表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/50

第四十九話:「アレックス、奇跡を起こしたかと思った件」


「おい、茜!」

アレックスが再び声を張り上げた。彼はすっかり諦めたような顔をしていたが、何かを思いついたらしい。


「どうしたの? もう、何度も言うけど、そんなに無理しなくていいよ」

茜は軽くため息をつきながら、アレックスの方を振り返った。


「いや、今度こそ本当に何か起こるんだ!」

彼は自信満々に宣言し、茜と神様に近づいてきた。


「アレックス君、またそのパターン? そろそろネタ切れじゃないの?」

神様が少し呆れたように言うと、アレックスは眉をしかめた。


「ネタ切れじゃない! 今回は、俺が手に入れた“アレ”を使うんだ」

アレックスはどこからか取り出した、キラキラと光る玉を見せた。


「あ、それ…まさか、神様からもらった玉?」

茜が驚いた顔でアレックスを見つめる。


「そうだよ! これ、まだ使ってなかっただろ?」

アレックスは得意げに言った。


「いやいや、なんで今まで使わなかったの?」

茜は呆れたように質問する。


「……忘れてた」

アレックスが恥ずかしそうに答えると、茜と神様は一瞬沈黙し、次の瞬間、爆笑した。


「忘れてたって…アレックス君、それ最高だよ!」

神様が笑いながら、アレックスの背中をバンバン叩いた。


「本当、どこまでズボラなの…」

茜も涙を浮かべながら笑い転げている。


「うるさい! とにかく、この玉を使えば、俺に奇跡が起こるはずなんだ!」

アレックスは必死に反論し、玉を高々と掲げた。


「でも、その玉ってどう使うんだっけ?」

茜が真顔に戻り、少し疑問を口にした。


「え? ああ…確か、神様にお願いして使うんだったかな?」

アレックスが首を傾げながら神様に視線を送った。


「いやいや、俺だってそんな面倒なこと覚えてないってば!」

神様は肩をすくめながら、軽く笑った。「どうせ適当に使ってみたら、何か起こるんじゃない?」


「適当…って、おい!」

アレックスは神様のいい加減さに再び呆然としたが、仕方なく玉に向かって心の中で強く念じた。


「よし、これでどうだ!」

アレックスが玉を握りしめた瞬間、突然、周囲がまばゆい光に包まれた。


「うわっ! 何だこれ?!」

茜が目を覆いながら叫ぶ。


「ははは! ついに来たか、奇跡の瞬間!」

アレックスは嬉しそうに光の中で立っていた。


だが、光が収まった後、何も変わらない景色が広がっていた。

茜も神様も、特に変わった様子はなく、ただ周囲が元通りになっただけだった。


「……あれ?」

アレックスは自分の体を見下ろし、不思議そうに首を傾げた。


「もしかして、何も起こってない?」

茜が疑問を口にすると、神様は頷きながら腕を組んで考え込んだ。


「うーん、もしかすると、君の願いがちょっと弱かったかもね?」

神様がふざけたように言うと、アレックスは崩れ落ちた。


「何だよ、それ…こんなに期待してたのに」

彼は地面に手をつき、無力感に打ちひしがれている。


「ま、気を落とさないでよ。これがアレックス君の奇跡だったってことで」

神様は肩をすくめながら、軽く励ました。


「それ、全然奇跡じゃないじゃん!」

アレックスは怒りを抑えきれずに叫んだが、茜と神様は笑いながら彼の横を通り過ぎた。


「次こそ、もっと強く願ってみればいいんじゃない?」

茜がアレックスの肩を軽く叩きながら、遠くへと歩いていった。


「くそ…俺の奇跡…」

アレックスは呆然とその場に立ち尽くしていた。


+++++


次回予告:「元の世界に戻ったかと思ったら、すぐ戻ってきちゃった件」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ