第6話 家族(主に妹)にびっくりされた
zz……。
……はっ?!気が付いたらもう家だった。病院を出てすぐの所にあるコンビニ辺りまでは覚えているが、そこから後の記憶が無い。まぁ僕は睡眠が趣味の一つに入っているくらい好きなのだ。だから暇さえあれば寝てしまうのはしょうがないだろう。
……などと考えながら玄関のドアを開け、自分の部屋で荷物をまとめる。その間に母さんは、妹と父を起こしに行ったようだ。階段を下りる足音が2つ聞こえる。
2人をあまり待たせたくないので、僕は急いで荷物をリュックサックに詰め込み、階段を駆け下りた。
リビングのドアを開けると既に妹の緑と、父の慎二が座って待っていた。なので、僕は急いで荷物を置いて母さんの隣に座り、2人の居る方へと向いた。
すると、先程からやたらとそわそわしている緑が、身を乗り出さんばかりの迫力で、こう言ってきた。
「お兄ちゃん!女の子になっちゃったってホント!?」
「……うん」
すると、2人共目を丸くし、こちらをジロジロ見てきた。
……まぁ当然の反応だな。今まで一緒に過ごしてきた家族の1人が、突然性別が変わったと言われたら、とても驚くだろう。
そんな中、緑が真顔で僕の隣まで来て、こちらを見下ろしている。……なんか怖い。すると呟くように、こう言ってきた。
「立って」
「え」
「いいから立って」
「……うん」
緑の有無を言わさぬ雰囲気に負け、僕は大人しく立つ。
すると、いつの間にか履いていたズボンがずり落ちていて、相棒跡地が家族にこんにちはとあいさつしていた。紐が解けていたのかなと思いながらズボンを履き直そうとしたが、2つの手がそれを妨害した。
緑だ。緑の手が邪魔をしている。何故履かせようとしてくれないのだろうか。というか凄い力でズボンを脱がせようとしてくる。
ズボンを脱がせようとする意図が分からないが、緑なりに考えあってのことだろう。それに、正直抵抗するのが面倒臭くなってきたので、大人しく脱がされることにした。
ズボンが床に着いた次の瞬間、緑の手がこちらの下半身を調べる様に触ってきた。
「ない……ホントにない……」
そう言いながらしばらく触っていたが、あるはずの物が無いと理解したのか、触るのをやめた。
そしてズボンをガバッと乱暴に上に戻し、こう言ってきた。
「ホントに女の子になっちゃったんだね……」
ようやく信じてもらえたようで何よりだ。
すると、今まで黙っていた父さんが、口を開いた。
「ここで話していても詳しい事は分からないから、早く病院へ行った方がいいんじゃないか?」
確かにここでのんびり話していても何も解決しない。緑もそう思ったのか、急いで出掛ける支度をしに自室へと走っていった。
そして、支度が済んだ緑を連れ、4人で車へと乗り込んだ。