幕間 日常の裏側で2
「何!? ワイバーンだと!?」
ここは王城の謁見の間。
そこで国王は声を荒げていた。
「はい。北の山岳警備隊からの情報によりますと、ワイバーンの群れが突如、様々な方向へ飛び去ったと……そしてその一部、およそ20体が王国へ向かっているとのこと」
王の前に跪いた騎士はそう報告した。
20体のワイバーンが王都上空から攻撃を仕掛けてきてはたまったものではない。
「ただ……一つ妙なことがありまして……」
「……妙なこと?」
「はい。山岳警備隊によりますと、ワイバーンは何かから必死で逃げているように見えたと……」
多数のワイバーンを恐怖させるものとは何なのか。
しかしこれはあまり良い情報ではない。
恐怖にかられたワイバーンが王都を通過してくれれば良いが、気の動転したワイバーンが攻撃してくるかもしれない。
つまり結局やることは変わらない。
「その何かが気になるな……だが今はそれどころではない。ギルドにこのことを報告し、冒険者達を集めてワイバーンの撃退につかせるように。また民へ念のため避難の準備を呼びかけろ。騎士団と魔術隊は王都の防衛およびワイバーンの撃退の準備だ。最早一刻の猶予もない。急げ!」
王がそう指示を出した時だった。
「大変です、国王陛下!」
「このような時に何事だ」
突如として現れた乱入者に王は驚く。
「それが山岳警備隊から情報が入りまして……黒い竜が王都へ向かっていると……」
その言葉に王は今日二度目の声を荒げることになった。
次回更新で完結! 予定です……