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僕と葵衣先生のファーストコンタクト

初めまして、謎サト氏です。

前に短編で掲載した「教育実習生に告白されて断ったけど質問ある?」を連載版として手を加えました

短編ですと断片的な場面でしたが、今回は最初から最後まで連載でやっていこうと思います

では、どうぞ

 7月、7月って言えば何を浮かべる?夏だから海開き?それとも夏休み?あぁ、肝試しなんて言うのもあるね。僕の……いや、高校生や中学生……う~ん、小学生は入れていいのかな?まぁ、いいや、僕は高校生だし、僕の通っている北南高校(ぼくなんこうこう)には今日、教育実習生が来るわけで、そのせいか、周りがざわついている。楽しみなのはわかるけど、騒ぎ過ぎでしょ。僕?僕は楽しみじゃないよ。だって、僕にとって教育実習生なんて外から来て2週間くらいいる人だもん。あ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は岩崎光晃(いわさきこうせい)。北南高校に通う2年生だよ。


「おい、光晃!聞いたかよ、教育実習生が来るんだってよ!」

「聞いたよ。確か3人来るんだっけ?」

「そうそう!うまくいったら付き合えるかなぁ?」

「あー、うん付き合えたらいいね。僕は応援してるよ。頑張って」

「んだよー、光晃冷たいなー、もうちょっとテンション上げていこうぜ!教育実習生だぞ!教育実習生!」


 いや、教育実習生が来るなんてめんどくさい事この上ないし。来校者が来た時でさえ気を使わなきゃいけないのに、教育実習生が来るなんて拷問もいいところだ。来校者ならその場で軽く挨拶する程度で済むのに、教育実習生なんて2週間も居座るんだ。めんどくさいったらありゃしない。できれば関わりたくない


「僕は教育実習生に関わりたくないから、秀義(すえよし)は勝手に教育実習生と仲良くなって恋人にでもなんでもなってくれ」


 紹介が遅れたが、さっきから教育実習生が来るってだけでテンションが高いこの男は名倉秀義(なぐらすえよし)。僕と秀義の関係は所為幼馴染だ。コイツは年上女性と聞けばすぐにテンションが上がる奴である。以上!説明終わり!


「光晃は昔からテンション低いよなぁ~」

「うるさい、そう言う秀義は教育実習生が来るってだけでテンション高いけど、来る実習生が男だったらどうするんだよ」

「ふっふっふっ、光晃君!俺が何も下調べをせずにこんなにテンションが高いと思うか?」

「うん」


 おそらくは下調べはしているんだろうけど、ウザいのであえて頷いておいた。こういう時の秀義は本当にウザい。蚊の方がマシに感じるくらいウザい


「お前酷くね?それじゃ俺がバカみたいじゃんかよー!」

「みたいじゃなくてバカじゃん」


 この男は静かにするという事を知らないのかな?それとも、静かにしたら死んじゃう病なのかな?今はホームルーム前だからこんなに騒いでもお咎め無しだが、担任が来たら怒られるぞ


「お前本当に酷いな!?」

「それくらいで傷つく神経してないだろ?」


 僕が冷たい態度を取っても傷つくどころか、グイグイ来る。だからこそ今までうまくやってこれたのかもしれない。


「まぁな!光晃の態度は昔からだしな!」

「まぁね。じゃあ、僕は寝るから適当な時間に起こして。よろしく」


 いつものホームルームなら起きているけど、今回のホームルームは起きていたくない。教育実習生の自己紹介とか欠片も興味無いし、その後の授業は運が悪ければ自己紹介と教育実習生に質問する時間が設けられるははずだ。たかが2週間しかいない人間なんていないも同然だし、知ったところで時間の無駄だ


「おう、わかった!」


 テンションの高い秀義はウザい。だが、今は教育実習生の注意を引き付けていてくれる役目を果たしてくれようとしているだけまだマシだ。


 僕はホームルーム時間、ずっと寝て過ごした。教育実習生が3人来ているようだけど、僕の知った事ではない。たま~にウザいくらい暑苦しいのやお節介なのが来るけど、干渉されるだけ迷惑だ。


「光晃!起きろ!ホームルーム終わったぞ!」

「んぁ?もう終わったの?」


 僕は秀義のバカデカい声で目を覚ました。コイツの声は良くも悪くもよく響く。目覚ましには最適な声だ。


「ああ、教育実習生3人いる中の1人はウチのクラス担当だってよ!」

「そう、教科は?」

「社会科の公民」


 ウチのクラス担当って事はホームルーム担当がウチのクラスの担任で、教科担当はあの人か……


「そう。ところで、今日の1時間目の授業何だっけ?」

「社会科の公民科だな」

「僕はサボるから適当に言い訳しといて。よろしく」

「いや、お前1時間目サボったら怒られるって!」

「平気平気、その辺はうまくやるから。じゃあ、そういうことで」


 僕は教育実習生に関わりたくない一心で教室を出た。幸い、始業のチャイムはまだ鳴っていないので、抜け出しても誰も咎めはしない。咎められてもトイレとか適当に言い訳しておけばいいし。後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえるけど、放置放置。今は興味のない人間に極力関わらない方を最優先だ


「保健室にでも行って二度寝?荷物を秀義に任せて早退もいいな……いや、グランド裏の小屋だな。あそこは誰も来ないし、先生に見つかる事ないし」


 保健室に行けばどうしても保健の先生に会わなきゃいけないし、早退したら早退したでアレがうるさいし、屋上は雨が降って来たら嫌だし……という事で、グラウンド裏の小屋へ向かう。元々は工事の人の宿直室みたいだけど、毎回小屋を設置するのが面倒になった業者がグランド裏に小屋を設置したままにした。


「面倒になったからって小屋を設置したままにするのはいいんだけど、カギが壊れてないかの確認くらいはしようよ」


 始業前に抜け出すことに成功した僕は教室を出て職員室に近い方ではなく、職員室に遠い方の階段を使い、玄関にたどり着いた。


「念のために靴を持って行くか」


 玄関に着いた僕は外用の靴に履き替え、室内用の靴を持ってグランド裏の小屋へと向かう。あそこならエアコンくらいなら定期的に点検と掃除してるし、雨風は凌げるし、電気はある。それにすぐ横にはコンビニもある。


 今日はどの学年も体育の授業は無いのは幸運だったな。体育の授業があったらもう少し手間取ったし、ある意味では強運だ。


「さて、今日は1日ここで過ごそう。そうしよう」


 業者が設置した小屋に着いた僕は早速エアコンを点け、空調を調節する。いくら教育実習生と先生から逃げてきたところで体調を崩したら元も子もない。


「涼しいぃ~、教室よりここの方が快適じゃないか?僕は今日から2週間ここで過ごす!そして、教育実習生の教育実習が終わるまではここを出ない!」


 何ともまぁ、聞く人が聞けばダメな発言に聞こえるけど、僕は教育実習生も含めて必要以上に人に関わりたくない。


「さて、1時間目が終わるまで寝てよう」


 雑誌やゲームが置いてあるわけじゃないし、ここには娯楽と呼べるものは何1つ置いてない。だからと言って暇を潰す何かを僕は持ってきていない。結論、寝る。


「じゃあ、おやすみなさい」


 ホームルームの時間も寝てたけど、1時間目の時間も寝て過ごせる僕はある意味では凄いと思う。


『岩崎ィィィィィ光晃ィィィィィィ!!出てこぉぉぉぉぉい!!』


 おそらくはグランドからだろう。女性の怒鳴り声が聞こえてきた。出てこいって言われて素直に出て行くバカはいない。僕は無視を決め込もうとした。が……


『ここにいるのはわかっている!!早く出てこい!!岩崎光晃!!』


 ドアをドンドンと叩く音が室内に響き渡った。わかっても僕が出て行かなければいい事だ。絶対に出て行くもんか


「アレのいう事なんて無視無視」


 さぁ、根競べを始めようか。生憎だけど、ここのカギは僕が付け替えておいた。つまり、僕が中からカギを開けない限り絶対に開く事はない。勝った……完全勝利だ!


『そうか、無視を決め込むか……』


 どうやら諦めたみたいだ。これで静かなスクールライフを送れる……そう僕は確信した。だが……


『岩崎、最後通告だ。ここを開けろ。さもなくばこのドアをブチ破る』


 さすが脳筋、交渉っていう選択には至らないのか。きっと前世はゴリラか何かだったんだな。ドアを破られたらたまったもんじゃない。仕方ない、ここは大人しく従っておくか


「はいはい、今開けますからドアをブチ破るなんて物騒な事を言わないでください」


 めんくさいなぁ~と思いつつもドアのカギを開けた。授業をサボった僕にも非があるわけだし、ドアを破壊されたら僕がサボるのに安定した唯一の場所がなくなってしまう。


「よぉ、岩崎ィ」


 目の前にニタァと厭らしい笑顔を浮かべた女性の皮を被ったゴリラがいた。そして、その横にはオドオドしたような様子の女性が立っていた。


「どうも、先生。僕は教室に戻りますので。それでは」


 僕はこのゴリラ教師に一礼して教室に戻ろうとした。だが────


「何を言っているんだ?岩崎。お前はこれから生徒指導室だ」


 戻れなかった。それどころか、生徒指導室へと連行される羽目になった。まぁ、ゴリラの横にいる女性は着いてこないだろうから別に生徒指導室に連行されても問題ないんだけどね。


「はい……」


 こうして僕は生徒指導室に連行された。どうせ反省文を書かされて終わりだろうから、早く済ませよう。そして、僕は平和な学園ライフを取り戻すんだ!!


 で、生徒指導室に連行された僕だけど、1つ疑問がある。それは────


「先生、どうしてこの人まで一緒なんですか?」


 さっき先生の横でオドオドしていた人が一緒だという事だ。生徒指導でこのゴリラがいる事はわかるが、オドオドしていた女性がいる事は理解できない


「岩崎、この人は教育実習生の先生だ。ちゃんと先生と呼びなさい」


 こんなオドオドした人が教育実習生だと?とてもじゃないが、信じられない。オドオドする理由もわかるけど。あんなところを見せられたらオドオドもするか……


「名前も知らない人を先生とは呼べませんし、ましてお互いに自己紹介すらまだじゃないですか」


 正論じゃないにしろ僕は自己紹介すらしてない人を先生と毛頭ない。


「そ、そうだね、自己紹介がまだだったね。私の名前は水沢葵衣(みずさわあおい)です。北南大学4年生だよ」

「僕の名前は岩崎光晃です。北南高校の2年生です」


 これが僕、岩崎光晃と彼女、水沢葵衣先生とのファーストコンタクトだった

前に短編で掲載した「教育実習生に告白されて断ったけど質問ある?」を連載版としてやっていこうと思います。あらすじにも書きましたが、今作は教育実習<恋愛という形で恋愛を優先させました。

今回は最後まで読んで頂きありがとうございました


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