プロローグ
初投稿です。多くの人に読んでいただく為、頑張りますので宜しくお願いします。
よく晴れた日に相応しい、朝を告げる鐘が鳴り響く。様々な種族が入り乱れ、地形までも変えてしまった大戦から約2000年。戦時中は要塞として使われていた事もあり、堅固な城壁に囲まれたミリュンヌ湖に浮かぶ小島に、澄んだ音色が波のように広がっていく。
起床の合図に、寝惚け眼をこすりながらゆっくりと起き上がる一人の少年がいた。
「ふぁあ……んっ。今日も平和な一日が送れますように!」
彼が起きて最初に発した言葉は心からの願いだった。何せ色々あったのだから。
今年12才になり、冒険者学園が定めている学齢になったので、この小島にある学園にやって来たのだった。自身が体験する事はなかった、漫画やドラマなどでみていた青春が送れるかもと、期待に胸を踊らせていた入学式より約半年が経ったこの日までに、彼が抱いていた充実した学園生活像は見るも無残に崩れていた。
学校といえばなにかと守られているものである。異世界の事情もそう変わらない。
義務教育が出来る程の地球までは高くないが、一般大衆を対象とした規模の学校があるという事は、ある程度の文化水準がある。
学校に通っていれば食事は食堂があり、学生は無料で毎日利用できる。住居は実家から通う学生もいるが、基本的に寮がある為、困らない。
身の安全にしても学校である為、防犯はしっかりしている。戦争や魔物の脅威はあるものの、駆り出されるときはほぼ後方で支援などの雑用である。死ぬ可能性がないとは言わないがほぼ皆無である。戦争や紛争などはあるが、この時代ほほとんどの国で和平協定が結ばれている為、平和に暮らしている。
魔物の方は死ぬ可能性があるがこれもほぼ安全。大抵は課外授業で先生が引率し、回復や危険な時は守ってくれる。冒険者達とは違う。
なぜなら学生なのですから。
だが彼、少し明るめなグレイアッシュの髪色に、ショートボブの髪型で整った顔立ち。瞳はダークグレーで丸く大きく可愛らしい。女の子と言われても納得できてしまう容姿の少年、リルテの場合は違った。
今日最初の、願いという一声から数回のあくびを経て、急に難しい顔を浮かべた後、
「なんで学校が平和じゃないんだぁぁっ!」
リルテは今日までの事を思い出し、つい口に出してしまうのだった。
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