2.忘れられない
半年前、結婚を考えていた女性と別れた。彼女の名前は園美。
園美は、俺よりも五歳年下だった。いつでも明るく笑って、冗談が好きな女の子だった。付き合いだして四年。そろそろ結婚を考えていた。園美となら、きっと楽しい家庭が作れる。俺の中には、園美との将来が描かれていた。
園美も同じ気持ちだと思い込んでいた―――。
次のボーナスで指輪を買おう。そして、彼女にプロポーズしよう。
毎日が楽しかった。夢の世界にいるようで、幸せだった。
それがもろくも崩れ去ったのは、雨の降る日の夜だった。園美からの一通のメール。
『ごめん。もう、ダメ。別れよう』
一体何が起こったのか分からなかった。
元々、わがままな園美のことだ。急に気が変わって、あれは冗談だよとメールをくれると信じていた。だからこそ
『分かったよ。気が変わったらメールして』
そう返信した。
これが最後になるとは思いもせずに、ピエロのような俺。
三日待っても、一週間待っても。
一か月が過ぎても、彼女からメールは来なかった。
ここまで付き合って、そんなに簡単に別れられるなんて信じられない。真剣に二人の未来を考えていたのは俺だけだったのか。
もう一度話したくて、園美の家を訪れたが、二度と会えなかった。
何度もメールをし、電話をした。園美の勤め先へも行った。帰りを待ち伏せている気持ちは全くなかったが、その行為がストーカー行為と思われていたなんて……。
園美の友達から忠告を受けた。
『いい加減にしないと警察に言うと言ってるから。もう、諦めた方がいいよ』
友達の目は、哀れそうに俺を見ていた。
俺のしていることがストーカーだったのか?
俺はストーカーだったのか?
そんなつもりなど全くなかった。愛しているからこそ、もう一度話したかった。
どうして別れるなんてことになるのか、その理由が知りたかっただけだった。
全てが崩れだした。
これ以上は、彼女を苦しめるだけだ。そう思った俺は、園美との過去を忘れようと、全ての思い出を捨てる作業に没頭した。しかし、それが余計に失恋の傷を深くするとは思わなかった。
―――どうしたらいい―――
どんなに考えても、空回りするばかりで、園美を失った俺の心の傷がふさがることはなかった。
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