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【許嫁問題編1】僕は転入する学校を探す

今回から許嫁問題編に入ります

文化祭が終わって一段落着いた光晃ですが、問題はまだありました。この作品を最初から読んで頂いてる方は光晃の通っている学校について思うところがあると思いますが、北南高校はハッキリ言ってブラックです

では、どうぞ

 文化祭から終わった次の日。僕は葵衣の友達が用意してくれた部屋で葵衣と優奈の2人と過ごしていた。文化祭準備は僕が家出をし、準備をサボっていたから具体的には何日で準備を終わらせたかなんて知らない。だけど、北南高校は話し合いから文化祭開催まで3日くらいしかなかったと思う。それを考えると北南高校はブラック企業よりも質が悪いと思う。


「文化祭が終わってようやく一息つける……」


 僕は何もしてないけど、話し合いから文化祭開催まで3日くらいしかなかったと考えると少しだけ同情してしまう。普通なら文化祭の準備は少なくとも1か月は掛かるだろうと思う。そして文化祭開催については学校の方針と規模によるけど、少なく見積もって2日、多くても3日はだ。それを準備に3日しかないという超ハードスケジュールで開催は1日だけ。これじゃいずれ生徒はいなくなるだろう事は簡単に予想できる


「ようやくって光晃はほとんど何もしてないでしょ。したとしても学校に立てこもった元・実習生を退治しただけでしょ」


 この頃の葵衣は僕の母よりも母親らしくなってきている気がする。気のせいかな?


「まぁね。そもそもが去年もそうだったけど、北南高校の教師は時間管理が下手だから準備に3日、開催が1日だけっていうやる方からしてみれば理不尽極まりない。そんな学校の文化祭の準備にも文化祭にも参加する意味はないよ」


 去年もそうだったし、今年はどうか知らないけど、体調不良を訴える生徒がいない事が奇蹟だよ


「え?光晃の学校って文化祭の準備期間が3日しかないの!?」


 北南高校文化祭準備の実態に驚いている優奈。そりゃ普通の高校だと1か月くらい準備期間があってもいいのに3日じゃ驚くのも無理はない


「うん。去年もそうだったし、今年もおそらくはそうだと思うけど、北南高校の教師は時間の使い方が下手なんだよ」


 教師になるくらいの人間だから頭がいいとは思うけど、人間的に腐っていたり、喧嘩なんかした事がないから本気の喧嘩を止めるだなんて事はできるはずもない。それに、家庭教師等のほとんど身体を使わないバイトしかしてない人が多い。それは別にいいとして、不思議な事に北南高校の教師は時間の使い方が下手な人間が多い。ま、今言った事はほとんどが僕の偏見でしかないけど


「そ、そうなんだ……」


 若干引き気味の優奈。


「うん。まぁ、教師もピンキリだからね。時間配分については仕方ないよ。上手に時間を使える人もいるし、時間の使い方が下手な人もいるさ」


 教師もピンキリだって言ったけど、僕はハズレしか引いてないのは僕に教師運がないのか、それとも、僕が呪われているだけなのか……それはどっちでもいいか


「そうなんだ。ところで、光晃は今の学校を辞めて別の学校に転校する話をしてたけど、どこかいい学校は見つかったの?」

「いいや、全然」


 僕は新しい高校を探しているけど、これが中々難しい。カタログを見て実際に行ってみて決める。そして決まったら試験に向けて勉強。合格したら無事に編入だし、不合格なら僕は浪人って事になるけどね


「光晃、新しい学校を探す気ある?」


 疑いの目を向けてくる葵衣。その顔はどことなく嬉しそうなんだけど?気のせいかな?


「辞めるって決めたのは最近になってからだし、決心がついたのは昨日。そんなにすぐには見つからないさ。それに、北南高校を辞め、新しい学校が決まるまでは葵衣と一緒にいれる時間が多くなると思うんだけど、葵衣はそうじゃないみたいだね」


 別に学校というものが嫌いじゃないけど、北南高校という僕にとっては通っていて何の得もない場所に通い続けたんだから少しくらい休む時間があってもいいと思う


「そ、それは、光晃と一緒にいられる時間が増えるのは嬉しいけど……」


 俯きボソボソと何かを言っている葵衣。


「何を言ってるか聞こえないけど、僕だって新しい学校を──────────」


 僕の言葉を遮るように携帯の着信音が部屋に響く


「光晃、電話、鳴ってるよ?」

「出なくていいの?」


 葵衣は電話が鳴ってる事を告げ、優奈は出なくていいのかと聞いてくる。本当は出たくないけど、出ないとしつこそうだ


「出るよ。って、元・母か……」


 携帯の着信画面には『母』と表示されていた。そう言えば優奈の家で話して以来、連絡先を消し、着信拒否にしておくのを忘れていた


「「光晃……」」


 電話の相手が元・母と知るや否や不安そうな顔をする葵衣と優奈。だけど、僕とコイツは何の関係もないんだから電話に出る事に対して何の不安もない


「大丈夫だよ。すぐ終わらせてくるから」

「「うん」」


 不安そうな葵衣と優奈を残し、リビングから自室に移動し、電話に出る


「何かな?僕とアンタはもう親子でも何でもないんだ。いい加減に放っておいてくれない?」


 悪いけど、僕は新しい学校を探すので手がいっぱいで元・母に構っている時間はない


『ご、ごめんなさい……』


 いきなり謝られても何に対しての謝罪かが理解できない


「いきなり謝られても僕には何の事だかサッパリなんだけど?それは何の謝罪?いきなり電話してきた事?」

『違うわ……光晃、あなたに許嫁の話もせず、恋愛する自由を奪ってごめんなさい……』

「あ、そう。話がそれだけならもう切るよ。こんなくだらない電話に付き合う時間を新しい学校を探すのに使いたい」


 こんなバカな奴と話をしている時間がもったいない。それだったら転校先の学校を早く決めたい


『こ、光晃!それどういうこと!?転校するって事!?』


 母親でも何でもない人は僕の転校に驚いている。だけど、この人には関係ないから詳しい事は言わないけどね


「僕の身内でも何でもない人には関係のない話だよ」


 僕の転校に口出しできるのは父親と恋人の葵衣、許嫁の優奈だけでコイツにどうこう言われる筋合いはない


『か、関係ないって私はあなたの母親なのよ!!関係ないわけないじゃない!!』


 自分のした事を棚に上げ、元・母は怒鳴ってきた。


「電話口で怒鳴らないでよ。うるさいな。それに、アンタが僕にした事を振り返ってから母親を名乗れよ。ま、アンタが優奈との許嫁関係の話をどうにかしてくれるのなら僕はアンタを母と呼ぶけど、そんな事できないよね?」


 僕の要求はできない事じゃない。だけど、絶対にできる事でもない。何せ、自分達のバカな夢の為に息子から自由に恋をする資格を奪ったんだから


『そ、それは……』


 まぁ、予想してはいたけど、やっぱり言いよどんだね。


「できないよね?まぁ、僕はアンタと亜優美が僕達の前で謝罪し、その場で許嫁の話を白紙に戻すか僕が結婚できる年齢になってから改めて考えるってくらいの事を言えないんだから僕はアンタを母親とは思わないよ」


 そもそも、幼い頃に顔合わせするなり、少しでも話に出てたら僕だって考えることくらいはしたし、仮に忘れていたとしても僕が悪い。それで済む話だった


『そ、そんな……私達はあなた達の事を思って……』

「僕達の事を思っているのならどちらかに恋人ができた時に無理矢理別れさせて許嫁と結婚させようだなんて考えは浮かばないと思うよ?自分達の子供の人生を何だと思っているの?もう電話してこないでくれない?うっとおしいから。じゃあね」

『ちょ、ちょっと───────────』


 僕は元・母の制止を聞かずに電話を切る。こんな奴に費やす時間がもったいない


「くだらない人間に時間を費やしてしまった。まったく、僕は転入先の学校を探さなきゃいけないっていうのに」


 僕にだってできない事はある。だからできない事を要求するつもりはない。だけど、大人の身勝手で子供の将来が決まるのは納得できない


「はぁ……転校の邪魔をされるのは癪に障るなぁ」


 いつまでも切り捨てた人間の事を気にしていても仕方ない。あんな奴の事はさっさと忘れてしまうに限る


「さっきは制止も聞かずに切っちゃったけど、また掛かって来たら面倒だし着信拒否しておこう」


 取るに足らない存在だけど、掛かって来たらうっとおしいから元・母の番号を着信拒否設定にする。


「これでよしっと」


 元・母の番号を着信拒否にし、自室を出る。許嫁の話に進展があれば父の方から電話が掛かってくるだろうし、元・母と亜優美が僕達の目の前で謝罪するまでは会話をするつもりはない


「光晃、電話終わった?」


 リビングに戻ると葵衣と優奈が心配そうな顔で待っていた


「うん、終わったよ」


 僕は2人を安心させる為に頭を撫でる。


「お母さん、どんな用事だったの?」


 頭を撫でてる最中、優奈が電話の内容を聞いてきた。


「ただの謝罪だよ。僕達にした事のね」


 嘘を吐いても仕方ないし、葵衣と優奈に隠しても仕方ないから正直に話す。これは2人が悪いわけじゃないし、後ろめたいことをしているわけでもないし


「そうなんだ。で?光晃はお母さんの謝罪を受け入れたの?」


 優奈は自分の母親達のした事を知っていて気に掛けるんだから本当に優しい。僕にはないものだ


「許すわけないじゃん。別に優奈が嫌だというわけじゃないけど、結婚相手くらい自分で決めたい。だけど、母は許嫁の話をどうにかするでも何でもなく、何もしなかったし」


 僕はできない事を要求したわけじゃない。できそうな事を要求したはずなのにそれをできないと勝手に言ってるのは大人達だ。例え母と言えど僕の自由を奪うのは許さない


「光晃はお母さんをどんな思いで切り捨てたの?」


 葵衣の悲しそうな表情で尋ねてくる。僕がどんな思いで元・母を切り捨てたかだって?そんなの決まっているじゃないか


「役に立たないものを捨てたなぁくらいにしか思ってないよ」


 そう、役に立たないものを捨てた。それだけでそれ以上でもそれ以下でもない。僕にとっては必要のない存在だから。それに、文句を言われたくなければ自分達のしている事はおかしいんじゃないかくらいは思ってほしかった。さて、切り捨てた人間の事なんて放っておいて新しい学校を探すかね

今回から許嫁問題編に入りました

ぶっちゃけ、文化祭の準備に3日、文化祭開催が1日だけって理不尽過ぎると思う今日この頃

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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