3話
「すみません、少しよろよろしいでしょうか」
機嫌もすっかり直ったセレーネは、突然一人の衛士に話しかけた。まだ若い衛士だ。
彼はどうすべきか迷っていたが、やがてぎくしゃくとした動きでセレーネの元へと来た。
その目には明らかな怯えが浮かんでいる。
(まあ、仕方がないだろうな)
どうせ嫌なほど教え込まれただろう。彼女のことを。
この国では星見術と呼ばれる物がる。その名の通り星や月などを見て吉日凶日を判断する。星の位置や月の位置などでそれぞれを占うらしいが詳しいことはカラハも知らない。
セレーネは凶星と呼ばれる星が強い力を放っている時に生まれてしまった。この星は災いの星とも言われており、あらゆる災厄を運ぶといわれている。
そのため、彼女は災厄の子として恐れられることが多かった。
「すいみません、衛士さん?」
「な、なんでしょうか」
明らかに怯えている。セレーネは気にした様子はない。いや、むしろ慣れてしまったというほうが適当か。
「少し時間はありますか? 星祈師様にお会いしておきたいのですが……」
「そ、それは私だけでは決められませんので……。ここで待ってください。聞いてきます」
若い衛士は一礼するといそいそとその場を去った。カラハはその背を一瞥すると自らの主に向き直った。
「わざわざセレーネ様がご挨拶に行かなくても……言ってくれれば行いましたのに」
「これからお世話になる方なのですから私自らがいかないと失礼だと思って。それに二人ともの顔も見せておいた方が、都合がいいと思ったので……」
その目には固い決意の光が宿っている。そしてこうなると何を言っても無駄だ。
「わかりました。セレーネ様がそこまで言うならば我々は従います。ミズナギもそれでいいな?」
ミズナギは無言でうなずいた。それを了解としたセレーネは安心したように微笑んだ。
その時あの衛士が帰ってきた。またしてもぎくしゃくとした、しかし声だけははっきりと
「お待たせいたしました! セレーネ様、着いてきてください。星祈師様の元へと案内します」




