表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/51

何だと思っているんですか!

 

 差し当たりの策を立てた所で、最後に王が威厳たっぷりこの場を締め括ろうと口を開いたのだが、一音発した辺りでシスミナとアムエナが「シャルルはこういう時話が長くなるからいいやー」「いまは一刻を争う事態なので」と綺麗に遮り、王からの有り難い激励を受けることは無かった。

 割と本気でへこむ様子を目の当たりにして、リルテとレラルは自分達(弄られる側)よりの扱いに心の中で親近感を感じていた。実はこれもまた王としての人心掌握術であったりなかったりする。

 寸劇を終え、リルテ達と会議に向かう王は来賓室を後にして二手に分かれた。

 情報は伝達され兵士が慌ただしく行き交っていて、先程通った同じ回廊なのに雰囲気が全く違う。

 シャルルが王の座について否、数百年はなかったであろう光景である。

 そんな緊迫した城内の中を、リルテ達も急ぎ足で先行隊の集合場所である北門へと向かっているのだが、メイドはマスターに確認したい事があるようで、ピタリと付いていた斜め後方より声を掛けた。


「ところでマスターは馬に乗れるのですか?」


 御者に関しては経験がないと朝の時点で知ったが、そもそも馬を操縦する機会は少なく、乗合い馬車や物品を運ぶ行商人などの職業をしている者程度である。だが馬に乗るくらいであれば、遠方に向かう時に利用したりと日常で見られる程、一般的だ。

 だからマスターも経験があり問題なく乗る事が出来る前提で、よもや馬で疾駆するしかスタンピードに間に合う方法がないと知っていながら、同行する為にあんな力説はしないだろうと思いつつ、ふと気になったので聞いてみたのだ。

 しかしそんな予想に反して、リルテはなんの迷いもなくキョトンとした顔で答える。


「え?乗った事ないけど?」


 コテン、キョトンはリルテクオリティの代名詞!まだ耐性がついていないメイドさんにヒットした。

 危うく足が地を滑りそうだったが、どこかの喜劇団体ばりのズッコケをする前に踏みとどまり、余計な時間を取らずに済んだすぐ後に、ルーは閃いたとばかりのニッコリ顔をリルテの横に並び向ける。


「では今回は一緒に乗りましょう。伊達に長生きはしていませんのでそれくらいお手の物です。そして学園に帰ったら私が馬術をお教えしますね」


 とても爽やかな笑顔で答えるメイドさん。善意による言葉の裏に欲望がはみ出ていなければ完璧だったのに残念ながら抑えきれなかったようで、


「マスターを真夜中にたっぷりと調教……グヘヘッ」

「調教って言った!?なにか絶対、変な事考えてるよね!?」

「ハテ?何のことデショウ?」

「露骨に片言!?」


 目は合っているものの、蒼い角膜はブレにブレていた為、容易に惚けようとしている事が分かりリルテはちょっと一歩引いたように身体を逸らしてやんわり断りを入れる。


「馬術ならジュールも教えてくれるって言ってたからジュールから教わるよ」

「なっ!?先を越されました!やはりそっち要員の方でしたか……」

「僕の友達をなんだと思ってるのっ!?……そういえばジュールはどこいったんだろう?」


 謁見が終わった後から姿を見ておらず、スタンピード発生を聞いてどうするのだろうと心配になったのだ。彼も大事な友人なので考えるのは当たり前である。


「学園長先生、ジュールは避難しているんですかね?」

「ここ(王城)が最も安全なところではあるけど、多分もう少ししたら分かると思うよー」

「あぁー、彼はウェルズ卿の子息でしたっけ。しかも()()を持っているなら、姉様の言う通りですね」


 シスミナが、後々分かると言うのでこれ以上は続けなかったというのもあるが、それよりも返ってきたリルテの知らないジュールの情報が気になったのだ。

 ウェルズ卿といえば来賓室でも話が出ていたが、彼は大臣も兼務していて爵位を持っており、その息子であれば貴族社会で育って来た事になる。

 もしかすると貴族としての柵が嫌で、王都に行くのを拒否していたのかも知れないと思ったが、それはリルテの少ない持ち合わせの知識から来る話であって、別の理由だってあるだろう。

 一通り思い返した後、結局は再会したときに聞けばいいのだと区切りをつけて、今は目先の災害を切り抜ける為に集中する事にした。

 そして、会話を挟みながら移動している間に城外を出て、集合場所である北門に到着した一行は先に集まっている兵の後ろに付く。

 既に何名かの兵士や魔法士が見られるが、全員が集まるまではもう少しかかるらしく、ここで待機するようにリルテ達に指示を出したアムエナは、部隊を纏める為に先頭に一人向かって行った。

 周りをよく見ると馬も用意されており、ペロケドラゴンの様な竜種はいないけれど、一様に後ろ脚の筋肉に丸みがあり、毛並みが綺麗に輝いて見えるので、相当鍛えられているのが分かり速そうである。

 戦地に向かう前に今一度持ち物の点検をしていると、周りが少しざわついたので何かと思い顔をあげる。


「えっ、ジュール?」


 そこには後ろに背負っている大剣こそ変わらないものの、普段見る制服や機動性を重視した装いとは違い、白金のプレートアーマーで防御力をあげるなどの装備を身に纏った友人がいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初短編を投稿してますので、 是非そちらも宜しくお願います!!

【タイトル】

白銀のエクリプス
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ