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ワタリドリ  作者: 横井雀
8/8

7話

 翌日、カラハとミズナギとセレーネは門にいた。

 見送りは無い。むしろこのことがばれなくするように目立たなくするように、との配慮だった。

「セレーネ様、大丈夫ですか」

「その呼び方はここを出れば止めてくださいねぇ」

 ミズナギがつぶやく。カラハははっとして口をつぐんだ。

 外でセレーネという名を出すと、貴族という身分がばれて彼女が危険に晒される可能性がある。

 あくまで今回は旅人ということでなければならない。

「クラメ様……」

 クラメ――この辺りの地域に暖かくなると現れる渡り鳥の名前――数が少なく、その上小さい鳥で見つけるのは大変な鳥――しかしその鳴き声は透き通って美しい。彼女にぴったりな名前だ。

 彼女自身が望んだ名前モノ。恐らく初めて望んだ名前モノ

 呼ばれた彼女クラメはこちらに向いて微笑んだ。

 無事に帰ってこれるだろうか。いや、何としても帰ってくる。

 三人で。

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