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第二十二話:深まる絆と「恋」の確信

 佐藤の陰謀が暴かれ、彼が社内から一掃されたことで、俺の部署は再び平穏を取り戻した。いや、以前よりも強い絆で結ばれたと言っていいだろう。小川莉子をはじめとするメンバーたちは、この一件を通じて、より一層俺を信頼し、部署全体の士気も格段に上がった。


 そして、何よりも、葵との関係は決定的に変わった。


 あの時、俺が絶体絶命の危機に瀕していると知るや、彼女は迷わず、全身全霊で俺を助けようとしてくれた。社長の姪という立場を使い、夜通し俺のために情報を集め、分析してくれた。その行動の全てが、俺への揺るぎない信頼と、そして深い愛情から来るものだったことを、俺は知っている。


 オフィスで、葵が楽しそうに業務をこなしている姿を目にするたびに、俺の胸には、これまで感じたことのない温かい感情が込み上げてくる。まるで、彼女の笑顔が、俺の心の奥底にまで光を届けてくれるかのようだ。


 ◆


 ある日の終業後、俺は一人、オフィスでこの数ヶ月の出来事を振り返っていた。窓際部署でくすぶっていた頃の俺。それが葵との出会いによって一変し、社内で認められ、そして今回、最大の危機を乗り越えた。その全てが、彼女の存在なくしてはあり得なかった。


(俺は、葵ちゃんに、一体何を求めているんだろう?)


 以前は、彼女のことを「才能を見出してくれた恩人」であり、「可愛らしい妹のような存在」だと思っていた。だが、今は違う。彼女が他の社員と談笑しているのを見るだけで、妙に胸がざわつく。彼女が困っていると聞けば、いてもたってもいられなくなる。そして、彼女の笑顔を見るだけで、心が満たされる。


 これは、尊敬でも、親愛でもない。もっと、熱くて、もっと、甘くて、そして、もっと、独占したいと願ってしまう感情だ。


 俺は、机の引き出しから、あの日、葵と服を選んだ時に撮った写真をこっそり取り出した。白いワンピースを着て、嬉しそうに微笑む葵の姿。その隣には、少し照れくさそうに新しい服を着た俺が立っている。


 この写真を見つめながら、俺は確信した。


 俺は、葵に恋をしている。


 これまで、恋愛感情とは無縁だった俺にとって、これはあまりにも突然で、そして強烈な自覚だった。年齢差や、彼女が社長の姪であることなど、様々な問題が頭をよぎる。だが、それ以上に、葵へのこの感情が、俺の心の中で揺るぎないものとなっていた。


 ◆


 一方、葵もまた、同じような感情を抱いていたことを、後日、知ることになる。


 彼女は、あの事件の間、吉野さんの潔白を証明するために奔走しながら、何度も「この人のために、何でもできる」と強く感じていたという。彼女にとって、吉野さんは「憧れ」の存在だった。だが、彼の窮地を目の当たりにし、彼を救うために必死になる中で、その感情は「尊敬」や「憧れ」だけではない、もっと深く、揺るぎない「恋」へと変化していたのだ。


「私、吉野さんのことが…その…」


 後日、ジムでのトレーニング後、二人きりになった休憩スペースで、葵が顔を赤らめてそう告白してくれた時、俺の心は歓喜に震えた。彼女の言葉は、俺の「恋」の確信を、さらに強く、鮮やかなものにしてくれた。


 俺たちは、言葉を交わさずとも、互いの心に芽生えた同じ感情を、確かめ合っていた。それは、これまで経験したことのない、甘く、そして温かい時間だった。危機を乗り越えることで、俺と葵の絆は、単なる協力者、あるいは「特別」な関係を超え、真の「恋」へと深化していた。


 俺の人生は、文字通り『ハーモニー・ウェイブ』によって大きく変わった。そして、その変化の中心には、いつも葵がいた。そして今、彼女は、俺の人生の「恋人」として、新たな未来を共に歩もうとしている。

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