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第十八話:「伝説の勇者が突然消えて、私ひとりで嬉しいような寂しいようななんとも言えなかった件」


「ねぇ、アレックス。なんか最近、あんた調子に乗ってない?」


茜はアレックスに文句を言いながら、宿で一息ついていた。連日のバカげた依頼に、さすがに茜も疲れが出ていたのだ。しかし、アレックスは相変わらずポジティブにキラキラと笑っている。


「調子に乗ってる? 俺はいつも通りさ! これからだって、次の依頼をバッチリこなして――」


「いやいや、次の依頼とかどうでもいいから、もう少し休みたいんだけど……」


そんな茜の言葉に耳を貸さず、アレックスはニヤニヤしながら突然立ち上がった。


「よーし! 次の依頼の準備しに行ってくるから、少し待っててな!」


「えっ、ちょ、待って――」


茜が引き止める間もなく、アレックスは謎の魔法を使って瞬間移動してしまった。突然部屋に一人残された茜は、ぽかんと口を開けたまま呆然と立ち尽くす。


「え……なにこれ、置いてかれた?」


その瞬間、茜の頭の中に一つの思いがよぎる。


ーーあれ、これってもしかして……自由ってやつ?


+++++


アレックスがいなくなったことに気づいた茜は、ふと窓の外を見た。晴れた空に小鳥がチュンチュンとさえずっている。どうやら、アレックスの「面倒くさい依頼」に付き合わされることもなく、一人の時間を満喫できるチャンスが到来したらしい。


「……よし、今日は思いっきり遊ぶか!」


テンションが急上昇した茜は、さっそく街に出かけることにした。


+++++


まず向かったのは、異世界の巨大遊園地。その名も「マジカル・ドリームランド」。テンションMAXの茜は、はしゃぎまくってアトラクションに乗りまくった。ゴーゴーカートで猛スピードを出しながら、他の客を追い抜き、「勝った!」とガッツポーズ。


「いやー、アレックスがいないと楽勝だわ。気楽すぎ!」


次に、茜は大人気のファンタジーお化け屋敷に突入。アレックスがいる時はいつも「怖くないよ」と言いながら、微妙に抱きついてきたが、今日は一人で挑戦。だが――


「ぎゃあああああ!!」


大声で叫びながら出口へ猛ダッシュする茜。途中、誰かの足を踏んづけて転んだり、つまずいて棚を倒したり、ドタバタ劇を繰り広げた。


「あー、怖かった……」


なんとかお化け屋敷をクリアした茜は、息を整えるためにベンチで一休み。


「……あれ、ちょっと寂しいかも?」


ふと、アレックスがいない状況に物足りなさを感じ始めた。いつもは文句を言いながらも、隣にいる彼の存在が意外と安心感を与えていたことに気づいたのだ。


「まあ、でも静かでいいか……」


+++++


その時、突然茜の目の前に閃光が走り、見覚えのある人物が現れた――


「……あれ、またお前か」


神様がズボラな姿勢で、ポンッと目の前に降り立った。いつものローブ姿ではなく、なんとビーチサンダルにサングラス、手にはソフトクリーム。


「なにやってんの、神様!?」


「いや、ちょっと休暇中でな。ビーチでのんびりしようと思ったら、なんかこっち来ちゃったわ」


「適当すぎない!? それにアレックスが突然いなくなったんだけど、どうすればいいのよ?」


「ふむ……ああ、アレックスか。実はあいつ、ちょっとした『異世界のサイドミッション』に巻き込まれたんじゃよ」


「巻き込まれたって、また勝手に!?」


神様はサングラス越しに面倒くさそうな目をしているが、続けた。


「まあ、しばらく帰ってこんじゃろうな」


「しばらくって、いつ戻ってくるのよ!」


「さあ、いつかは知らんが、今はお前が自由じゃないか」


神様は無責任にそう言い残し、またフワッと消えていった。


+++++


茜は再び一人に戻ったが、今度は明確な不安感が襲ってきた。


「なんか……なんか、嫌な予感がするんだけど……」


とりあえず、宿に戻ってアレックスの帰還を待つことに決めた茜。しかし、その夜は寝つけず、結局、部屋の隅で毛布にくるまって朝を迎えることになった。


+++++


次の日、アレックスは何事もなかったかのように突然戻ってきた。大きな土産袋を抱えて、茜に笑顔で手を振る。


「ただいまー! 茜、土産買ってきたよ!」


「お、お土産って……いや、どこ行ってたのよ!」


「いやー、ちょっと異世界のフェスに参加してきたんだ。超楽しかった! 茜も行けばよかったのに!」


「……私、一人で大変だったんだけど!?」


「そうなのか? まあ、次は一緒に行こうな!」


アレックスはあっけらかんとそう言って、袋から謎のグッズを取り出し始めた。


「……はぁ、ほんとに自由人すぎる」


+++++


次回予告:「勇者がフェスで騒ぎすぎて、なぜか私まで巻き込まれた件」


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