?」

「な、何を言ってるの……?」

「いや、自分で言ったんでしょ?『クラスの仲間をなんだと思ってるの?』ってね」


 自分の言った事すら覚えてないのかな?それとも、ボケた?


「そりゃ言ったけど、それとこれと何の関係があるの!!とにかくアンタは謝ればそれでいいの!!」


 愚かだ……この女は本当に愚かだ


「そうやって言葉に困ったら相手に何かを要求するクセは治した方がいい」


 話は終わったし、これでやっと帰れる。僕はそう思って歩き───────────────


「大きなお世話よ!!それより、話はまだ終わってないわよ!!」


 出せなかった。歩き出そうとしたけど、理沙に肩を掴まれてしまった


「はぁ……君は本当に愚かだね」

「どういう意味よ!!」


 愚かだから愚かだと言ったまでだ。特に意味はない


「そのままの意味だよ」

「岩崎!!アタシをおちょくってんの!?」


 どうせ辞めるんだ。全て話してやりますかね。まぁ、理解できるかどうかは知らないけど





今回から退学編でした

光晃は退学届を貰いに行くだけでも一苦労する運命にあるみたいです。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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