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第三十九話:「魔王をペットにしたら面倒なことになった件」


「おい、茜、こいつ、もうどうにかしろよ」


アレックスが苛立ちを隠せない様子で、魔王(犬)を指差して言った。


「いや、どうにかって言われても…私も魔王が犬になるなんて想定してなかったし…」


茜は魔王(犬)を見下ろし、どうしたものかと悩んでいたが、その小さな体が丸まって甘えるように足元にすり寄ってきた。


「ワンワン!」


「ちょ、だから撫でないってば!」


茜が足を避けようとすると、魔王(犬)はさらに執拗に彼女にまとわりつく。


「ねぇ、これほんとにあの恐ろしい魔王なの? ただの犬じゃん!」


「いや、魔王だ。これがどう見ても最終形態だ…けど、どう見てもただの犬だな」


アレックスも困惑しながら剣を鞘に戻し、茜を助けようと手を差し出した。


「こいつを元の魔王に戻して、もう一度倒すか? それともこのままペットにしておくか?」


「いやいやいや、ペットなんて無理でしょ! こんな毛むくじゃらの魔王なんて、誰も喜ばないよ!」


そう言いながらも、茜は仕方なく魔王(犬)の頭を軽く撫でてやった。その瞬間――


「クゥ~ン!」


魔王(犬)は満足げに目を細め、尻尾をフリフリさせながら茜の膝に乗り込もうとする。


「ちょ、重い! 意外にずっしりしてる!」


「お前が可愛がるから懐いちゃったじゃないか」


アレックスが茶化すように言うと、茜は呆れ顔で返す。


「可愛がってないってば! 撫でただけなのに、なんでこんなに懐くのよ!」


その時、突然天から声が響き渡った。


「フフフ…まさか魔王を犬にするとは、お主、やるではないか!」


「え? その声って…神様!?(ってか毎回口調変わってない?)」


茜が慌てて上を見上げると、雲の間から光が射し、神様の姿が現れた。神様は空中であぐらをかいて、あくびをしながらこちらを見下ろしている。


「お主の願いを叶えたのはこのわしだ。ま、だいぶ適当にやってみたが、犬にしちゃうとはのう」


「適当って! こんなことにしないでちゃんと戻してよ!」


茜が必死に抗議すると、神様は肩をすくめて笑った。


「まぁまぁ、これも運命ってやつじゃ。犬として共に過ごせば新たな発見があるかもしれんぞ」


「いや、犬として魔王と過ごすなんて絶対無理だから!」


「そう言わずに楽しめばよい。ちなみにその犬、かなりの忠誠心を持っているから、お主の命令はすべて従うぞ」


「えっ、本当!? じゃあ、掃除とか洗濯とかも?」


茜が半信半疑で言うと、神様は自信満々に頷いた。


「もちろんじゃ。お主が言えば、何でもする。さぁ、命じてみるがよい!」


茜は少し考えた後、魔王(犬)に向かって声を掛けた。


「えーっと…じゃあ、掃除して!」


魔王(犬)はピタリと止まり、少し考え込んだ後、突然茜の前で跳び上がり、そのまま部屋の隅に向かって駆け出した。そして、茜が何も言う間もなく――


「バリバリバリバリ!」


「ちょ、ちょっと待って! カーテン破ってる!!」


魔王(犬)は勢い余って部屋中のカーテンを引き裂き、さらに茜のベッドカバーまで豪快に噛みついた。


「なんでそうなるの!? これ掃除じゃないって!」


「フフフ…そいつなりの掃除の仕方かもしれんのう」


神様は笑いを堪えきれない様子で見守っていたが、茜は呆然と立ち尽くしていた。


「もう、こんな魔王どうすればいいのよ…」


「ま、そんなに悪いことばかりじゃないぞ。そいつを使いこなせれば、ある意味最強のペットになるかもしれんからな」


神様はそう言い残し、再び雲の間に消えていった。


茜はがっくりと肩を落とし、振り返ると、部屋の中は魔王(犬)によってめちゃくちゃになっていた。


「これは…最悪だ」


アレックスが肩をすくめて言った。


「とりあえず、掃除は自分でやったほうがよさそうだな」


「そんなの分かってるわよ!」


茜はおたまを振り回して怒鳴りながら、再び魔王(犬)を追いかけるのだった――。


+++++


次回予告:「魔王のせいで引っ越すことになった件」

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