3.友達
俺には友達がいない。
園美と出会ったのも偶然だった。園美の方から声を掛けてきたんだ。
会社でも、同僚と話ができるほど俺は器用じゃない。だから、休日に誰かとどこかへ行くことなんてありえない。
どんなに辛くても、寂しくても、俺は一人で膝を抱えているしかないんだ。
学生の頃から俺は人と話すことが不得手だった。
いつでも周囲の話を聞いてるだけで、陰の薄い存在だった。
いつか、大人になれば何かが変わる。そう信じた。信じたかった。会社という組織の中に入れば、きっと学校とは違う関係が築けるのだと信じたかった。
でも、結局は何も変わらない。
周囲の奴は、楽しそうにバカな話をしているけど、俺にはできない。
毎日、機械の動く騒音の中で、油まみれになって汗を流して働くしか、俺にはできないんだ。仕事帰りに酒を楽しむことも、友達とカラオケに行くこともない。
俺はつまらない人間だ。
そんな俺にも、たった一つ誇れることがある。
それが仕事だ。仕事だけは誰にも負けない。
長いことこの工場にいて、工場内のあらゆることを知っているんだ。俺が居なければ仕事は回っていかないのさ。
だからこそ、同僚のミスが許せない。たとえ上司でも、仕事を軽く考えているようなバカは許せないんだ。
「マジ、あいつうぜぇよな。どっか別の部署に配属になればいいんだよ」
どんな陰口も俺には聞こえてこない。
俺には関係ないんだ。
「真面目にやれ! お前がちゃんとやらないと、他が迷惑するんだ!」
俺は仕事があればいい。仕事さえしていれば、園美のことなんて……きっと、乗り越えられるんだ。
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