4.レンタル・フレンド
園美のことを忘れようと必死に仕事をこなしてきたある日、休憩室に置かれた一冊の雑誌。それが全ての始まりだったのかしれない。
雑誌に掲載されていた、一つの広告が俺の目を止めた。
《レンタル・フレンド》
いつだったか、同僚が話していた。友達をレンタルすることができるサービスがあるという。
『こんなサービスを使うってことは、よほど女にもてないか、寂しい奴なのさ』
同僚はそう言って笑っていた。
俺も、あの時は気にしていなかった。そうさ、あの頃は園美がいた。
どこかへ行きたいと思ったら、いつでも園美と一緒に行くことを考えた。一人で何かをするなんてことは考えなくてよかったんだ。
でも、今の俺は一人だ。
一緒にどこかへ行く彼女どころか、一緒に遊ぶ友達もいない。
俺は、雑誌に目を落としたまま、その場から動けないでいた。
帰宅してもさっきの記事が気になって仕方がなかった。
《レンタル・フレンド》なんて、結局は金でことを済ますわけだ。人身売買と同じじゃないか。
こんなものを使っても、最後は虚しさが残るだけだ。
自分に言い聞かすように、俺は理由を並べ立てた。
あんなものを使って、もしも会社にバレたらどうするんだ。それこそ、物笑いの種じゃないか。
友達をレンタルするなんて、寂しい奴以外の何ものでもないのさ。
俺が寂しいのは、園美を失ったからで、友達がいないからじゃないんだ。
ベッドに寝転がって天井を仰ぐ。どんなに否定しても、心のどこかから湧いてくる興味と一人っきりの寂しさ。
気が付けば、ぼんやりとレンタル・フレンドの企業サイトを眺めていた。書かれていることは、いたって真面目な話ばかりで、経験談も載っているが、どれもレンタルしてよかったと言っている。
―――レンタル・フレンドのおかげで人生が変わりました
―――毎日が楽しくなりました
―――仕事への意欲が湧くようになりました
こんなのは客を呼ぶためのでっちあげなんだ。
分かっていながら、そのサイトから目が離せないのは、結局俺自身が寂しいからだろう。
『そんなに気になるのなら、一度このサービスを使って、自分の目で見てみればいいじゃないか。』
どこかから、そんなささやきが聞こえてきた。
俺は、その言葉に押されるように、電話番号を回していた。
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