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【許嫁問題編最終】僕はその場しのぎの案を出す

今回は許嫁問題最終回です

優奈の住む場所と許嫁関係をどうするか?

では、どうぞ

 僕達は昨日、母達と縁を切った。それはいいとして、問題となったのは優奈のこれから住む場所だ。これが夫婦なら家庭内別居で済むだろうけど、優奈と亜優美は夫婦ではなく、親子だ。自分の家にいるとどうしても亜優美と顔を合わせる羽目になる。住む場所もそうだけど、先に僕と優奈の許嫁関係をどうするか……


「優奈、それに葵衣も聞いてほしいんだけど」

「「何?光晃?」」


 リビングで僕は優奈と葵衣に話を振る。住む場所の前に許嫁の問題を何とかしなければならない。現状は母達と縁を切ったという事だけだし


「優奈との許嫁関係についてと優奈のこれから住む場所なんだけど……」


 優奈の住む場所については僕の中で宛てがないわけじゃない。だから、僕の中では許嫁の関係をどうするかを解決できればそれでいい


「さすがにお母さんと縁を切っちゃったし、家には帰りづらいよね……」

「うん……」


 葵衣と優奈は許嫁の関係をどうするかよりも住む場所の問題を重要視しているみたいだ。僕としては許嫁の関係を話し合いたかったんだけど、葵衣と優奈は住む場所の問題を優先させているみたいだし、その話から片付けるか


「住む場所については僕の家に住むといい」

「「え……?」」


 驚いた様子の葵衣と優奈。僕の家には真理姉さんと紅葉さんがいるけど、真理姉さんは快く許してくれるだろうし、紅葉さんは反対するなら追い出せばいい


「元々僕の家には僕と真理姉さんしか住んでなかったし、今は葵衣と紅葉さんがいるけど、気にしないでいい」


 葵衣の手前、紅葉さんが反対するなら追い出すとは言えなかったけど、反対するなら追い出す事も視野に入れてある


「で、でも、紅葉さんは反対するんじゃ……」


 優奈の不安はよく解る。僕だって水沢紅葉という人間の全てを知っているわけじゃない。だけど、紅葉さんに優奈の同居を反対される謂れはないし、反対する権利もない。何度も言うけど反対するなら追い出せばいい


「大丈夫だよ!お姉ちゃんは優奈の同居を反対しないから!」

「だ、そうだけど?どうするかは優奈が決めて」


 紅葉さんの妹である葵衣がこう言ってるんだから紅葉さんは反対しないだろう。どうするかは優奈次第で僕が決める事じゃない


「……………よし!」


 少し考えた後、優奈は何かを決断したように手をポンと叩いた。どうするか決まったみたいだね


「どうするの?」

「光晃のお家にお世話になるよ!」

「そう。じゃあ、真理姉さんへの連絡は僕からしておくから」

「うん!よろしく!」


 こうして優奈の同居が決定した。住む場所の問題はこれで解決したとして、次の問題は僕と優奈の許嫁関係をどうするかだ


「優奈の住む場所が決まったところで次は僕と優奈の許嫁関係をどうするかだけど」


 僕は現在、葵衣と付き合っているし、別れるつもりもない。


「「…………」」


 許嫁の問題を出した瞬間、葵衣と優奈は黙ってしまった。当たり前と言えば当たり前なんだけど、面倒な事になったと思う。バカ2人のバカみたいな夢の為にどうして僕達が悩み、傷つかなければならないのやら……世の中、悩みのない人なんていないし、傷つかずに生きていくだなんて事が不可能なのは知っている。だけど、負わなくていい傷を負うのは納得いかない


「はぁ~、やっぱり黙ってしまうか……当たり前の事と言えば当たり前だけどさ」


 住む場所の問題は誰かが場所を提供すればいいだけの話だからすんなり解決する。だけど、許嫁関係等の人間関係に関する問題は非常にデリケートなものな為、簡単に解決はできない


「お母さん達の身勝手な夢で私は許嫁がいる事を聞かされてたけど、光晃はそれを知らずに葵衣っていう彼女がいるわけだし、簡単にはいかないよ」


 優奈の意見はもっともだ。優奈は聞かされていて知っていた。だけど、僕は優奈に会うまで許嫁がいるという事を優奈に会って初めて知った。僕と優奈の差は『許嫁がいる事を知っていたか知らなかったか』だ。仕事の問題もそうだけど、問題が起きた時、問題が起きた事を知っているのと知らなかったのとじゃ対処の仕方や対処するスピードが違う


「私もそう思う。光晃と優奈の許嫁関係の問題は簡単に解決できるものじゃないよ」


 葵衣も優奈と同意見みたいみたいだけど、これは避けて通れる問題じゃない。いずれ結論を出さなきゃいけない問題だ。


「確かに、この問題は簡単に解決できる問題じゃない」


 簡単に解決できる問題じゃないのはこの場にいる人間全員がそれを理解している。解決案がないわけじゃないけど、僕の案は許嫁問題の根本的な解決ではなく、その問題を先送りにするかお茶を濁すだけのもの。あまりいいとは言えない


「できれば私は光晃と結婚したいけど、光晃は葵衣と別れるつもりはないんでしょ?」


 優奈から告げられる僕と結婚したいという意思。僕も葵衣がいなければ優奈と結婚してもいいと思っていた。だけど、葵衣と付き合っている以上、それは不可能だ。


「うん。葵衣と付き合ってなかったら優奈と結婚してもいいと思ったけど、葵衣と付き合っているし」

「「光晃……」」


 涙目で僕を見る葵衣と優奈。案はあるけど、その前に葵衣と優奈の思いを聞く必要があるみたいだ


「今、この場で葵衣と別れ、優奈と結婚するって言う事も優奈とは結婚せず、葵衣と恋人を続けると言う事も僕は可能だよ?葵衣は僕と別れる事ができるし、優奈は僕と結婚しないって言う事もね。だけど、それを言う前に僕達全員が今、何を思っているかを吐き出さない?」


 常に切り捨てる選択をしてきた僕だけど、今回ばかりは切り捨てる事はしない


「光晃がそう言うなら私は構わないよ」

「私も」


 僕の提案をすんなりと受け入れる葵衣と優奈。葵衣と優奈の思いを聞いてから僕の案を言っても遅くない


「じゃあ、言いだしっぺの僕から言うけど、僕は葵衣が好きだよ。常に周囲に冷たくし、教師や教育実習生はみんな僕を更生させようとした。だけど、葵衣はそんな事しようともしないでただ僕を受け入れてくれた。僕はそんな葵衣が好きだけど、バカな母親達が勝手にした許嫁の問題で優奈に傷ついてほしくないとも思っている。これが僕の思い」


 僕の言いたい事は全て言った。全員が自分の思いを吐き出した後、僕達の関係がどうなるかはわからない


「光晃が思いを言ったから次は私の番だね」


 次に名乗りを上げたのは葵衣だった。てっきり葵衣は最後になると思ってたんだけど


「葵衣……」


 真剣な表情で葵衣を見つめる優奈。そして、そんな2人の様子を何も言わずに黙って見ている僕。


「私は光晃が好き。優奈と許嫁だって知った時は正直、ふざけんなって思ったよ。後から来たのに私の光晃を盗るなってね。だけど、優奈と光晃のお母さん達の話を聞いて優奈もただの被害者だってわかった。同時に優奈も光晃が好きなんだって知ったよ……だから、私は同じ男の子を好きになった女同士これからも優奈と仲良くしていきたいと思っているよ」

「葵衣……」


 僕は葵衣の思いを初めて知った。彼女である葵衣が優奈の事を快く思うわけはない。心のどこかでそう思っていた。だけど、改めて口に出されると葵衣も人間なんだと思う


「葵衣が私の事を快く思ってないのは何となく感じてはいたけど、葵衣って意外と独占欲が強いんだね」

「うん!私、彼氏の事になると心が狭くなるから!」


 葵衣の思いを聞いて尚、笑顔の優奈。女ってよくわからないなぁ……


「そっか。じゃあ、私も本音で話すけど、私はお母さんから許嫁がいるって聞いた時に本気で信じてなかたんだ。今の時代、許嫁なんて古臭いと思ってた。そんな感じで生きてきた私だけど、光晃と初めて会った時、悲しそうな目をしていた光晃を見た時に『この人は私が支えてあげたい』と思った。まぁ、私は幼い頃の光晃は写真で見て知ってたけど、幼い頃のまま何も変わってなかった」


 僕の幼い頃の写真をどうやって手に入れたかは大体解る。多分、美波が亜優美に写真を送っていたんだろう


「幼い頃から変わってないって言われると遠回しに全く成長してないって言われてるみたいなんだけど……」


 僕だって成長していると思うんだけどなぁ……


「光晃が成長してないとは言ってないよ?それより、話を続けるけど、私は光晃に彼女がいるって知ってふざけんなって思ったよ。私の方が先に光晃と結婚する約束したんだぞ!ってね。でも、それ以上に光晃の彼女と仲良くなりたいと思った……同じ男の子を好きになった者同士として」


 優奈も葵衣も同じ事を思ってたのか……2人とも独占欲が強いなぁ~


「葵衣も優奈も言い残す事はない?」


 言葉だけ聞くとこれから僕が2人を殺す感じになっているけど、実際は提案するだけ


「「うん!」」


 今まで思っていた事を全て吐き出したからか、葵衣も優奈もスッキリしたような顔をしている。さて、それじゃ僕から提案させてもらおうか


「全員の思っていた事がわかったところで僕から提案があるんだけどいいかな?」


 問題を先送りにする事は好きじゃないけど、こればかりは仕方ない


「提案?」

「何?」


 葵衣と優奈の頭には?マークが浮かんでいるように見える。


「僕からの提案は優奈との許嫁関係を一旦解消する」

「「え……?」」


 戸惑いの表情を浮かべる葵衣と優奈。いきなり許嫁の関係を解消するって言われたら戸惑うのも無理はない


「上から目線で申し訳ないけど、許嫁関係を解消した後で優奈が僕にアピールするも他で彼氏を作るのも自由だよ。どうするの?僕の提案に乗るか乗らないか」


 葵衣にとっては面白くない提案だと思う。だけど、この場にいる全員が傷つかないようにするにはこの案が手っ取り早い


「私は光晃の案に賛成!」

「「え……?」」


 意外にも1番最初に賛成したのは葵衣だった


「自分で言っといてなんだけど、葵衣にとっては面白くない案だよ?彼氏に他の女がちょっかいかけるチャンスを与えてるようなものだし」

「そうだね。だけど、恋愛ってライバルがいた方が燃えるでしょ?」

「いや、僕にそんな事を言われましても」


 葵衣と付き合うまで恋愛をした事がない僕に同意を求められても困る


「あ、葵衣がいいなら私は光晃の提案に賛成……」

「優奈……」


 自分で提案しておいてなんだけど、頭が痛い……


「そう……でも、光晃は渡さないよ!」


 葵衣が優奈に対して宣戦布告した


「私だって負けない!」


 その宣戦布告を受け入れた優奈


「はぁ……」


 そして、自分で言ったとはいえ、ため息しか出ない僕。まぁ、当初の目的である許嫁問題を何とかできたからよしとしよう。

今回は許嫁問題最終回でした

光晃がチャラ男みたいな案を出しましたが、今までの光晃とは違い、切り捨てるのではなく、先送りにする案を出しました。次回から葵衣がどうやって北南高校に教育実習に行ったか?です

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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