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第二十一話:真実の露呈と佐藤の転落

 葵の決意と行動は、俺に希望を与えてくれた。彼女が徹夜で分析してくれたデータは、佐藤が仕組んだ陰謀の決定的な証拠となるものだった。その報告を受け、俺はすぐに高瀬さんに連絡を取った。


「高瀬さん、葵ちゃんが佐藤の不正の証拠を掴んでくれました!」


 俺の言葉に、高瀬さんの顔に一筋の光が差した。彼女はすぐに協力を申し出てくれた。


「よし、吉野くん。私もこれまでの経緯と、佐藤の動向を調べてみるわ。必ず、彼を追い詰めるわよ」


 高瀬さんは、俺が『イノベーション推進室』に配属された当初から、佐藤が俺を疎ましく思っていたことを知っていた。彼女もまた、この状況を看過することはできなかったのだ。


 俺たちは、葵が突き止めた情報をもとに、佐藤が偽のデータを流し、個人情報流出を偽装するために使ったダミーアカウントのIPアドレスを特定した。そこから、佐藤が社内ネットワークにアクセスする際に使用していた端末の履歴を割り出すことができた。


 さらに、高瀬さんは、佐藤が過去に社内で起こした小さな不正や、彼が俺の部署の情報を探っていた履歴を突き止めてくれた。それらは、佐藤がどれほど執拗に俺を陥れようとしていたかの証拠となった。


 俺、葵、そして高瀬さん。三人の協力で、佐藤の悪行が完全に暴かれようとしていた。


 ◆


 俺たちは、これまでの調査結果をまとめ、社長に直談判した。社長は、俺たちの提出した証拠と、葵の真剣な訴えに、目を大きく見開いた。


「まさか…佐藤が、そこまで…」


 社長の顔から血の気が引いていく。彼は、信頼していた部下が、このような陰謀を企てていたことに、大きな衝撃を受けているようだった。


 翌日の役員会は、緊迫した雰囲気に包まれていた。今回の議題は、俺の部署に対する疑惑の解明、ではなく、佐藤の不正行為の追及だ。


 俺は、プロジェクターに資料を映し出し、佐藤が偽のデータを流し、個人情報流出を偽装した手口を、詳細に説明した。葵が特定したIPアドレスと、高瀬さんが見つけた佐藤の過去の不正行為の記録も、全て証拠として提示した。


「…以上の証拠から、社内に広まっている疑惑は、全て営業部長である佐藤が、私を陥れるために仕組んだ陰謀であることが明確になります」


 俺の言葉が響き渡る会議室で、佐藤は顔面蒼白になり、震えが止まらない様子だった。彼は何度も反論しようとしたが、俺たちが提示する確固たる証拠の前に、言葉を失っていた。役員たちの視線が、彼に突き刺さる。


「佐藤部長、これは、一体どういうことだ」


 社長の冷たい声が、会議室に響き渡る。その声には、怒りよりも、深い失望が込められていた。


 追い詰められた佐藤は、ついに観念したように、項垂れて口を開いた。


「…申し訳、ありません…全て、私が…吉野室長に…嫉妬して…」


 彼の口から語られたのは、俺への個人的な嫉妬心から始まった、あまりにも幼稚で、そして悪質な陰謀の全貌だった。彼は、俺の成功が許せず、俺を窓際部署へ戻そうと画策したのだ。


 ◆


 役員たちは、佐藤の自白に衝撃を受け、怒りに震えていた。会社の信用を傷つけ、社員間に不信感を煽り、そして何よりも、一人の社員のキャリアを潰そうとしたその行為は、決して許されるものではない。


 その場で、佐藤の営業部長としての地位は剥奪され、責任を取らされる形で降格・左遷が決定した。彼の社内での影響力は完全に失われ、会社から完全に孤立した。


 恐らく、そう遠くない内に会社を辞職することになるだろう。かつて俺を見下し、蔑んでいた男が、今、自らの愚行によって全てを失った。


 会議室を出ると、高瀬さんが静かに俺の隣に立っていた。


「吉野くん、本当にお疲れ様だったわ。よく頑張った」


 彼女の目には、安堵と、そして俺への深い信頼が宿っていた。


 その日の夜、葵からメッセージが届いた。


『吉野さん、本当によかったです! 佐藤さんの不正が暴かれて、私も安心しました!』


 彼女のメッセージを読みながら、俺は改めて、葵の存在の大きさを感じていた。彼女がいなければ、俺は今頃、会社を追われていたかもしれない。彼女の純粋な信頼と、誰よりも早く行動してくれたその勇気が、俺を救ってくれたのだ。


 危機を乗り越えたことで、俺と葵の絆は、一層深まった。これまでの俺にとって、葵は「特別な存在」だった。だが、この一件を通じて、その「特別」という感情が、いつの間にか、もっとはっきりと、そして揺るぎない**「恋」**に変わっていたことを、俺は確信した。


 窓際社員だった俺が、今、会社の危機を救い、そして、一人の女性との間に、かけがえのない絆を築いた。俺の人生は、ここから、新たなフェーズへと突入していく。

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