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【許嫁問題編3】僕の知らないうちに優奈と葵衣が仲良くなっていた

今回は光晃の知らないうちに優奈と葵衣が仲良くなった話です

女の子には秘密が付き物!

では、どうぞ

 父に無理難題を突きつけてから1週間が経った。さすがに父は仕事の関係で帰国できない。だけど、それなら元・母だけでも寄越すと言われ僕もそれを承諾してから父とは連絡を一切取ってない。それは置いといて、今、僕はリビングで平和な一時を過ごしている


「光晃、あれからお父さんから連絡来た?」

「葵衣、僕はあの電話を最後に父とは連絡を取ってないんだから来るはずないだろ?」


 僕は必要のない人間には連絡をするタイプじゃないし、父も父で下手に連絡すると僕に何を言われるかわかったもんじゃなから連絡してこない。そして、母の連絡先は着信拒否に設定してあるから僕の方から連絡しないといけない


「私は嫌だな……家族がバラバラになっちゃうのなんて……」


 優奈は家族がバラバラになるのが嫌だと言った。だけど、僕が親を親と思ってなかったらどうするつもりなんだろう?


「僕の家族がバラバラになったとしたら原因は元・母にある。それを止めきれなかった父にもね。僕には関係ないよ」


 息子の許嫁を決めただけじゃなく、恋人がいたら別れてでも許嫁と結婚しろだなんて身勝手にもほどがある


「光晃は家族が大切じゃないの?」


 葵衣が瞳に涙を溜めて聞いてくる。家族か……大切な家族と思っているのなら一緒にいるのが当たり前だと思うけどなぁ……


「う~ん、どうなんだろう……大切って言えば大切だし、そうじゃないって言ったらそうじゃない。わからないや」


 僕は家族が大切かどうかわからなくなっていた。元・母を除けば大切なんだろうけど


「そ、そう……じゃあ、私は?光晃にとって私は大切?」


 葵衣が何を言いたいのかは知らないけど、僕にとっては大切な人だってのは確かだ


「うん、葵衣は僕の大切な彼女だよ」


 大切な彼女だからこそ僕は母達がした事や言った事が許せそうにない。いや、許しちゃいけない


「そう。それならいいけど……」


 顔を赤くして俯く葵衣。これで僕より年上だって言うんだからビックリ


「こ~う~せ~い!許嫁の私を忘れてもらっちゃ困るんだけど?」


 今まで見た事がない鬼の形相の優奈。優奈の事忘れてた……


「ごめんなさい!」


 僕は優奈に土下座せん勢いで謝る


「全く、光晃は……」


 優奈は放置されたせいか拗ねてしまった。どうしたものか……


「ごめん……」


 葵衣もそうだけど、優奈も1度拗ねると機嫌が治るまでに時間が掛かる。だから何としてでも機嫌を治してほしい


「はぁ、別にいいよ。元はと言えば私が家族がバラバラになるのが嫌だって言った事が原因なんだし。それに、光晃は今回のお母さん達がした事を許せそうにないって気持ちもよく解るし」


 意外な事に優奈はアッサリ許してくれた。そして、僕の気持ちも理解してくれているようで


「本人達の意思を無視してのもそうだけど、恋人がいたら別れてまで結婚しろだなんてやり過ぎだし」


 自分達の夢を語り合うのはいい。それでノリで許嫁にするのもまぁ、許そう。だけど、恋人がいる場合は許嫁との結婚を優先させろってのは許せそうにない


「さすがに私も光晃と水沢さんを別れさせてまで光晃と結婚したいとは思わないよ」


 優奈は僕の意思を無視してまで僕と結婚したいとは思わないみたいでよかった。だけど、元・母と亜優美は違う。何が何でも僕と優奈を結婚させるつもりだと思う


「それが普通なんだよ。許嫁だなんていきなり言われたらビックリするし、相手が結婚する気満々でもこっちにその意思がないと意味がない」


 どちらか一方だけの愛はいずれ崩れる。関係もそうだけど、人間の精神的にもね


「それもそうだね」


 優奈は僕の意見にうんうんと頷いている。僕としては母達が大人しく諦めてくれればそれでいいんだけど


「でも、光晃のお母さんも宮下さんのお母さんも大人しく諦めてくれればいいけど、2人のお母さん達って諦めはいい方なの?」


 葵衣の疑問はもっともだ。母達が大人しく諦めてくれればいい。だけど、諦めが悪かったらどうしようと思う


「さぁ?僕の方はわからない。優奈の方はどう?」

「私のお母さんは諦めはいい方じゃないと思う……」


 亜優美は諦めが悪いのか……それは困ったな。本人の意思を無視して強引に結婚させようとしそうだし


「あ、電話だ」


 携帯の着信音がリビングに響いた。誰からだ?


「「光晃……」」


 携帯の着信を見ると知らない番号からだった。


「ちょっと出てくるよ」


 僕はリビングから自室に移動した。最近はよく電話が掛かってくるけど、ブームなのかな?僕に電話するのが


「もしもし。どなたですか?」


 自室に戻った僕は電話を取り、電話の相手を確認する。知らない番号からだし、もしかしたら架空請求の電話かもしれないし


『もしもし、宮下亜優美ですけど、岩崎光晃君の携帯でよろしいでしょうか?』


 電話を掛けてきた相手は亜優美だった。この期に及んで何の用だ?


「そうですけど、この期に及んで何の用でしょうか?」

『こ、光晃君に謝りたくて電話したんだけど……』


 謝りたくて電話したねぇ……今更何を言ってるんだよ?葵衣と別れさせようとしたクセに


「そうですか。ですが、どうして今更なんですか?」

『そ、それは丈一郎さんに言われて……』


 丈一郎さんに言われて謝罪の電話を掛けてくるだなんていい歳した大人で人の親がする行動じゃない。


「あなたは人に言われたから謝るんですか?それで本当に反省していると言えるんですか?謝るなら直接謝りに来てください。僕の元・母もこっちに来るそうなんで。それじゃ」

『あ、ちょっと───────』


 僕は亜優美が言葉を発する前に電話を切った。どうせ言い訳ばかりして謝罪なんてしそうにないし




 リビングで光晃を待っている間、私は心配だった。


「ねぇ、宮下さん」

「何かしら水沢さん」


 光晃がいる時は比較的明るい宮下さんだけど、光晃がいなくなった瞬間、ほとんど喋らなくなる。本当は仲良くしたいけど、私は光晃の彼女で宮下さんは光晃の許嫁。つまり、私達はライバル関係にある


「光晃、大丈夫かな?」

「水沢さんは光晃の事を信じてないの?」


 信じてないわけじゃないけど、心配にはなる。光晃は近しい人には優しいけど、敵と決めた相手にはとことん冷たい。私も教育実習で初めて光晃と顔を合わせた時に冷たくされた。


「信じてないわけじゃないけど……それでも心配にはなるよ。光晃、お母さんと縁を切ったような事言ってたし」


 私の家は両親が家にいるし、妹も家にいる。光晃みたいに家族が離れて暮らしているって状況ではないし、家族と離れて暮らす寂しさとかは解らないし、光晃がどう思っているのかも解らない。


「そう。でも、それも仕方ない事でしょ。私だって恋人と別れてまで許嫁と結婚しろだなんて言われたら親と縁を切るわよ。水沢さんはどう?光晃と同じ状況だったら親と縁を切ろうと思わない?」


 確かに恋人と別れて許嫁と結婚しろだなんて言われたら親と縁を切るかもしれない。


「た、確かに、私も同じ事を言われたら縁を切ると思う」

「でしょ?私と光晃のお母さん達がした事っていうのはそういう事。私達の意思を無視して勝手に結婚させようとしているんだから当たり前じゃない」


 光晃がいる前では穏やかな宮下さん。だけど、どうして私にはこんなに冷たいのかな?


「そうだね……ところで、宮下さんはどうして私に冷たいの?」

「いきなり何?私、水沢さんに冷たくした覚えないんだけど」

「え?」

「だから、私は水沢さんに冷たくした覚えはないわよ?」


 冷たくした覚えがないと言っている宮下さん。本人がそう言ってるって事は、私の勘違い?


「そ、そう……じゃあ、私の勘違いって事?」

「ええ。それに、私は水沢さんと仲良くしたいって思ってるわよ?」


 意外だった。宮下さんが私と仲良くしたいと思っていただなんて。私はてっきり宮下さんに嫌われているとばかり思っていたし……


「え?」

「だから、私は水沢さんと仲良くしたいと思っているわよ?当たり前じゃない。同じ男性(ひと)を好きになった者同士じゃない」

「で、でも、宮下さんにとって私は……」


 宮下さんにとって私は泥棒猫。そうじゃなくても恋敵(ライバル)だと思っていた。そんな私と仲良くしたいと思っているとは……


「確かに恋敵だけど、それ以前に同じ男性を好きになった同士じゃない。これからは仲良くしましょう?葵衣」


 宮下さん────いや、優奈は私に手を差し出してきた


「もちろんよ。優奈」


 私と優奈は固い握手を交わした。同じ男性を好きになった恋敵として、同じ男性を好きになった同士として


「これからよろしくね?葵衣」

「ええ、こちらこそ。優奈」


 握手を交わした後、私達は光晃が戻ってくるのを待った。私達が好きになった男性は長電話が好きみたい。そんなところも愛おしく思えるくらい入れ込んでいる私達は病気かな?




 亜優美からの電話を一方的に切った僕がリビングに戻ると不思議な光景が映っていた


「ねぇ、優奈。今日の晩御飯は何にしようか?」

「そうね、作るのは葵衣だし、葵衣の好きな物でいいんじゃないって言いたいけど、光晃の好きな物でいいんじゃない?」


 葵衣と優奈が呼び捨てで呼び合い、仲睦まじく夕飯の献立を考えていた。僕のいない間に何があったの?


「た、ただいま……」


 僕はこの光景を不思議に思いつつも葵衣と優奈に声を掛ける。本当に僕がいない間に何があったの?


「「おかえり、光晃」」

「あ、うん、ただいま。僕がいない間に仲良くなったみたいだけど、何かあったの?」


 会話が全くなかったわけじゃないけど、葵衣と優奈が仲良く会話しているところを僕は見た事がない。いや、あったのかもしれないけど


「「女の子同士の秘密だよ!」」

「あ、そう……」


 葵衣と優奈が仲良くなった経緯はわからなかったけど、僕としては葵衣と優奈が険悪になて居心地が悪くなるよりかはマシだ。この後の話を少しするけど、葵衣と優奈は仲良くなっても僕を挟んで寝る事は変わらなかった。それだけは言っておこうと思う



今回は光晃の知らないうちに優奈と葵衣が仲良くなった話でした。

どんな結果になろうと優奈と葵衣には良き関係を続けてほしいです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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