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第四十話:「魔王のせいで引っ越すことになった件」


「Yo! お前、まだ魔王(犬)とやりあってんの? ってか、部屋の中すげーことになってるじゃん。なにこれ?」


空からいきなり聞き覚えのあるチャラい声が降ってきた。見上げると、またしてもあのズボラ神――いや、今度はやけに軽いノリの神様が雲の上から足をプラプラさせていた。


「神様、口調、変わってる…」


茜は呆然としつつ、片付け中の散らかった部屋を見回しながら眉をひそめる。


「いやいや、こっちのほうが今っぽいじゃん? ってか、お前の部屋、魔王(犬)にボロボロにされてんじゃん。ヤバくね?」


神様はヘラヘラしながら指でピースサインを作り、こちらに向けて軽くウィンクしてきた。


「ヤバいのはあんたのノリだよ! どうしてこんな風にされたのよ! これ、どうにかならないの?」


茜は半ば泣きそうになりながら、魔王(犬)が引き裂いたカーテンや破壊された家具を指差した。魔王(犬)は今も楽しそうに部屋を駆け回り、さらに家具に噛みつこうとしている。


「ま、まぁ、魔王だし? 仕方ねーんじゃね? でも、お前、引っ越ししたほうがよくね? 新しい場所とか、オシャレな感じで住んじゃえよ」


神様は指をパチンと鳴らすと、突如として茜の足元から風が吹き、全ての家具がピカピカに修復された…かと思いきや、さらにカラフルな色に塗り替えられていた。


「なにこれ!? 家具がサイケデリックすぎるんだけど!」


茜は驚きのあまり言葉を失い、カラフルすぎる家具を見渡した。目がチカチカするほどの蛍光色で、まるで夜中にネオンが輝くクラブのようだ。


「どうよ? これで魔王(犬)も大人しくなるかもだぜ? 派手な環境なら、さすがに疲れるっしょ」


「いや、むしろテンション上がっちゃってるんですけど!?」


魔王(犬)は蛍光色の家具の間をさらに激しく駆け回り、時折家具にぶつかってはバウンドしている。まるでおもちゃにされたかのように、魔王(犬)はこの新しい世界を満喫しているようだった。


「ふふ、引っ越す理由もできたろ? ま、次の住むとこはおしゃれで選べよな」


「おしゃれとかどうでもいいの! そもそも、この世界で住む場所なんて、どこにあるのよ!」


茜は呆れながらも、まさか魔王(犬)のせいで引っ越すことになるなんて思いもよらなかった。神様のチャラい態度に、ますます信頼が揺らいでいく。


「おい神様、この部屋、結局元通りになってないし、どうにかしろよ!」


「え? いや、オシャレな方がいいって思ったけど? ま、やっぱ合わなかったか? まぁ、しゃーない。じゃ、また今度!」


神様は軽く指を振ると、再びふわりと雲の上に浮かび上がって消えてしまった。


「ちょっと! 逃げるなーーー!!」


茜は神様が消えた空に向かって叫びながら、心底後悔の念がこみ上げてきた。願いをちゃんと叶えてもらっておけば、こんな大惨事にはならなかったかもしれない。


「やっぱり元の世界に帰りたいって言っておけばよかった…でも…私の体、もう火葬されちゃってるよね…」


ぼんやりと天井を見つめ、茜は深いため息をついた。今更、元の世界に戻りたいと思っても、もうどうしようもない。少しの隙間を埋めるように、虚しさが漂う。


「クゥ~ン」


魔王(犬)が彼女の膝に顔を乗せ、甘えるように見上げてきた。


「はぁ…あんた、こんなに懐いてどうすんのよ…」


茜は思わず魔王(犬)の頭を撫でたが、その瞬間、彼女の心に一筋の妙な安心感が広がった。


「ま、いっか。こんなヘンテコな世界だけど、これで生きてくしかないか」


そう思った瞬間、何故か少しだけ笑みがこぼれた。


「とりあえず、引っ越し先探すか…」


+++++


次回予告:「アレックスとのお別れが思いのほかあっさりだった件」

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