表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/214

【正月編】僕はみんなで初詣に行く

今回は光晃がみんなで初詣に行く話です

光晃の正月は単独行動から始まるようです

では、どうぞ

「暇だ……」


 クリスマスの時は騒がしいのと酔っ払いの世話が嫌で僕はクリスマス会の参加を拒否した。だけど、世の中には忘年会なんてあるくらいだから正月くらい羽目を外してもいいんじゃないかと思っていた。だけど、現在、僕以外の人間は全員酔いつぶれて寝ている。よって正月の昼間から僕は暇を持て余している


「僕以外はみんな成人しているから酒が飲めるのは当たり前だし、正月くらい羽目を外してもいいかな?と思ったけど……これはないよ……」


 酒瓶が転がり、目の前にいる成人女性達の服ははだけ、その姿は美女と言うよりはオッサンに近い


「はぁ……片付けるのも面倒だし、初詣にでも行くかな」


 酔いつぶれて寝ている真理姉さん達を放置し、僕は自室に戻り、コートを着て玄関に向かう。当然、財布と携帯は持って出る。酔いつぶれてなきゃ真理姉さん達と一緒に初詣に行くんだけど、生憎とこのザマ。起こすのも面倒だし、1人で初詣に行った方がいい


「一応、言い訳をしておくと、正月だからって調子に乗って酔いつぶれるまで飲んだ真理姉さん達が悪い」


 僕は靴を履き、立ち上がって玄関のドアを開ける。誰も聞いてないのにアホらしい言い訳をしながら


「さて、神社に行きますか」


 寝ている真理姉さん達には……ハッキリ言って悪いと毛ほども思わない。酔いつぶれるまで飲むのが悪い


「たまには1人でブラブラするのもいいかな」


 葵衣が起きてると一緒について来る。別に疎ましくは思ってないけど、僕にだって1人で出歩きたいと思う事だってある。


「さて、行きますか」


 僕は1人、神社を目指して歩き出した。正月だし、神社は人でごった返してるんだろうなぁ……


「起きた時に僕がいなかった真理姉さん達驚くだろうけど、酔いつぶれてるんだし、当分は起きないでしょ」


 歩きながら真理姉さん達の事を考える。酔っ払いは起きている間はうっとおしい事この上ないけど、寝ているのなら僕に害がないのなら別に構わないけど、酔っ払いの世話は面倒だ


「やっぱり人でごった返してるし……」


 神社に着いて最初に僕の口から出た言葉だった。予想はしていたけど、正月だけあって神社は人でいっぱいだった。神社の人には申し訳ないけど、正月じゃなければ来る人は少ない。後は受験生本人か受験生を子に持つ親が来るくらいだけど、それだって本格的に近くならないと人は来ない。あくまでも僕の持論だけど


「初詣に来たはいいけど、願う事なかった……」


 真理姉さん達が酔いつぶれて寝てしまって暇になったから来たはいいけど、正直、願い事がない。まぁ、今更考えても仕方ない。それに、大分並んでいるみたいだし、順番待ちしている間に考えるか


「願い事何にしようかな……」


 願い事を何にするか?いつもなら教師に必要以上に絡まれませんようにとかを願うんだけど、正月にまで教師の事を考えたくはない。それに、教師はいくら言っても学習能力がないから言うだけ時間の無駄だ


「教師関係以外でか……」


 教師関係以外でだと思いつかない。まぁ、無難に病気になりませんようにとでもしておくか



 願い事を考えているうちに僕の番が回った来た。お賽銭は無難に5円玉を入れ、僕は今年1年健康で過ごせますようにと願い、おみくじを引いて家に帰った


「真理姉さん達は起きてるといいけど……」


 家に帰る道中でふと酔いつぶれて寝ている真理姉さん達の事を考える。酔いつぶれて寝ている真理姉さん達が起きていたらきっと大参事になっている部屋を見てビックリしているだろうと思うけど、それは真理姉さん達が散らかしたから僕は片付けない


「僕1人で初詣に行ってしまったけど、起きない人達が悪い」


 道の真ん中で僕は誰に言い訳をしているんだろう?別に小さな子供じゃないんだから僕がどこへ行こうと関係ないのに。


「まぁ、自業自得とはいえグロッキーなまま放置しておくわけにもいかないか」


 酒を飲み過ぎたのは真理姉さん達だから本来僕が世話をする道理はないけど、グロッキーなままいられても迷惑だからお茶漬けとか軽いものくらいは作ってあげよう


「ただいま~」


 玄関のドアを開け、家に入った。しかし、誰からも返事が返って来ない。まさか、まだ寝ているのかな?


「はぁ……真理姉さん達の正月は寝正月に決まりだね」


 帰って来ても返事が返って来ないところを見ると真理姉さん達はまだ寝ているんだろう。僕はそう思い、リビングに入った。すると────────────


「おかえり、光晃」


 リビングに入ってすぐ葵衣に声を掛けられた。何だ、起きてるじゃないか


「あ、うん、ただいま」

「どこ行ってたの?」

「初詣」

「どうして起こしてくれなかったの?」


 どうしてって葵衣達が酔いつぶれて寝ているからに決まってるじゃないか


「どうしてって、真理姉さんと優奈みたいに葵衣も寝ていたからだよ」


 寝ている人間を無理やり叩き起こす趣味は僕にはない。それがたとえ酔いつぶれて寝ている人間でもだ


「それでも、書置きくらいしてほしかったな……」


 僕を見る葵衣の表情は泣いていない。けど、不思議と僕には泣いてるように見えた。


「ごめん……寝ているところを起こすのも悪いと思ったし、まさか、帰って来て起きてるとは思ってなかったから」


 初詣に行くだけなんだし、書置きは必要ないと思った。それに、携帯を持って出たから必要とあらば連絡の1つや2つ簡単に取れるんじゃないかってのは黙っておいた方がよさそうだ


「でも、起きたらいなくてビックリした。不安になった……」


 不安なのは解る。それならそうと酔いつぶれるまで飲まなきゃいいのに


「ごめん……ところで真理姉さんと優奈はどうしたの?」


 正月にまでネガティブな話はしたくない。なので話題を変える。


「まだ寝てるよ。ほら」


 葵衣の指差した方向には気持ちよさそうに寝ている真理姉さんと優奈


「本当だ。起きてるのは僕と葵衣だけみたいだね」

「うん」

「せっかくだし、僕達だけでも初詣に行く?」

「え?でも、光晃はさっき行って来たんじゃないの?」

「行ってきたけど、別に初詣って何回行ってもいいでしょ」


 さっきは葵衣も寝ていて暇を持て余したから初詣に行った。だけど、それは僕1人だけで葵衣は初詣に行ってない。


「そうだね。でも、今度は書置きを残しておかなきゃ真理さん達が心配するよ?」


 葵衣、どうして携帯に掛けるって選択が浮かばないの?


「はぁ、携帯に電話してくれればいいのに……まぁ、書置きしておけば電話をする必要もないか」


 僕と葵衣は初詣に行く事を真理姉さんと優奈へ書置きしておく。


「さて、真理姉さん達に書置きもしたし、僕達は初詣に行こうか?」

「うん」


 僕と葵衣はコートを着て玄関に向かう。僕は1回行ってるから新鮮味はないけどね


「じゃあ、行こうか?」

「うん」


 僕と葵衣は靴を履き、玄関のドアを開けようとした。その時────────────────


「光晃、どこ行くの?」


 真理姉さんに呼び止められた。真理姉さんの隣りには眠そうに目を擦る優奈の姿がある


「葵衣と初詣だよ。書置きあったでしょ?」


 書置きはテーブルに置いてあったから見てないはずがないんだけど


「起きたばかりで見てない……」

「私も……」


 真理姉さんも優奈も寝起きで書置きを見てないとは……


「見てないなら直接伝えるけど、僕はこれから葵衣と初詣に行ってくるから」


 真理姉さんも優奈も寝起きだし、一緒に来ないだろうし、僕と葵衣の2人だけでいいでしょ


「「私も行く」」

「え?」

「「だから、私も行く」」

「そ、そう……」


 真理姉さんと優奈は意外な事に一緒に行くと言い出した。てっきり留守番しているって言うと思ったのに


「「すぐ準備してくるから待ってて」」

「う、うん」


 準備してくると言って真理姉さんと優奈はリビングに戻って行った。


「意外だったね。真理さんと優奈が一緒に行くって言うだなんて」

「そうだね」

「葵衣もそうだけど、酔いつぶれて寝てたくせにね」

「うっ……ごめんなさい」


 酔いつぶれて寝てたっていう件で当分は葵衣達をからかえそうだけど、僕にとっては何の得もないし、止めておこう


「まぁ、置いて行かれたくなかったら酔いつぶれるまで飲まない事だね」


 遠くに行くつもりはないけど、黙って外出されて文句を言うなら酔いつぶれるまで飲まなきゃいい。ただ、それだけの話だ


「こ、これからは気を付けます……」

「よろしい」


 僕は未成年だから酒のおいしさってのは理解できないけど、ニュースなんかを見ていると世の中の煩わしさを忘れられる程度にはいいらしい。酒が原因で警察に逮捕される人もいるらしいから一概にいいとは言い切れないけど


「お待たせ、光晃」

「準備できたよ」


 真理姉さんと優奈がコートを着て現れた。どうやら準備完了みたいだね


「準備できたみたいだし、そろそろ行こうか?」

「「「うん!!」」」


 僕達は家を出た。僕は真理姉さん達が寝ている間に初詣に行ってきた。だから、僕は2度目なんだ。別にいいんだけどね


「1日で同じ道を2度も歩く事になるとは……」


 学校の登下校なら同じ道、同じ路線の電車を1日に2度歩き、乗るのは当たり前だけど、それ以外で同じ道を1日に2度も往復する羽目になるとは……それに、今までの僕だったら葵衣の誘いを自業自得と突っぱねてた。だけど、それをアッサリと受け入れるだなんて僕も変わったものだと思う


「それは光晃が私達を置いて1人で初詣に行くからでしょ?」


 自分が酔いつぶれて寝てた事を棚に上げる葵衣。置いてかれたくなかったら酔いつぶれるまで飲むな


「酔いつぶれて寝ている葵衣達を起こしても起きないでしょ?」


 普段、葵衣は寝起きがいい方とは言えない。それに、酔っ払いには極力近寄りたくない。よって僕は酔いつぶれて眠ってしまった人間を起こすだなんてバカな真似はしない


「「「ひ、否定できない……」」」


 僕は葵衣に向けて言ったのに真理姉さんと優奈まで気まずそうにしている


「僕と一緒に行動したいのなら飲み過ぎない事だね。寝ていたら僕は容赦なく置いて行くから」


 別に意地悪で言ってるわけじゃないよ?僕は葵衣達の身体を気遣って言ってるのであって別に嫌がらせしたいわけじゃない。ただ、もうちょっと飲む量とかを自重してくれとは思うけど


「「「それはイヤ!!」」」


 3人揃って置いて行かれる事を嫌がる。前々から思っていたけど、君達、変なところで仲良いよね?


「真理姉さん達がどうして妙な団結力があるのかは知らないけど、置いて行かれたくないのなら飲む量を自重して酔いつぶれるまで飲まない事だね」


 未成年の僕は酒を飲めないから酔いつぶれるだなんて事はない。だけど、後3年もすれば僕だって成人だ。当然、酒を飲む機会だってあるだろうけど、僕は酔いつぶれるまで飲むとしたら1人で誰にも迷惑を掛けない場所で飲む


「「「ごめんなさい……」」」


 せっかくの正月だ。説教ばかりしていても仕方ないからこの辺で止めときますか


「わかればいいんだよ。それよりも早く神社に行こう」

「「「うん!!」」」


 本当に仲がいいと思う。どうして無駄に団結しているのやら……


「光晃はさっき1人で来たって言ってたけど、その時は何かお願いしたの?」


 列に並んでいる途中、優奈に1人で来た時、何を願ったかを聞かれた。1人で来た時に何を願ったかな?確か、1年間健康で過ごせますようにとかありきたりな事だったような気がする


「僕は無難に1年間健康に過ごせますようにってお願いしたけど?それがどうかしたの?」

「いや、光晃は私とずっと一緒にいられますようにとかお願いしなかったのかなと思って」


 優奈は何を言ってるんだろう?


「1人で来てるのに誰かとずっと一緒にいたいだなんて願うわけないだろ?それに、人はいずれ死ぬんだからずっとはないよ」


 人はいずれ死ぬ。ずっと一緒にいられますようにじゃなく、この人と一緒に未来を歩んでいけますようにとかなら別に願ってもいいと思うけど


「「「光晃……」」」


 3人とも悲しそうというか、ガッカリしたような表情をしている。フォローの1つでもしておくかな


「人はいずれ死ぬからずっと一緒にってのは無理だと思うけど、この人と一緒に未来を歩んでいけますようにとかなら願ってもいいと僕は思うよ」


 僕は感激で声が出ない優奈達より少し先を歩く。学校の教師もそうだけど、常に先を行かなきゃ置いてかれる。特に社会科の公民と情報を担当している教師は常に世の中の情報に敏感じゃなきゃ時代に置いてかれる。まぁ、バカな教師に言っても無駄だけど



 初詣を済ませた僕達はおみくじを買い、木に結び付けてから家へ帰る。何だかんだで去年はいろいろあった。最初は大嫌いだった教育実習生。その実習生と恋人同士になった。今までは彼女どころか身内以外の女性とロクに喋った事なかった僕なのに


「真理姉さん、優奈、葵衣。今年もよろしくね」


 僕は目の前を歩く3人の背中に向かって小さな声で呟いた。今年はいい事があるといいけど、今年も教育実習生が来るからいい事ばかりじゃないんだよなぁ……ま、教育実習生が来た時に考えるか


今回は光晃がみんなで初詣に行く話でした

光晃の正月は単独行動から始まりました。まぁ、正月ですので大人は酒飲んで酔いつぶれる人も中にはいるでしょう。そんなわけで皆さん!よいお年を!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ