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第二十八話:「バトルが予想外の展開になった件」


「行くぞ、茜! あいつらを一気に倒して、このフェスの王者になろう!」


アレックスは巨大な剣を抱え、バトルフィールドを突進していく。茜もピンク色のハンマーを手に構えたが、彼の勢いに圧倒され、なかなか動けない。


「ちょ、ちょっと待って! 私、バトルなんてやったことないんだけど!」


「心配するな! ただのフェスだ。負けても死なないさ」


アレックスは気楽にそう言って笑うが、茜にはその余裕が全くない。目の前にはすでに次々と敵が現れており、スライムやらゴブリンやら、異世界の住人たちが戦いに興じている。


「やるしかないか……!」


茜は気合を入れ直し、迫ってくるゴブリンにハンマーを振り下ろした。しかし、その瞬間――


「えっ?」


ハンマーは振り下ろしたはずなのに、なぜかゴブリンの足元に転がった。しかも、ハンマーが地面に触れると、ピンク色の煙がブワッと広がり、ゴブリンはその場で笑い出した。


「こ、これは……!」


神様が渡してきたこのハンマー、実はただの武器ではなかったようだ。笑いの呪いがかけられているらしく、当たった相手は笑いが止まらなくなる。


「笑いで倒せってことか……!」


茜は半ば呆れながらも、敵を倒す手段がこれしかないことを悟った。ハンマーを拾い上げ、今度はスライムに狙いを定める。


「よし、行くぞ!」


ハンマーを振りかざすと、スライムもまたピンクの煙に包まれ、ぷるぷると笑いながら倒れていった。


「アレックス、こっちも順調だよ!」


茜がアレックスの方を見ると、彼はもうすでに数体のモンスターを斬り倒している。大剣を振るい、圧倒的な強さを見せつけていた。


「すごいな……私も頑張らなきゃ」


茜は再び敵を探してフィールドを駆け回る。すると、その目の前に見覚えのある姿が現れた。


「魔王……!」


魔王は、未だにアイドル的な可愛らしい姿のままで、周囲のモンスターたちと戦っていた。しかし、その戦い方はどこか間抜けで、相手を倒すどころか、逆に自分が転んだり、尻餅をついたりしている。


「お前、本当に魔王か?」


茜は思わず声をかける。だが、魔王は気にせず、可愛い仕草で手を振ってみせた。


「ふはは、我はこの姿でも王者になるのだ!」


「いや、無理だろ……」


茜は苦笑いを浮かべながら、ハンマーを握りしめた。このままではフェスの王者どころか、魔王が敵に倒されるのが先ではないかと心配になる。


「おい、茜! こっちに援護を!」


アレックスが叫ぶ声に、茜は慌てて駆け寄った。そこでは、アレックスが何やら巨大な敵と対峙していた。見るからに強そうなドラゴンが、アレックスに向かって炎を吐き出している。


「わあ、これヤバいやつだ……」


茜は一瞬引きそうになったが、ここで逃げるわけにはいかない。ハンマーをしっかり握り、アレックスに向かって突撃した。


「行くぞー!」


茜が勢いよくハンマーを振りかざすと、ドラゴンもまたピンクの煙に包まれ、その場で大爆笑を始めた。巨大な体が地面に転がり、笑いが止まらなくなっている。


「えっ、ドラゴンにも効くの?」


茜は予想外の効果に驚きつつ、これで勝機が見えたことに安堵した。アレックスも笑いながら振り返った。


「すげえな、茜! これならいけるぞ!」


だが、その瞬間――


「さて、そろそろ私も参加するか」


神様がステージの上から降りてきた。彼はいつもの無精な表情を浮かべながら、ゆっくりと茜たちの前に立った。


「え、神様も戦うの?」


茜は驚愕しながら神様を見上げた。まさか主催者自身がバトルに参加するとは思っていなかった。


「もちろんだとも。このフェスの最後を飾るのは私だ」


神様はニヤリと笑い、何やら手のひらで光を集め始めた。


「えっ、やばくない!? これ!」


茜もアレックスも慌てて構えるが、神様は突然、光をピンク色の玉に変えて投げつけた。


「何だこれ!」


アレックスが反応した瞬間、そのピンクの玉が彼に直撃。すると、アレックスの体がふわっと宙に浮き、突然全身がコスプレ衣装に包まれた。


「な、なんだこれは……」


アレックスは全身をピンク色の可愛い衣装に変えられ、見た目が完全にアイドルのようになっていた。


「これで、フェスはさらに盛り上がるだろう?」


神様は楽しそうに笑いながら、さらにピンクの玉を茜に投げつけてきた。


「うわあああ!」


茜もまた玉に当たってしまい、全身がキラキラと光りながら、魔法少女のようなコスチュームに変わってしまった。これではまともに戦えないどころか、恥ずかしくて動けない!


「ちょっと! 神様、ふざけるのもいい加減にして!」


茜が叫ぶと、神様は肩をすくめてみせた。


「ふざけてなんかないさ。これがフェスのルールなんだよ」


茜とアレックスは、完全に神様の手のひらで踊らされていることに気づいたが、どうすることもできなかった。


「もう、笑うしかないね……」


茜はため息をつきながら、笑いのフェスが続くことを覚悟するしかなかった。


+++++


次回予告:「フェスの最後にとんでもないことが起きた件」

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