表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のんびりしたいです  作者: 薊の花言葉
8/12

第8話 検査中のささいな出来事

……あぁ。僕寝ちゃってたのか。寝惚け眼を擦りながら、枕元にあるスマホで時間を確認すると、朝の6時だった。確か昨日の夕ご飯の時に、朝ご飯は8時に運ばれてくると看護師さんが言っていたから、まだまだ時間がありそうだな。しょうがない。漫画でも読んでいようかな。

……その前にトイレトイレ。漏れそう。僕は急いでトイレへと向かった。


ドアを開けると、そこには僕と同じくらいの年齢の男の子が、用を足していた。入院服を着てないからおそらく誰かのお見舞いで来ているのだろう。

何故かこちらをちらちら見られてる様な気がするけど、そんなことはいい。僕も早く済ませてしまおう。そう思い小便器の前に立つ。そしてズボンを下し、パンツをずらし……あれ?隣の男の子が固まってこちらを見てる。

……あっ。そういや僕って今女の子じゃん。やばい。

…………。


「間違えました~……」


そう言って僕は男子トイレから出た。しかし。このまま女子トイレに入るのもなんかこう男として駄目な気がする。どうしよ。本当にどうしよう。もう漏れそう。

◆◆◆


ボクの名前は春野武蔵。この春から高校生になる。

そして今は受験明けの休みを満喫……とはならなかった。実は今年の2月に妹が部活で怪我をして、入院しているのだ。受験が終わってからは毎日病院に来ていたが、今日も病院に来ていた。

といっても、怪我はほとんど治っていて、今はリハビリを終えて病室で話している。

我が妹は人懐っこくて、明るい性格だ。しかし、同時に喋り出したら猪の如く止まらない性格で、周りの友達からは、歩く目覚まし時計とまで言われるほどだ。かれこれもう1時間は話している。

このまま妹の相手をしていてやりたいが、先程から尿意を感じるので、適当に話を切り上げ、病室を出る。そして病院のトイレへと向かった。

男子トイレのドアを開け、便器の前に立つ。


「ふぅぅ~~……」


しばらく用を足していると、扉が開く音がしたので、何気なくそちらに視線を向ける。

そこには男の子ではなく……アイエエエ!女の子!?女の子ナンデ!?

なんということでしょう。そこには入院服姿の可愛い女の子が居ました。しかもその女の子はこちらに向かって来るではありませんか。

……落ち着け自分。今時女のような男だっているじゃないか。大丈夫大丈夫。平常心を保つんだ、自分。

しかし、どう見ても女の子のような……?横目でちらちらと相手の様子を窺う。

相手はそのままこちらへ向かって来る。そしてボクの隣にある便器まで来て、ズボンを下し、パンツをずらして……そこで動きが止まる。

そしてこちらを見て


「間違えました~……」


と言ってそそくさと男子トイレを出ていった。


……うん。パンツの下に広がっていたのは綺麗でなだらかな丘だった。よく分からないけど神様ありがとうと、神様に感謝して、ボクは帰路に就いた。


◆◆◆


男子トイレから出た僕は男子トイレと女子トイレの入り口の真ん中で迷っていた。僕はどちらに入ったらいいのだろうか。というか漏れそう。

ふと、後ろを振り向いたら障害者用のトイレがあった。地獄に仏とはこのことかと思いながら、用を足した。


ふ~すっきりした。そんな事を思いながら病室に戻ると朝ご飯が用意されていた。なので僕はそれを残らず平らげ、またしばらく漫画を読んでいた。

すると、ドアがノックされ、雄大さんが入って来た。


「おはようすばる。昨日はよく眠れたかな?」


「はい。ぐっすり眠れました」


「それは良かった。さっそくで悪いんだけど今日から検査をするよ」


雄大さんによると、今日の検査は午前中にやって、午後は他の患者の検査がある為、休みとのことらしい。

はぁ~……。面倒くさいけど行ってくるかな。

僕は頬を軽く叩いて入院部屋のドアを開いた。



ふぅ……。検査がやっと終わった。ようやく一息つける。病室に戻り、昼ごはんを食べながらテレビ番組を観るとしますかね。

今やってる番組で面白そうなのは……旅番組があるな。旅番組にしよう。チャンネルを変え僕は昼ごはんを食べ始めた。旅番組って自分で動かなくても色んな風景とかお店とか人が見られるから好きなんだよねぇ。

今自分は学生でお小遣いが少ないから行けないけど、高校に入ったらアルバイトでもして、お金を貯めて旅でもしたいなぁ。そんな事を思いながらご飯を平らげた後、その日の午後はずっと読みかけだった小説を読んでいたらあっという間に時間が過ぎていった。

そして夕ご飯を食べた後、横になってゴロゴロしていたら、いつの間にか夢の世界へと旅立っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ