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第三十話:未来を誓う夜

その日の夜、葵と二人で、少し贅沢なレストランで食事をした。お洒落な雰囲気の店内で、美味しい料理を味わいながら、俺たちはこれからのことについて、真剣に話し合った。


「葵ちゃん、大学に入学したら、一人暮らしを考えてるのか?」


俺がそう尋ねると、葵は少し考え込むような顔をした。


「うーん…どうしようかなって。実家から通うこともできるんですけど、やっぱり、一人暮らしの方が、吉野さんと会う時間も増えるかなって…」


彼女の言葉に、俺の胸が温かくなる。彼女もまた、俺との未来を真剣に考えてくれているのだ。


「俺は、葵ちゃんが望むなら、どんな形でもサポートしたいと思っている。ただ、もし一人暮らしをするなら、ちゃんと安全な場所を選ばないとな」


俺は、彼女の未来を真剣に考え、アドバイスした。俺にとって、葵の幸せが何よりも大切だ。


「はい! 吉野さん、ありがとうございます!」


葵は、嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は、俺の心に確かな決意をもたらす。


そして、俺は意を決して、最も重要な問いを彼女に投げかけた。


「葵ちゃん…俺は、君と、結婚したいと思っている」


俺の言葉に、葵は驚いたように目を丸くした。彼女の顔が、みるみるうちに赤くなる。


「け…結婚…ですか…?」


「ああ。もちろん、君が大学を卒業してからで構わない。だが、俺は、君と一生を共にしたいと、心から願っている」


俺は、葵の目を見て、真剣な眼差しでそう伝えた。俺にとって、彼女は人生の全てだ。


葵は、何も言えずに俯いた。その小さな肩が、わずかに震えているのが分かった。俺は、不安になった。もしかしたら、急ぎすぎたかもしれない。彼女は、まだ若く、これから多くの選択肢がある。俺のこの言葉が、彼女の負担になってしまうのではないか。


長い沈黙が流れた。俺の心臓は、激しく鼓動していた。


やがて、葵がゆっくりと顔を上げた。その瞳は、潤んでいるように見えたが、その奥には、これまで見たことのないほどの、強い光が宿っていた。


「吉野さん…私で、本当にいいんですか?」


葵の声は、か細かったが、その言葉には、確かな喜びが込められているのが分かった。


「ああ、君がいい。君でなければ、ダメなんだ」


俺は、葵の手を取り、強く握りしめた。


「私…私、吉野さんと結婚したいです! ずっと、吉野さんの隣にいたいです!」


葵は、そう言って、満面の笑顔になった。その瞳からは、一筋の涙がこぼれ落ちたが、それは喜びの涙だった。俺もまた、安堵と喜びで胸がいっぱいになり、目頭が熱くなるのを感じた。


俺たちは、レストランの片隅で、静かに未来を誓い合った。



その夜、俺たちは二人で、今後の具体的な計画について話し合った。


葵は、大学卒業後、まずは数年間、社会人として経験を積みたいと考えているようだった。そして、その後、俺との結婚を考えているという。俺も、彼女の意思を尊重し、その考えに賛同した。彼女には、社会に出て、様々な経験を積んでほしい。


俺は、彼女の望む未来を実現できるよう、全力でサポートするつもりだ。


「吉野さん、私、本当に嬉しいです…」


葵が、俺の腕にそっと頭を乗せた。その温かさが、俺の心を温かく包み込む。


「俺もだ、葵ちゃん。君と出会って、俺の人生は変わった。本当にありがとう」


新宿の夜景が、窓の外に広がっている。煌めく光の海の中で、俺と葵は、互いの存在を確かめ合い、未来への希望を胸に抱いていた。


俺たちの「恋」は、今、確かな「愛」へと変わり、結婚という具体的な形へと向かい始めた。これは、新たな人生の始まりだ。

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